第11章 人工島カジノ計画に渦巻く黒き影 9話 【回想】豊島哲司と寺野麗華3
アルコールの勢いも借りたとはいえ、学生時代から密かに恋心を寄せていた男の唇に、かなり強引ながらも麗華はついにたどり着いたのである。
姫こと麗華には、言い寄ってくる男は高学歴、お金持ち、イケメン、それらのステータスを複数兼ね備えた魅力的な者も数多くいた。
しかし、麗華は持ち前の勝ち気な性格と、それ以上にこの底抜けにお人好しな幼馴染の気持ちを確かめずに、他の男とそういう関係に発展してしまうのはどうしてもできなかったのだ。
学生時代から今まで何度も麗華なりに哲司にはアプローチを掛けたものの、麗華自身が名付けているこの「朴念仁」は一向に麗華の気持ちに気づいてくれる様子はなかったのである。
二年ぶりに会う今日も、今日の為に新調した服に下着だし、昨日はエステにも行ってある。
しかし「朴念仁」は麗華の服装や髪型や肌、いわゆる容姿に関してなんの言葉もない。
予想していたことだが、気合を入れてお洒落している麗華の気持としては、実はかなりモヤモヤしていた。
それゆえに、このような強引な手に出てしまったのは致し方ないと、「全部この朴念仁のせいだと」目を閉じ大きな背中に腕を巻き付けたまま自己弁護していたのである。
同僚のスノウこと斎藤雪にも、今日哲司に会うことは伝えたくなかった。
しかし、そんな後ろ暗いことをするのを良しとしない性格の麗華は、内心イヤイヤながらもスノウに哲司から「二人の職場の近くで就職したから久しぶりに集まって飲もう」と誘われたことを伝えたのだ。
数日前、麗華は二人が勤めている法律事務所の休憩室で、哲司から「久しぶりに会って飲もう」と誘われていることを、スノウに伝えてみたが、スノウは麗華から見れば、いつもの何を考えているのかわからない表情のまま2秒ほど麗華の顔を凝視して静かに答えたのだった。
「残念ですが、私はその日は用事があるのでいけません。和尚にはよろしく伝えておいてください」
と、スノウはつれなく言ったが、麗華はそのスノウの言葉に内心では、決勝ゴールを決めた日本代表のサッカー選手のようにピッチに両ひざをついて、観客席に両手の拳を握りしめて身体をのけぞらせてガッツポーズしてしまうぐらいに歓喜してしまっていた。
実はスノウが、麗華の哲司に対する気持ちをずっと前から察していて遠慮したということなど麗華は気づいていない。
しかし、もし今回の話が豊島哲司からではなく菊沢宏からの誘いであれば、スノウが麗華を排除すべくとる手段は、麗華が考え付かないような冷徹かつ辛辣で徹底的だっただろうが、スノウにとって菊沢宏が絡まないのであれば、友情のほうが優先だというだけのことであった。
司法試験に現役合格できるほどの才媛の麗華であるが、そのあたりのセンシティブな感情を読み取るのが苦手なため、麗華はスノウが宏に寄せている異常すぎる恋慕心には気づけていない。
ただ、宏さえ絡まなければ、そこ以外はかなり理知的で友達思いな判断ができたスノウの言葉は麗華にとっては偶然にもありがたかったのだ。
妙に男受けのいいスノウのことをできれば哲司に近づけたくないし、何より堂々と哲司と二人っきりで会える!
スノウのセリフに無邪気にそう考えた彼氏いない歴25年の残念な美人は、この機を千載一遇ととらえ、哲司の気持ちを確かめ仲を進展させようと思っていたのだ。
実際は気持ちを確かめることもできず、いきなり奇襲をかけてしまうことになってしまったのだが、こうなってしまってはもう後には引けない。
麗華は更に不器用に唇を合わせ、哲司の大きな背中に両手を回してしがみつく。
麗華の一方的な突然の熱烈な行為に対し、哲司は鋼のような肉体を微動だにさせず麗華にされるまま受け止めつづけている。
しかし、麗華にできることはここまでであった。
数多くの男に言い寄られながらも、ほとんど一言で男たちを撃退してしまっていたため、このような場面ではこれ以上どう振舞っていいのか皆目見当もつかない。
自分の方から始めてしまった行為に麗華自身早速行き詰ってしまっているのだ。
目をきつく閉じ、押し付けていた唇には、思った以上に柔らかい哲司の唇の感触が伝わってきている。
アルコール以外の男の匂いが鼻孔を擽り、間近で嗅いだその香りに頭の奥の一部がぐらりとあやしく揺れる。
頬に哲司の無精ひげが擦れるも、その感触すら初めての経験故に麗華の女の部分を高ぶらせてゆく。
はじめて抱き着いた男の身体、男の匂いや逞しさに頭をぼうっとさせ始めた時、麗華に抱き着かれるままに任せていた哲司の身体が動いた。
タンクトップから伸びる男らしい逞しい腕の片方が麗華の腰に回り、もう片方の手は頤を上げさせられるように首筋を支えてくる。
「ひゃっ!‥和尚?」
麗華は自分から抱き着いていながら、哲司の動きに悲鳴を上げてしまう。
「んっ!」
次の瞬間、顔が上を向くようにさせられて、改めて哲司の方から口を口でふさがれたのだ。
哲司の大きな胸板に抱きすくめられ、唇を重ねられる。
重ねてくる唇に、麗華自身も唇を綻ばせるとそこへ哲司の舌が侵入してきた。
「んぅっ!」
突然のことに一瞬だけ驚き、全身を強張らせてしまったが、脳からあふれ出す女の部分が反応しだし麗華も舌で応える。
そのまま大きな体に抑え込まれるようにして、畳に背をつけられた。
腰に回されていた手がいつの間にか胸をブラウスの上からとはいえ、大きさを確かめるように下から上へと何故あげられると、すぐにブラウスのボタンをはずしにかからられる。
「うぅ!・・ああっ!和尚!」
口だけで抵抗を示してみるが、四肢は哲司に預けたままなので全く説得力はない。
みるみるブラウスのボタンは外され、気の強い麗華が身につけているとは思えない、可愛らしいピンクのブラジャーが露わになる。
Fに近いふくよかなサイズの胸を隠すには生地がやや少なめのブラジャー越しに、哲司の大きく逞しい手が伸びる。
「うぅ・・ああ!和尚!あぅ・・いやぁ!・・っんん!」
口だけの抵抗も、哲司の口で封じられ、豊満な胸を初めて男に愛撫される感覚に、麗華の頭の奥底から女の感情が溢れていた。
ブラウスのボタンをすべて外され、ついにブラジャーをぐいと下に引き下ろされてしまったために、ぶるんと張りのある双丘が露わにされる。
つんと尖っている両方の先端が、自分で触っていないのに見ただけでわかるほど、固く反り立っているのが、恥ずかしすぎる。
「んっあっ!和尚!だっ!ダメ!こんなこと!」
自分で誘っておいて麗華のこのセリフは無視されても仕方がない。
実際麗華も、口ではそう言ったものの、肉体の強化もせず、身体は仰向けで腕も足も畳の上に投げ出し、いわゆる大の字の格好でほとんど身体を開いた状態で男に乗られているにまかせている。
いまだに履いているスカートのフォックにも哲司の手が伸び、ファスナーもジッ!と一気に降ろされるが無抵抗のままだ。
麗華の頭の中は、これから始まる初めて行為に不安と期待が入り交じりっているが、口では抗ってしまうものの、身体は受け入れていた。
スカートを脱がされる時、腰を浮かせてしまう自分に赤面する。
赤面したことに狼狽えている間もなく、無防備になった女の部分へ哲司の指が這う。
パンスト越しとはいえ、陰唇から陰核へと優しくも力強く何度も撫ぜられてしまうと、一気に官能が脳へと伝わってくる。
「あああ!うぅぅ!和尚ぅ!」
普段の麗華の気の強い口調を知る者が聞けば、さぞ嗜虐心を擽られる声を麗華は発し腰を引き、内ももを閉じる。
その行動を哲司の膝が許さず、太ももの間をこじ開けるように麗華の足の間に入り込みの膝を入れられ足を閉じれなくされてしまう。
一番の弱点である股間の防備をはがされ、女らしさの象徴である胸の突起は非常事態を示すように硬く尖っている。
それらを護ろうと伸ばした両手を掴まれ、自身の自重で動かせないヒップに敷かれてしまった。
こうなれば弱点丸晒しでなす術はない。
「ああああっ!くぅ!うう!はぁああん!」
パンストと下着という防波堤があるにもかかわらず、歴戦の風俗嬢相手に鍛えられた哲司の指技に翻弄されてしまう。
腕で抵抗を試みることもできなくなった胸の尖りも、こうなるとますます尖りを増し、麗華の羞恥心を高める。
はじめて男に愛撫される麗華にとって比較すべくもないが、哲司の指は淫具のように小刻みに力強く振動するのである。
強烈な電気マッサージ機が指の先端についているような技能を振るう哲司の指技に、週7で自慰をしているだけの性経験しかない、残念なオナニスト女では、哲司の責めの前にはひとたまりもない。
男も寄り付きにくく彼氏いない歴の長い美女はさぞ男に不自由していないと思う者も多いようだが、実はそうではない場合の女性も多い。
気の強すぎる美人がオナニー中毒になってしまうのはは珍しくないことなのだ。
自分の身体の感じるところを知り尽くしている麗華だが、初めて味わう哲司の責めは、麗華の自慰の技術のすべてを越えていた。
下着越し、パンストもまだ脱いでいないのに、哲司の指先は麗華の股間が発した液体で滑り、くちゅりくちゅりと恥ずかしすぎる音を奏でている。
恥ずかしいほど固く反り立ったピンク色の乳首も、指で散々弾かれ羞恥心から更に固くなり、同時に快感を胸から子宮へと送り込んでくる。
「い・・いや!和尚!わたし!!・・あぅう!ダメこれ以上されたら!ダメ!」
自分の両手は自分の身体の自重で、お尻の下に封じられている。
麗華はもう哲司の責めを遮ることはできない。
無抵抗な双丘の先端と、無防備な陰核は恥ずかしいほど硬度を増してしまってどうしようもない。
乳首も陰核も麗華の小指の第一関節ほどの大きさまで肥大していた。
特に陰核がショーツとパンストを押し上げて主張していいるほど勃っている様は卑猥としか言いようがない。
ボールペンのキャップほどの大きさほどまでに勃起させてしまっているクリトリスなど、摘ままれても文句が言えるはずがない。
どうぞ摘まんだり弾いたり、好きにしてくださいと主張しているのと同じである。
「はっぐうう!!!ほっ・・う!!いやっ!うううううぅ!!・・・・・はぅ!・・はぁああん!・っ哲司ぃ!あああああああっん!!だめえ摘ままないでええええ!」
恥ずかしく尖った両方の乳首を、ショーツとパンストを押し上げている陰核を振動する指で摘まみ上げられ、捩じられ、引っ張られ、根元を潰すようにして弄くられて麗華は追い詰めてられていく。
麗華が口で否定しても乳首も陰核も、摘まめるほど固くなりそそり立っているのだ。
こんなに乳首や陰核を勃たせておいて、こんな状況で弄らずにいる男がいるはずがない。
それが麗華のような普段気の強く、頭の良い美女ならなおさらである。
「かっ!くはぁ!摘ままないでえってばあ!!ああああああん!こんなのお!!!・・・・ダメッ!・・・・もうダメっ!いくううううううううううう!!」
身体をびっくん!と一度大きく跳ねさせて、その後も何度もビクンビクンと余韻の余波に身体を痙攣させていたが、哲司は麗華の余韻が収まるまでその逞しい腕と、胸板は麗華を抱きしめる。
哲司は麗華の反応から、処女だとわかり始めていたので、最初は陰核を中心に責め、十分に快感と潤いを与えてから麗華を繰り返し何度も責め続けたのである。
痛がらせることなく、執拗とも思えるほど愛撫を重ね、十分に潤させ、何度も果てさせたうえ麗華を導いていく。
麗華の絶頂の余韻が収まると、哲司は勃起陰核と勃起乳首を摘んで振動で刺激し、それから陰唇全体を震わせ、腹部からは直接子宮に振動を送りこみ、麗華を優しく官能の海へ誘っていく。
陰核だけで何度も逝き方を覚えさせられるように、乳首でも膣内の数か所、直接子宮を刺激しての逝き方も覚えさせられていく。
決して自慰ではたどり着けない境地、知ってしまうと自慰ではせいぜい足の付く浅瀬だったと思い知る深みへと優しくおぼれさせられていく。
男の都合だけで使われるのではなく、処女である麗華は十分な女の喜びを与えられながら官能の広大な海へと連れ出されていったのであった。
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頭痛で顔をしかめて寝返りをうった哲司が、カーテンの隙間から差し込んでくる朝日に眩しそうに手で光を遮る。
「うー・・・ん。久々に飲みすぎや・・いてて」
畳の上に敷いた煎餅布団の上で掛け布団を押しのけて半身を起こした哲司が、二日酔いで痛む頭を摩りながら呻く。
哲司は痛む頭を摩りながら、6帖畳の部屋の隅に片づけるように並べられている空き瓶の一つを取って、目をこすりながらラベルを確認する。
「痛つつ・・この痛みはこれのせいか・・・」
ビールやハイボールの缶のほかに、『スピリタス』と書かれたいくつかの空き瓶の一つを手に取り哲司が呻いたとき、キッチンのほうから嗅ぎなれない香りと、人の気配がすることに一気に頭が覚醒しだす。
「あ!和尚!・・・お、おはよ」
そのとき、布団の上に座った状態の哲司に、キッチンからスーツ姿の麗華が顔を赤らめて挨拶してきたのだ。
「お・・おう麗華??おはようさん」
哲司は二日酔いの頭をフル回転させて昨晩のことを思い出す。
「ごめん。起こしちゃったね。もう少ししたら朝ごはんできるからもう少し寝ててよ」
昨晩、麗華と飲んでいたことを思い出した哲司だったが、麗華が麗華らしからぬ口調で優しくそう言ってくる様子に布団の上で困惑していた。
「・・・どないしたんや?」
「え?どないしたんやって・・朝ごはん作ってるのよ。和尚ってお味噌汁にタマネギが入ってても平気よね?」
「ああ・・平気やちゅうか。好きやで?」
「す・・好き?・・そう!よかった」
顔を真っ赤にしながらも機嫌よくそう言ってキッチンに向きなおった麗華の背を見て、哲司はさらに首をかしげる。
(どないしたんや・・。麗華が俺の部屋で朝飯作っとる・・・。昨日泊まるいうてたけど、麗華が朝飯つくるなんて雪でも降るんとちゃうか・・?)
哲司は初夏の蒸し暑さが迫りつつある時期だけにそう独り言を心中で呟く。
てっきり朝マックでもと思っていた哲司だったのだが、麗華はルンルンな様子で味噌汁の入ったお鍋をお玉で混ぜ、フライパンでベーコンとタマゴをいい音をさせながら炒め、狭いキッチンながらも手際よくキャベツを千切りしてレタスとトマトをお皿に盛りつけ、すでに茹でてあったジャガイモを潰してポテトサラダにしてサラダのお皿に添えているのだ。
哲司はそんな麗華を、訳が分からないという表情で訝しむように呆然と布団に座ったまま眺めていた。
すると、麗華がくるりと振りかえり、顔を赤くしてにこっと恥ずかしそうにはにかんでから、すぐにキッチンの方へと身体を向き直る。
(な・・なんや今の表情・・?)
部屋に食材など置いてなかったので、麗華が朝早くに買出しに行ってくれたのは確実である。
しかも、朝ごはんとしてはけっこう手間のかかるものを作っている様子だ。
しかし、哲司は麗華がそんなことをしそうにない性格だと長年の付き合いでわかっているだけに哲司は布団の上で首をかしげるばかりであった。
哲司がいかに酒豪とはいえ、度数96のお酒を5本も空けてしまっていたので、久しぶりの痛飲で昨晩の記憶が途中からさっぱり無いのだ。
織田裕二似のルックスもさることながら、人格的にも文句なしのいい男である豊島哲司なのだが、菊沢宏とは別の意味で罪な男であった。
処女の幼馴染相手に、今まで練習台となった100人以上の風俗嬢で鍛えた性技を駆使して破瓜を奪ったのだが、当人にその記憶は酔っていた為まったくない。
そんな手の付けられない哲司のボンクラぶりを知る由もなく、麗華は25歳と遅まきながらも、想い人相手で女になれた喜びで満ち溢れ、幸せいっぱいの新婚初夜直後のような気持ちで料理しているのであった。
【第11章 人工島カジノ計画に渦巻く黒き影 9話 【回想】豊島哲司と寺野麗華3終わり】10話へ続く