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第2章 日常に潜む非日常 第1話 中島由佳子

「後はと・・・

カスミンの顔でも見に行くついでに平安住宅さんで

訪問記録だけつけて帰るかな~」

黒のパンツスーツ姿に身を包んだ長身でやや

明るめの髪を後ろで1つに束ねた美女。

中島由佳子である。

由佳子は結婚7年目の33歳で6歳の子供が1人居る。

現在は常盤広告という主に不動産広告を扱う広告代理店に

勤務しているキャリアウーマン兼業主婦である。

今日は新たな物件を売りに出したいという不動産屋2件から

新規広告の受注を受けていたので、後は友人の

岩堀香澄が勤務する由佳子が勤める常盤広告のクライアント

でもある平安住宅に御用伺いを

して事務所に帰ろうと思い平安住宅へ向かっていた。

車内のカーナビでは道路案内では無くTV画面に変えていて

お昼過ぎのワイドショーが映し出されている。

(こんなの毎日見ながら家で居る同級生も居るけど・・・

私には絶対無理ね)

と心の中で呟きながらハンドルを握る左手薬指には

プラチナ製の結婚指輪が光っている。

何処から見ても出来る感じのバリバリのキャリアウーマン

でしかも美人ときたら結婚後ですら世の男性からのお誘いも

多いのは当然でしかし由佳子はその活発な性格から1度や2度の

過ちならあるかもしれないと誘う男性もそう思い由佳子を誘うのであるが、

食事や飲みになら付き合うが一線は越えた事はなかった。

中学高校大学と陸上競技の走り高跳びを専門でしたきた由佳子は

その長身な体型に加え抜群の運動神経にプロポーション、

そして都心から少し外れた郊外にマンションも購入して地方公務員の

旦那に可愛い6歳になる1人娘も居る。

おまけに家に籠もりたくない活発な性格から好きな仕事も産休を

取った後に復帰しまた一線でバリバリ活躍する由佳子を羨ましがる友人は多い。

一般的な水準で言えば欲しいものも手に入れおまけに好きな事をしていると

学生時代からの友人で専業主婦をしている旧姓、小林明子、

今は結婚して仁科明子となった明子からは良く言われる。

同じ内容の事を私の1番の親友でもあるカスミンこと岩堀香澄も明子からは

言われているらしい。

(だって大人しく家でお留守番なんてゴメンよね~カスミン!)

と明子の言葉を思い出しながら今から行く平安住宅の賃貸部門で主任として

その知性をフルに発揮している岩堀香澄に心の中で同調を求める。

そんな殆ど運転中の為に見る事はしない、カーナビから流れるワイドショー

の声だけを聞きながら友人たちの事を思い出していると高層ビル街の一角に

自社ビルを持つ平安住宅に着く。

近くのコインパーキングに車を入れ平安住宅の自社ビルに向かう由佳子。

コツンコツンとヒールの音がアスファルトで覆いつくされた商業用のビル街を

奏でると平安住宅の自社ビルの玄関口に着く。

受付に座る吉澤美智子とはもう何度も会っているので顔なじみで、

香澄を介して2人で食事もした事のある中勝手知ったる何とやらで

「こんにちは~

常盤広告の中島です」

ともう1人の受付の三崎梓の手前、

顔なじみの美智子にもビジネス上の挨拶をすると美智子が

「いらっしゃいませ。

中島様、いつもお世話になっております。」

と美智子動揺隣に座る三崎梓も立ち上がり白のブラウスに黒の

タイトスカートに緑と赤のチェックのベストに赤のネクタイといった

綺麗な姿でお辞儀して美智子もビジネスチックに返してくる。

2人共内心は心の中で大笑いしたい気持ちを抑えながら美智子に

渡された首からかける来客用のカードを

「ありがとうございます」

と受け取り、目でそれではまたねというようなアイコンタクトを

送りエレベーターに向かう。

三崎梓は大手住宅メーカーの平安住宅の別支店に居たらしく

向こうで産休を取り産休明けにこちらの本社に異動してきたとの事で

今は美智子が受付の仕事を教えている。

その為に知り合いであっても2人共このような対応をしていたのである。

エレベーターに乗った由佳子の目的は6階の営業企画部門と

3階の賃貸借部門である。

どちらも今回は呼ばれてきたわけでは無いので新たな広告の

受注がないかの御用聞きである。

まずは6階の営業企画部門の大下主人を訪ねる。

この大下主任は平安住宅営業企画部門で広告を出してくれる際に

いつも由佳子に連絡をくれる担当者である。

来客用のIDを事務所の入り口にあるセンサーにかざすとガチャと

開錠される音が聞こえ由佳子が事務所に入るとフロア全体で30人くらいの

社員が忙しそうに事務をこなしている。

由佳子が入り口を入り右の奥にある大下のデスクに行くまでに何人かの

平安住宅の社員にこんちには~失礼します~と元気に挨拶をしながら

その由佳子の良く通る大きな声に大下は気づき

「あっ中島さん!」

とデスクから先に由佳子に声をかける。

「あ~!大下様~

見つかっちゃいましたね~いつもお世話になっております~」

ともう何度も会っていて企業間の仲も良好となれば社員間の仲も良好で

2人共笑顔で挨拶を交わし大下が自分のデスクの横にパイプ椅子を用意し

由佳子にどうぞと座るよう促す。

由佳子が黒のパンツスーツに身を包み最近は少し窮屈になってきたように

感じるスーツの下をパンパンに張りつめながらパイプ椅子に座ると大きめの

ヒップがズッシリとパイプ椅子に沈む。

大下の部下の女性が由佳子が座ったと同時に大下と由佳子の前にコーヒーを運んでくる。

由佳子がありがとうございます。

と笑顔でお辞儀をしてこれもいつもの事なので大下の部下の女性も

由佳子の事は良く来る広告会社の営業と理解しているので

ごゆっくりしてくださいと笑顔で立ち去る。

「中島さん、今日は3階の岩堀主任に会いに来たんでしょ?」

と早速笑いながら大下にツッコまれる由佳子。

「え~!

それは3階も行きますけど~

今日のメインは大下様ですよ~

広告の催促に来ましたっ!

新物件もうすぐ竣工でしょ~?そろそろ出しましょうよ~」

大下明32歳で大手平安住宅でもやり手の営業マンである。

20代前半の頃からかなり異性には貪欲であったこの大下は賃貸借部門の

由佳子の友人である岩堀香澄やこの常盤広告の中島由佳子のような

キャリアウーマンに魅力を感じてはいるが立場上、そして既婚で子供も居る身

なのであからさまな事はしないし、口にも出さないがこの由佳子に3階の香澄と

一緒に飲みに行けたらやお互い配偶者の居る身だがこの2人を

1度くらいはと考え、妻も居る身ではあるが香澄や由佳子をもう

何度自慰のメインデッシュにしてきたかは解らない。

しかし由佳子の容姿であれば陰で自慰の相手にしているのは

大下だけではないだろう。

「そうですね~

それでは今晩中島さんが岩堀さんを誘い私達2人に

お酒をご馳走してくれたら出しますよ」

と由佳子にも冗談と解るような口調で言う。

「え~!!

いきなり賄賂の要求ですか!」

とこちらの由佳子も負けておらずに冗談で皮肉を言う。

「いや~バカな事はさておき

真面目な話もう少し立たないと・・・広告はね~

というか物件の情報速過ぎません!?

もう西区の物件の竣工時期まで知ってるのっ

ウチの人間じゃないのに!?

さてはスパイが居るな・・・」

といつもバレてはいるがそれはそれで問題であるが、

もう由佳子と平安住宅の関係は

それくらいは大目に見てもらえる間柄でしかも

スパイとは香澄を指しているのも2人共解っている。

「そうそう。

そうなのですよ~スパイが言うにはそろそろかな?と・・・・」

と笑いながら由佳子も大下の話に乗り。

「ったく。

あの美人スパイは私が今夜拷問しておきます」

と大下がコンプライアンス部の人間が聞いていたら

問題になりそうな発言を平気でするが

問題にするべき人間が居なければ問題にもならない冗談なので。

「少しきつめにビシビシお願いします」

と笑いながら由佳子がさらに話に乗る。

「かしこまりました。

中島さんからのリクエストだと美人スパイに言っておきます」

「え~!!」

と大笑いしながら結局雑談をしただけではあったが

出されたコーヒーを飲み干すと

由佳子は立ち上がり

「ご馳走様でした~

それでは大下様またお願い致しますね~

今から少し美人スパイに会いに行ってきます~

失礼しま~す」

と元気よく立ち去る由佳子の少し窮屈気味のパンツスーツに包まれた

90㎝以上はありそうなヒップを眺めながら

「お疲れさまです~

美人スパイに宜しくです~」

と由佳子を見送っていた。

《第2章 日常に潜む非日常 第1話 中島由佳子 終わり》





第2章 日常に潜む非日常 第2話 岩堀香澄

「ねえ。

大原君・・・

どうしてこの物件の

入居者のお客様だけ

家賃請求が二重にいっているの!?

これがどのような事を招くか君でも

解るよね?」

デスクに座り脚を組みながら眼鏡の

柄の部分を指で上げて若手の男性社員大原の

ミスの為に午前中、賃貸物件の入居者の

家に謝罪に奔走した岩堀香澄が淡々とした口調で

24歳の入社2年目の

大原を目の前に立たせて指導している。

岩堀香澄は33歳でもう賃貸部門の

主任職に就いてからは3年。

産休明け2年で主任代理になり

30歳で主任に昇進した。

由佳子と同じ名門私立大学を卒業した後に

在学中に取得していた管理業務主任者という

賃貸物件を扱う企業は従業人5人につき1人は

この資格を持つものを置かなくてはならないという

決まりがあり、香澄はすぐに採用となった。

幼少の頃からピアノと水泳、剣道を習い

成績も優秀で学生の頃は高校大学と幼少の頃から

習っていた水泳部に所属し全国レベルで活躍していた。

そんな学生の頃から非の打ちどころの無い経歴を

持つ香澄は新入社員の頃から、元々知的水準も

高く育ちも良いので礼儀作法もしっかりしていて

品性も知性も合わせ持ち仕事ができるのは勿論だが

その容姿でかなり得もしてきた。

そんなせいか同僚や、やや香澄より早く入社した

先輩はミスはしないが人に媚びない性格で口調が

やや冷ややかに感じる所から

陰では【氷の女】とか【クールビューティー】

とか呼ばれたりしていた。

そんな中でも今日は有給を取り出勤していない

賃貸借部門の主任代理の

水島喜八は表面上は香澄を主任として

立ててはいるが内心は44歳にして

主任代理で香澄の補佐をする役目を

与えられているという事にさらにその上の

上司より当の香澄本人に対し腹に一物を持っていた。

そんな氷の女の前に

今回も入社2年目の大原良助は

家賃請求の際に2重に請求を

してしまうというミスを犯し香澄の

前に立たされていた。

大原は180㎝以上はある身体を小さくしながら

「はい・・・・

それは勿論です・・・

すみません・・・

あの岩堀主任・・・

お客様の所に1人で全部行ってくださったって・・・

そんなのミスをした僕の仕事なのに・・・」

(僕は請求書の作成と送付は1度しか

していないのに・・・

どうして2度も送られているかがわからないのです

と言いたいけど・・・岩堀主任が後始末してくれた

後だし・・・岩堀主任がどうして2度送付されたか

理由を知っているわけじゃないからなぁ)

と内心思いながら口には出せずに居る大原が香澄の

前でかなりうなだれていて真下を向くようにうつむいていた。

顔を少し香澄の方へ向けると組んでいる脚の短めの

タイトスカートの三角のゾーンが視野に飛び込み驚き

また真下を見るようにうつむく。

(やばいっ

岩堀主任の脚綺麗だな~

しかもちらっと今・・・

今日は

岩堀主任、青のパンツだ

あんな綺麗な人があんな

濃い色の下着つけるんだ)

と妄想中なので香澄に怒られている

と思っておらず他の社員などは香澄に

その冷ややかな口調で怒られると

怨みに思う社員も居るがこの大原は

根が素直で今の所香澄に対する敵意もなく

香澄の美貌とその人妻らしい肉感的な肉体を

自慰の対象にしている1人なので怒られてでも

香澄のデスクの前に立ちたいと思っているくらいであった。

(でも今回の2重請求は・・・・

ミスした自覚も記憶も無いんだよなぁ)

とも思いながらまた真下を向いている大原に

香澄は白のブラウスに黒の膝上のタイトスーツに

薄めのベージュのパンスト姿で

パリッと決めた服装に身を包みながら

上席のデスクの前に座り組んでいた脚を

組み替えながら

「うん。

解っていたなら良いのだけど

今後は気をつけてね。

お客様の所へはね・・・

いらっしゃらない方も居て全員は

周りきれていないの。

ただ自動振替のお客様には二重で引き落ちているから

現金をお返しした上で謝罪しなければならないので

急ぐから明日にでも一緒に行きましょう。

コンビニ払いのお客様には請求書が2つ届いただけだから

私がほとんど謝罪は済ませたから、今日いらっしゃらなかった

お客様には謝罪の電話をかけて

破棄してもらうようにお伝えしておくわ。」

と香澄が冷ややかにも聞こえるが内容は

部下思いのような内容の事を

大原に伝え大きな身体を小さくしていた大原が

徐々に姿勢を上げて最後には胸を張って

「はい!

同行お願いします!

ありがとうございます!!」

と何度もペコペコ礼をして失礼します!

と去っていった、それを少し離れた所で見ていた

由佳子がやっと終わったと思い香澄の所へ来て

「カスミン怖っ

大原君相変わらず

体育会系ね~」

とやっと由佳子が来ていた事に気づいた香澄は

「あっ由佳子

来ていたの?

え~と・・・

ウチ(賃貸部門)は

まだだよ。

あぁ大原君ね彼は素直だから

伸びると思うよ。」

と組んでいた脚を戻し由佳子の為に

今日は出勤していない主任代理の水島の

回転式のデスク用の椅子を持ってきてその

椅子に座る由佳子は小声で

「あれ?

今日はキツネ代理休みなの?」

と笑いながら言う。

「人の大事な補佐を

キツネ呼ばわりするとは

どういう料簡なの?由佳子」

と珍しく由佳子の前では社内でも

笑顔を見せる香澄。

「だってあの人なんか怖くない?

あのね・・・カスミン・・・

あっカスミンはあの人の上司様だから

怖くはないか?ハハハ」

何か別の事を言いかけて途中で止めた

由佳子を不自然に思ったが結局笑い

話かと思い気にもせずに香澄は

「そう?怖いかな?

何考えてるか解らない時はあるけど・・・

一応資格も持っているし知識は確かだからね

顧客管理には少し・・・

私と考え方違う所あるけど頼りにしているんだから

キツネは酷いわね。」

と笑いながら香澄はそういうとデスクの後ろの

休憩室や分煙所がある部屋に消えて行き

取り残された由佳子も先程の香澄の言葉に

(へ~てっきりカスミンはキツネさん嫌ってると

思ってたな~あの人にいつもカスミン脚とか舐め

回すように見られてるの気づいてないのかしら?

今度飲みに行った時に教えてあげよっ

さすがにここじゃ言えないしね

でも1番重要なのはあの時に

あのキツネの水島が

BARで不動産屋の社長らしき

男と話していた事は早めに伝えなきゃ・・・・

今晩電話で話せることでもないし・・・

昨日偶然聞いちゃったしなぁ・・・

私も水島に気づかれないようにすぐに

帰ったから全容が解るわけではないけど・・・

何かは企んでいたのよね・・・あのキツネ)

と香澄に持ってきてもらった由佳子がキツネと称す

水島が普段使っている椅子に腰を降ろして考えていると

香澄が戻って来て2本缶のミルクティーを買ってきて

由佳子に缶のミルクティーを渡す。

「あっカスミンありがとう~

ありがとう~だけど・・・・」

と由佳子が嬉しそうな苦笑いのような表情を

浮かべていると

香澄が自分のデスクに腰を降ろし脚を組みながら

「既に大下主任の所も回ってきたのね」

と笑う。

「そうなのよ~あっでもここが今日は最後だから

頂いちゃう!」

と由佳子がカシュッ

と缶を開けると同じように香澄も缶を開け2人でミルクティーを

飲みながらまた会話が弾みだすが結局、元々受注を受ける予定

で訪問したわけでは無いので結局は雑談をしてミルクティーを

飲み干した後に帰ろうとした由佳子が振り帰り

「ねえカスミン?」

と声をかけられ香澄が脚を組みながらデスクの前の

椅子に座ったまま由佳子を見て

「どうしたの?由佳子

広告ならないよ今回は」

と社内では珍しく笑顔で

「違う!違う!

そんなことは解って来ているの~

そうじゃなくて・・・

あのね・・・

あの・・・

今夜ってカスミン仕事帰りとか少し

寄り道できる?」

なんだそんな事っていう感じの表情で

香澄が腕時計を見て

「そうね。

うちの子も今日はお婆ちゃん(主人の母)

が学童に迎えに行ってくれて夕飯頂くし・・・

時間なら大丈夫よ。

何か悩み事?」

と香澄が癖なのでまた脚を組み替えながら

由佳子に笑ったような表情で聞く。

(もうっ

賢いのに呑気なんだからこの

インテリ天然女は~)

「いやいや私のことじゃなく

カスミンに少し伝えておかなきゃ

いけない事があってね

ここじゃ言えないから

個室居酒屋の義経の

駐車場で18時30分に待ってる」

由佳子の深刻そうな表情に

香澄も細い黒縁の眼鏡の柄を上げながら

「・・・・

わかった。行くから」

何の事か見当もつかないが

とりあえず行ってみようと思い

香澄は由佳子の後姿を見送った。

《第2章 日常に潜む非日常 第2話 岩堀香澄 終わり》




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第2章 日常に潜む非日常 第3話 小田切響子

「お疲れ様です~深町さん、あれ?うちの人は?」

小田切響子は都心から私鉄で4駅の所にある中型の

7階建ての商業ビルの一室にある小田切登記事務所

の主人の恵三が居る土地家屋調査士事務所に主人の

恵三にようがあり事務所のドアを開けた。

「あっこれは奥さん先生

今若先生なら現場見に行くと

さっき出て行きましたよ~」

と響子に主人の所在を聞かれた深町幸作は

恵三のデスクのから少し離れた下座のデスクの

前で湯呑を置きながら応える。

「あぁ・・・そうですか・・・

ありがとうございます。

それでしたら大丈夫です。」

と響子は薄いクリーム色のスーツに身を包み

肩に少しかかるくらいの黒髪を触りながら少し

考えてそう言う。

「若先生に何か伝言でもありますか?

あれ?携帯も出ませんか?

お急ぎじゃなければ私が伝えておきますがね」

と深町は日焼けした黒い顔に今では

少しシミも出て来た笑顔で。

「いえ・・・

主人が紹介してくれた

橋元不動産の所有権移転登記の

件で少し話があったものですから

私まだ橋元社長にはお会いした事

無かったのでそれでもし時間空いていたら

橋元社長の所へご挨拶に一緒に行って

頂こうと思いまして・・・

あっ大丈夫です。

明後日お会いする事になっておりますから

結局その時にご挨拶も兼ねればと思っておりますので・・・」

「橋元不動産ですか・・・

若先生が奥さん先生に回した仕事ですなぁ・・・

奥さん先生、今回は受けたのですか?」

と黒い日焼けした顔の眉間に少し

シワを寄せながら深町は神妙そうな表情で

「はい・・・

今回は境界線の問題もなく測量の必要も無い

通常の所有権移転のみですので私のみの仕事

ですので・・・

私の方で受けさせて頂きましたが

何か問題ありましたか?」

と冴えない表情をする深町に響子は疑問を感じ

「いや・・・

若先生も奥さん先生もまだお若いから

この業界の人間関係と言うか噂と言うか

そういう下世話な話を耳にすることも少ない

でしょうが・・・

橋元の噂はね~

私も昔から・・・

そうそう先代の若先生のお父様のころから

聞いておりましたものでなぁ

いや・・・

噂は単なるうわさかもしれませんし

気にしないでくださいな

すみません、すみません。」

そう言いながら深町は席を立ち手洗いにゆっくりと

入っていった。

響子は

「御心配頂きありがとうございます。

でも深町さん私こう見えて主人より

しっかりしていますから。

少々の老獪な方でも譲らない部分は譲りませんから」

と笑顔で手洗い所に入っていく深町の背中に

向かって言い恵三の事務所を出て隣の自分の事務所に

入って行った。

手洗いで用を足しながら深町は

(いや~

そういう問題じゃないんだがね~

あの橋元の悪い噂の内容は・・・)

と内心思いながら響子の姿が

脳裏に浮かび昔、よく聞いた噂は

ただの噂であってくれと心底願う深町であった。

響子の旦那の小田切恵三は父の小田切省三の

影響を受け同じ土地家屋調査士になった。

そして既に引退した父の事務所で恵三は修業を

積み父の顧客を引き継ぎ開業したのだがその時に

引退した父を土地家屋調査士補助者として

長年支えてきた深町も一緒に引継ぎ、

恵三の補助者として登録しなおしたのだ。

長年業界に身を置き、色々見て来た深町の

経験は恵三のみならず司法書士として事務所は

隣に別事務所を置いているが同じ小田切

登記事務所として恵三の傘下に身を置く恵三の

妻である響子も深町の経験と知識には一目置き、

恵三以上に頼りにして尊敬もしていた。

自分が1人身を置く事務所に戻った響子はデスクの

前の椅子に腰を下ろし電話を手に取り、明後日、

主人の恵三のクライアントからの紹介で仕事を受注する

橋元不動産の橋元社長に挨拶の電話をしておこうと

受話器を取って主人からもらった橋元の名刺を見ながら

ダイアルをプッシュしていた。

(名刺に直接携帯番号を記載しているのだもの・・・

こちらにかけても失礼じゃないよね)

そう思いながら数回の呼び出し音の後

『はい・・・・・橋元ですがどちらさん?』

と電話を通じても威圧感のある重低音な声で橋元が

電話に出る。

『恐れ入ります。

わたくし、小田切登記事務所の

小田切と申します。

古賀様のご紹介で所有権移転の

登記の件で明後日お伺い

させて頂く予定になっておりましたので

その前に1度ご挨拶をと思いまして

橋元様のご都合はいかがかと思い

ご連絡差し上げた次第でございます』

と電話でも良く通る透明感がありインテリジェンスの

香りを漂わせた響子の話し方に電話の向こうの

橋元の声も一気に軟化する。

『あぁ~!!

これはこれは!

確か古賀さんが紹介してくれる

小田切先生でしたなぁ

あれ古賀さんがお世話になってる

小田切先生って男の人と聞いて

いましたが』

と少し受話器を離し聞いていた響子。

受話器を離さなければ耳が痛いくらい

に橋元の声は大きかった。

『はい。

直接古賀様からご紹介を受けたのは

調査士である主人でして

今回の所有権移転の登記は

司法書士であるわたくしの専門に

なりますので今回の橋元様のご依頼は

わたくしが担当させて頂こうと思いご連絡

を差し上げました。

宜しいでしょうか?』

と少し話した受話器をまた耳に当て話す響子。

自分が話し終わるとまたすぐさま少し聞こえる

範囲で受話器を離し

『あぁ~!!

そういう事ですか!?

私もむさくるしい男よりは

奥さんのような賢そうな

べっぴんさんの方が良い

ですわ~ははははっ!

それでは明後日ですなっ

17時以降なら事務所に居ますから

直接来てくれたら宜しいですよ』

と見てもしないのに(べっぴん)とは?

とお客様で無ければ響子の性格上かならず

突っ込んでいた事請け合いであろう事を

平然と言うこのようなタイプの男性は響子は

大の苦手であったが本来は仕事を請ける前に

事務所に挨拶に伺う予定と考えていたが

相手が直接当日の来るように言っているので

響子も電話だけで嫌悪感を感じてしまい

『はい・・・・

かしこまりました。

それでは明後日、橋元様が慌ただしく

思われないように余裕持たせ

17時30分にお伺い致します』

『それじゃぁ

宜しく頼みます~』

と橋元が言い電話を切った。

『はい。それでは失礼致します』

と言った響子の言葉は橋元には聞こえていなかった。

《第2章 日常に潜む非日常 第3話 小田切響子》

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第2章 日常に潜む非日常 第4話 危険な好奇心 中島由佳子

平安住宅がある都心から私鉄では2駅分くらい

離れた繁華街。

夜の歓楽街から飲食店や最近ではインターネットカフェや

パチンコ店、コンビニなども入り交ざりほぼ24時間ネオンや

店頭での明かりがどこかしらに点燈している。

その繁華街の一角にある【義経】という個室居酒屋の

向かい合って座る若いカップルがよく利用していそうな

掘りごたつ式のテーブルに既婚の美女が2人向かい合い

座っている。

1人は黒のパンツスーツ姿でその豊満なヒップを座布団に

沈めこみ脚を崩しながら目の前には生ビールのジョッキが

置かれていて、その向かい側に程よい肉付きの脚を組み

膝上のタイトスーツ姿の見るからに知的で上品なキャリアウーマン

風の女性。

中島由佳子に岩堀香澄である。

「カスミンも飲もうよ~代行呼べば良いんだし」

とまだ飲んでもいないのに元気なのは由佳子。

「そうね。

そうしよう。」

と飲んでもこれくらいのテンションでありそうな香澄が

後から来たのかまだ注文をしていないだけなのか

香澄がタッチパネル式の注文をするパッドのカクテルの

欄からカシスオレンジを注文する。

「さすが!カスミンそうでなくっちゃ!」

「うん。

たまにはね・・・・

それより由佳子、うちの会社で

言いたそうにしていた事って何なの?」

と香澄の癖は座ると脚を組みこれを

組み替える癖があり由佳子にいきなり

本題でありここに仕事帰りに寄る原因となった

事を聞く。

「あっ!そうそう!

あのね・・・

う~ん・・・

ちょっと先に乾杯してからねっ」

と話そうとしていた由佳子が何から

切り出そうか迷った感じでまだ口を

つけていない生ビールの入ったジョッキを

片手に

「そんなに言いにくい事なの?

何となくウチの水島代理の事だとは

解るけど・・・

あの人何かしたの?」

とあくまで冷静な口調の香澄。

「解るよね・・・

そうそう。キツネ代理の事なんだけどね・・・」

と由佳子が話しかけた時に

個室の開き扉がノックされる音がする。

コンコン・・・

「失礼します~

カシスオレンジで~す」

と居酒屋義経の店員が香澄が注文した

カシスオレンジを運んできた。

部屋の入り口側に座っていた

由佳子がありがとう~と笑顔で

受け取り香澄の前に置き。

「それじゃ・・・

カスミンとりあえず乾杯♪」

と話しかけていた由佳子が待ち侘びたように

生ビールの入ったまだ口の付けていない

泡が無くなってきたジョッキを

香澄のカシスオレンジのグラスにカチンッと

あて既に口をジョッキに口を付けている。

それを見て香澄が笑いながら

「お疲れさま」

とグラスを取り少し口を付ける。

「ふぅ~やっぱり夏はこれだよね~

あ~美味しい!」

「相変わらずね

由佳子はふふっ」

食べ物は頼んでいるの?」

と個室居酒屋の一室には

合わない感じの落ち着き具合と

気品の香澄が同じ既婚キャリアウーマン

でもその外回りで少し焼けた健康的な肌と

少し明るめの髪形に明るい性格から個室

居酒屋の一室が似合いすぎる由佳子に聞く。

「うんうん。

カスミンが来る前にだし巻きとカスミンが好きな

シーザーサラダに揚げ出し豆腐は頼んであるから

他に何か食べるのなら頼んでね。」

と既にジョッキを3分の2ほどまで空けている

由佳子がジョッキ片手に香澄に応える。

「ありがとう。

完璧よ。

由佳子」

と脚を組み替えながらカシスオレンジにまた薄く淡い

ピンクの口紅を引いている口を付ける香澄。

グラスを置きメガネの柄を押し上げまた口を開く

「で・・・・

由佳子、ウチの水島代理

の事を話したかったんでしょ?

何があったの?」

と既に1杯目のジョッキを空けてしまった

由佳子はタッチパネルで2杯目を注文しながら

香澄に話しかけていた事を聞かれ

「うん。

そうそう。

私ね昨日もこの近くのBARで1人

飲んでいたのね。

そこであのキツネさんが男の人2人と

居る所見て・・・」

「うん。

彼今日有給だし・・・

良くある光景じゃないの?」

「うん。

そこで話していた事が少しね・・・

私は1人カウンターで居たんだけど

お手洗いに行く途中で後ろの壁の高い

BOX席で居るキツネさんをみつけたのよ。

それで、カウンターに居る私の後ろだった

から話も聞こえてきて・・・・

おそらく相手は名前は解らなないけどカスミン

所のお客さんの不動産屋さんとその人を

お兄さんと呼んでいる人とまでは会話からは解ったの・・・」

とさっきまでかなり高いテンションだった

由佳子が徐々にトーンを落とし真剣な表情に

なって行くのを見て長年の付き合いの香澄は

このような感じの由佳子の話は真剣に聞くべき内容

だと知っているので組んでいた脚を揃え話を聞く態勢

を整えながら無言で頷いている。

「それでね・・・

私も聞くつもりは無かったのだけど

興味も無かったし・・・

私キツネさん苦手だし・・・

でもその中でカスミンの名前が出てきたから

それとその後にカスミンが可愛がっている

あの大原君の名前も・・・」

と真剣な表情で由佳子が言うがここは

香澄も口を開く

「ちょっと由佳子。

私は大原君だけ特別可愛がっては

いないわよ。

みんな平等よ。」

「カスミン!そこに食いつくの!!」

と由佳子が既に届いていた2杯目の

生ビールに口をつけようとしたが先に

口から香澄に逆に突っ込み。

生ビールと一緒に届いたシーザーサラダの

レタスを口に運びながら。

「それで私の事を何話していたか

聞いたの?」

(先そっちでしょ!?)

と由佳子は思ったがもう口には出さずに

レタスを飲み込み息を整えて。

「そう。

それでね、ただ名前が出てきただけなら

私もそこまで気にはしなかったんだけど

はっきり全て聞こえたわけじゃないから

全部は解らないのだけど・・・

多分今日大原君ね・・・

今水島さん?あのキツネに呼ばれて会ってるんじゃ

ないかな?

昨日に明日の19時に呼んで話つけておくとか

なんとか話してたから」

「大原君を水島代理が?

何の話をする気なのかな?

しかも彼休みの日にウチの

社員にわざわざ何の用が?」

相変わらず冷静な香澄はただ

大原と水島の接点を考えていたが

年も離れ仲が良いとか悪いとか

以前にほぼ仕事中に関わりのない2人

なのである。

そして香澄と由佳子は同時に自分の

腕時計を見ると19時11分・・・

由佳子の聞いた話が本当で実行されて

いたら今丁度大原と水島が会ってなんらかの

話をしているということである。

「場所は多分昨日のBARだと思うけど・・・・

カスミン行ってみる?」

と由佳子は不安げに香澄に聞く。

少し考えて香澄が口を開き

「うん。

彼等2人に何があるのかは

わからないけどプライベートの

事だしね。

それと私の事も話していたみたいだけど

それはどんな内容か聞こえたの?」

至って冷静に聞く香澄い由佳子の方が動揺

しているようで

「そうそう!

それははっきり聞こえなかったけど

水島がカスミンをエッチな目で見てると

解るような内容の事を話してたのっ

それで相手の不動産屋もカスミンを

知ってるような口ぶりで・・・・

内容はエッチ過ぎて言えないけど・・・

とにかく気持ち悪いわっ

あの人たち・・・私その話聞いたあと

キツネに気づかれないようにコソッと

帰ったのよ・・・」

と話した後、由佳子が少し息を切らせて

いたのを落ち着かせるようにまたジョッキを

口に運ぶ。

「ふぅ~

カスミンどうする?」

と由佳子がジョッキを置き。

「えっ?

何が?」

と先ほどまで少し眼鏡の柄を押し上げ

考え込んでいたような香澄が平然と応える

事に由佳子がまた興奮し大きな声で

「だからっ!

あのキツネの事よっ!」

「水島代理でしょ?

どうにもしないわよ。

私の事をどう見ようがそれは

個人の自由だし・・・

大原君に何か強いているのなら・・・

それは職権で圧力をかけるような

パワハラなら止めないといけないけど

証拠がないし・・・

何分プライベートで会っているのを

いくら彼等の上司でもそれをどうこう

言えないからね。」

「はぁ~

相変わらず優等生ねっカスミンは・・・

まぁでもそうかぁ・・・

よしっ!でもあのキツネは何か絶対悪だくみしているんだからっ

私この後昨日のBARに行ってみる。

どうせあのキツネBOX席で大原君と話しているでしょうから

また何か解ったらカスミンに報告するね」

「うん。

由佳子がそう言ってくれるなら

私も大原君の事が困っていないか

気になるから有り難いけど・・・

無理しないでね。

あまり飲み過ぎるともう私達良い年だし」

「え~!そっち?

うん。大丈夫。

大下さんに言わせればカスミンは私の

広告受注のスパイらしいから今度は私が

カスミンの為にスパイ役してあげるからっ」

「大下さん?

企画営業部の大下主任の事?

スパイって何なのよ」

と脚を組み替えながら笑う香澄。

「ううん。

こっちの話。それじゃ出ようかっ」

とお勘定を済ませ店を出た2人。

香澄は運転代行を呼びそのまま自宅へ帰り

由佳子はこの繁華街内にある昨夜のBAR【KONG】へ

歩いて向かって行った。




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第2章 日常に潜む非日常 第5話 狡猾な男 中島由佳子

個室居酒屋で香澄と別れた由佳子は

徒歩で昨日、平安住宅の水島と怪しげな会話から

不動産屋の社長と解る40代くらいの恰幅の良い

スーツ姿の男にその不動産屋をお兄さんと呼ぶ

20代後半くらいの男性と3人でBOX席で飲んでいた

BAR【KONG】に向かっていた。

有名私立の中学、高校、大学と共に過ごしてきた親友の

香澄の為に、少しでも香澄に害をなす恐れがある水島の

悪だくみを暴きたいという気持ちは勿論あったが由佳子は

元々、論理的に行動する香澄とは反対で好奇心により動く

事が学生の頃からよくあった。

今回の行動ももしかしたら、昨夜聞こえるようで核心までは

聞こえなかった内容の続きを知りたいというような己の探求心

に突き動かされBARに向かっているだけかも知れない。

由佳子自身その衝動がどちらが原因かは気づいていないで

あろうが、大義名分は親友、香澄の為であった。

昨夜も来たBAR【KONG】は繁華街のスナックやラウンジなどが

テナントで入っている商業雑貨ビルの地下にあった。

コツンコツンとヒールの音が地下に続く階段にエコーの

ように響かせながらKONGの前に立ち左手にブランド物をバッグを

持ち右手でドアを開けると程よいボリュームの洋楽が聞えて来る。

店内を一瞥しながらカウンターへ向かい、もう馴染みになってしまった

BARのマスターのコングに一瞥すると

「今日も来てくれたのですね。

中島さん」

とコングがおしぼりを出してくれる。

このBAR【KONG】はマスターが自分のあだ名で

あるコングから取ったものであだ名はマスターの

見た目がそのまま、あだ名になったらしい。

来る客、来る客が皆、口を揃え上手く付けたものだと言い

由佳子もそう思う。

カウンターの前の長身の由佳子ですら床に脚が届かないほどの

高い位置にある回転式の椅子に黒のパンツスーツがビッシリと張り付いた

ふくよかなヒップを沈めると

「また来ちゃいましたよ~

今日はもう飲んでいるから

ノンアルコールのビールを

下さい」

と笑顔で少し声を落とし小声で言う。

由佳子の思惑通り昨日のBOX席で

水島が居るのは確認した。

あと2人男性が居たが後ろ向きの姿しか見え

無かったので誰かは確認が出来ていない。

他の客は由佳子から2つ席を空けて20代のカップルと

今日はもう1つあるBOX席も埋まっている。

(これくらいお客さんが居れば水島の注意は

私には向かないよね)

と思い出されたノンアルコールのビールの

グラスに口を付け

「珍しいですね。

中島さんがノンアルコール

なんて」

とコングことマスターが

由佳子にグラスを差し出しながら言う。

(お願い。今日は1人にして・・・

とは言えないしここは目立たないように

元気のないふりでもしながらやり過ごすか)

「ええ。

ちょっと最近飲み過ぎかな?」

と苦笑いでいつもはマスターと

雑談を楽しむ由佳子にマスターも

少し元気が無いなと思い遠慮気味に

「そうですか・・・

あまりご無理なさらないでくださいね」

と苦笑いを残しもう1組の客の前に行く。

(ふぅ~

何か緊張する・・・

これが本物のスパイね)

と完全にスパイになりきっている

由佳子が耳を澄ましてみると小さなボリュームで

店内の雰囲気を作り出す洋楽の音に合わせ後ろの

BOXの会話も聞こえてくる。

⦅ほら~大原君っ

若いんだからもっと

飲んでも良いんだからっ⦆

キツネの声だ・・・

由佳子はより耳に神経を集中する為に

カウンターに肘をつき目を閉じる。

⦅あっ

はい・・・・

ありがとうございます・・・

飲んでいます・・・⦆

⦅はははっ

水島さんこの子は

素直やから大丈夫やろ~

あのインテリ堅物女の

岩堀やなく

あんたに付くよ⦆

この独特な話し方にこの声は

昨日の不動産屋ね。

大原君も居るし・・・・

カスミンじゃなくキツネに付く?

どういう意味?

と更に耳を澄ます。

⦅でも・・・・

僕は岩堀主任を騙すなんて・・・

そんな事できないですよっ⦆

大原君・・・何を持ち掛けられてるの・・・

由佳子がカウンターで後ろの会話に意識を

集中している。

⦅騙すんじゃないんだって・・・

明日君は岩堀主任と二重引き落としの

お客さん所回るだろ?

それを行かなくて良いように

有給入れたら良いだけの話だから⦆

水島・・・何故大原君とカスミンがお客さんの

所に行かないで欲しいのだろ・・・

⦅はい・・・

でも・・・

せっかく岩堀主任の接客が

見れるチャンスですし・・・⦆

大原君本当に真面目~

さすがカスミンのお気に入り!

あっこんな事言ったらまたカスミンに

私は平等に・・・

って言われそう。

と由佳子が考えていると

⦅大原君~

仕事熱心は良い事だけどね・・・

大原君にもメリットを用意しようと

思っているんだけどね~⦆

あ~キツネの喋り方腹が立つわねっ!

⦅さっきも話したけど・・・

この方・・・

橋元社長がね・・・

君が間違って2重請求をした

物件のオーナーさんなのは

さっき話したよね?⦆

⦅はい・・・

伺いましたが・・・⦆

⦅君が2重請求をしたという事、事態

この橋元社長に直接迷惑がかかっている

訳では無いが橋元社長の物件の住居人の

方がそんなひと月の家賃を2回引き落とす

ようなハイツに住んでいたくない。

出て行くと言われたらそれは君の責任だよね?⦆

⦅あっ・・・・・

はい・・・・

それは・・・本当に申し訳

ございません・・・⦆

⦅それでね・・・・

そうなってもならなくても

2重請求自体が

橋元社長の会社の信頼を

大きく落とした事には変わらないんだよ

ここまでは解るね?大原君⦆

ねちっこい~

大原君を虐める為に呼び出したの?

あのキツネそんなに仕事熱心だった?

カウンターの前に座りながら話に集中している

由佳子のグラスが空いたのを確認したマスターが

もう1杯ノンアルコールで宜しいですか?

と声を掛け笑顔で無言で頷いた由佳子の前に

新しグラスが運ばれて来て由佳子は依然

後ろのBOX席の会話に夢中で。

⦅はい・・・

それは当然解ります・・・・⦆

⦅それでね・・・

ここからは絶対に口外しては

いけないよ・・・

解っているね?

私は役職的には岩堀より下だが

人事や役員には今でも岩堀よりは

話が通る立場に居るからね。

君が口外しないと約束するなら

君にも橋元社長にもメリットが

ある話を今からするよ・・・

良いね・・・⦆

何?何?

急に声のトーンが落ちて良く聞こえなにのだけど・・・

と思い由佳子が手洗いに行くふりをしてBOX席の脇を

通る。

すると大原と目が合い

「あっ・・・・」

と大原が声を出すと水島に橋元も声の方を向き

目が合う。

(うわ~

どうしよ・・・

あっでも昨日も偶然飲みに来て

会ったわけだし・・・

ここで知り合いに会うのは何もおかしい

話じゃないしね・・・)

「あっ大原さん?

ですよね~

あれ~こちらは水島代理も~♪

偶然ですね~

いつもお世話になっております~

今日は2回目ですね~大原さんは

あっカスミ・・・じゃなく岩堀主任に怒られてた

から私ご訪問したの気づかなかったかな?」

と仕事中のように由佳子が努めて明るく

偶然を装い先手をうつが水島がチッと舌打ち

したのを由佳子は見逃さなった。

由佳子はその形相に一瞬背筋に悪寒が走り

すぐさまここを立ち去ろうと決意する。

「これはこれは・・・・

常盤広告の美人営業さんじゃないですか

中島さんでしたよね。

確かうちの岩堀とはかなり親しい

ご友人でしたね~

こちらこそいつもお世話になっております」

と水島が『うちの岩堀とはかなり親しいご友人』

のフレーズを橋元に聞かせるように強調して言った

ように聞こえさらに心拍数が上がる由佳子。

「はい。そうなのですよ~

また近々広告をお願いしたします~

それでは失礼致しますね~」

と笑顔で会釈をしその場から立ち去り

すぐに勘定を済ませ店を出る由佳子。

収まらない鼓動が早歩きによりさらに

激しい鼓動に変わっていくこともかまわずに

陸上で鍛えたその脚力での速足はかなりの

速度で由佳子の愛車を停めている

コインパーキングへ向かう。

(絶対に何か悪い事企んでる!

もう少し聞けば全て解ったのに~!

何であそこで大原君声出すのよ~!

助けてあげれたかも知れないのに~

急いでカスミンに知らせなきゃっ!)

そう思い余計気が焦る由佳子がコインパーキングへ

付いた時に自分の駐車番号を確認しようとした

瞬間、右手を掴まれた。

「っ!!

水島・・・・さん・・・」

「中島さん・・・・

ちょっとお話ししませんか?」

低くドスの聞いた声で由佳子の腕を

離さない水島。

繁華街から細い路地を抜けて

夜は寂しくなる小さなオフィスビルが

数件立ち並ぶ所にコインパーキング

はあったので賑やかな繁華街に比べ

反面こちらは人通りも無いので後ろから

追われれば黒のパンツスーツ姿の長身の

女性という目印で探せばすぐに見つけられた

のであろう。

「・・・・・・・・

水島さん痛いですよ・・・・

離してください・・・

お話は次に御社にお伺い

した時に聞きますから・・・」

「そうは行きませんね~

中島さん・・・・

本当にあの店にいたのは

偶然ですか?

もしかしたら大原が岩堀に

何かを相談してあなたが代わりに

見に来たとか言う事はないでしょうね?」

(やっぱり・・・このキツネ鋭い・・・

当たってはいないけど近いし・・・)

「何の事ですか?

私はたまたま飲んでいただけなのですが・・・」

またチッと舌打ちをした水島が

私の手首を強く握り。

「私もここに車を停めているのですよ・・・

少し話しましょう・・・・」

と強引に水島は由佳子の腕を引っ張り

黒のワンボックスカーの後部座席に乗せられる。

途中

離してくださいっ!

何も聞いていませんし聞かれちゃ困る事を話していたのですか!?

と抵抗を試みるも水島は由佳子を車に乗り込ませるまでは

口を開かずに後部座席に乗せられた由佳子はヒールのまま

通常仕様で背もたれを倒し広いスペースになっている

後部座席の奥に押し込まれ後部座席の入り口に水島が座る。

《第2章 日常に潜む非日常 第4話 狡猾な男 中島由佳子 終わり》




筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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