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第9章 歪と失脚からの脱出 36話 鎮火された紅い炎

第9章 歪と失脚からの脱出 36話 鎮火された紅い炎

紅音は、先ほど黒装束の男に発射したものと同等の威力のある高熱の白熱大火球を放ったところで、驚き身と顔を強張らせた。

驚いた顔の菊沢美佳帆、焦った顔をしつつ先ほどの【霧散無消】という技能を放とうとしている霧崎美樹、その前に長い髪を靡かせ右目を黒く光らせた宮川佐恵子が火球を止めようと、紅音と美佳帆達のあいだに飛び込んできたからだ。

「えっ?!佐恵子?!っ無理よ!」

紅音はとっさに叫び、放った火球を解除しようとしたが、すでに手から離れてしまっては術者といえど、もはや止めることはできない。

白熱色の大火球は、紅音の込めたオーラ分の威力を内包したまま、美佳帆と霧崎目掛け放たれた勢いを失わず唸りを上げ突き進む。

「紅音!これ以上させないわ・・!」

肉体を極限まで強化した佐恵子は魔眼の右目を光らせ、大火球の軌道を逸らそうと身構えたのだ。

「避けなさいよっ!佐恵子!」

紅音は声を裏返し悲鳴に近い声で、何故そう叫んでしまったのか自分でもよくわからなかった。

霧崎美樹も美佳帆を背に隠しつつ、【霧散無消】を放つが、火球の威力のすべてを奪いつくすには、迫る火球の速度が速すぎた。

「くっ!消しつくせません!」

発射された時よりも火球はやや小さくなったが、着弾までに消しきれそうにないと悟った霧崎美樹は無念そうに短く唸った。

しかし佐恵子は、自身が大怪我をしてもこれ以上紅音に罪を重ねさせまいと覚悟を決め、両手を重ね、火球を弾き飛ばそうと振りかぶり肉体を強化していた。

「はぁああ!」

佐恵子が決死の覚悟で吼えた時、急に何者かに身体を抱きすくめられ振り回され視界が猛スピードで流れる。

「えっ?きゃああ!」

「はああああああぁ!」

とっさに叫んでしまった悲鳴は佐恵子自身の声で、ハスキーな声での咆哮は佐恵子にとっては聞きなれた声であった。

ぼぅんっ!

白銀の髪を靡かせ、佐恵子を抱きすくめ抱えたまま回転し、紅音の放った大火球を右脚の一閃で、遥か上空へと蹴り飛ばしたのだ。

弾かれた火球はそのまま朝焼けの雲を蹴散らし、雲の向こうに消えて見えなくなった。

「熱っつ!くうぅうう!・・」

「加奈子ぉっ!」

「・・佐恵子さん、遅くなって申し訳ありません・・!」

銀獣こと加奈子は、銀色に輝く髪のまま佐恵子を両腕で抱え遅参を詫びた。

「ああっ!加奈子っ・・!無事だったのね!電話が繋がらないからてっきり加奈子にもなにかあったのかと・・・でも、無事だったのですね。来てくれて助かったわ・・さすがに今のは死ぬかと思いましたから・・!」

佐恵子は抱えられたまま加奈子にそういったが、加奈子は佐恵子ににっこり笑顔を向けてから、すぐにキッと紅蓮こと緋村紅音を睨み上げた。

しかし、当の紅音も火球が弾き飛ばされ逸れたことになぜか安堵した様子で、手錠された両手を床についてガクリと崩れ落ちてしまった。

加奈子は紅音のその様子に「ん?」と眉を顰め訝しがるも、紅音らしくないとは言え紅蓮の動きを注視し油断なく構えた。

しかし、その紅音の様子を好機と察した霧崎美樹は、オーラを霧散させる技能を展開させたまま、紅音との距離を一気に詰め、一瞬で紅音を押し倒し床に組み伏せたのだ。

「きゃあ!・・っ痛ったいわね!もう抵抗しないわよ!!痛っ!痛いったらっ!霧崎っ・・!・・ちょっ!このデカ女!!」

「デカくありません!あなたが小さいだけです!」

少し気にしていることを言われたのか霧崎美樹はそう言い返すと、紅音を膝で地面に組み伏せ、抵抗しないと悪態をつく紅音の言をもはや信じる気もない様子で、容赦なく地面に押し付けている。

「紅蓮のオーラを無力化してる間に拘束して!はやくっ!」

「承知しました!」

霧崎と紅音の体格差はずいぶんと有り、豊満だが、がっちりした筋肉質な霧崎に、小柄で華奢な紅音が地面に押し付けられているという図である。

そこに霧崎の指示に勢いよく返事をした警官隊員たちが殺到しだした。

霧崎美樹に抑え込まれた紅音は今度こそ完全に拘束されだし、赤く艶のある巻き毛は床を這い靴で踏まれている。

大勢の警官たちに膝や脚でのしかかられた小柄な紅音は、耐えるような小さな悲鳴を上げ、悔しさに滲んだ顔を歪め屈辱と痛みに耐えているように見えた。

「あ、紅音・・」

そんな様子の紅音と目があった佐恵子は、抱きすくめている加奈子だけに聞こえる程度の声で思わず幼馴染であり先輩でもある名を呼んでしまっていた。

「・・・佐恵子さん・・。紅音に同情しちゃダメです。あいつは私や真理も・・メガネ画家まで殺そうとしたんですよっ!美佳帆さんたちだって・・たった今まで・・死線の上を綱渡りしてたはずなんです!支社だってこんなめっちゃくちゃに・・」

佐恵子の心境を知ってか、加奈子が嗜めるように佐恵子の耳元でささやく。

「そうね・・。みんなわたくしのせいですわ。・・わたくしの力が及ばないせいで・・紅音をここまで暴走させてしまったのです・・」

「佐恵子さんのせいじゃありません・・」

政敵とは言え幼馴染の紅音が、オーラを封じられ力づくで拘束されている様子に佐恵子は同情を滲ませたが、加奈子の心境は微妙だ。

地面に押さえつけられ、霧崎美樹の【霧散無消】を照射されっぱなしの紅音は、武装警官たちに乱暴に抑えつけられ、背中や脚、さらには頭にも膝を乗せられ体重をかけられて、床に顔を押し付けられて苦しそう歯を食いしばり、目を固く瞑って耐えている。

すでに身体の前で戒められていた手錠を解かれ、再度、背中側に両手を捻りあげられ厳しく戒められたうえ、さらに念には念をということだろうか、指錠までも嵌められだしたのだ。

「ちょっ!そんなことまでしなくても動けないって!・・痛っ!・・て、抵抗しないって言ってるでしょ!ちょっ!痛い!!もうっ!痛いってばあ!乱暴にしないでよぉ!指錠とか肉を挟んでるからっ!痛いって言ってるじゃないっ!」

手を後ろ手に手錠されたにも関わらず、更に厳しく戒められだした紅音は再度声を上げて抗議し出した。

霧崎美樹の【霧散無消】を至近距離で照射されっぱなしの紅音は、得意技の炎はもちろん肉体強化を行うことも全くできない。

見た目通り華奢で小柄な女並みとまではいかないが、いまの紅音は純粋な筋力でしか力を出せていないのだ。

しかし、先ほどまでオーラを纏った紅音の猛威を目の当たりにし、実際にその技を受けた武装警官たちは紅音に容赦はなかった。

「足も拘束しろ!どんな能力を使うかわかったもんじゃないぞ!」

「痛いつってんでしょお!?今はあの爆乳のせいで使えないわよ!あなたたち上司の能力も知らないの?!・・重いっ!ううぅ!!きゃっ!どっ!どこ触ってんのよ?!止めっ!脚を触るな!痛いのよお!もうぅ!き、霧崎!私は能力使えてないのよぉ!わかってるでしょ?!こいつら止めさせてぇ!」

警官隊員たちにもみくちゃにされ、紅音が着ていたジャケットは破れて床に落ちており、ブラウスのボタンははだけ、タイトスカートもスリットから腰の部分まで縦に破れてしまっている。

紅音の身につけている赤いブラとショーツが、ブラウスとスカートから覗くと警官隊員たちの心の何かに少しずつ点火しだしてしまったのだ。

先ほどまで人外と思える膂力で自分たちを蹴り飛ばし、銃弾さえもほとんど炎と業風で弾き飛ばした超人である紅蓮が、今では単なる女になり、見た目通りの華奢な身体では自分たちを跳ね退ける力が無いことに、妙な高揚感を覚えだしたのだ。

霧崎美樹は紅音の言い分を聞きながらも肩や脚にある銃創を最低限の治療で失血を止めただけで、警官隊員たちを制止はしない。

「ち・・治療よりもこいつら止めさせてよ!・・重いわっ!わ、私はオーラで肉体を強化してなかったら、素の力はそんなに強くないのよぉ!いっつも普段から肉体は強化してるだけなのよ!だからっ!いまは・・!・・・く・・苦しいのよぉ!」

悲鳴どおり、紅蓮と言えども能力が使えなければ、自分たちの力でも抑えつけられると分かった警官隊員たちの心情に、嗜虐心が混ざりだしているのを霧崎もわかっていた。

しかし、霧崎は紅蓮を今度こそ完全に無力化させるのを優先し、公務員にあるまじき部下たちの少し行き過ぎた行為に少目を瞑ることにしたのだ。

武装した屈強な警官隊員たちに何人も身体の上に乗られ、後ろ手の手錠と足首も同じく施錠されだした。

「くっ・・くそ・・・こんな格好っ!・・私にこんな・・ただじゃ済まさないわよっ!霧崎ぃ!・・お前なんかどうにだってできるのよっ!?」

うつ伏せにされ、破れたスカートから覗いているであろう自分の下着をせめて隠そうと膝を閉じようとするが、先ほど紅音に蹴り飛ばされた警官の一人が紅音の足の間に座り込み両足首の施錠をしだしたのだ。

先ほど紅音に蹴り上げられた警官の一人は、わざと紅音の膝が閉じられないようにして膝の間に割って座り込み、地べたに這いつくばっている紅音の形の良いヒップがよく見える位置で見下ろしゆっくりと足首に施錠しだす。

警官隊たちは一様にフルフェイスのヘルメットをかぶっているため、表情は読み取れないが、ヘルメットの下の顔の口元は緩んでいただろう。

真っ赤な下着に包まれたヒップを隠すこともできずに歯を食いしばり悔しがっている紅音の無防備な股間に、下着ごしとは言え乱暴に靴のつま先がめり込むほど押し当てられている。

「こっ・このっ!こんなの許せない!・・いい加減にっ!・・きゃっ!?」

恥辱から顔赤くした紅音は、うつ伏せのまま顔を上げ後ろの男の顔を確認しようとしたとき、髪の毛を掴まれて頭に黒い布をすっぽりと被せられ、素早く首のところで括られてしまったのだ。

「もういい!これだけ拘束すれば大丈夫でしょう・・連れて行きなさい!」

紅音に【霧散無消】を十分施した霧崎は、額の汗を手の甲で拭いながら、ようやく部下たちに指示を出した。

腰のところで両手と両脚を戒められた紅音は、赤いショーツが丸見えになった格好で二人の警官たちに持ち上げられ、袋をかぶったままの無残に戒められた格好のまま連行されて行ってしまった。

「ふん・・。ざまあ・・だわ」

銀髪でなくなった加奈子が、顔に袋を被せられ、何かを喚きながらも、担がれて連れていかれている紅音をみて一言そう呟いた。

「・・・」

加奈子のセリフに佐恵子は何も言えずに目を伏せていたが、加奈子がその表情をみて口を開く。

「悩み過ぎですよ佐恵子さん・・。紅音は昔から嫌なヤツでした。同情の余地なんてありません。それにあいつが今日やったことは許されることじゃないです。私や真理や美佳帆さんたちまで、あいつはみーんな殺すつもりだったんですからね!あいつに同情なんてしちゃいけないんです!・・・本社も今回ばかりは紅音にキツイお灸を据えてくれるのを期待します・・でないと・・」

私が許さない。という雰囲気の加奈子のボルテージが上がりすぎないように、佐恵子は口を開いた。

「そうね・・。そのとおりだわ・・。加奈子の言う通りよ。でも・・加奈子ありがとう・・来てくれて。おかげでせめて紅音に殺人をさせずに済みましたわ・・。わたくしだけでは到底、紅音を止められませんでしたから・・加奈子が来てくれてなければ、私もどうなっていたか・・」

「い、いえ・・えっと・・私こそ、遅くなってすいません。で、でも、佐恵子さん達が無事でよかったです。・・あっ!・・佐恵子さん!ずいぶん髪が燃えて縮れちゃってますね・・せっかくの綺麗な髪だったのに・・」

加奈子はまさか行きずりの男との情事が良すぎて気を失って着信音に気付かなかった、などとは言えず、少ししどろもどろ気味になるのを誤魔化すように、熱で縮れた佐恵子の髪の毛を手にしてそう言った。

佐恵子は香奈子の様子に気付いた様子もなく「そんなのいいのよ」と言いつつ、霧崎に手を貸してもらって立ち上がろうとしている美佳帆のところに歩き出した。

「美佳帆さま!よくぞご無事で」

「無事~ってことないけど生きてる。はははっ・・とんでもないヤツだったけどなんとかなったわね・・・。みんなのおかげだけど・・。まったく・・宮コーにはあんなのがいたのね。今回ばっかりは本気で死ぬと思ったし、私ももっと精進しなくっちゃって思い知らされたわ。・・4人ならもっと戦えると思ってたのに・・」

駆け寄り二人は手を取り合って無事を喜びあう。

「あの紅音相手によく生きのびてくれましたわ。美佳帆さま・・本当によく持ちこたえてくれました・・。美佳帆さまたちをこんな危険に晒してしまったのはわたくしの失態ですわ・・。ここまで大胆な行動をとらないと・・紅音のことを甘く判断してしまってました・・」

「ま・・私たちもなんとか無事だったし・・支社はめちゃめちゃでこれから大変そうだけど・・問題はこれから・・よね?・・宮川さんはどうするの?」

火傷やキズは霧崎捜査官に癒してもらったのだが、ススだらけなのはどうしようもない。

美佳帆はススで汚れた顔を神妙にさせて、佐恵子の返答を待った。

「・・・本社に行きますわ・・。目が使えないからなどと気弱になってました・・わたくしらしくもない・・。本社に・・お父様と叔父様にわたくしを宮川コーポレーション関西支社長に戻すようにと言ってまいりますわ」

美佳帆が何を言わんとしているのか察した佐恵子は、ふぅと軽く息を吐き出してから、静かな声ではあったが、はっきりとそう言った。

「そうよね。そうこなくっちゃ!私たちを宮コーに誘ったのは宮川さんなんですからね。宏だって口では、なんだかんだ言っても宮川さんには期待してるみたいだし・・、私としても、宮川さんには今日の危険手当や損失分・・深夜残業に必要経費もばっちり見てもらわなきゃ・・・、それに・・これからもちゃーんと稼がせてもらいますからねっ!?」

「まあ!・・ふふっ・・美佳帆さまったら・・」

「ここだけの話・・紅蓮は支払いのほうもなかなかシビアでさあ・・だから、宮川さんにはまた期待してるのよ?」

手の甲で口を隠すようにして、顔を近づけてペロリと舌を出し、悪戯っぽい顔でそう言った美佳帆に、破顔した佐恵子は美佳帆の顔の前に人差指を立てた。

「う~~んと働いていただきますからね!」

佐恵子はそう言うと珍しく声を立てて笑い、美佳帆もススで汚した顔で同じく声を上げて笑う。

「また佐恵子さんのことを支社長って呼べるようになりますね!」

そう言うと加奈子も二人に合わせて笑った。

半壊した宮コー関西支社の屋上近くのフロアで、登る朝日を浴びながら3人は大いに笑ったのだった。

【第9章 歪と失脚からの脱出 36話 鎮火された紅い炎終わり】37話へ続く

第9章 歪と失脚からの脱出 37話 ただの女である事

第9章 歪と失脚からの脱出 37話 ただの女である事

窮屈な格好で四肢を縛られた挙句、頭には袋のようなものを被せられているせいで状況はわからないが、今は周囲に人の気配はなさそうであった。

「ったく!どこに行ったのよ!霧崎ぃー!」

うつ伏せで手足を腰の後ろでまとめられている紅音は、顔だけ袋の中という窮屈な暗闇の中で叫んでみたものの、暫く待ってみても返事はどこからもかえって来ない。

武装警官たちにこの部屋に担ぎ込まれ、地べたではないとはいえ、何か硬いテーブルのようなものの上に乱暴に降ろされたままそれっきりで、暫く時間が立っているのである。

そろそろ30分ぐらいになるだろうが、未だに警察側に何か動きがある様子はない。

「くっ・・・何よ・・!私をこんな格好でいつまでほったらかしにしておくつもりなのよっ!」

紅音は暗い視界の中、誰ともなしに悪態をつくがそれに応えるものはこの部屋にはいない。

すでに当然何度か試してみたが、やはりまだオーラを満足に練り上げることはできず、素の筋力だけの力だけしか発揮はできないようだ。

「あ~!!もうっ!ちっくしょう!霧崎のやつ・・念入りに掛けちゃってくれてるわね!」

霧崎美樹の【霧散霧消】という技能で、紅音はオーラが使えないという今までにない状況に不安になり、こんな格好で放置されている不快感と屈辱から大声で叫んだ。

(いったい、いつまで待たせる気なのよう・・。丸岳君やはなたちは何してるの・?私がこんな目にあってるっていうのに・・・!はやくきなさいよ!)

紅音は硬く冷たさだけを伝えてくる硬質なテーブルのようなものの上で、腰の後ろで手足をチタン製の手錠でまとめて施錠されている上、頭には黒い袋がかぶせられており、その袋は首筋で窄まって紐で緩く縛られているのだ。

視界は暗闇で今の自分の姿を見ることはできないが、自分の今の格好を想像することはできる。

ジャケットもベストも破れ、その下のブラウスも武装警官たちにもみくちゃにされた際にボタンがいくつも千切れ飛んでしまっている。

警官共に撃たれた銃創は、霧崎の【治癒】によってほぼ完治していたが、警官たちに拘束具を付けられたときにできた傷や、衣服の破れはどうしようもなくそのままだ。

更にスカートはタイトスカートのバックスリットが、大きく破け紅音の丸く形の良いヒップを包む真紅のショーツが丸見えであり、それを更に包んでいるパンティストッキングは派手に伝線して、より一層エロティックさを感じさせてしまっているのだ。

「く・・・早くどうにかしてよ。こんな格好・・うちの社員たちにみられたら・・」

オーラも練れず、単なる肉体だけの力ではチタン製の手錠をどうすることもできない紅音は、強がりを言いたいところではあるが、さすがに気弱なセリフを呟いてしまう。

そのとき、紅音が運び込まれてきた扉の方向から物音がした。

がちゃっ

極力音を立てないように注意した雰囲気で扉を開ける音だ。

紅音はあられもない恰好をしていることを意識してか、身を固くして部屋に入ってきたであろう者の発言を待つが、何故か何も言わない。

「・・き、霧崎なの?・・・それとも丸岳君?!・・助けに来てくれたの?」

恥ずかしい恰好をしたままでの沈黙に耐え切れず、物音発した正体の見当をつけて誰何するが返事はない。

「・・だ、誰よ!?」

返事がないことに焦った紅音は更に誰何をするが、返事の代わりに複数の足音と、扉が閉められカチンと扉が施錠される小さな音が聞こえてきた。

「・・・な、なによ・・黙ってないで何とか言いなさいよ!」

暗い視界の中、紅音は不自由な身をよじって声を上げるが、言葉での返答はない。

侵入してきた者たちの足音や、扉の施錠音からして、自分がテーブルぐらいの高さのものの上に置かれているのだと分かってくる。

「ちょっと!誰でもいいから・・いい加減この手錠と指錠外してくれないかしら?結構苦しいしちょっと痛くって・・。それに、この袋も外してくれない?・・ねえ?聞こえてるんでしょ?何とか言ってよ」

紅音はそう言いつつも、あたりの気配を注意深く探る。

自身の周囲には3人の気配が囲むようにしてあるのだ。

足音を止め、自分自身を見下ろす視線を、オーラは使えず真っ暗の視界とはいえ感じていた。

紅音の質問には誰も応えず、その代わりに急に、どさり!という音が顔のすぐ近くてして、自分が寝そべっている平場の上に何かが置かれたのが振動で伝わってくる。

「な・・なによ。・・何とか言いなさいよ。あなたたち!・・霧崎の部下でしょ?!」

質問には応えが返ってこない代わりに、顔のすぐそばに置かれたもののほうでジィィィという音がした。

ジッパーを開く音だ。

(ってことは何かのバッグ?・・な、なんだってのよ。霧崎の部下にしたってなんで何にも言わないのよ・・)

紅音は明らかに異常な状況に、さすがに様子がおかしいと感じ不安になりだしていた。

顔のすぐそばに置かれた袋らしきものは、そこそこの大きさがあるらしく、男の一人が何かを取り出し、紅音が寝かされているテーブル上に何かを並べ、組み立てるような音がしているのが聞き取れる。

「な・・何とか言いなさいよっ!聞こえてるでしょ?!」

紅音がたまりかねて何度目かのセリフを言ったとき、顔を覆っている袋の首筋にある紐がきつく締められた。

「ぐっ!・・ちょっ!ちょっと!何するのよ!く・・くるしい!」

霧崎の能力で一時的にとはいえオーラが使えなくされている紅音は、突然のことに恐怖を感じ、声を裏返して叫んだが、それには軽く鼻で嘲笑した声が返ってきただけだった。

一瞬このまま絞殺されてしまう恐怖に怯えたが、嘲笑した男たちはどうやらその気はないらしい。

何故なら、すぐに身体に何本もの手が這いまわってきたからだ。

「え・・?!やっ!やめろ!やめなさい!何考えてるの?!こんなことしてあんたたち!やめろっ!こんなこと!・・私に触るなんて!許されることじゃないわよ!?」

6本の手はうつ伏せの紅音をすぐに仰向けにひっくり返し、みだれた服の上から胸や腰、股間に手を這わし始めたのだ。

「ちょ!い、いや!こんなことしてタダで済むと思ってるの?!私を誰だと思って・・むぐっ!」

袋を被せられた紅音の顔の上から、口の部分目掛け丸いボール状のものが押し込まれたのだ。

(な・・なによこれえ!)

紅音は周囲の者達が自分自身に何をしようとしているのかわかった。

(ま、まさか!この私をレイプしようとしてる・・!?)

紅音の口に頬張るには大きすぎるピンポン玉のようなゴムボールが、顔をすっぽり覆っている袋の上から無理やり突っ込まれ、吐き出せないように後頭部で縛り付けられてしまったのだ。

ふー!ふーっ!

鼻でしか息ができなくなった自分自身の無様な呼吸音が、自分の耳にやけに大きく聞こえる。

情けなさと、まさか自分がという思いに気が動転している間もなく、ブラウスにまだいくつか飛ばずに残っている水牛の角でできたボタンが次々と外されて、破れてはいるが、かろうじて下着を何とか隠せそうなスカートが一気に腰の上までたくしあげられてしまったのだ。

ショーツとお揃いの真っ赤なブラジャーは胸の上にずらされ、パンスト越しのショーツは丸見えの状態で両手両足を腰の後ろに戒められた格好で、仰向けになり無防備な身体を6本の手にいい様に弄られている。

異常な状況に頭の処理がついていかない。

周囲の者達が発する僅かな嘲笑などで、曲者が3人の男だということがわかるが、視界もなく体中から送り込まれてくる怪しい愛のない刺激だとしても、性癖に広いストライクゾーンを持つ身体が反応し始めてしまう。

「ぅふ・・ん」

声を我慢していても身体を逸らせ、頤を上げて感じ出してしまう様に、周囲の男たちの気配も嘲りを含みだしたのが伝わってくる。

「っふっ!ふぐっ!」

我慢しようとしても、口を大きく開けたまま閉じれないように突っ込まれたゴムボールのせいで、声を満足に発することも、声を完全に我慢することもできない。

黒っぽい袋に頭ごとすっぽり覆われていて視界は全くないのだが、目が慣れてくると三方向から光で照らされているのがわかってきた。

2か所は固定した位置で点灯しているが、もう一つは男の一人が手で持っているようで、今まさに顔のすぐ近くの正面に構えている。

「ふぐっ!?(カメラなの?撮ってる?!)」

紅音はあられもない今の状況を撮影されていると察して、声を上げて身をよじろうとするが、オーラの使えないこの身ではチタン製の手錠はガチャリと無情な音を響かせただけで、ほとんど身動きが取れない。

「撮ってますよ。緋村支社長」

突如耳元でした声に紅音は驚き声を上げようとしたとき、自らの股間付近から派手な音がした。

ばりばりばりっ!

履いていたパンティストッキングが、素手で引き千切るようにして破られたのだ。

「んんっ!!」

表情は被らされている袋のせいで晒さずに済んだが、紅音は驚いた顔で、満足に上げられない悲鳴を上げた。

そしてすぐに別の手がショーツのクロッチ部分を無造作に掴み、ぐいっと横にずらして女性の部分を露わにしたのが伝わってくる。

股間にライトのついたカメラを近づけられているのだろうか、股間周りがほんのり暖かい。

「おっ・・毛もキレイに整っててあそこもキレイじゃん・・。でももうやっぱり濡らしてやがるぜ。へへへへっ。無理やりされても濡れちまう・・。女ってのは惨めな生き物だな」

「んんんんんんんっ!!」

(み・見るな!・・こ・・こんな・・私にこんなことして・・。抵抗しようにもオーラが使えなくて力がでない・・!こんな雑魚どもに・・この私がいいようにされるなんて・・!)

自身の女性の部分を、評価されたことに何とも言えない感情に焼かれるが、そんな感情を処理する間もなく男たちは次の手順に移ってきた。

「むっぐ!・・っうう」

股間に冷たく硬質な物が押し当てられ、そしてそれはすぐに小刻みに振動し出したのだ。

ブブブブブブッ!

「うううううっ!」

(こ、このぉ・・!こいつら私を無理やり感じさせて辱めるつもりなんだわ!こいつらの思い通りになんてさせないわ!)

不自由な格好で、ほぼ半裸に剥かれ、胸や股間を晒した状態でクリトリス目掛け電気マッサージ機が押し当てられたのだ。

紅音は心中強がってみたものの、本来とは別の用途をされている電気マッサージ機が与えてくる快感振動は強烈で、なんとか逃げようと左右に腰を揺さぶってみるが、電気マッサージ機は陰核に強く押し当てられたまま、振り切ることができない。

「んんっ!んんんんっ!」

ゴムボールのせいで、大声で悲鳴を上げることもできないが、快感で声を我慢することも難しい。

股間に与えられてくる無機質な振動のせいで、このまま続けられたら無様な瞬間を晒してしまうのは時間の問題だ。

紅音は首を左右に振り、言葉にならない声をあげつつ電気マッサージ機を振り切れないか試みるが、腰をどんなに動かしてもせいぜい半径30cmぐらいの動きでしかない。

紅音の感じまいとする必死の腰振りダンスは男たちの思うつぼであった。

「はははっ。がんばれがんばれ」

「えっろい動きだなおい」

「そうやって逃げないとすぐ逝っちまいそうだもんな?」

紅音からは確認できないが、男達は紅音が思惑通り腰を振って逃げようとしている無様な様子をみて男たちは口々に罵りつつ笑っていたのだ。

しかも、男達は紅音が必死に無様な瞬間を晒すまいと、腰を振って電気マッサージ機の振動から逃れようとしている一部始終を、ビデオカメラ片手に下卑た笑みで見下ろし笑っていた。

そんな紅音の様子に、嗜虐心を刺激された股間担当の男の電気マッサージ機を押し付ける手にも更に力が入る。

紅音が逃れようと腰を左右前後に振るが、男は絶対に陰核を電気マッサージ機のヘッドで捕らえて逃さない。

「へへへっ、惨めなもんだ」

ブブブブブブブッ!

「ふぐっ!ふぐぅう!!」

逃げても逃げても、ぴったりと吸い付くように落ち着けてくる電気マッサージ機が与えてくる振動に、紅音の身体は火照り出し、じっとりと汗を浮かせ出して可愛らしい不自由な声を上げだしてしまっている。

ピチビチビチッ!

潤い始めた紅音の愛液が、振動のみの機械音だけではなく波音を立てだしたのだ。

(くっ!・・・くやしい・・!なんで私がこんな目に・・!)

紅音は感じながらも自身の股間から発した水音に耳まで真っ赤にして歯を食いしばった。

紅音の白い肌はすでにピンクに染まり、Cカップとやや控えめだが仰向けでも型崩れしないバストは紅音の動きに合わせて可愛らしく揺れ、先端の突起は見るからに固く膨張している。

「ふぐっ!ふううううっ!」

男の一人に頭を、腰をがっちりと掴まれ抑え込まれ、足の間に陣取っているもう一人の男には、陰核に電気マッサージ機のヘッドの柄の部分が曲がるぐらい強く押し当てられている。

(も・・もうダメ!)

「ふぐっ!ふぐっぅ!っふぐううううううううううう!」

不自由な身体を更に押さえつけられたまま、紅蓮は逃れきれず、我慢しきれず無理やり絶頂に押し上げられ、3人の男たちが見ている前で、肩こりや腰痛に使うはずの機械の振動で逝き果てたのだ。

「まだまだだぜ」

しかし、乾いた深い絶頂を味あわされた紅音だが、男はそのまま電気マッサージ機を押し付け、電マの振動を止める様子はない。

紅音はたまらず腰を上下に振りたくり、キツイ快感から逃れようとするが、男が操る電気マッサージ機は陰核を捉えたまま外さず、下卑た笑顔を張り付けたまま、さらに強く陰核に押し付けてくるばかりだ。

「ふぐっ!むぐぐう!!ふぐぅう!!んんん!!」

「ははははっ、逃がさねえよ」

がちゃがちゃと手錠を鳴らし、腰を上下に、頭を左右に振って悶える紅音の様子を、たっぷり楽しんでいるのだ。

男達は、逝った直後が女の一番の甚振り時と心得ており、執拗でそして容赦がなかった。

(やめてっ!逝ったのに・・!余計に・・!こ・・こいつら!私を甚振って楽しんでるのね!)

腰をテーブルから浮かし、右に左に必死に逃げ回るびちょ濡れの股間を、ライトで煌々と照らされ撮影されながら、紅音は強すぎる快感から逃げようと身体を捻り捩る。

「はっ、こいつまた逝くぜ」

男の一人が思わず漏らした失笑に紅蓮は怒りを感じながらも、更に快感を高いステージへと押し上げてしまう。。

「ふぐっ!ひぐっ!んんんんんんっ!」

腰を浮かせて濡れた股間を突き出すようにして電気マッサージ機のヘッドを躱そうと、腰を派手に上下に振りたくっていたが、電気マッサージ機からは逃げられず、紅音は男たちの前で無機質な電気マッサージ機の振動にまたもや陥落し、敗北の痙攣を披露して男たちを楽しまった。

紅音が二度目の絶頂を晒しても、男達は電気マッサージ機を離してくれる様子もなく、ずっと陰核に当てっぱなしだ。

(こ・・こいつ!逝っても止めない‥つもりなのね!・・・こんな扱いを私にするなんて・・!)

「ふぐっ!ふぐっ!ふっ!~~っう!んんっ!んんい!んいい!」

紅音は二度も陰核のみで連続ドライオルガズムを与えられたというのに、その陰核はいまだ激しく振動している電気マッサージ機のヘッドからは解放されていない。

ゴムボールを押し込まれた口では、満足に喋ることもできずに何やら抗議をしているようだが、男達にとってはそれすらも娯楽の肴であった。

紅音は容赦なく浴びせ続けられる電気マッサージ機の刺激を避けようと、形振りかまわず腰を振って無様に逃げ回っていたが、陰核を刺激され続ければ、さすがに紅蓮といえども女であった。

(も・・もうだめ!!こんなひどい扱いで感じさせられて・・・また・・また逝っちゃう――!)

「ぐっ!ぐう!おうあえて!んえ!っ!んえて!!んあんてええ!んぐぅ――――!」

我慢しきれず果てしまい、絶頂の余韻でひくついている紅蓮を男たちはニヤついた様子で満足そうに眺め、カメラに納めていった。

「三回目か?おい、まだまだこれからだからな?」

「おい。そろそろ声も入れて顔も撮ってやろうぜ」

「そうだな。用意もできたしいいぞ」

「んぅ!?(い・・いや!)」

紅音は男たちのセリフに驚いた声をあげ、愛液に濡れた腰を隠すようにできるだけ両ひざを閉じ、立て続けに三度も逝き白濁した意識の中ではあったが、顔を上げて抗議の声を上げる。

しかし男達は、オーラの使えない非力な紅音の顔を抑えつけ、ゴムボールを外すと、一気に袋を取り払らった。

外気が顔に当たったその時、紅音の目の前が真っ白になる。

眩しくて目を細め何事かと確認すると、顔のすぐ正面にはレンズがありその周囲を煌々と照らす眩いライトが並んでいたのだ。

いや、それはレンズの周囲にライトが搭載されたカメラだった。

あまりの眩しさに、周囲を伺い見ることはできない。

眩しさから顔を逸らそうにも、男の内の一人が頭をがっちりと掴んでいるのだ。

目の前にレンズを認めた紅音は顔を背けようとしながら叫んだ。

「や・・やめろっ!撮るな!」

口が自由になり声が出せるようになった紅音は、レンズが向けられていることに狼狽して叫んだが、男達は紅音の狼狽ぶりを笑っていた。

「ひひひっ!こりゃ大物だぜ。しかし、紅蓮もこうなりゃただの女だな」

「いい値段になるだろうぜ!あの紅蓮の緋村紅音の痴態だもんな」

「やめろっ!やめろっ!やめてちょうだい!撮らないでぇ!」

「悲しいよなあ。ほんとに嫌なんだとしても女は撮るとすげえ感じ出すもんな。こっちの口は涎でびちょびちょだし、おかわりって言ってるようだぜ」

「い、言うな!やめなさい!」

立て続けに3度も無理やり果てさせられた陰核に、再び電気マッサージ機が押し当てられたのだ。

男達の言う通りで、紅音の身体はすぐに4度目の絶頂に向かって、身体をのけ反り、腰を振って登りだしてしまう。

「あああっ!やめっ!はなせえ!こんなっ・・ことして!オーラが使えるようになったら、あんたたちなんか殺すのわけないのよっ!・・ああああやめてえええ!ぐ・・・・・・っく!!ひぐっっ!!・・・・くそ・・くそっ!・・そんなっ!・・くっ!・・っん!っ!っん!!んんっ!!んっ!んんっ!!・・かはっ!んぐぅ!!んん!んんっん!!んん!」

口では強がり、眩しい光の向こう側にいるであろう男たちを睨みつけて凄むが、すぐに快感の波に飲まれて、可愛らしい声を上げて身体を痙攣させだした。

「おいおい支社長さんよ?ちゃんと逝くって言えよ」

「言えるまでやり直しさせるからな」

「それとも、ずっと続けてほしいんじゃねえの?」

「ぜえぜえぜえ!っ・・っ!くっはぁ!も、もうやだ!こ、殺してやる!あなたたちなんて・・・力が使えれば・・・はぁはぁ・・・この世に何も痕跡が残らないくらい・・・はぁはぁ・・・焼き尽くして消し去ってあげるんだからっ!」

陰核を電気マッサージ機で責められ四度も乾いた絶頂を無理やり与えれた紅音だったが、果ててしまい虚ろになりかけた目に怒りをたたえて強い口調で凄む。

「はははっ。誰だかわからん奴を殺すって言ってもな。おまえから俺らは見えんだろ?こっちからはお前の顔はよく見えてるけどな」

確かに紅音は眩いライトで視界を封じられて、相手の顔を知ることはできない。

「くっ・・・そもそも、あんたたちみたいな雑魚どもが!・・この私に触れるなんて許されないっのよ・・・ぅぐ!」

オーラを強化して視力を強化しようにも、筋力を強化して手錠を引き千切ろうにも、霧崎美樹に施された【霧散霧消】のせいで、どのぐらいの時間効果があるのかわからないが、一定時間オーラが使えないのだ。

「まだまだ減らず口が聞けてるから、まだだいぶ楽しめそうだな」

「へへへっ、逝くってちゃんと言えるまで何度でも鳴かしてやるよ」

「女は辛いよな。女からやめることはできねえんだよ。男が飽きるまではな」

股間の間に陣取った男は持った電気マッサージ機を陰核に押し付け、カメラを片手に携え、宮コーの紅蓮とその存在を恐れられた、恐怖の炎術者の痴態を余すことなく記録していく。

「ひっ・・!ま、また!も、もう止めっ!止めなさいよっ!!・・・っ・っ!っ!・・・く!」

紅音は今更ながら、声を上げて男たちを喜ばせないように歯を食いしばり強烈な快感に耐えているが、その様子すら男達からすれば楽しむ材料である。

「ほうら!緋村紅音ちゃん。また派手に逝くところ見せろよ!逝くって言わなくても、おまえすげえガクンガクンなるからよくわかるぜ」

「気安くっ・・!名を呼ぶ・・なっ!」

「いいねえ。その調子その調子。いい絵が撮れるよ。逝くって言うまで泣いても止めねえからな?」

「くそぉ!力さえ戻ればお前達なんて!すぐさま消し炭にしてやるのに・・!ああっ!・・い、今にも私の力が戻るかもしれいわよ?・・ひっ・・ぐっ!・・・いまは・・ああっ!・・そうやって調子に乗ってても、私に・・くぅ!!・・力が戻れば・・・あんたたち程度なんて一瞬よ!・・きゃうっ!・・せいぜい恐怖に怯えてなさい!」

「4回も逝ったのにまだまだ元気で楽しめそうだな」

「くっぅ!くぅうう!」

男は紅音の脅しに、怖じるどころか逆に紅音が逝ったことを持ち出してきたので、紅音は恥ずかしさから言葉に詰まってしまう。

「霧崎美樹は本当に優秀な捜査官様だぜ。能力者のテロリストを無力化させる【霧散霧消】に被害者を瞬時に治療させちまう【治癒】の使い手だ。その霧崎に【霧散霧消】の照射をあれだけ念入りにされたんだ。あんた丸一日以上は使えねえと思うぜ?」

「ま・・丸一日?・・・じょ、冗談・・でしょ?」

「いや、冗談なんかじゃねえぜ」

「警察組織がこんなマネして・・ああっ!」

「なんか勘違いしてるようだが、まあいいか」

「えっ?警察じゃない?・・じゃ、じゃああんたたちは誰なのよ!?」

「そんなことお前は考えなくてもいいんだよ」

男はそう言うと、電気マッサージ機の他に俗にいうバイブを持ち出し、紅音の股間にあてがった。

「ひゃっ!」

眩しくて周囲が見えてない紅音は、突然の感触にマヌケな声を出して腰を浮かせて逃れようとするが、陰核に押し当てられた電気マッサージ機でもってして、お尻を腰ごと平場の表面にくっつけるように押し付けられてしまう。

「ぐうぅう!!ぃぃぃいい!!これ以上変なモノ使わないでぇ!」

陰核への責めだけで、すでに大洪水のそこは極太の電動バイブをすんなりと受け入れられるほど濡れていて、陰核を潰すように押し付けられていた股間の膣に遠慮なく突き込まれたのだ。

「はぁはぁ!ああっ!ぬ・・抜きなさい!くああぁあ!ひぎぃ!あ・っ!!だ・・だめだ!うくっう!」

すでに何度も果てさせられた陰核は、電気マッサージ機で腰をテーブルに押し付けるようにして当てられているが、膣には黒光りしている太い電動バイブが、膣の中から子宮の入口を擦るようにして、腰を持ち上げるようにして突き上げてくるのだ。

「ははははっ、すげえ顔だぜ支社長さんよ?ダメだって?もう逝く気かよ?バイブ突っ込んでまだ30秒も経ってないぞ?お前らみたいなお高く留まったキャリアウーマンってやつらは、上手に息抜きしてるか、男を遠ざけてストイックに仕事に打ち込んで欲求不満になってる奴かどっちかだよな。お前もご無沙汰なんだろ?」

「う・・うる・・さい!・・・・・・ああああっ!・・・・・くはっ!!くっ!・・くはっ!・・はぁはぁ!・・・んっく!・・抜いて!抜いてぇ!あああっ!こ・・こんな!・・あんたたち!覚えて・・ああっ!おき・・きゃっ!・・くぅううううううううううううううううう!」

男が何事か言っていたが、最後までよく聞き取ることができず、紅音は電気マッサージ機と電動バイブの2点責めにあっけなく陥落し五度目の痴態をレンズの前で披露してしまった。

「支社長、あんた見ごたえある逝きっぷりするよな。男受けいいだろ?くひひっ」

「感じて逝きまくってるくせに、態度や口では堕ちてねえところが甚振りがいあるよな」

「すげえ締め付け・・!バイブのスイングを膣圧で止めてるぞこいつ」

「はぁ!はぁ!はぁ!・・っく!・・あ、あんたたち!このままじゃ・・・すま・・さない!わよ・・!!紅蓮の・・わたしをこんな目にあわせて・・生きていられると思わない・・ことね!」

男達が操るオモチャだけで、いいように逝かされてしまっている紅音であったが、決して心は折れていなかった。

「・・そ、そりゃこわいな」

紅音のセリフに男たちは、背筋を凍らせかけたが、紅蓮は能力を封じられている上、チタンの手錠で戒められている。

一瞬たじろいだ男たちではあったが、絶対的有利を確信し、人外の能力者紅蓮を甚振れる優越感を堪能しようと、再度その手に玩具を持ち紅蓮の弱点にあてがい辱めだす。

「くっ・・くそ・・・」

紅音は紅蓮と恐れられる鋭い目つきで、眩しさで見えない男たちを睨みつけているが、陰核に電気マッサージ機を、膣に20cmはあるであろう電動バイブを、両乳首を指で弾かれだすと、その整った怒りの童顔を再び悔しそうに快楽に歪めだし、びっしょりと汗に濡れ、戒められた身体を不自由に捩っては、またもや男たちを喜ばせだしてしまっていた。

【第9章 歪と失脚からの脱出 37話 ただの女である事終わり】38話へ続く
筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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