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第10章  賞金を賭けられた美女たち 22話 高峰弥佳子VS張慈円2

第10章  賞金を賭けられた美女たち 22話 高峰弥佳子VS張慈円2

弥佳子は、張慈円に組み付かれたままよく滑る滑り台のような傾斜を縺れながら落下していた。

「離しなさい!」

「くはははは!」

落とし穴の中は真っ暗だが、即座に暗視を発動した弥佳子の目の前には、張慈円が不気味に目を吊り上げて哄笑しているのがよく見える。

(落とし穴!?まさかこんな仕掛けがあろうとは!・・・しかし張慈円も落下しているではないですか?!)

弥佳子のくびれた腰には張慈円の両足ががっちりと組み付き、腰の後ろで足首を交差して弥佳子を逃すまいと力を込めてくる。

急な傾斜とはいえ、床はなめらかで摩擦によるダメージはない。

落下してきた落とし穴の蓋が、はるか上の方で閉じかけており、四角だった明るい部屋の光が、徐々に細くなり線となって、完全に闇に閉ざされてしまう。

(神田川真理と離されてしまいましたが・・)

急だった傾斜が緩やかになり、膝で態勢を整えられる態勢まで傾斜が落ち着くと、弥佳子は足を踏ん張り、肘で張慈円の顎を強かに打ち上げた。

「ぶっ!」

張慈円は弥佳子の強烈な肘鉄で、大きく上体を反り返らせる。

その隙を逃さず、弥佳子は鞘に収まったままの大切な妹の愛刀でもある和泉守兼定で、張慈円の股間を強打し、腰に巻き付いていた張慈円の足を振りほどいて、引き絞りたたんでいた右足で張慈円の胸板を蹴り飛ばす。

「ぐぉ!」

すっ飛んで行った張慈円をしり目に、すっくと立ち上がった弥佳子は、張慈円が振るわせまいと必死に握っていた自らの愛刀の一振りでもある中曽根虎徹をぶぅん!と振って鞘に納めて腰に佩きなおし、たったいま張慈円の股間を強打した和泉守兼定も腰に佩きなおした。

「ふん・・汚らわしい!(奈津紀さん、ごめんなさいね。あなたの大切な兼定をあんな粗末な汚らわしい物体を打つのに使ってしまい・・・)」

弥佳子は、張慈円に組み付かれていた不快感を隠そうともせず、床に仰向けで倒れたままの張慈円に吐き捨てた。

「落とし穴とはお粗末な。あなたも落ちてしまっては落とし穴の意味がないでしょう?」

弥佳子はそう言い、仰向けのままの張慈円を警戒しながらも、自分がどこに落ちて来たのか注意深く目だけで見まわし、周囲を観察していた。

ここが眩しいのは暗闇だった落とし穴の傾斜のせいだけではない。

神田川真理と一緒にいた個室よりも、このタマゴ型の部屋は光量が強いのだ。

弥佳子は暗視強化していた目を通常に戻すと、落下してきたであろう距離を推測で割り出して、眩しそうに眼を細めて10mほどの高さにある窓に目をやった。

(・・さっき上からみた部屋から、このタマゴ部屋に落ちてきたというわけですか)

目をやった窓には、神田川真理が窓に張り付き、口を動かしている。

『バカ!ドジ!ユダンシテンジャナイワヨ!!』

弥佳子はとっさに読唇で神田川真理が何と言っているのかを読み取ったせいで、思わず吹き出し、がくっとなってしまった。

一方の神田川真理は声が聞かれるわけがないし、読唇までされるとは思ってもいない様子で、調子よく悪態を続けている。

神田川真理に言われた通り、上からの視点で着地姿を見られるとは想定していなかったので、足を踏ん張るときに、後ろ周りしながらやや足を縦に開き過ぎたかもしれないと、思い出し、スカートの裾を引っ張ってずり上がってないか引き下げるような仕草をとってしまっていた。

弥佳子は下着を異性に見られるのは特に何も思わないのだが、同姓に見られる方が嫌なのだ。

裾も直し、佩きなおした二振りの名刀の感触を確かめなおすと、弥佳子は気を取り直して、目の前で倒れている男に意識を集中することにした。

先ほど圧倒したとはいえ、目の前にいる男は香港で最強と謳われている雷帝張慈円である。

しかし、油断からたった今不覚を取り、落とし穴で共に落下させられてしまったのも事実。

といっても、落とし穴でタマゴ型の部屋に落ちてきたからといって、形勢が不利になるとは考えにくい。

直径30mほどの円形の部屋、見上げれば上は緩やかに円錐をかたどっており、10mほど上にある部屋からは、この円形の部屋を見下ろすような構造になっている。

(本来なら、ここで何者かどうしを戦わせて観戦し、賭けでも行うのでしょうが・・・、観客もない様子。・・しかし、こんな悪趣味な施設でも、張慈円を何物にも邪魔されず料理できるのであれば問題ありません)

弥佳子はそう心中で呟くと、先ほど見た映像の奈津紀のことを思い出し、中曽根虎徹ではなく、奈津紀の愛刀として下賜していた和泉守兼定の鞘を握って、親指で鍔を持ち上げてから静かに抜いた。

(奈津紀さん・・せめて貴女の愛刀でヤツを切り刻んであげますからね)

もともと高嶺家で所有していた銘刀である和泉守兼定であるが、千原奈津紀に下賜し長らく手元になかったため、弥佳子は長曽祢虎徹とは違う感触を確かめるように両手で柄を握りなおし正眼に構えなおした。

その時である。

「くははははっははっ!はーっはっはっは!」

仰向けに倒れたままだった張慈円が狂ったように笑い出したのだ。

「くくくくく!」

本当に狂ったのかと思い訝しむように様子を伺っていた弥佳子が口を開いた。

「勝ち目がないとわかって本当に狂ったのですか?張慈円。雷帝などと呼ばれていましたが哀れなものですね」

「くくくく・・。勝ち目がない?誰が誰に勝ち目がないのだ?!!」

だんっ!

哄笑をやめた張慈円が、倒れたまま両足を自分の顔付近まで引き付けて、その反動で手を使うことなく起き上がる。

「いくら貴方のような男でも、先ほどの私とのやり取りで力量の差がわからないほど愚かな使い手だとは思えませんが?」

起き上がった張慈円は、先ほど肘鉄された顎をさすって、口内を自身の歯で切った出血を袖で拭いながら、油断しすぎとも思えるような大胆さで弥佳子に向って歩き出した。

「くくくくっ・・わからんのか?その若さであの暗殺剣客の頭領を襲名した高嶺弥佳子ともあろうものが?わからんのか?・・くはははははは!・・ひーっひひひひ!」

目を吊り上げた蟷螂が、不気味な笑みを張り付かせたままそう言って、なおも弥佳子との距離を無造作に詰めてくる。

(・・・気がふったか?・・ですが、どうあれあなたが奈津紀さんにしたことはたっぷり贖ってもらいますよ!楽に死ねるとは思わないことです!)

力量で圧倒され狂ってしまった敵相手に、弥佳子は最早語るまいと、奈津紀の愛刀で奈津紀の無念を少しでも晴らそうと地面を蹴った。

フェイントのため、一歩目は生身での跳躍。

そして二歩目で地面を蹴る瞬間、能力を複数発動させた。

【鷹視】【剣閃】【肉体強化】【縮地】【剣気隆盛】【鬼気梱封】【空間転移】【背鷹剣】。

敵の動きを見切って先の先を取る視力強化を行い、真正面からの剣圧攻撃、そして四肢を強化してからの高速移動。

そして、高速移動中に剣撃の威力を必殺のものにするために、刀に複数のオーラを織り交ぜる。

それによって、手にした刀には切れ味と破壊力強化を施され、敵のオーラによる防御力を無視する強い鎧通しの刃となるのである。

【肉体強化】したまま【縮地】で高速移動しつつ、初手で放った【剣閃】を追い越し、背後に向かって【空間転移】を発動させる。

【空間転移】は自分の放った【剣閃】を敵の左真横に移動させ、トドメとなる一撃と挟撃に使うのである。

【肉体強化】と【縮地】で背後を取り、心臓目掛け【剣気隆盛】と【鬼気梱封】で強化した和泉守兼定で、無音無気配の【背鷹剣】を心臓目掛け突き上げる。

突然移動した【剣閃】に対応しようとする敵は、無音無気配である【背鷹剣】を躱すすべはない。

敵は【剣閃】と【背鷹剣】との挟撃を受け、どうやって死を迎えたのかも分からずにこの世を去る。

弥佳子が幼い時より師である父に叩き込まれた必殺の攻撃手法である。

暗殺を生業とする剣士としての、基本ではあるが、それらを複合した殺傷力の高い攻撃方法。

しかし、弥佳子は初手の一撃で張慈円を即死させる気は無かった。

その為、【背鷹剣】で心臓は狙わず、右腕を根元から切り落とすつもりであった。

弥佳子は狼狽した。

弥佳子の見開いた目が、その狼狽ぶりが相手に伝わるほどに。

【剣閃】は発動せず、踏み出した【縮地】もオーラを纏わない中途半端な速度でしか発現しなかったのだ。

「ぐっ!?」

弥佳子の身体はくの字に折り曲げられ、腹部には紫電を纏った張慈円の拳が深々と突き刺さっていた。

「な・・!?なぜ・・!?」

弥佳子の眼前には、息がかかるほどの目の前に迫った張慈円の顔があり、その表情は残虐さと好色な笑みが不気味に張り付いており、目尻と口角が吊り上がっていた。

「もろに入ったな。くくくっ。息ができまい」

張慈円の愉快そうにそう言った言葉が、弥佳子には不快で耳障りだったが、予想外の腹部への強打で、想定以上のダメージに恐懼したせいで反応が更に遅れる。

張慈円は、前のめりにつんのめった弥佳子の背後にヌルリと回り込み、弥佳子の首をしめつつ羽交い絞めにしてきたのであった。

「さあ高嶺弥佳子。貴様も女であるということを思い知らせてやろうではないか!」

【第10章  賞金を賭けられた美女たち 22話 高峰弥佳子VS張慈円2 終わり】23話へ続く
筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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