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第9章 歪と失脚からの脱出 50話 着いた援軍そして宏の姉

第9章 歪と失脚からの脱出 50話 着いた援軍そして宏の姉

「邪魔だ!どけよ!」

南川沙織は行く手を遮る黒服たちに乱暴にそう言って廊下を進む。

海水であろう水滴を全身から滴らせ、廊下を濡らしてしまうことに構うゆとりもなく二人は速足だった。

沙織は高嶺の剣士たちへ待機部屋という名目で張慈円からあてがわれていた一室のドアの前まで来ると、勢いよくドアを開き後に続いてきている前迫香織を先に部屋に入れるようドアを開けっぱなしにする。

「ストーブだ!あとっ・・清潔な布と包帯も!・・・っ大至急!!」

ドアの前でオロオロとしている黒服たちにそう言うと、沙織は錆びた鉄製のドアをバタン!と勢いよく締めてしまった。

張慈円から南川沙織が戻れば劉幸喜を治療するように伝えるように言われている黒服の男たちは、沙織に張慈円の命令を伝えることもできず高嶺の剣士たちの様子と剣幕に慄いていた。

高嶺の剣士は3人とも満身創痍で濡れネズミであった。

そのうえ南川沙織と前迫香織も戦闘によりかなり負傷しているのが見て取れる。

前迫香織に背負われている千原奈津紀に至っては顔色もなく死んだようにぐったりしていたのだ。

「奈津紀!死なないで!」

部屋に入り、仮眠用に用意されていたベッドに奈津紀を寝かせ、濡れた衣服を剥がしながら香織は奈津紀の身体を拭う。

「くっそ!なんなんだよこのキズ!なんで治らねえんだよ!」

海岸で必死に人工呼吸と心臓マッサージを奈津紀に施し、オーラも大半奈津紀に流し込んだところで、ついに奈津紀は海水を吐き出し、確かに脈が戻ったのを見計らい沙織は治療用にオーラを込めてある匕首を奈津紀の傷口に突き刺したのだ。

意識のない人間に刃物をぶっ刺すという傍目に診ればこれ以上なく物騒な行為であるが、本来なら効果はてき面で対象者の体力とキズを大幅に回復することができる。

しかし、携帯用治療道具の治療匕首は、沙織の期待通りの結果にはならなかった。

奈津紀が胸に負った傷が、匕首に込められた治療効果のオーラを拒絶しているかのように、相殺しているように見える。

治療匕首の効果がまったく無いというわけでなさそうだが、本来の1割程度の効果しかあらわれていなさそうなことに沙織は焦った声をあげたのだ。

奈津紀の脈が戻った時は、これで助けられると歓喜したのも束の間で、いまも奈津紀の状態は予断を許さない。

その治療匕首は奈津紀に刺さったままであり、まだ治療のオーラを奈津紀の身体に注いでいるため何とか奈津紀は一命を取り留めている状態だが、体温は上がらないし、なにより胸の傷口だけが塞がらない。

「まずいわ・・。また体温が下がり始めました」

「取ってくる!」

香織が奈津紀の濡れた衣服を剥がし、身体をタオルで拭きながら心配そうに言ったセリフに沙織が勢いよく応え部屋から飛び出す。

「おい!ストーブと布だっ!」

どかっ!と勢いよく鉄製の扉を開きながら沙織がそう叫ぶと、目の前にはちょうど石油ストーブと大量のタオルと毛布を抱えた黒服たちと鉢合わせた。

「きたか・・よし!そこにおけ。・・・いつまで見てんだ!とっとと出てけ!」

沙織はそう言って黒服たちを部屋にいれ、指をさしてストーブと布を置かせると、ほぼ全裸の奈津紀の裸体を気にしてか、すぐに黒服たちを部屋から追い立てるように背を押した。

「・・お、お待ちください!」

沙織に背中をぐいぐい押され部屋から追い出されようとしている黒服の一人が、ドアの枠に手を付き踏ん張ったのだ。

「ああ?!なんだよ!?死にかけてる私らの仲間の裸を見たいのか?そんな腐った根性と目はいらねえってことでいいな?!」

そして悪鬼のような形相の沙織に待ったをかけたのだが、更に不愉快そうに顔を歪めた沙織に怒鳴り返されてしまう。

「ひぃ!申し訳ありません!りゅ、劉さまが負傷しておりまして、南川さまが戻られたら劉さまを治療するようにと張雷帝から仰せつかっております・・!劉さまは肋骨が折れている重症です。一刻を争う容体でしたが、南川さまが戻られて我々も安堵いたしております。・・何卒劉さまを助けてください。お願いたします」

沙織の剣幕に完全にビビった様子の黒服Aであったが、主からの命令を伝えないわけにはいかず、部下に優しい劉を救ってほしい思いから、何とか悪鬼の表情の沙織にも伝えきったのだった。

「・・・わかった。あとで行く!」

沙織は黒服Aの言葉に一瞬言葉に詰まったが、言葉少なくそう言うと黒服の背を押しドアを閉めて鍵を掛けた。

「さ、沙織・・匕首はもう・・」

ズリズリと石油ストーブを奈津紀の身体の前まで近づけてきている沙織の背に向かって香織は問いかけた。

「・・・そうだよ。もうあと一本しかない」

沙織がそう応えると、暫く二人の間に沈黙が流れる。

クライアントの命令は基本的に絶対であるし、この依頼を断るのは契約違反にも当たる。

有事の際は張慈円の一味の治療を優先することになっているのだ。

「・・私、なっちゃんさんに使うから」

小さな声で、しかしはっきりと呟いた沙織は匕首を取り出して鞘から抜いた。

「さ、沙織・・」

「止めても無駄!それともなに?!かおりんはなっちゃんさんが死んじゃってもいいわけ??!」

香織の声に、沙織は咎められたのかと思って振りかえって過剰に反応し、契約違反も辞さないという強い口調で香織に食って掛かったが、声をあげた当の香織はそんな様子の沙織を手で制し、天井を見上げている。

「かおりん・・?どこ見てんの・・?」

香織の様子に訝し気に沙織が声をあげる。

「な、なんですか・・こ、この数は・・!」

普段冷静な前迫香織が焦りを露わに天井、否、天井よりはるか上空を見据えてそう言い放つ。

「え?・・どういうこと?!」

沙織は香織の様子と言っている意味がすぐには理解できず狼狽える。

「・・50人以上います!」

「・・け、【見】ね!?敵?!」

沙織もようやく香織の【見】の索敵に反応があったことに気が付いた。

「ええ!いま私たちの真上を通過しました!おそらくヘリかなにかでしょう・・。このアジトのすぐそばに着陸しそうです!」

香織の切羽詰まった口調から、事態は余程深刻だと伝わってくる。

「強いオーラを纏っている者が10名・・。その他の者もそれなりの手練れです・・。それにこの気配は以前スタジオ野口で見た銀獣!・・ですが、その銀獣を上回るオーラを纏った者もいます!一対一ならどうにか・・、しかし消耗した今の私たちでは生き残ることすら困難でしょう。ましてや奈津紀はこの怪我・・。くっ・・こんな局地で宮コーの物量と質をここまで投入されては今の私たちに対抗できる手立てはありません」

「宮コーの主力能力者どもが来たってことね?!」

香織が早口に【見】で得た情報を沙織に伝えると、沙織も目を見開き聞きなおす。

「そのようです・・・。沙織!奈津紀を治療してください!・・こんな状態の奈津紀をむざむざ敵の手に渡し、嬲(なぶ)らせるわけにはいきません。わたしは宮コーが来たことを張慈円さまに報告し即時撤退を進言してきます!」

香織は沙織にそういう立ち上がった。

「う、うん!任せて!こっちもなっちゃんさんバッチリ治して、すぐダッシュできるように準備しとく!」

沙織もドアを開け駆け出した香織の背にそう言ったのだった。

一方、倉庫内での菊沢宏&猫田美琴と趙慈円一味の戦いでは、

「いいザマだな菊沢宏!」

紫電を全身に纏い倒れ伏した宏に張慈円が勝ち誇って言う。

「カスが・・!麗華を離さんかい!」

べっ!と口から赤い液体を吐き出した宏が、深紅の目で張慈円の後ろにいる倣華鹿を睨み上げながら立ち上がる。

しかし先ほどから何度も無防備なまま殴られ続けたせいか、その足取りは覚束ない。

「この俺をカス呼ばわりとは・・!貴様こそ取引を台無しにしおって!特大のカスは貴様のほうだ!」

「ボス猿!ええかげん麗華を離さんかい!そんな氷漬けやと死んでまうやろが!」

宏は張慈円の罵声を無視し、負傷した右肩を抑えた格好のまま再度張慈円の背後にいる倣華鹿に怒鳴った。

血も迸らんほどの宏の怒声に、倣華鹿の表情は氷の彫刻のごとく無表情を崩さない。

否、正確には倣華鹿は無表情なだけではなく、宏の声もほとんど届いていなかった。

何故なら倣華鹿のすぐそばには長年身辺を警護し、部下とは呼べなくなるほど親しくなった側近のザビエラが仰向けで倒れ動かなくなっていたのだ。

倣華鹿も最初はザビエラがタチの悪い悪戯をしているのかと思ったのだが、ザビエラは口こそ悪いが、こういったタチの悪い悪戯をするタイプではない。

信頼する側近でありボディガードのザビエラは、倣華鹿がさきほどから何度声を掛けても立ち上がらないのだ。

腹部に大ダメージを負っているが紫電を纏い、未だ菊沢宏に攻撃を加えられるほど体力を温存していた張慈円と違い、ザビエラは仰向けに倒れたまままるっきり動かない。

倣華鹿は寺野麗華を人質にとったまま、ザビエラの倒れているところまでようやく来れたのだ。

最初は動かないザビエラのことを、思いのほかダメージが大きく立ち上がれないだけかと思ったのだが、そうではなかった。

凶震ザビエラと恐れられた人外の能力者の最後にしてはあっけなさ過ぎた。

張慈円と共闘し、張慈円が自らの力を温存するように戦っているのに対して、ザビエラは全力で戦い、常に張慈円の前で菊沢宏という難敵の盾にされていたのだ。

宏の天穴による攻撃に加え、痛みを直接頭に送り込んでくる精神攻撃による波状攻撃でついに倒れたのであった。

その信頼する側近の側で、倣華鹿は寺野麗華を首まで氷漬けにし、その首には氷刃を突きつけたまま呆然としていた。

「ザビ・・。うそでしょ・・?あなたがやられるなんて・・・。まだまだいけそうだったじゃない・・。ほとんど攻撃も受けてなかったじゃない!」

掠れた声で小さくそう呟く倣華鹿の目には倒れてピクリとも動かなくなったザビエラしか入っておらず、菊沢宏の怒声も、張慈円が菊沢宏を罵る声も聞こえていない。

戦いが得意ではない倣華鹿は、菊沢宏が精神汚染攻撃までしていることを見抜けず、物理的な戦いだけではまだまだザビエラは持ちこたえられると見誤ってしまっていたのであった。

麗華を離せと言っている当の宏も、呆然としている倣華鹿の様子に気が付いた。

そして、ボス猿が倒れたジャイアント女を見て固まっているのを見て、宏もその心中を察することが出来てしまった。

(せやからこういうは嫌なんや。・・・そいつが強すぎたんや・・。高嶺のねーちゃんもそうやが、手加減なんてしてやれんかった。隙ができたとき咄嗟に殺ってしもた・・。女は殺さんつもりやったんやが・・クソ野郎やが張慈円みたいな達人相手にしながらやとこっちも余裕なかったんや・・!それに張慈円はそいつを盾にするような戦い方やった・・マジクソ野郎やで張慈円・・!)

麗華を洗脳したであろう憎い組織に与している女であれ、菊沢宏にとっては女に違いなかった。

ジャイアント女と罵った長身細身の女はほとんど外傷はないが、痛みによる精神汚染の限界が超えたのであろう、もはや動くこともなく仰向けに床に倒れている。

罵る為にジャイアント女と言ったが、確かにザビエラは170cm半ばほどあり女としては長身の部類だが、細身で胸こそ小さいが腰とヒップの差はあり十分女性らしいスタイルだ。

ほとんど外傷もなく、目を閉じたその顔は眠っているようにすら見える。

そしてボス猿女と猿呼ばわりした華僑の女ボスは、その目に哀しみを湛えて立ち尽くしている。

豪奢な旗袍とロングコートを纏った美貌の女マフィアは猿などと罵れるような容姿ではない。

仲間を失い、涙こそ流していないその美しい顔にははっきりと心境が現れている。

(くそが・・!なんで俺がこんな思いさせられなあかんねん!・・高嶺のねーちゃんと言い、こいつらと言い・・、こいつらかて仲間が死んだら俺らと同じように心が痛みよる血の通った奴等や・・・くそっ!後味悪さが最悪やねん!・・・俺がもっとはようにクソ慈円を始末しとったら・・!俺がもっと強かったらっ・・・!)

張慈円に一方的に攻撃されながらも、その光景を見るのが宏には辛かった。

想定外すぎる現実を受け入れることができず、倣華鹿は麗華を人質に取った格好のまま頭も体もフリーズしてしまっているのだ。

その倣華鹿の様子に、宏はいまなら麗華を助けられる。と思い麗華のほうに行こうとするも、迸る紫電を纏いついに完全に能力を解放して本気になった張慈円が、すでに満身創痍の宏に容赦なく襲い掛かってくる。

「行かせるものか!ここで死ねい!何度も何度も邪魔しおってからに!このガキが!貴様の嫁も橋元ではなく俺が犯してやればよかったわ!」

寺野麗華を完全に人質に取られていると思っていた宏は、張慈円の電流を纏った拳を一方的に受け過ぎてしまっていた。

女マフィアの倣華鹿がフリーズしていると気づくのが遅すぎた。

氷の刃を麗華の首に当てがってはいるものの、倣華鹿の視線は倒れたザビエラを見ており、呆然自失していた。

その倣華鹿の様子にもっと早く気付けていれば、ここまで張慈円の攻撃を受けることもなかったことが宏に歯噛みをさせる。

それに加えて、クズで卑怯な張慈円と言えども、その腕前は文句なしの達人であることが、憎たらしすぎた。

ムカつくがバカ・・というような人物はかなり多いが、ムカつく上に頭が良いといった人物が前者よりはるかに厄介な相手であるように、張慈円は残忍で狡猾で本当に強い難敵であった。

(電流の色が変わった・・!こいつさっきまで本気や無かったんかい!・・万全の状態でもなかなか厳しい野郎やがな!くそったれが!こいつ一人でも十分うっとうしい野郎やのに・・・!さっきまでほとんどザビエラに戦わせて、自分は力温存して様子見とったんや・・!ザビエラがやられた途端にようやく全力か!とことんクズ野郎や!共闘しとる仲間を使い捨てやがった!)

そう罵る宏の深紅に光る眼はいまだに光を失ってはいないが、張慈円の殴打により徐々にその光に陰りが見え始めているのも事実であった。

張慈円が飛び上がり身体を翻して放った回し蹴りが、満身創痍の宏では避けられず顎にまともに決まる。

口から鮮血をまき散らし、地面にたたきつけられた宏はそれでも立ち上がろうと手を付き、身をおこすが、さすがにこれまでのダメージ蓄積が大きく、立ち上がれず膝をガクリとついてしまった。

「ちっ、まだ動けるのか・・頑丈な奴め!」

オーラも力も極限まで込めた渾身の攻撃を受けても死なず、起き上がろうと這いつくばっている宏をみて張慈円は舌を鳴らす。

「おまえの蹴りがぬるいんじゃ・・非力な蟷螂野郎が。そんなんで俺がやれるわけないやろ」

血まみれで立ち上がれずにいる宏は、どう見ても無事に見えないが、せめて気持ちでは負けまいと張慈円の舌打ちに挑発で返す。

張慈円は一見して細身ではあるが、非力と呼ぶには程遠い程の怪力である。

オーラ強化無しの素の肉体のみの握力でも150kg、体重70kgそこそこだというのにベンチブレスは170kg程度を悠々と持ち上げることができる。

普段ゆったりとした服を着ているが、その服の下に隠された肉体は全盛期のブルースリー並みに引き締まっているのだ。

そんな張慈円の空中回し蹴りの威力がぬるいはずはない。

しかも、今の張慈円は紫電を纏い、電流による反応速度を極限まで高めた上、肉体全てを能力強化している。

もはや市販されている計測器などで、いまの張慈円の肉体性能を測ることは不可能なのだ。

そんな張慈円が非力と言われて、一瞬目が吊り上がりかけたが、良いことを思いついた。といった表情になり、勝利を確信した張慈円は顔を不気味な笑顔に歪める。

「・・・貴様をここで始末したあとは、貴様の嫁だ。今回の損を貴様の嫁に少しでも支払ってもらうとしよう!もっともあのような年増では幾らも稼げんだろうがな!・・いや待て・・際どい性癖をもった変態どもは存外高値を付けてくれるかもしれん・・。年の割にはツラもスタイルもなかなかだ・・。だが、ケツ穴を犯されるのはもちろん、糞も食わされるかもしれんがな!くはははははっ!どうだ?!貴様の嫁は俺がたっぷり犯したあと手足の健を切って変態に売ることに決めたぞ?!喜べ?!くははははっ!」

「クソ慈円・・!とことん腐りきったカス野郎が・・!美佳帆さんに手出しはさせへん。それに簡単にやられる女やないで!・・なんせ俺の奥様やからな!」

紫電をその身に纏い、高笑いをあげている張慈円に向かって、宏は血まみれ満身創痍の姿ながら言い返す。

「ふん!もはや貴様に何ができるというのだ?菊沢美佳帆が雷帝と呼ばれる俺に敵うとでも思っているのか?!・・いいことを教えてやろう!菊沢美佳帆を橋元のところに送ったのは俺だ。捕らえたのもこの俺。スタジオ野口に付くまでの車中では随分可愛がってやったのだぞ?!あの牝から聞いておらんのか?貴様の嫁は何度も気をやっておったわ!敵の手でも感じまくる淫売女、それが貴様の嫁だ!」

「抜かせ!臭い口それ以上動かすなやクソ慈円・・。ゲロ臭いんじゃ。お前の口は・・。ぷんぷん臭うてくるやないか」

張慈円の外道すぎる言い分に宏は深紅の目に怒りを込めて辛辣に言い返すも、張慈円は吊り上がった目を更に細め愉快そうに嗤った。

嗤ったのだ。

宏の伴侶である美佳帆を罵ったことよりも、残忍なことを思いついた表情で・・。

そして振り返り怒鳴る。

「倣!もう人質は必要ない!この男の前で殺してやれ!」

腐れ外道張慈円は、人質がいる為無抵抗であった菊沢宏が、もはや人質無しでも始末できると判断して倣華鹿に向かって叫んだのだ。

「なっ!や、やめんかい!た、頼む!ボス猿・・いや倣華鹿やったな?!麗華はお前の仲間でもあるんちゃうんかい!」

さすがに慌てた宏が大声で倣華鹿に向かって怒鳴る。

「くはははっ!馬鹿めが!それがものを頼む言い方か?!あのプライドの高い倣に猿などと!それに裏切り者をあの倣が許すわけがなかろう!」

満身創痍ではじめて慌ててそういう宏を張慈円が嘲笑う。

さきほどから全く動きのない倣華鹿は、張慈円の声に僅かに反応したが動かない。

「倣!心配するな!もはや人質無しでも十分嬲り殺せる!」

それでも倣は動こうとしない。

「・・・倣?どうしたのだ?」

「張・・。私は貴方の指図など受けないわ」

ここにきて倣華鹿がようやく口を開いた。

「取引は無くなってザビも殺されて、そのうえ優香まで私から失わせようというの?」

倣華鹿は抑揚のない冷たい声で淡々と張慈円に問いかけた。

「倣・・。取引のことはすまんとしか言えん・・俺も大損だ・・。ザビエラのことは残念だが、その女は裏切り者であろう?・・っ!?」

張慈円のセリフが言い終わる前に、倣華鹿は寺野麗華を覆っていた自身のオーラで作っていた氷を霧散させた。

麗華は氷から解放され、ドサリとその身を地面に横たえるも、意識はあるらしく身を起こす。

「ごほっ!ごほっ!」

氷で首を絞められていた為、喉を抑え咳き込む麗華。

「麗華!無事か?!もう少しまっとけ!ゲロ臭いクソ慈円しばきまわしてまうからな!」

氷から解放された麗華を見て、一気にそこまで駆け付けたいのだが、張慈円に散々殴られたダメージで駆けつけるどころか宏はそう言うと、よろりと一歩踏み出しただけで倒れ込んでしまう。

「く、くそが・・!こんなときに動かんでいつ動くっていうんや・・」

動かない身体を怨めしそうにしてそう憤る宏を横目に、張慈円はふん!と鼻をならしてから同胞に問いかける。

「倣!・・正気か?!どうしたのだ?!」

張慈円と倣華鹿のやり取りに、麗華を助け出すチャンスが無いかと、傷つきすぎた身体の痛みを堪え宏も窺っている。

「優香は裏切っていないわ・・。そうでしょう?優香?」

はぁはぁと息を切らせて、みだれた旗袍から足を露出させて蹲っている優香の背に倣華鹿は優しく声を掛けた。

優香は立ち上がり倣華鹿のほうに向きなおると、無表情に近いが僅かに不安を押し殺した表情の女主人に頭を下げた。

「もちろんです。華鹿さま・・・。私の至らないばかりにお心を惑わせてしまい申し訳ありません・・。それに・・ザビエラが・・お許しください」

優香はそう言い女主人の前に片膝を付いた。

女主人に膝を付き、頭を下げた優香の頬には涙が伝っていた。

膝を付いた優香の前に安堵した表情になった倣華鹿も膝を曲げ目線を下ろし、優香の手を取り立たせる。

「ごめんなさいね・・疑ったりして」

倣華鹿は心底申し訳なさそうな顔をして優香を抱きしめ、その頭を撫でた。

「華鹿さま・・。大丈夫です」

優香も倣華鹿にそう言って応える。

「張!・・貴方にこれ以上肩入れできない。・・私は、戦いは素人だけど、誰がザビを殺したかはわかるわ・・。張とヨリを戻しても良いと思った自分が情けない・・!・・でも同胞は殺せない・・。だから私たちは撤収する・・優香、ザビエラをお願い」

残った左手を優香に支えられるようにしている倣華鹿はそう言うと、コートをはためかせて踵を返した。

優香も倒れたザビエラを背負い、歩き去り始めてしまう。

「倣・・・」

張慈円は同胞の去り行く背をみて、そう言ったのみで、それ以上声を掛けられなかった。

「ま・・待てえ!麗華!!お前の帰るところはそっちやないぞ!」

宏は膝を付きそう言って麗華の背に大声で叫ぶ。

倣華鹿はその声には反応しなかったが、そのあとにつづく優香こと湯島優香は、ザビエラの亡骸を背負ったままチラと顔だけ宏の方を振り返ったが、歩みは止めずそのまま女主人に従い去って行ってしまった。

「くそっ!麗華・・!」

宏は全身ボロボロ血まみれの姿で、地面に拳をうちつける。

「貴様はまだそんなことを心配しておるのか?この期に及んで他人のことを気にしておるとは・・度が過ぎるお人好しだな」

そう言う宏に張慈円が冷めた声で言い近づき、紫電を纏った手刀を宏に振り下ろそうとしたとき、倉庫の入口が勢いよく開いた。

「張慈円さま!宮コーが・・!もうすぐ港の船着き場に着陸してまいります!ものすごい数です!撤退を!」

扉が開くと同時に、駆け込みそう叫んだのは長髪を振り乱した前迫香織であった。

「なんだと?!」

手刀を振り上げた格好のままそう言った張慈円だったが、これだけはと思い、宏にとどめを刺そうとその手を振り下ろした瞬間、張慈円の後頭部に硬質な何かが直撃した。

「ぐぉ!?・・な、なんだ?!」

倒れこそしなかったが、確かに何かに後頭部を強打された痛みが走った張慈円が、たたらを踏みながらも衝撃が飛んできた方向に向かって構えなおす。

「どうしたのですか張慈円さま!一刻の猶予もなりません!勝手かと思いましたが、部下の方達に撤退の準備をするように言ってまいりました。敵の数は能力者が10人以上おります!とても太刀打ちできる状況ではありません!お急ぎください!・・えっ!?その刀は・・!」

一人で踊っているように見える張慈円に向かって、前迫香織が珍しく焦った声で促したが、香織は蹲った男、菊沢宏が背に背負っている太刀を見て息を飲んだ。

「くっ!こやつだけでも片付けておかねば!」

香織の焦燥には構わず張慈円がそう吐き捨てると、再び宏に肉薄しその首に手刀を叩き込む。

しかし、手刀を振り下ろす寸前に、再び張慈円の側頭部に激しい謎の衝撃が走る。

またもや不意をつかれた張慈円は、さすがに吹っ飛び倒れるも、ダメージはほとんど無いらしく即座に立ち上がり構えなおして周囲をキョロキョロと見まわし、苛立った声をあげる。

「な・・なんだというのだ!これは?!」

訳が分かない現象に張慈円の苛立ち度合いはピークになっている。

あと一歩で、憎い強敵菊沢宏にとどめを刺せるというのに、不可解な現象が邪魔をする。

「【見】でも関知できません・・!いったい・・!?」

宏の背負った太刀が和泉守兼定だと一瞬で見抜いた香織であったが、得体のしれない攻撃で張慈円を吹っ飛ばした何かに警戒している。

不可解な現象は大いに気になるが、目の前に同僚の奈津紀を惨く痛めつけた男と、奪われた奈津紀の太刀を見て香織は動く。

「この男が奈津紀を・・!っ・・奈津紀の刀だけでも・・!」

香織はそう言いうと、得体のしれない攻撃の正体がつかめぬまま蹲り動けないほど重症の宏に迫る。

どがっ!

突如香織の顎が跳ね上がり、次の瞬間香織の長い髪の毛が後方に引っ張られその勢いで、香織は背から地面に叩きつけられた。

「くっ!どういうことです?!」

ほとんどダメージもなく、即座に跳ね上がった香織も思わず叫んだ。

張慈円の身に起こっていたことが、香織の身にも降りかかったのだ。

突然の衝撃は、驚異があるほどの威力が無いにしても出所が全くつかめない。

辺りを見回してもそれらしき気配がないことに焦燥を隠そうともしない香織だったが、今度は【見】による気配のほう、宮コーの動きに顔を歪める。

「くっ・・!もう着陸いたします!あっ!3名ほど飛び降りました!」

張慈円のほうに向かって、前迫香織が焦った声をあげる。

「お・・おのれ!どのような手品を・・ぐおぅ!?」

そう言いかけた張慈円の顎が跳ね上がる。

顎が跳ね上げられた瞬間、張慈円が紫電を纏った手刀を横なぎにするが、手ごたえはない。

「これはなんだ?!・・いったいどういうことだ・・?!」

顎に衝撃が走った張慈円が、後ろに数歩下がりながら怪現象を訝しがるも、視界外からの超長距離からの攻撃なのか、どこから攻撃をしてきている所在が全くわからないことに、さすがの張慈円も狼狽し困惑した。

「張慈円様!致し方ありません!・・・私も無念ですが、敵はもうそこまで迫っております!【見】でみたオーラの気配では、迫ってきている先遣の二名はとんでもない使い手です!お急ぎください!」

そう言う前迫香織も奈津紀の太刀を回収できなかったことに思うところは大いにあるが、このままでは、撤退も間に合わなくなる。

そう判断し、すでに倉庫のドアを開け張慈円の方に向かって叫んだのだった。

「くそっ!忌々しい!ここまで追い詰めておきながら・・!」

張慈円はそう言うと、倉庫の周囲に迫ってきた気配をさすがに感じたのか、蹲る宏を憎々し気に睨みつつ背を向け香織の方へと走り去っていった。

張慈円がドアに駆け込み、派手に鉄製ドアが閉る。

脅威とよべる敵影は全て去った。

目的であるディスクの回収や、宏達の目標であった張慈円を取り逃がしたものの、宏は人生で迎えた最大のピンチで命を失わずに済んだのだ。

血にまみれ、膝を付いた宏の荒い呼吸音だけが倉庫に響く。

「・・逃げえ言うたやんか・・・なんで逃げんかったんや・・せやけど・・命拾いしたで。・・すまんな・・」

いまだにブツブツと奇怪な独り言をつぶやき仰向けに寝ている樋口を除けば、それ以外に敵の影はない。

しかし、宏は確信をもって窮地を救ってくれた人物に対して声を掛けた。

その声に反応するかのように、さっきまで何もなかった空間から突如アーマースーツに身を包んだ女性が現れる。

【完全不可知化】を解除し、あらわれた女はそのまま力なく床に突っ伏すように倒れ込んだ。

「・・借り・・は・・返せた?・・あの雷帝を・・3回も蹴ってやった・・・わよ・・・・・ぜんぜん効いてなかったみたいだったけど・・にゃはは・・」

倒れた女をその女から流れ出た血液が濡らしてゆく。

張慈円が苦し紛れに薙いだ手刀が、宏の窮地を救った女、猫柳美琴の胸を切裂いていたのだ。

【完全不可知化】の効果により、張慈円は自身の攻撃が美琴に当たっていたことに気付けなかったのだが、その攻撃は美琴を捉え大きなダメージを与えていた。

【完全不可視化】中の体力の消費は著しい。

猫柳美琴は息を20分ほど止めているのと同じぐらいの体力を消費して、姿を隠していた上、張慈円の当てずっぽうの反撃を受けてしまっていたのだ。

宏ほどではないが放っておけば死んでしまうほどの重症である。

「ミコにゃん、また笑い方が猫語になっとるやんけ・・どっちが素やねん。それになに勝手に死のうとしとんや・・そんなん超迷惑やねんぞ?」

宏はそう言い、倒れた美琴のところまで這っていき、美琴の身体を抱き起すと、座ったまま後ろから抱きかかえた。

「・・にゃぁ・・!こんな時に、な、なにを・・元気な時に誘ってよぉ・・」

大怪我を負い、血まみれながらも宏に後ろから抱きかかえられて赤面する美琴が恥ずかしそうに動かせない身をよじる。

(ひぁ!・・後ろから抱きかかえられて・・ひぃ・・耳に息が当たる!ああぁ!腰に腕が・・、太い腕・・大きな手・・こんな大怪我してるのにこの男・・こんな状況で・・?なんて大胆なの・・この人私が支社長の命令で嵌めたってわかってて助けてくれた節あるし、それにめちゃめちゃ戦っている姿なんてカッコ良かったし、グレイのテルさんみたいで顔もかっこいいし全然ウェルカムなんだけど…お互い元気な時じゃなきゃ動けないし…)

「あほ、なに考えとんや。もぞもぞ動くんやない。こうやって出血を止めるだけや・・。・・せやけど、そこまでせんでも助かりそうやな・・。それよりテツやモゲは無事なんやろか・・ミコにゃん通信でちょっと確認とれへんか?」

美琴の妄想暴走を他所に、宏は冷静に倉庫の外にあるたくさんの近づいてくる気配を察しつつも、宏は一緒に潜入した仲間の安否が気になっていた。

「いまどういうわけか繋がらない・・の

「そうかぁ…」

真っ赤な顔でなんとかそう言った美琴に対し、背後にいる宏は素っ気なく、残念そうにつぶやいただけだった。

宏は美琴を後ろから抱きかかえ脇を圧迫することにより、失血を抑えできる限り延命し、体温を維持しようとしただけであったが、美琴には死に逝く寸前の戦場禁断ラブロマンスが始まったと思ったようであった。

「にゃぁ・・、一人で先走ってこっ恥かしい・・。さっき言ったこと聞かなかったことにしてくれる・・?・・・・・?・・ねえ?・・聞いてるの?」

真っ赤な顔のままそう言い、背中に感じる宏の分厚い胸板に身を任せている美琴は、返事のない後ろにチラリと顔を後ろに向けて宏の顔を見やる。

振り替えると目を閉じてはいるが精悍で整った顔が、すぐ目の前にあった。

宏は、ダメージと危機が去ったことの安心感から意識が遠のき始めているのだ。

反応のない宏の顔を見ながら美琴は、宏が目を閉じていることをいいことに、しげしげと宏の顔を覗き込む。

「・・・強いし・・いい男・・。自分もボロボロのくせに、こんな状況でも私を助けようとしてくれるなんて・・」

(わたし・・ついさっきまで丸岳部長のことが気になって仕方なかったのに・・わたしってお尻が軽いのかしら・・丸岳部長もかっこいいけど・・この人って・・超優良物件かも・・)

宏の顔を間近で見た美琴はつい本音を呟き、心中で自分のだらしなさを問うと、目を閉じてすでにほとんど意識を失いかけている宏の唇に吸い込まれるように、自分の唇を重ねようと顔を近づける。

しかし、あと数ミリで唇が触れるその時、張慈円達が去っていった方向とは違う扉が勢いよく開いた。

ばたーんっ!!!

「宏ちゃーん!!宏ちゃん!!ああっ!!先生!いました!こっちです!先生も手伝ってください!!宏ちゃんが死んじゃうっ!!」

美琴は勢いよく開いたドアの音と慌てた女性の声に驚き、ビクウッ!と身体を跳ねさせて、開いた扉の方に顔を向けた。

そこには初めて見る女性が、女性の背後に向かって誰かを呼んでいる姿だった。

つい最近宮川コーポレーション本社から関西支社に移動してきた猫柳美琴は知らない。

その女性のことを、ではない。

もちろんその女性のことも知らないが・・。

菊沢宏は菊沢美佳帆という伴侶がいるにも関わらず、宏本人も知らないうちに想い慕う女性を多く引き付けてしまっていることを・・・。

当の宏は美佳帆以外に興味を示さず、朴念仁のごとく鈍感なところが更に恋慕する女性を身悶えさせていることなど知りもしない。

元菊一メンバーの女性陣は美佳帆という防波堤がなければ、誰かが宏にアタックしてしまっていたことであろう。

菊沢宏は本人がわかっていないが、それほどいい男なのである。

特にスノウこと斎藤雪は、とうに防波堤危険水域のレッドゾーンを突破し、もう少しで防波堤を乗り越えてしまうギリギリのところ、禁断の愛情濁流は表面張力でかろうじて防波堤から零れていない状況であった。

スノウの素の顔がクールな無表情ため、周囲に気付かれにくにだけで、スノウの心は宏のことでいっぱいであり、週2回ほどが習慣になっている行為は宏ネタだらけである。

その菊一メンバーだけでなく、宏が宮コーに来てからは、宮コーの女性社員たちも、宏を意識している者は多い。

大学や会社の採用試験などでもそうだが、表向きは男女平等だと言われていても、女性採用枠より男性採用枠の方が多いことは、あまり知られていない。

特に公平であるべき公的機関ですら、得点率の低い男性が、遥かに高得点を取得した女性を差し置いて採用及び合格を告げられる場合がものすごく多く、メディアや新聞などを賑わした事件も記憶に新しい。

現に医大などでも女性学生の方が男性学生い得点率は高いのである。

その不平等な採用方針は、表向きとしては女性の将来的な離職率などを考慮した故と言われるが、女性を上に戴くのが気に入らない、矮小な男の高いプライドのせいであるのも否定できない。

しかし、宮コーでそのような不平等が許されるはずもない。

そのような風潮を良しとしない宮川コーポレーション、特に関西支社は宮川佐恵子が支社長に就任したときから、その不正は徹底的に排除されている。

こうして佐恵子が支社長に就任してからの4年間、平等に得点率に従って採用した結果、宮コー関西支社は女性社員の比率が7割近くも占めてしまっているのだ。

関西支社長の宮川佐恵子は男性の名誉のために捕捉の説明を付している。

試験の結果から分析すると、男と女を比べれば、平均的に男性のほうが平均値は高く、女性は能力差にばらつきが多いとのこと。

つまり、平均的には男性に優秀な人材が多いことはわかっているが、女性はピンからキリまでの能力差が著しいが、特に優秀なものがいる比率が男に比べて高いということだ。

しかし女性の社会進出を阻む最大の原因は、男女差別や能力ではなく、女性自身が持つ遺伝子的な特性によるところが大きいとも指摘している。

依存心が強い。

何千、何万年も男に守られて生きてきた女は、高い知能を有していたとしても、本能で男に依存することを選ぶ場合が多いのだ。

社員の採用方式としてどうするべきか迷うところであったが、佐恵子は純粋に得点率で採用することに決めた。

その結果が、現在の宮川コーポレーションの社員比率に反映してしまっている。

宮川コーポレーション関西支社は、その突出した能力を持つ女性を、取りこぼさず掬い取るような採用方式になっているのだ。

難関を突破した優秀な女性達からすればどうだ!と胸を張れる誇らしい結果なのだが、デメリットも発生する。

結婚や出産などで当然離職率が高い。

それは当然想定内の結果であったのだが、その他にも予想できていないデメリットが顕在化してきたのだ。

男の数が女に比べて少なすぎる。

宮コーに就職できるということは、その数少ない男性達も優秀には違いないのだが、如何せん数が少なすぎた。

公平な採用試験の結果、男性社員が少なく、女があぶれる・・。

そのため、必然的に比率の問題で、数の少ない男性社員は苦労もなくよくモテる。

男性には問題ないかもしれないが、女性達には当人たちの優秀さ故にデメリットが発生してしまったのだ。

自分よりバカな男は必要ない・・。と思う女性も多いが、生理的本能ではそうもいかない。

そんな状況の中、男が少ない宮川コーポレーション関西支社に、少ないながらも高スペックの男達が補充されたのだ。

菊一メンバー(モゲを除く)も軒並みイケメン枠であることから、元菊一男性陣(モゲを除く)の人気も、以前探偵事務所勤めをしていたときよりも急激に高まっている。

そして、その中でも宏は一番人気なのだ。

宮コーの待遇には不満のない元菊一事務所の女性陣たちだが、宏が宮コーの女性社員たちに人気があることには内心面白く思ってない・・などということはもちろん宏は気づいていない。

豊島哲司という彼氏がいるにも関わらず、普段禁欲的に仕事に邁進している宮川佐恵子でさえも宏に惹かれ始めていた。

スノウはそれすら敏感に察知し、佐恵子が宏に近づきすぎないよう警戒しているし、他の女性社員が宏に近づくことにも目を光らせている。

宏の女性を引き付けてしまう体質は、そういう【能力】を持ち合わせているわけではなく、単に雌が優秀な雄のフェロモンに引き寄せられてしまう本能に過ぎない。

倫理や貞操などという社会が決めたルールでは抑えきれない魅力が、優秀な雄からは発せられている・・。

それは女性もそうなのだが、いまの宏達を取り巻く環境は圧倒的に女性が多い。

しかも選抜された優秀で美人な女性が・・・、そのため、どうしても数少ない優秀な男性に女性が群がる図になってしまっている。

それ故、女たちは数の少ない優秀な男を獲得するため、自分に比肩するほど優秀で美人ばかり集められた宮コー内部で、他より少しでも抜きんでる為、女達の自己研磨に更に磨きがかかる。

そういう環境が、そういう熾烈な女の戦いが、宮川コーポレーション関西支社には文化として根付きつつあった。

とにかく、無駄に罪作りな無意識女性ホイホイの菊沢宏が、熾烈な女性闘争の巻き起こりかけている宮川コーポレーション関西支社に与えた影響は大きいし、なにより宏の知らないところで、女性達は牽制し合っていた。

奥さんより私のほうが魅力あるでしょ?と直接宏に言い寄る露骨な女性社員もいるぐらいなのだ。

そういうことが起きるほど宏は人気があった。

宮コー関西支社の状況をよく知らない、昨日宏と出会ったばかりの猫柳美琴の接吻行為が未遂に終わったのは良かったのだ。

宮コーの社員ではないが、菊沢宏をちゃん付けで呼ぶ人物の前で行為を中断できたことは、美琴にとっても幸運なことだった。

目の前に現れた女性に、伴侶もいる宏と接吻しているところなどをもし見られてなどすれば、タダでは済まない。

しかし、とにかくあと数ミリのところで美琴の接吻テロは未遂に終わった。

そんなめんどくさい女性特有の事件が未然に防がれたことなど知る由もなく、宏は遠ざかる意識の中で、美琴の声とは違う、聞き慣れた過保護すぎる声が倉庫内に響き渡った今度こそ安堵して本当に意識を失っていった。

【第9章 歪と失脚からの脱出 50話 着いた援軍そして宏の姉終わり】51話へ続く

第9章 歪と失脚からの脱出 51話 稲垣加奈子と神田川真理

第9章 歪と失脚からの脱出 51話 稲垣加奈子VS南川沙織

支給された服にブーツに手袋。

それらはまったく艶の無い黒で統一されてる。

宮川グループ傘下の宮川重工業の技術を用いて作成された試作品。

耐熱耐寒耐電防刃防弾耐衝撃性・・並べれば仰々しい性能をもつ極地専用の装備。

これ以外に、ステルス機能をもった装備も開発中だって聞いてる。

できればこんなものが出回らないほうが平和なんだろうけど、佐恵子さんを護るためには仕方ない。

新品独特の臭いをはなつ金属繊維の服に身を包み、私は通称Sと呼ばれる日本海の孤島に降り立っていた。

グラサンたちがくそビッチ紅音に嵌められたと知った佐恵子さんの判断はさすがに早い。

パパの宮川会長に連絡して、暫定的な措置で関西支社長の権限行使を許可してもらっちゃってる。

思念による能力がなくても佐恵子さんは佐恵子さん。・・・私のせいで能力がほとんど使えなくなったのに・・本社にいる叔父さんである宮川誠社長や役員たちの批判覚悟で他人の為に動くなんて・・。

地図を広げ、矢継ぎ早に周囲に向かって指示を飛ばす佐恵子さんの横顔を見やる。

私は魔眼が移植された左目を触ってしまいそうになり、手を止めた。

その無意識の行為が佐恵子さんに気を遣わせると思ってだ。

(私にできることをする。応えるのみだわ・・)

「加奈子は海岸の北側から、真理と北王子さんは倉庫の周辺から探索してちょうだい。菊沢部長たちがいるとすれば敵アジトの倉庫のほうが可能性は高いと思うけど、海岸線にいる可能性も捨てられないですわ。そのときは、加奈子と真理で連絡を取りあって治療人員を状況に応じて割り振って。・・おそらく敵はまだ多くの戦力を残しているはずよ。いくら菊沢部長達でもたった3人だけでは張慈円に華僑の倣、高嶺の剣士たち相手では苦戦などという生易しい状況ではなかったはず・・。ですが彼らが潜入してからまだ3時間とたっておりません。彼らなら持ちこたえてくれてる可能性も高いですわ・・」

佐恵子さんは普段から冷静付与を自分に施しているはず・・。

でもその横顔は焦燥が隠しきれてない。

他の人にはわかんないだろうけど。

私にはわかる。付き合い長いんだもん・・。

それだけくそビッチ紅音の罠が狡猾で危険ってこと。

それに彼氏もいるんだもんね。潜入した中にさ。

佐恵子さん、男関係は真面目だから言いにくいんだけど、彼けっこう風俗通いしてたのよね・・知らないのかな・・?彼いい男には間違いないんだけど・・・佐恵子さんと上手くやってくれてるのかしら・・。紳士的だし家柄も文句なし、身なりも顔も体格も良いんだけど、ちょっと女に対する認識が心配なのよね・・。

っと。余計なこと考えちゃいけない・・。って、でも前みたいに私の心中って見透かされないから大丈夫よね。

【感情感知】のパッシブスキルが発動してない佐恵子さんは、威圧感もなくなってるけど、いろいろバレないのが正直有難い。

でも、それも私のせいなのに、それを喜んじゃうなんて・・。また自己嫌悪・・・。

あー。らしくない。こんなこと思っちゃうの佐恵子さんも望んでないってのはわかってるんだけどね。

銀獣なんて呼ばれたりしてるけど、私だって人並みに悩むんです・・。

佐恵子さんの左目はエロ先生こと栗田先生が用意した義眼で、視力は無いみたい。

だからふつうに視界も狭くなってるし、能力の発動器官だった目が一つになっちゃったせいで、能力半減・・・どころか2割ぐらいまで減ってるってエロ先生から聞かされてる。

それなのにこんな危険な場所で私が佐恵子さんの側で護れないなんて・・。

「やっぱり私が支社長の護衛につきます。モブと交代させてください」

作戦説明の邪魔にならないタイミングで、ついそう言ってしまった。

「ダメよ加奈子。今は説明している時間が惜しいの。菊沢部長のお姉さまと栗田先生、美佳帆さまが先行してしまいました。彼女たちとできるだけ早く合流して。いいわね?」

ばっさり即答・・。

だよね。

それに・・・。

佐恵子さんの隣に静かに立っている人物に目を向ける。

「私がいる。大丈夫」

言葉足らずながらも、その短いセリフに心外と思っているのが伝わってくる。

モブはともかく凪ねえさんがいるから大丈夫か。

白い。

一人だけ真っ白い服。

アーマースーツじゃない白のタイトロングワンピースに白のロングジャケット、そのうえに更に白のロングコートを羽織っている。

首には白いマフラー、メーテルが被ってるようなロシアンハットも真っ白、ロングワンピースの裾から覗く靴すらも白い。

その人形みたいに整った顔の肌も白に近い肌色、髪の毛も白っぽい銀色の長髪。

整ってはいるけども、どこか感情の欠落した表情の女性が佐恵子さんの隣に静かに立っている。

彼女は最上凪(もがみ なぎ)、通称凪ねえさん。

実際に血が繋がった姉じゃないみたいだけど、佐恵子さんが「凪ねえさま」と呼んでたから、私たちも自然とそう呼ぶようになっていた。

でも彼女のことを表すもっと有名な呼び名がある。

蜘蛛。

蜘蛛には程遠い容姿、やや冷たそうに見えるけど、透き通るような清楚で物静かな美人。

肌の白さから病弱な深窓のご令嬢といった雰囲気。

でも蜘蛛という二つ名持ちの能力者。

本人もどうやらその呼び名を気に入ってる雰囲気すらある・・・。

表情少ない凪ねえさんだけど、わかっちゃう。

だって蜘蛛と呼ばれるのを全然否定しないんだもん。

少し冷たく見えるけど、物静かで美しい凪ねえさん。

私の嫌いな虫の蜘蛛と呼ばれてるからと言って、べつに凪ねえさんのことを私は嫌ってるわけじゃない。

むしろ好き。

言葉足らずで、冷たい印象を受けるけど実はかなり優しい。

うん。佐恵子さんや私たちにもよくしてくれるし、かなり好き。

何故佐恵子さんが、ねえさんなんて呼ぶのかというと、凪ねえさんは宮川昭仁会長の専属の秘書で、私たちより年上、私たちより二つ上の紅音の更に二つ上だから・・菊一事務所の人たちと同じぐらいの年齢。

凪ねえさんは、私たちより一足早く宮コーに入社して、ずっと昭仁会長の秘書をしてた。

だから凪ねえさんと佐恵子さんとは幼少のころから公私で付き合いもあった。

私も佐恵子さんちに、しょっちゅういたから凪ねえさんのことは良く知ってる。

急にこの作戦に参加してくれたのは、本当に心強い。

抱きしめたら折れちゃいそうなぐらい細いのにね・・。

それにしても凪ねえさんは、年齢の割に見た目はすごく若い。

凪ねえさんだけじゃなく脳領域の開放してる人ってみんな見た目ってかなり若い。

私はもだけど・・、もちろん菊一事務所の人たちだって見た目若いし、あのエロ先生の栗田先生も言わなきゃ60を超えてるなんてとても見えない。

実際、あのエロ先生のエロに対するアグレッシブさは、中学生かよ?ってぐらいに旺盛だし、見た目だけじゃなく私たちって性欲も旺盛なほうなのかも・・・。

どうも昨日久しぶりのSEXした時に思ったんだけど、やっぱすごく気持ちいいのよね。

美佳帆さんたちとこっそりそういった下ネタ女子トークしたときに、美佳帆さんがはっきり言ってた。

私たち能力者って感じやすいって・・。

SEXのときって確かに無意識に感覚を限界まで強化しちゃってる気がするし、私たちが感じやすいってのはたぶん間違いない。

昨日、私、気が付いたら全力で感じようと能力解放しちゃってた・・。肉体とは別の感覚の方を・・・。

無意識にしてるってどんだけ飢えてるの?ってちょっとショックだけど、まあせっかくするんだし気持ちいい方がいいよね・・。

まあ、その話はその辺にして・・・。

これはエロ先生曰くなんだけど、私たちが若く見えるのは身体の活性化をしてるし、ストレスによる細胞の酸化にも強いかららしい。

脳をたいていの人が使え熟せていない領域まで使えるようになったのは、いろんな意味で人生が変わるほど好転したんだけど、この見た目の若さを維持できるって言うのはかなりでかい。いやマジで。感じやすいっていうのもいいと言えばいいけど、女である私たちにとっては見た目若い時期が長く続くって恩恵マジでかいんです。

私が熟女枠って勝手に言ってるややオープン気味なエロ人妻の美佳帆さんも、言わなきゃまさかアラフォーだなんて、絶対誰もわかんない容姿。

美佳帆さんって、小柄なせいもあるけど20代半ばって紹介されても全然違和感ない。

実際は38だけど・・。

その見た目だからこそ、生足丸出しのホットパンツ姿、脇も見えちゃうカットソーなんかでうろついてても許されるってわけ。

まあ、けっこう肉付きはいいけど20代のルックスに熟女の妖艶さを兼ね備えた美魔女って感じだもんね。

実際は38だけど・・・。

あ、大事だから二回も言っちゃったわね。

え?わたしは29なんだけどね。

まあ、美佳帆さんは喋り出すと、んん??20代の乙女っぽくなくない??めっちゃしっかりしてるし、矛盾点も容赦なく指摘してくるから、何も知らないで美佳帆さんに話しかけたおっさん達は、面食らうみたいだけどね・・、なんだかすごくマニアックなこととかやたら詳しかったりするし・・。

だって探偵なんてアウトロー家業で海千山千の経験してるんだもん。

そこは、なみのアラフォーとは違うわけですよ。

だから能力者である凪ねえさんも、若くみえる。大学卒業したてぐらいかな?って見た目。

この澄ました顔の凪ねえさんも能力者ってことは、例に漏れず感じやすいはず・・って感じで見ちゃうけど、きっとそう。

こういうのって男が知ったら燃えるんじゃない?

この涼しい顔した女、超アへ顔にしてやんぜ!ってノリで・・。

まあ、知られてないなら問題ない。いままで、そんな男いなかったし。

昨日の着流し男は知ってたのかもしれないけど・・。

でも、私の正体を知って近づいてきたわけじゃなさそうだし、やっぱ違うかも・・。

まあ、私たちも若く見えるからそう言う意味では苦労するときあるんだけど・・。

だから普段からメイクも服装もきっちりパリッとしちゃうんだよね。

それに二つ名を持ってるように、凪ねえさんは宮川十指に数えられる一人でその強さも折り紙付き、会長の秘書兼ボディガードでもあるんだから当然よね。

凪ねえさんがまともに敵と戦ってるのを見たことないけど、摸擬戦で戦ってみても私とはとんでもなく相性悪くって、触るどころか近寄らせてももらえないうちから、糸でぐるぐる巻きにされて完封されちゃう。

そう、彼女の武器の一つがオーラ状にした糸。

それがとんでもない量、とんでもない速度、とんでもない粘着力を持って飛んでくる。

あ、モノホンの蜘蛛みたいにお尻からじゃないよ?手からだよ?

あとはオーラを複数の毒にも変化させられるみたい。

糸でぐるぐるに巻かれて動けないところに毒を注入だなんてエグすぎませんか?

さすがに模擬戦では毒のお注射はされないけど・・。

でもそれが、凪ねえさんが蜘蛛と呼ばれる所以。

彼女が身につけている真っ白に揃えられた服は全て彼女がオーラで作成した糸で作られたもの。

佐恵子さんが普段着によく着ている服は実は凪ねえさんがつくってあげたモノ。

すごく軽くて暖かい上に超頑丈で、手触りもすんごく良い。

羨ましい・・・私もほしいけど、糸で服を作るのは大変らしくて、凪ねえさんも、もっぱら自分の分しか作らないみたい。

そんな凪姉さんが僅かに非難がましい表情を浮かべているので、ちゃんと断っておく。

「そうですね。凪ねえさんがいるのなら安心です」

そう言った私に凪ねえさんは満足したのか僅かに非難がましかった表情を普段どおり無表情にもどして、無言で肯首を返してくれた。

「凪ねえさま。こんなところまで来ていただいてお手間をおかけいたしますわ。配慮も感謝してますと佐恵子が言っていたとお父様にお伝えください。加奈子も凪ねえさまがいるから安心してますわ」

佐恵子さんのセリフにも、少しだけ微笑んで肯首しただけで言葉は発しない。

凪ねえさん、いつも通りマイペースだなぁ・・。

それにしてもヘリから飛び降りて行っちゃった3人。

美佳帆さんはわかるよ。愛する旦那様が罠に嵌められたんだもん。

一刻も早く駆け付けたいよね。

いや、姉弟でもわかるよ?弟の窮地だもん心配だよね。

でも見た目、知的マックス!出来る女のオーラマックス!って感じだったあの女医。

ギャップありすぎだっつーの・・。

いきなりヘリのドア開けて一番槍は貰った!って勢いで「宏ちゃーん!」て叫んで飛び降りて行っちゃうんだもん。

あんな上空でドアを開けるもんだから、ヘリの中が突風で荒れる荒れる・・。

菊沢姉の行動に慌てて続くエロ先生と美佳帆さん。

まあ、一刻を争うのはわかるけど、まだ地上まで100mぐらいあったのに・・。

菊沢姉は今後ブラコン女医と呼ぼう。

佐恵子さんと凪ねえさんが私の顔をじっと見てる。

あ・・、私の返事を待ってるのね。

「ええ、もちろんです。わかりました」

そう了承した私の顔は、少しばかりしかめっ面になってしまっていたかもしれない。

凪ねえさんがいるから、下手な能力者のモブがいても大丈夫だとは思う。

それに、モブに敵の反撃を警戒しながら、捜索をするなんてマネができないわよね。

だからこういう状況でモブを敵陣に突っ込ませるのは無謀だって佐恵子さんも判断したんだわ。

あんなにダメダメだったモブでも、いまはそこそこ成長してるけど、私から見ても不安。

私と真理の愛のムチである「可愛がり」のおかげで、ダメダメモブもそこそこ・・いや、ほんのちょっと使えるようにはなってる。

でも正直なところ、冗談抜きでまだ私や真理にはまったく届かない。

わかってるけど、未熟なモブに佐恵子さんの身辺を任せなきゃいけないなんて・・、真理やメガネ画家は治療がつかえるから来てもらわないきゃいけないってことも分かってる。

なんせモブのせいでたった数か月前、佐恵子さんが死にかけたこと忘れてないんだからね。

「モブ。凪ねえさんの足引っ張らないでよ?支社長になんかあったら・・わかってんでしょうね」

一番モブの被害にあった佐恵子さんが許しているのだから、私も水に流すべきなんだろうけど、モブに対してどうしても時々言い方がとげとげしくなっちゃう。

それはしかたない。だってモブが悪いんだもん。

まあモブに凪ねえさんの脚が引っ張れるわけがないけどね・・・。

でもモブの【複写】能力が凪ねえさんの糸みたいな他の人が真似るのも難しそうな技能でも【複写】できちゃうのかしら・・?

うーん、そのあたりは真理がまたモブのことをモルモッ・・げふん!げふん!実験して検証するって言ってたわね。

「任せてください!社長のことバッチリ守ってみせますから!」

真理の愛のある思惑?と私の気持ちもしらないで、底抜けのバカみたいな顔で言っちゃってる。

「加奈子、わたくしは大丈夫ですから。菊沢部長たちの救助を最優先して。逃げる敵は放っておきなさい。菊沢部長たちの安全確保ができたら樋口勝と盗難ディスクの確保よ。さあ!行動に移ってちょうだい!」

たしかに問答している時間はない。

私が色々思ってたけど、腕時計のデジタル秒針は私たちが到着してから100秒も経ってない。

「わかりました!真理!そっちはお願いね!」

そう言い信頼できる同僚に声を掛ける。

「ええ!加奈子も気を付けてね!じゃあ佐恵子、私たち行くわ。公麿行きましょう!」

「ええ!真理さん!」

いつの間にか名前で呼び合ってるし・・。

さっきまでイチャイチャしてた男と一緒に行動できるなんて、イイね!きっと息もぴったりだったんでしょうね?!

よっぽどメガネ画家と相性がよかったのか真理の顔があまりにもツヤツヤしてたので、ついと心の中でそう叫んでみる。

当の真理は私の心の中の声を知らず引き締まった顔でそう言い、普段警備部門に属している八尾さんの部下を引き連れて駆け出して行った。

「こっちも行くわよ!」

気を取り直して振り返ると、私は班の人員にはっぱをかける。

私だって、昨日バーで超イケメンに声かけられたんだから。ちょっとファッションセンスはどうかなって思うけど・・・。久しぶりにみだれちゃった。・・・彼、ナンパ師だからもう会えないってことを考えると、私ってちょろくいただかれちゃったってことなのよね・・。・・チッ、やっぱ真理のとは大違いじゃない!

そう悪態を付いてみるも、表情には出さず楠木咲奈と雨宮雫を伴い、警備部門の15人を引き連れ駆け出す。

咲奈や雫の力量からすれば、前線じゃなくて佐恵子さんの側に残った方が良いと思うんだけど、雫も咲奈もオルガノの一件でモブには思うところあるみたいだしね・・。

そりゃあんまり一緒にいたくないか。

佐恵子さんもそれはわかってるみたいで、少しずつ時間をかけてその蟠りが解けていけば、と思ってるみたいだし・・。

「稲垣主任!神田川主任ほどじゃないけど私も治療できますから!」

私の後ろを駆けてる雫が健気にもそう言ってくれる。

「うん!その時はお願いね!」

笑顔で振り返ってそう言ったものの、雫にそれをさせちゃうと雫が疲労困憊になっちゃうのよね。

まあ、そういう状況の時はそうも言ってられないから、無理してもらわなきゃいけないんだけど・・。

とにかく治療できる人が増えたのは助かるわね。

「ん!」

私は前方の丈の長い草が茂っている林の中に人の気配を認めて、駆けながら右手をあげ後ろの咲奈と雫に合図を送る。

「見つけたわ。私が突っ込むから。援護して」

そう言って二人の返事を待たずに速度をさらに上げ、一気に距離を詰める。

ちょっと強引だけどこういう時は一気に奇襲よね。

先手必勝!

感に従う。

こと戦闘においては大抵それで合ってる。

「はっ!」

丈の長い草をかき分け、木々を躱し人影に肉薄する。

道もない孤島の辺鄙なところ、しかもこんな時間に気配を消して人間離れした速度で走っているヤツらがまともなヤツなわけがない。

「チッ!!よりによってこいつかよ!ここまできて・・クソったれが!」

狙いを定めた人影の一人を無力化させようと肉薄した瞬間、狙った人影の前を駆けていた気配が急にUターンして、後ろの人物を庇うためだろう、やや強引な迫り方で、私目がけ罵りながら突進してきた。

得物を持たない素手の状態で、両手を右肩付近まで上げている。

見覚えがあるロリ顔。

でも・・、

なにその構え?そんなのでどうやってこの私に有効打を打つって言うの?

そんなのが私に通用しないなんてこと、一度戦ったことがあるこいつならわかってるはず・・。

いかにこいつが優れた能力者で剣士だろうと、私相手に素手とは舐めすぎてるんじゃない?

小柄な体格、以前二本同時に振るっていた刀も手にはしてないし・・。

舐めるんじゃないわよ!私に届くわけないでしょうが!

走りながらタイミングを計り、丹田に力を集中させると必殺の一撃で仕留める為の踏み込み幅を調整する。

「久しぶりだけどさようならね!!」

「舐めんな!【払捨刀】!」

私の必殺の崩拳をゴスロリ女が素手でいなす。

「くぅううううううう!」

「へぇ!素手でも多少はできるんだ?でもいくらなんでも私相手に剣士のあなたが素手ってのは無謀なんじゃない?」

何かの能力で私の拳を避けたみたいだけど、やっぱりあまり素手は得手としてないみたい。

ゴスロリ女は私の拳をいなしきれず、脇腹を押さえている。

私の拳にも、確実にダメージを与えたという確信をもった手応えが伝わってきてる。

「がはっ!・・はぁはぁ・・!かおりん!私に構わないで行って!こいつをやったらすぐ追いかけるから!」

いまのでかなりのダメージを与えたはずなのに、ゴスロリ女は背中に背負った太刀を抜かず、私を睨んだまま背後の仲間に大声で言ってる。

戦う前からすでに負傷してる・・。左腕と左足首・・・。

「沙織!ですがっ!」

「行ってって!!かおりんがいたら、かおりんもなっちゃんさんも斬っちゃうよ!!」

「しかしその数相手では・・!いかに沙織でも」

「いいから行って!このままだとみんなやられちゃう!私、なっちゃんさんやかおりんがやられるところなんて見たくないんだよ・・!行って!・・ね?」

ゴスロリ女は後ろを振り返らず、私を油断なく見据えたまま、負傷した仲間を背負っている長髪の剣士に訴えてる。

大塚マンションで佐恵子さんや真理に致命傷を負わせたゴスロリ・・。

こいつらなんだか切羽詰まってるようだけど、こいつらの事情なんて知ったことじゃない・・。

背負ってるのはたしか千原奈津紀ってハム女ね・・。

・・グラサンたちにやられたのかしら。

でもあのハム女をあんなにしちゃうなんて・・。

やっぱグラサンしかいないよね・・。

私が、手が付けられないぐらいヤバかったハム女を・・。

あんなボコボコに・・。

でもこのゴスロリも佐恵子さんが言うにはハム女並みのオーラ量だって言ってたわ。

佐恵子さんと真理を黒ひげ危機一髪のゲームよろしく穴だらけにして、真理の首を切断した女・・!

「沙織・・!先に行ってます!必ず来てください!」

私の殺気が膨らんだの察知されちゃったか・・。

長髪女・・ゴスロリ女を切り離した・・・。

賢明。さすが高嶺ね。隙なんてそうそうみせてくれない。

そのまま、行く行かないのやり取りして隙だらけになってくれてたら良かったのに。

「あっ!逃がすか!」

ぐったりしたハム女を背負った長髪の剣士を追おうと咲奈と雫が色めき立つ。

それはヤバい!

「ダメよ!!追ったら!」

私の制止が予想外だったのか、咲奈も雫も驚いてこっちを見てる。

「いまの私たちに二兎追う力はないわ。そのぐらいこいつらって強いの。咲奈、雫・・追わないで。追ったら確実に死ぬわよ?」

「え?!・・は、はい」

とりあえず納得してくれてよかった・・。あの長髪剣士も負傷していたけど隙が無い動きだった。

さっきの長髪剣士相手でも、咲奈や雫じゃ問題なく返り討ちにされちゃうってのがわかるぐらいには差がある・・。

「銀獣。私だけで我慢しろよ。・・・ただ、私もむざむざとやられたりなんかしないよ。私だって六刃仙の端くれだからね!・・こうなった以上一人でも多く連れていく!」

ここでようやく得物を抜くべく、右手で背中の太刀の柄を掴んでゴスロリが凄む。

やっぱりいつもの脇差二刀じゃない。

太刀も使えるのね。

「言うじゃない。でも私、あんたが佐恵子さんや真理にしたこと忘れてないわよ。この拳でその可愛いロリ顔を、無様に凹ませあげるわ」

「やれるもんならやってみろよ!・・・1日に二回の発動は初めてだけど・・・持つかしら・・。でも・・・敵の手に落ちて屈辱を味わうより、意識ないままやられたほうが幸せかもね・・」

ゴスロリ女が悲壮な顔で何か意味不明なことをぶつぶつ言ってるけど、こっちのやることは決まりきってる。

この凶悪なゴスロリ女をぶちのめすだけ。

「咲奈、雫、手出し無用よ。下がってて」

咲奈も雫も心配そうな顔してこっちを見てきてるけど、今は無視・・。

だってこのゴスロリ、腕と足を負傷してるみたいだけど、咲奈や雫のウデぐらいなら負傷のハンデがあっても瞬殺しちゃうぐらいには強い。

あくまで咲奈と雫は回復係としてって佐恵子さんも言ってるしね。

「ふん・・。一対一が希望ってわけ?情けのつもり?まあ・・私には・・もう関係ないんだけどね・・」

なにやら意味深なことを言うゴスロリもすでに逃げ切れないのは悟ってるってわけね。

だからこそ私も油断しない。

手加減なんてもってのほか。

全力で叩き潰す。

消耗を避けるためにも、150%のオーラ全開で一気にぶっ潰す!

「全開よ!」

どくん!と一気に体中に力が漲り、髪の毛が銀色になって逆立つ。

「もって・・!こいつらを全滅させるまでは・・!【夢想剣】!」

ゴスロリ女の姿が消えた。

いや・・速い!!

抜刀と同時に踏み込んで振り下ろし!

ごがぁ!!

さっきまで私が立っていた地面が抉れる。

最初から150%の全力で能力解放したおかげで何とか回避できたけど・・!

そうじゃなかったら今ので・・!

背骨を氷が伝うような悪寒が走る。

な、なにその威力??!速度もパワーも二刀の時と比べ物にならないじゃない!!

地面が抉れたのは音でわかったけど、目で改めて見ると抉れ方が想像を超えてる。

「あああああああっ!!」

このゴスロリ女の目・・明らかに正気じゃない。

さっきの夢想剣って意識を犠牲にして目の前にいる敵を殲滅する能力?

だとしたら・・!

「咲奈!雫!みんなも下がって!!」

「でも!!」

「さがって!今のこいつの動き見えなかったでしょ?!気が付かないうちにあの世行にされちゃうわ!さがって!」

理解してくれたみたい。

咲奈と雫が警備部門の男たちと一緒に距離をとりだしてくれた。

ちょっと厳しい言い方かもしれないけど、私も今は言葉を選んでいられない。

「ああああああっ!」

ゴスロリ女は太刀を両手で構え容赦なく振り回してくる。

振り回すと言っても、さすが剣士というべき体裁き。

返す刀も攻撃、踏み込みの歩幅すら計算した、洗練された連撃につぐ連撃。

此方の攻撃もかわすか防ぐし、決定打を与えるどころかかすりもしない。

それはゴスロリの攻撃もおなじだけど・・。

どっちの体力が先に無くなるか、どっちがミスをするかにかかってるわね。

上等じゃない!

グラサンたちを探すのが最優先だけど、こんな状態になったゴスロリを放置するのは危険すぎる・・。放置は無理・・!

雫達だけで捜索させるのも不安過ぎる・・。

こうなったらこいつを確実に仕留めちゃったほうがいい。

佐恵子さんもこの状況だときっとこの判断を下すはず。

それにこのゴスロリ女が佐恵子さんや真理にしたことを考えても許せない。

ぜったいに仕留める!

仲間の為に捨て駒になるのは見上げた根性だけど、そんな捨て身の攻撃にやられたりしない!

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一方神田川真理と北王子公麿率いるグループでは、先行していた宏の実姉である菊沢宏、妻の菊沢美佳帆、栗田教授と合流出来ていた。

「もう!宏ちゃんから離れなさいよ!ミカちゃんも何とか言ってやって!」

「にゃぁー!?ちょっ!?・・痛たたたた!マジ痛い!!し、死んじゃう!!」

「さ、さとちゃん!その子も大怪我してるみたいだしとりあえず治療してあげてから」

「あ!教授まで来てくれてたんですね!ね、姉ちゃん・・その子には命救われたところなんや。お礼言うてもそんな脚掴んで引っ張りまわすなんて・・止めてやってくれや」

「あ・・あら!そ、そうなの?!ごめんなさいね!てっきり宏ちゃんを毒牙に掛けようとしている悪い虫だと思っちゃったから・・」

「この状況でどんな虫がくるんや・・。来てくれたんはホンマ助かったけど、姉ちゃんちょっと落ち着いてくれや。」

「きゅぅ~・・ほんとに殺されるかと思った・・」

「お、お、落ち着いてるわよ宏ちゃん。ああ、こんなに怪我をして・・。先生!手伝ってください!」

「ほっほっほ・・。相変わらず美里さんは宏君のこととなるといっつもこうですねえ」

「先生ありがとうございます。ねえちゃんも治療マジでたすかるわ。・・美佳帆さん、無事やったか?紅蓮になんかされたんとちゃうんか?」

「うん・・私は大丈夫。こっちこそ宏・・心配したんだから!・・ジン君も駆けつけてくれたし、宮川さんにも助けてもらっちゃった。紅蓮は霧崎捜査官に逮捕されて連行されてったの。それにスノウたちは病院にいるけど無事だよ。霧崎捜査官に治療してもらったからみんな無事。宏が心配するようなことにはこっちはなってないから安心して?」

「そ、そうかぁ・・みんな無事か。さすが美佳帆さんや。ジンの奴にデカい貸しつくってもたな・・。あいつが要求してくる報酬ってけっこうシビアやからなぁ・・」

「いいじゃないのよ。ジン君が来てくれなきゃ、私絶対に死んでたんだから」

「そ、そんな状況やったんやな・・!今回ばっかりはジンに要求ちゃんと飲んだろか」

「うん。帰ったら美味しいお酒浴びるほど飲みましょ?和尚とモゲも連れて皆でね」

「ああ、あいつ等連絡つかへんねん!探しにいかんと!」

「あらかた治療できましたな。傷は治っても体力やオーラは回復しませんからな。もう少し体力が回復したら再度治療しますが、宏君今回はまたずいぶん無茶な戦い方したようですねぇ・・」

「申し訳ないです・・。なりふり構ってられんで・・・、二人も女に手かけてしもたんです・・・。教授の教えに背くことになってもて、ほんますんません・・」

「いいのですよ・・・。宏君がそこまで追い詰められたのです。私は宏君がそうまでして生きていてくれたほうが嬉しかったですよ。それに、その女性達の覚悟に答えてあげたくなった・・というではないですか?」

「やっぱり教授には敵いませんね・・。そうなんです・・。この刀も、やった女の一人に渡されたもんなんです」

仰向けに倒れていた樋口勝をチタン製の手錠で拘束し終わった真理は、彼らのやり取りを見やりながら、通信を飛ばす。

「佐恵子。菊沢部長は無事よ。あと樋口勝の身柄も確保したわ。でもディスクは見る限りだとアタッシュケースごと破壊されたようですね。こなごなに砕け散ってます」

「宏さま無事でしたのね。良かったですわ・・。樋口も生きていたとは驚きです。取引後にすぐ消されるのではと思ってましたが、取引自体宏さまがつぶしてくれたようですね。樋口がまだ生きているのであれば、あとで聞きたいことがたくさんありますわ。樋口を引き取りに人員をむかわせますから、真理達は引き続き哲司さまたちの捜索を続けて」

「わかりました」

短くそう言い通信を切って公麿のほうに向かって笑顔で頷く。

公麿も栗田教授と菊沢美里さんにダブルで治療を受けた菊沢部長と、笑顔で言葉を交わしていたが、私の視線を感じたみたで笑顔を返してくれる。

カッコいい・・。

なんで初対面の時は「なかなか愉快なやつ」なんてフォルダにぶち込んだのかしら・・。

私の選別眼もまだまだね・・・。

それはともかく、丸岳部長から聞いた潜入ルートだと島の北西側の海岸線から、菊沢部長達は侵入してきたはずよね・・。

豊島さんや三出さん達はどこへ・・・?

「菊沢部長。ご無事でなによりです」

ここは菊沢部長に聞くのが一番と思い声を掛けてみる。

彼らがすでにやられちゃってるってことはないと思いたいんだけど・・。

その可能性も捨てきれないわよね・・。

衛星での画像じゃ三出さんは海に・・、豊島さんは途中から急に映像で確認できなくなっちゃったのよね。

「神田川さんか。あんたも来てくれておおきにな」

床に座ったままこっちに顔を向けた菊沢部長。

「いえ、お礼なんて、駆けつけるのが遅くなってお詫びしなくてはいけないぐらいです。で、さっそくですけど豊島さんと三出さんは・・・?」

最悪の事態を想定してはいるが、そうであってほしくはない。

「わからへん。途中からぜんぜんこの通信機役立たずになってもて繋がらへんねん」

「そうですか。ではさっそく私たちは北西側の海岸線をしらみつぶしに捜索してきます」

最悪の答じゃないけど、いわゆる行方不明って訳ね。

「真理さん!急ぎましょう!」

公麿もそう感じたみたい。

「真理さん。私も同行しましょう」

「栗田先生・・!助かります」

正直ありがたい。戦力としても治療人員としても先生を上回る人は今回の救援部隊にはいないと思う。

会長が蜘蛛を派遣してくれたけど、蜘蛛でも栗田先生には敵わないと思う。

そんな最高戦力の先生がついて来てくれることに素直に喜んじゃうわね。

先生も素敵な笑顔で頷いてくれてるし、こんなに歳が離れてても男性を意識させられるのってすごいことよね。

公麿もとってもいいんだけど、先生も常に私を女として見てくれてる節がある・・。

貞操観念って本当に面倒・・。

「真理さん!行きましょう!哲司君やモゲ君も負傷しているはずですよね!」

公麿の言い分ももっともね。

「ええ、急ぎ行きましょう!」

そう言って、公麿と栗田先生が私について来てくれるのを背に感じ倉庫のドアに手をかける。

菊沢部長も行きたがってるみたいだけど、オーラも枯渇してるみたいだし、なにより命に別状はなくなったといっても、まだまだ重症の菊沢部長をお姉さんが治療を続けたがってる。

「教授!公麿!真理さん!頼んだで!俺ももうちょっと姉ちゃんに回復してもろたら行くから!」

うしろから菊沢部長の声に反応して笑顔で頷いておく。

ぶっきらぼうを装ってても本当に仲間思いなのよねあの人・・。

でも、・・・サングラス外した菊沢部長の顔って初めてみたけど・・・かっこいいわね・・。

佐恵子が意識しちゃうのもわかるわ・・。

ウブな佐恵子には豊島さんをくっつけちゃったけど、これはこれで面白い展開よね・・。

菊沢部長を殴ってサングラスを壊しちゃったって喚いてた佐恵子に、あのヴィンテージサングラスを用意してあげたんだけど、菊沢部長は佐恵子に何も感じなかったのかしら?

脈なし・・・?

佐恵子も美人だけど、好き嫌いはっきりされそうな顔と体形と性格してるものね・・。

うーん・・。

でも、かなり想いの籠ったプレゼントだって、伝わらなかったのかしら・・・?

菊沢部長って、あんなに頭の回転早いのに鈍いのかしら・・?

それとも単純に佐恵子には興味ないだけ?

となると思いのほか手強いわね・・。

まあ、佐恵子も少しずつ私好みに変わってきてくれてるし、じっくり楽しませてもらおうかしら。

宮コーを発展させるのはもちろん手伝ってあげるけど、お堅い佐恵子をだんだん溶かしていくのも面白いのよね。

佐恵子って、たぶんああいう立場じゃなかったら相当男に貢いで尽くしちゃう女でしょうからね・・。

それに冷静付与がないと堪え性のないむっつりなエロっ子だし・・。

出会った頃は自慰すらしてないみたいだったけど、最近はよくしてくれるようになったわ。

公麿の【自動絵画】で時々探ってたけど、けっこうコレクション溜まったのよね。

あのウブな佐恵子があんなに自慰するようになるなんて、ぜったい豊島さんと付き合いだしたのが原因だわ。

でも先日の拷問じみたSEXには驚かされちゃったわ。

さすがに破局しちゃうかと思ったけど、まだ大丈夫そうね・・。

豊島さんあのあとすぐこの作戦に加わっちゃったし、帰ったらちゃんと佐恵子のことフォローして機嫌とっておいてよね。

そうじゃないとさすがに佐恵子のほうが逃げちゃうわ・・。

風俗で磨いたテクニックに期待してたんだけど、あんな拷問じゃなくてじっくり開発してあげてくれないかしら・・・。

でも私が公麿とは良い仲になっちゃったから、今後はもっと色々試せるわね・・本当に楽しみ。

目の移植手術のせいでオーラがすぐ枯渇しちゃうから、佐恵子1日全部冷静付与でカバーできないから、だいたい22時以降はむっつりモードなのよね。

だから今がいろいろできるチャンス・・。

表向きは財閥直系一族で、強権をもったクソ真面目女が、プライベートは爛れてるっていうのなんだか燃えちゃうわ。

まあ、私も似たような立場なんだけど・・、私だけじゃ不公平じゃない?

佐恵子も快楽覚えて堕ちてきなさいよ・・。

もっとも、オモチャは壊しちゃったら元も子もないから、私好みなエッチな淑女にしてあげますね、佐恵子。

「真理さん!どうしたんですか?笑ったりして?」

びっくりするじゃない公麿・・!

「ううん!何でもないわ!そろそろ豊島さんの映像が途切れたところに着くわ!豊島さんがいないか注意してて!」

「わかりました!」

・・・顔に出ちゃってたのね。

あぶないあぶない。

せっかく楽しいボジションまできたんだから、じっくり楽しまなきゃ。

「真理さん!いましたあれが哲司君では?!」

「どちらです?!」

生きてそうね!

そうでなくちゃ困るわ。

「豊島さん!もう少しの辛抱です!今治療してあげますからね!」

ロダンの考える人みたいな恰好で蹲ってる豊島さんに向かって、全力で【治療】の光を振りかける。

「哲司君!もう大丈夫です!真理さんと栗田先生には及びませんが、私も治療します!」

公麿も私に続き、栗田先生もそれに続いてくれた。

これで、一命を取り留めるのは間違いない。

3人がかりだと、すごい楽・・。

豊島さんの刀傷がみるみる塞がっていくのが、見ていて気持ち悪い・・。

なんて言ったらちょっと悪いかしら・・?

「おぉ・・公麿まできてたんか?神田川さん、栗田先生たすかります。あの二刀女は?二刀を握りつぶしたら、急に一刀流になって・・そしたら、二刀のときとは比べもんにならんぐらい無茶苦茶強うなって、手におえへんようになってしもたんや。・・・咄嗟に【鉄塊】で防御してもうたんやけど、こっちも動かれへんようになるし、二刀女は動かへん俺を敵と認識できんみたいでどっか行ってしもたんや・・。あんな勢いで暴れまわられたらちょっと堪らへん。あんな奴ほっといたら被害がひろがりまくってまう。どこいったんや・・?まだあいつあの勢いで暴れてんのか?」

一気に意識がもどった豊島さんが、たぶん私の胸に穴をあけ、首を切断してくれたゴスロリ女のことを言っているのだと推測できる。

あの女、なにか奥の手っぽい技を持っていたのね・・。

でもあの私と佐恵子2人がかりでも殺されかけた凶悪なゴスロリ女を1人でまともに戦い生きているなんて、さすが豊島さんね。

でも、倉庫のアジトも、さっきからひっきりなしに入ってくる通信の情報だと慌てて逃げ去ったあとがあるって言ってたから、高嶺の剣士たちも引き上げたんじゃないかしら?

敵の逃走ルートとすれば、北側の港からぐらいしかないと思うんだけど・・。

そっちは加奈子たちが行ってる。

佐恵子は深追い無用って言ってたけど、加奈子とあのゴスロリ女が鉢合わせたら、加奈子の性格じゃたぶん立ち向かうでしょうね・・。

通信して様子聞いてみますか・・。

「加奈子!豊島さんも見つけたわ。そっちはどう?!」

「ザザッ・・、交戦中!手が離せない!」

やっぱり・・!

「高嶺のゴスロリ?」

「ええ!もうすぐ終わるから後で連絡する!ブツッ!」

「待って!・・」

もう!切っちゃった!

「稲垣さん戦闘中か?!ゴスロリと?!不味いんちゃうか?なんぼ稲垣さんでもあいつに勝てるなんて思われへん!」

豊島さんがそう言うなんて、ゴスロリの奥の手は…そんなになんだ・・。

佐恵子も豊島さんのオーラはほとんど菊沢部長と遜色ないって言ってた。

ひいき目に見ても、豊島さんのほうが加奈子より強いはず・・。

豊島さんが防御に徹して勝負を捨てちゃうほどの相手に、加奈子で勝てるのかしら・・・?!

勝てないわ・・。

「加奈子の援護に向かいます・・」

「わたしはどっちに行ったほうがいいですかな?」

こんな状況でもとり乱さない・・。さすが栗田教授。

柔和な顔で、的確なことを聞いてくれる。

女性ならこの落ち着いた頼りになる雰囲気に飲まれちゃう人おおいでしょうね・・。

「佐恵子は潜入した3人の救助が一番の優先事項だと言ってました。栗田教授は豊島さまと一緒に三出さまを捜索しいていただいて宜しいですか?」

「ええ、わかりましたよ」

「お願いします。公麿!行きましょう!」

「はい!哲司君、栗田先生、モゲ君をよろしくお願いします。映像だともう少し行った海岸から海に落とされたところまで確認してます。・・・すごい攻撃を直撃させられてたんですけど、モゲ君なら・・きっとまだ・・・お願いします!」

「豊島さんはまだまだ体力が回復してませんから、三出さんの捜索を」

でも、豊島さんはどうやら私たちと来たいみたいね・・。

「せやけど、あの女むちゃくちゃ強かったんや。俺も行ったほうが・・」

やっぱり・・でもね。

「いえ、加奈子のほうはこちらが引いて撤退するか距離をとれば解決しそうなきがしますから、私たちだけで大丈夫です」

目の前で防御系の技能をつかって動かなくなった豊島さんならわかるはず。

きっとゴスロリは意識を飛ばしちゃうような技能で、能力を強化してるってことに。

たぶん佐恵子の奥の手【自己操作】と同じ系統の技だと思うわ。

まあ、佐恵子は魔眼のせいでオーラが膨大でオーラが自動回復してるから、敵にとったら大変な技能なんだけど、今の佐恵子のオーラじゃ死に技能もいいとこよね。

意識を犠牲にして強化してるんなら、オーラが枯渇するまで放っておけばいいのよ。

「三出さんは高嶺の主力と思われる剣士の攻撃をもろに喰らったところで、衛星映像では姿が見えなくなったのです。たぶん海に流されてるか・・沈んでるか・・・念動力と強力な治療が使える栗田先生と、泳ぎの得意な豊島さんのほうが捜索には適任です。それに、豊島さんが無事だってこと、はやく佐恵子に・・、豊島さんの口から伝えてあげてください。佐恵子は立場上顔には出さないようにしてるけど、豊島さんのことすごく心配してましたよ」

ちょっとワザとらしかったかしら・・?

「わ、わかった」

わかってくれた。

ものすごく効果抜群・・。

あとは加奈子ね・・。

こっちも無事に回収しないとまた佐恵子が落ち込んで、めんどくさくなるわ。

「じゃあ行きましょう!公麿!」

「ええ!どんな相手でも僕が真理さんを護りますから」

恥ずかしげもなくそんなこと言ってくれたら、ゾクゾクするじゃない・・。

「なんや公麿、頼もしいこと言うようになったやないか・・」

そう言う豊島さんが彼を鍛えてくれたからですよ。

ふふっ・・。最初会った時は変な人って思ったのに・・。

公麿。この島から帰ったら、また続きをしましょ?

公麿に目でそう合図を送ってみる。

・・どうやら表情から察するに公麿にも伝わったみたい。

その為にも、この島からの脱出は大団円じゃないと、心置きなく淫らになれないわ・・。

加奈子。踏ん張りなさいよ?

【第9章 歪と失脚からの脱出 51話 稲垣加奈子と神田川真理終わり】52話へ続く

第9章 歪と失脚からの脱出 52話 キレた銀獣の復讐


第9章 歪と失脚からの脱出 52話 キレた銀獣の復讐

意思通り動けてるわけじゃないの?

経験や蓄積した熟練度はそのままに、通常能力で強化できる筋力や五感の性能を越えて発動する技・・・だと思ったんだけど?

それにしては・・・。

弱すぎる・・。

「うあぁああ!」

無駄。

そんなんじゃ十分な威力を発揮する剣筋にならないでしょ?

足の踏ん張りが足りないし、腰の回転と腕の振りのタイミングがずれ過ぎてる・・。

もうさっきの剣速で振るうには、身体強化が足りないってこと・・。

何がしたかったの?

最初の一撃には正直焦ったけど・・どんどん動きが悪くなっていってるじゃない・・。

ここまでのリスクを背負って発動しなきゃいけないほどの大技じゃないの?

「ねえ!何のつもりなのよ!?」

「あああああっ!」

「ああああっ、じゃないわよ!なにかほかに言えないの?!」

ゴスロリの目・・・。

勝てないと悟って私に怯えてるの?

てことは意識あるの?

不完全発動?

でも戦うのを止めようとしない。

前に大塚さんのマンションの屋上で戦った時は、気味が悪いぐらいの笑顔であんなに手こずらされたってのに・・。

いまのゴスロリ女・・いったいどういう状況なのよ・・。

「ザザゥ・・加奈子!豊島さんも見つけたわ。そっちはどう?」

ん・・真理。

でも今は・・。

「交戦中!手が離せない!」

・・ってほどでもないけど、こいつが私を油断させてるだけかもしれないしね。

「高嶺のゴスロリ?」

「ええ!もうすぐ終わるから後で連絡する!ブツッ!」

グラサンに風俗通いも無事・・、あとはあの油っこい顔の男、たしか千尋さんの彼だっけ・・。

真理達はそのまま千尋さんの彼を捜索してもらったほうが良さそう。

それにしてもゴスロリ・・このままなら自滅しそうだけど、能力を解除しないならこっちも手を抜く気はないわ・・。

って、でももう心配なさそうね。

またその太刀筋。

・・さっきよりさらに遅い。

「ふっ!」

「っぐぁ!」

もう隙だらけ・・。

右膝粉砕。

今の手応えだと脛骨体に深刻なダメージを与えたはず。

勝負あり・・ね。

もう機動力ないでしょ?

左足首の負傷に加えて、右膝も使い物にならない。

それにしても軸足を蹴らせるなんて、以前のこいつじゃ考えられないくらいどんくさい動き・・っていうかもうまともな動きじゃなくなってる・・。

「ああああっ!」

もうっ!しつこい!

「ぎゃう!」

脆すぎる手応え・・。

もう身体にまともな防御も纏ってない。

あっさり折れた。

鎖骨なんて急所砕かれるなんて、ほんとにもうどうしようもないわね・・。

これで両手も上がんないでしょ?

さあ、諦めなさいよ。

「ああ・・ぅうあ!」

「さあ、あなたを生かしておけなんて命令受けてないからね。覚悟しなさい?」

落とした刀ももう掴む握力もないみたいだし、鎖骨は砕いてるから腕もまともにうごかせない。

「あっ!あああっ!」

喋れないのって今使ってる能力のせい?

それしか言えないのかしら?

「まだやるの?」

「あぅ!がああ!」

「しつこいっての。能力解除してちゃんと喋りなさいよ」

アゴにもろに直撃・・。

もう全然ダメね。

こんな蹴りも避けられなくなってる。

本当は最初に見せたスピードとパワーがもっと持続する技能なんでしょうけど、グラサンとかと戦って消耗しすぎて、まともに発動しなかったのかもね・・。

ハム女もあのザマだったし。

菊一の男たち・・やっぱかなりやるのね。

それにしてもゴスロリ・・倒れたらもう立ち上がれないぐらい消耗してる。

でもそんな程度じゃ全然気が晴れない。

「何よその顔?涙流しちゃって、綺麗な顔が台無しよ?まえみたいに笑いなさいよ」

「あぁ!ぐ!ごはぁ・・きゃあ!ぎぎぎぎぎ・・!くっそ!」

踏み付けてる私の脚を、腕の力でもう防ぎきれてない。

でも喋れるってことは完全にオーラが切れて解除されたってことかな・・。

「万全な状態で戦えなかったのは残念だったでしょうけど・・、なにか言い残すことはある?」

「く・・そ・・!と・・とっとと殺せよ!」

イライラするわねえ・・。

このゴスロリ、自分がやったこと忘れてんじゃないの?

「あなた支社長や真理にしたこと覚えてる?」

「な、なんだよ・・!」

「まずこう」

がん!

「ぶっ!」

真理の顔は刀の柄で殴られて、顔に真っ青な青痣がついてたんだから。

いまの私の拳ぐらいの威力だったはずなのよね。

「次にここ」

すぶ・・ぶぶっ!

「いっ!?・・っきゃああああっ!・・・・っ!ちくしょう!!」

硬度を増した人差指で折れた左鎖骨のすぐ上を付き刺してあげる。

真理はこの状態で首を半分ぐらい切断された佐恵子さんの治療をさせられたのよ?

「なに喚いてんのよ。あんたはこの状態で治療しなくて良いんだから、真理が味わった苦痛より随分マシなのよ?」

「くぅ!うううう!ぎ、銀獣!・・こ、殺せ!もう殺せ!」

「殺すわよ。でもまだ話の途中。あなた次に何したか覚えてる?」

「な・・?・・ぐっ!まさか!・・てめえ・・!」

「次にあんたが佐恵子さんにしたこと覚えてるのか?って聞いてんのよ!」

「し・・しるかっ!」

「まあいいか。別に覚えてなくても。でも私の手刀じゃあ再現しにくいから・・どうしようかな」

あ、いいのがあるじゃない。

カチャリ。

「ひっ!・・ち・・ちくしょう!ちくしょう!」

その反応、何したか覚えてるじゃん。

「刀のことなんて知らないけど、これってかなりの業物なんじゃないの?・・このあたりかな?」

「ひ、一思いに殺せよ!た・・たのむ!」

「好き勝手ほざいてんじゃないわよ。・・・それに、自分の刀でさあ。ぶっ刺されるのってどんな気分なの?」

「・・ぎ、銀獣ぅ~!」

「まだ刺されてないからわかんないよね?じゃあ後で感想聞くから」

ずぶううううう!

「ぎゃあああああああああぁぁ!!」

佐恵子さんのあの傷・・肩口から肺に達して刺さってた。

でも普通に刀を刺しただけじゃあんな傷口にならないのは見たらわかる。

だから、あんたがこの状態から何をしたのかもよく知ってる。

ぐりっ!

「ぎっ!!!!!!っ!!ごぼっ!・・・っ!がっ!ごっぼ!・・っ!」

「痛い?こうやって刺した刀を回転させたでしょ?佐恵子さんも同じぐらい痛かったのよ?・・くるしい?肺に血液が流れ込んで呼吸ができないよね?佐恵子さんもそれをあじわったの。喉に血が逆流して苦しいでしょ?・・自分の血をたっぷり味わえてる?・・・で?感想は?」

「ごぼっ!・・・」

「ごぼっ!じゃないわよ。感想は?って聞いてんでしょ?」

まあいいわ。

これで終わり。

最後にあんたが真理にしたことそのままやってあげる。

真理は運よくエロ先生に助けてもらえたけど、あんたはそのまま逝きなさい。

「さよなら」

グッ・・!

ぐっ?

え?刀が振れない。・・刀に・・・糸?

これは!?

「な、凪ねえさん?」

何時の間にこんな近くに!

ていうか、なんで邪魔を?!

裏切り?凪ねえさんが?・・あの反則的な強さの蜘蛛が敵なの!?

私の能力じゃ相性が悪すぎる・・・!

蜘蛛の糸に対抗できるのなんて、くそびっち紅音の炎ぐらいしか・・!

はっ!?

蜘蛛がここにいるってことは?佐恵子さんは?!

モブなんかに蜘蛛が止められるはずがない!!

でも、凪ねえさんが佐恵子さんを襲うなんてありえない・・!

凪ねえさんは会長の直属の部下よ?!

どういうこと?!

蜘蛛は佐恵子さんともあんなに仲良しなのに?

何故?!

「・・・?加奈子。命令」

「え?」

凪ねえさんの目、怒ってる?

何に対して?

「・・・何をする気?」

それこっちのセリフなんだけど・・。

ゴスロリへのとどめを邪魔したり、それに命令って?

もっとちゃんと喋ってよ凪ねえさん!

「えっ?い、いや・・命令って?誰の?」

がんっ!!

「ぶっ!??」

痛ったーーーーーい!!

い、石?

どこから?

「頭を冷やす」

いまの凪ねえさんがやったの?

こんなでっかい石どこから?!

あ!後頭部ものすごく大きなたん瘤ができてる・・!

「私に殺気を向けるなんて、普段だったら許さないところ」

な、なるほど。

私が凪ねえさんに殺気を向けちゃったこと超怒ってんだ・・・。

「す、すいません凪ねえさん!私、気が昂っちゃってて」

「もういい。それより命令。殺すなって」

「命令って・・さ、佐恵子さんからですか?」

コクリ。

怒った顔のままでの肯首。

怖え・・!

いつも無表情か、微笑なのに・・怒った凪ねえさん超怖い。

それもそっか。疑って本気の殺気を叩きつけちゃったんだし・・。

でも・・、ゴスロリを殺すなって。

・・・それを伝えにきたの・・?

真理から連絡を受けた佐恵子さんが、ゴスロリと対抗する為に、凪ねえさんをこっちに向かわせたってことなのかな?

・・捕まえろって命令なのかな・・?

凪ねえさん、もうちょっと詳しく説明してよ!

うっ!・・凪ねえさんの眉間にしわが・・・。

また、石を飛ばしてくる?!

さっき石の投擲、幾ら強化してても痛いから、もうやだ!

「わ、わかりました・・!」

でもゴスロリは佐恵子さんや真理まで殺そうとしたヤツなのに・・。

ん?!

どうしたの?

凪ねえさん?どこ見てるんですか?

「えっ!?戦闘ヘリ?!」

白い光?!

凪ねえさんが避けたのと逆方向に向かって地面を思い切り蹴る。

どがっ!

なに?!これ!?オーラの矢?

「沙織―!」

これを撃ったのはあいつか?!

ガガガガガガガガガガガガガガガガッ!

ヘリからの機銃掃射!

「咲奈!雫!」

私が言うまでもなく避難してる。

よし、それなら・・。

仲間を助けにきたって訳ね?!

で、そのままヘリでトンズラするって計画か。

ちっ!脇役っぽい黒服野郎が固定機銃ガンガン撃ってくる!

それにさっきハム女を背負って逃げた長髪の女、弓矢の能力か!

やっかいね!この距離で相手が上空だとこっちからじゃ手出しが・・!

おおおおお!凪ねえさん!スパイダーネット!?

「【奔雷】!!」

バチバチバチバチバチバチ!

凪ねえさんが飛ばした巨大な投網みたいな糸が、青白い雷で焼き切られ力なく燃えながら地面に落ちていく。

「・・!」

ヘリごと包むみたいに飛ばした蜘蛛投網が・・!

凪ねえさんの糸は火に弱い。

糸の網を焼き払われた上、ヘリからの機銃掃射を受けて凪姉さんが飛び退り、ヘリと距離をとらされてる。

あの雷・・あんなのが出来る奴は一人しかいない!

やっぱりまだいたか・・。

「張慈円!」

グラサンたちもあいつは仕留めきれなかったのね!

「前迫!チャンスは一度だけだぞ!それ以上は本土まで燃料がもたん!それにわかっているな?!」

「もちろんです!いっきに寄せてください!!」

ゴスロリを回収するつもりね・・!させるか・・!

「【弓箭激光】!!」

ちっ!さっきの矢!?こんなに連射できるの?!

「くらえぃ!【奔雷】!」

うざああい!

でもスーツも着て能力強化した私にはそんなのが少々当たってもどうってことないわ!

一気に行く!

みすみす逃がすかっての!!

ガガガガガガガガガガガッ!

ちっ!機銃まで私の方へ向いてる!

「沙織!手を!」

くっ!間に合わない!

虚ろな目をしたゴスロリも最後の力を振り絞って、ほとんど動かないはずの右手をなんとか伸ばしてる!

矢も電撃も銃も何発か貰っちゃったけど痛みはない。

もう少しなのに・・動きが止められる??!

なんで?!

ヘリの風圧?!

くそっ!風圧うざい!

でも風圧だけでこんなに圧される??!

間に合わない・・ああっ!!

・・やられた・・むざむざゴスロリを・・!

地面にたたきつけた拳で、岩石質な地面に亀裂がはいる。

「加奈子!」

らしくもなく慌てて駆けて近づいてきた凪ねえさんの声も残念そう。

え?糸?サイズ採寸ですか?

私が凪姉さんの糸で作った服欲しがってたの、佐恵子さんから聞いてくれたんですか?

でも今採寸?いまは作戦中ですよ凪ねえさん・・?

でも、ま、いっか。今ので敵は全部逃げちゃっただろうし。

凪ねえさんの気が向いてるうちにお願いしちゃおう。

あれ?凪ねえさんって白以外の糸だせたんですね。

赤じゃないですか。

色が付けれるんなら、私的には青がいいんですけど、けっこう濃い青。って凪ねえさん聞いてます?

別にブラが欲しいわけじゃないですから、胸ばっかりに巻き付けないでくださいよ。

ちょっ!?だからって顔とかやめてください!

うぷっ!マスクもいりませんってば!

凪ねえさん製のマスクなんて豪華かもしれませんけど、勿体ないですってば!

希望は佐恵子さんが着てたようなトップスとかワンピが欲しいんです・・。

あれの青バージョンとかいいな。

肌触りがいいからインナーも魅力的なんですけどって・・だから凪ねえさん聞いてます?悪赤いマスクとかどっかの暴走族みたいだからいらないし、セクシーだけど真っ赤なブラもらっても私見せる人いないんですってば・・。

「加奈子っ!!大丈夫?!」

あれ?真理も来てくれたのね?

捜索はもういいの?

私は大丈夫だけどゴスロリに逃げられちゃったのよ・・。ごめん。真理の仇でもあったのに・・。

「じっとしてて!公麿もお願い!」

「もちろんです!」

え?治療?だれか怪我したの?

咲奈や雫まで。

4人がかりって豪華・・って私なんともないんだけど?

痛たたた?!

な?!なに??急に超痛い!!?

「もう少しよ加奈子!」

なにがもう少しなのよ?!痛い!痛い!痛いってば!

「胸と首はふさがったわ!公麿?」

え?だ、だれの胸と首がふさがったって?!

「なんとか!・・砕けてた頬骨も再生できました。すぐに駆け付けられたのと4人も治療できる人がいたから何とかなりましたね。スプラッタ気味になってたのはさすがに肝がひえましたよ・・」

「この穴の大きさだと25mm弾ね・・。9mm弾を想定してるスーツじゃ厳しすぎたんだわ。それに航空機銃の高連射性・・加奈子の頑丈さがあっても・・。・・・まったく無茶して・・もう少しで悲劇になるところだったじゃないのよ!バカ!バ加奈子!もう少し気を付けなさいよ!」

「バカとはなによ!」

わっ!?・・え?真理?

なんで抱き着いて?

真理ってそっち系じゃないでしょ?清楚な顔して肉食系じゃない?こっそり真理が男を時々つまみ食いしてたの知ってるんだから。私の視力や聴力を侮っちゃいけないわ。

それにこんな人前で・・。

なんで私の方が照れなきゃいけないのよ。

「声も問題ないみたいね」

涙目の真理の顔がこんなに近くに・・。

「え?・・・わっ!私血まみれじゃない!?なんで?!」

「もう大丈夫ですよ。傷口はすっかりふさがってます。それにしても危ないところでしたね加奈子さん」

「先輩・・無茶しないでくださいよぉ」

「もうダメかと思ちゃったじゃないですかぁ」

「メガネ画家・・、咲奈、雫・・ひょっとして私・・また死にかけてた?」

真理や凪ねえさんも含めた全員が首を縦に振る。

マジで・・?

・・・・ごめん。

マジ凹むわ・・・。

「あっ!通信!待ってね」

そう言った真理が私にまわしていた手を解き立ち上がる。

「はい・・はい!ではさっそく手配いたします」

真理の様子に全員の目が集中するなか、通信を終えた真理が、目に涙を溜めてはいるものの、ふだんのキラースマイルの笑顔をみんなに向けて振り向いた。

「三出さんも無事よ。さ、撤収しましょう」

【第9章 歪と失脚からの脱出 52話 キレた銀獣の復讐 終わり】53話へ続く

第9章 歪と失脚からの脱出 53話 損失と補填~剣聖凌辱~

第9章 歪と失脚からの脱出 53話 損失と補填~剣聖凌辱~

張慈円率いる新義安は今回の取引で多大な損失を被ったはずです。

取引失敗による莫大な損害、人員の損失、それに組織の信用失墜。

劉幸喜も此度の作戦から帰還していないとのこと・・・。

張慈円は組織に一人しかいない貴重な能力者をも失ってしまったということです。

私自身の敗北が、取引失敗となってしまった一番大きな原因で間違いないでしょう。

御屋形様にあれだけの信頼を頂いていたというのに・・。

己が能力に些か過信があったのは否めません・・。

しかし、あの男と戦いは、私自身もすぐに慢心を改め全力であたらざるを得ませんでした。

結果は・・今さら言っても詮無きことですが・・。

菊沢宏。

いったい何者なのです・・。あれほどの能力者がいままで無名で野にいたとは・・。

御屋形様の力となってくれれば良いものを・・我らの怨敵である宮コーに与してしまうとは、歯がゆいことです。

ですが、それこそ栓の無いこと・・。

ともかく今回の件で張慈円は前金の返還と、契約不履行を理由に多大な請求を高嶺に対して行うはず。

高嶺六刃仙に名を連ねる女剣士が私を含めことごとく負傷し敗走する羽目になろうとは・・。

朗報を届けるどころか御屋形様の顔にドロを塗る結果・・。

殿を務めた沙織も瀕死・・・。

香織も、殿の沙織を回収する際に、敵が放った無数の礫を受けて重症。

私も菊沢宏に敗北し、天穴を突かれ・・・一度は死を受け入れた身・・・。

しかし・・生き残ってしまいました。

死んで此度の失態を御屋形様にお詫びするべきですが・・。

生き残ってしまった以上、今は私にできることをしたうえで、御屋形様に直接処断していただきましょう・・。

・・・刀を失い、能力も使えなくなった私に価値などありませんが、張慈円が私に執心していたかもしれないということが、役に立つかもしれません。

私の貞操で香織や沙織が助かるのであれば安いものです・・。

どうせ殿方の行為など、1時間も持ちません・・。

一瞬です・・。

耐えて・・さっさと忘れるのです・・。

「傷口はふさがったようだが、やはりオーラは使えんようだな」

「張慈円さま、このたびはなんとお詫びを申し上げれば・・」

「ふん。貴様らに護衛を依頼すれば万全なはずではなかったのか?宮コーの能力者など恐れるに足らずとどの口がほざいておったのやら」

「返す言葉もありません」

取引が失敗したということは張慈円、ザビエラ、華僑の倣もいながら、それでも私と戦い負傷していた菊沢宏を倒すことができなかったということですね・・。

私がその3人相手に後れを取るとは考えにくいですが、あの男は想像の外にいすぎました。

いったいどうやってあれほどの力を手に入れたのです。

宮コーがあのような男を擁していようとは、由々しき事態です。

しかし、それも悩ましいことですが、いまは香織と沙織です。

「まあよい。その件は貴様の飼い主に責をとってもらうだけだ・・。しかし、貴様以外の剣士は重症だな・・。特に南川のほうはひどい。いかがすべき・・」

「どうか手当を・・張慈円さまが先ほどおっしゃった条件なら、私は承知できます。どうか香織と沙織を助けてください」

「・・先ほどそんなことも言ったが、袁のやつはここにきて随分と吹っ掛けてきていてな。貴様らの失態のおかげで俺もそう余裕があるわけではないのだ・・。むしろ・・俺が袁に口利きをしてやるから、千原・・貴様が代金を支払うのだ。・・・俺は口利きの手数料として貴様を頂くことにしよう」

下種な・・・、私にも多少の蓄えがありますから、それで支払えますが・・、いまの私には選択肢はありません。

・・私の傷は治ったとはいえ、兼定も無く、オーラも使えない・・。

ほとんど肌をも晒し、無抵抗な私たちを今以上に辱めようとしているということですね。

金銭は私が払い・・口利きの手数料として誠意を見せろと?

普段なら到底承諾しかねますが・・・、役立たずとなり下がった私には・・その程度のこと・・、どうということはありません。

「お願い致します」

不当な金額を支払い、頭を下げ、身体を許す・・・どうということはありません。

「よく聞こえんが?」

頭をもっと下げろということですか・・?これでは足りませんか・・。

この際、私のこういう姿が見たいと・・所望しているのですね・・?

いいでしょう。

「・・お願い致します」

膝を屈しての懇願・・・これでどうです・・?

「モノを頼むのは苦手なようだな」

・・ここまでしても・・?

「お願い致します。沙織と香織に手当を」

手を付き・・額を床につけた・・恰好です・・っ!

コツコツと足音を立てて、わざと私の周りを歩きまわり見下ろしている・・・。

任務とはいえ、私たちは貴方たちの身を、文字通り命を懸けて守ったのですよ・・・?

それを・・・!

「くっくっく・・。はーっはっはっは!いい格好だぞ千原。そのように裸で地面に這いつくばって頭を垂れる貴様の姿もなかなか良い眺めだ!よし!良いだろう!俺も鬼ではない」

「‥ありがとうございます」

顔をあげたところで腕を掴まれ引っ張られる。

「立て!こっちにこい」

「っ!」

「正直貴様を味わえる日が来るとは思わなかったぞ。心配するな。南川と前迫は手当を依頼してやる。貴様の払いだがな。ただ・・前にも言ったが・・貴様のオーラ、天穴をマスターした俺なら治してやれるかもしれん。その為には貴様の体内にあるツボを押さねばならんのだ。くっくっく。別料金になるが試してみるか?」

この身など最早どうなってもいいですが、菊沢宏に突かれた天穴が治るというのであれば・・甘んじましょう。

可能性が少ないとしても、試す価値があります。

御屋形様は張慈円が天穴をマスターしているとは考えにくいと仰ってましたが、もし万一にも張慈円が私の身体を治せるのであれば、まだ御屋形様のお役に立てるかもしれません。

薄汚い部屋、暗い照明、粗末なパイプベッド・・このようなところで・・。

拘束具?・・あの奇怪な器具は・・?

陰茎を模したあんな器具まで・・・、あれで私を辱めるつもりでしょうか・・?

先の提案に頷いた私を、張慈円は私の腕を引き部屋に連れ込むと、その粗末なベッドに押し倒す。

「この豊満な胸、腰の括れ、デカい尻に肉付きのいい太腿。こんなに色香を振りまきながら普段はツンと澄ましおって!・・お高くとまっている割に、普段の貴様の格好は、少々目に毒だったぞ?」

私の体中に手を這わしまわらせつつ、張慈円は日ごろから思っていることなのかを口走っている。

私に割れて壊れたメガネをわざわざかけさせてきた。

全裸にされているというのに、メガネとは・・。

センスを疑いますが・・このフレームは気に入っているのです。

海で流されていなかったのは奇跡ですね・・。

「んん!?」

唇を・・塞がれ・・。

張慈円と接吻など・・想像すらしてなかったことですが・・。

激しく口付けをしてきつつ、すでに下着すら纏っていない股間に手がまさぐってくる。

クライアントとこのようなこと・・私はいったい何を・・わかりきったこと・・仲間を助ける為。

戦いに敗れた私はこんな目に合おうとも構いませんが、・・我慢していれば張慈円も飽きてそのうち終わるでしょう・・。

張慈円が好色だということは、噂では散々聞いていますが、男性は気が済めばそのあとは一気に冷めますし、張慈円も男である限りその例に漏れないはずです・・。

加えて菊沢宏に突かれた天穴が、もし治るのであれば・・いうことはありません。

ほんの少しの辛抱です。

「・・ん」

陰核を弄る張慈円の指・・・。

これは・・?微かに電流が流されているのですか・・。

指も人間の動きとは思えないほど小刻みに動かしている。

「千原。貴様は男に身体を許したことなどほとんどあるまい?今までの男とは比べ物にならん快楽をその澄ました顔の貴様に味合わせてやるから覚悟しておけ」

戯言を・・。

自分で言って恥ずかしくならないのですか?

空虚なこの心にそのような言葉は届きません・・。

「・・」

指や掌が触れ撫でまわされたところにも、微弱な電流が流れているのね。

手が離れた後も刺激が止まないのは・・そういう能力・・ですか。

オーラさえ使えれば訳もなく防げそうな微弱さですが・・いまは・・この電流が身体の表面を這いまわるのを止める術がありません。

「・・」

たしかに、この愛撫は常人には耐えがたい快楽を呼び起こすものかもしれませんが、私にはそう効果はないようですね。

「・・」

髪を撫でられ唇をこんなに激しく求めるとは・・・。

接吻をするのは、好いた者にするといいますね・・。

張慈円は私のことを気に入っていると御屋形様も仰ってましたが、この張慈円の接吻は恋人同士でするような感じではないような・・・。

・・・私のことを凌辱するように、穢すような雰囲気すら感じます。

私が無抵抗であるのをいいことに、好き勝手している・・。

やや屈辱です・・。


どうせ接吻をして、このような行為に至らなければいけないのであれば、此度、刃を交えたあの男になら…。

なっ…わっ…私は何を考えて…いくら張慈円のような目に毒な程の、好色で汚らわしい男の慰み者になっているからって現実逃避に敗れた相手の事を思うなどと…いや、しかし彼の者は私にそう思わせるだけの容姿、男性としての器も持ち合わせてはいた…。

もし違う出会い方をして同志として歩める機会があれば或いは…。

そんな私の現実逃避を無視して張慈円の私に屈辱を与えるだけとも思える下避た行為は進んでゆく。

ちゅぷっ!ちゅ!

舌を・・吸い・・唇を甘噛み・・。

唾液まで送り込んでくる・・。

「・・っ」

張慈円め・・。

好き勝手なことを・・。

ん?・・胸が?

私が胸を固くしてしまっているというのですか・・そこまで感じているはずでは・・しかし、ここまで固く・・。

うっ・・。固くしてしまったせいで狙われてしまったようです。

・・そこまで執拗に先端を触らなくても・・。

「千原。貴様の乳首はかなり長いほうだぞ?乳輪もぷっくりして触ってくれと主張しているようだ」

たしかに・・すこし乳首は長いかもしれ・・ません。

私の・・コンプレックスの部分を・・張慈円に指摘されるのは些か・・気恥ずかしいですが・・。

ただ・・ここまで固くなるとは・・電流の・・せいでしょう。

「ちょうど俺の薬指の第一関節ほどの長さと太さがある。貴様の肉付きの良い全体的な身体のボリュームも堪らんが、乳首も、先ほどから触っている陰核もかなりのサイズだ。くっくっく・・千原。貴様はよくわかっておらんようだが、貴様の身体はそうとう楽しめそうな身体だぞ?」

御託を並べていないで・・さっさと・・挿入・・して・・終わ・・れば・・いいのです。

「じっとり汗がでてきたな。豊満な身体が汗で光ってきおったわ.。しかし…うん、やはり俺の予想通り、ここ最近賞味した身体では、斎藤雪や伊芸千尋も良かったが、強さと言い俺の責めへの耐久力と言い何より肉付きは貴様が最高だな…ククク‥これだけ楽しめそうな身体をしているのだから、俺が味わった屈辱の留飲を少しは貴様の肉体で下げることもできそうだな。」

汗・・?私が・・?

どんな厳しい訓練や戦いでも汗など・・よっぽどではない限り汗はかきません・・。

ほとんど動いていないというのに汗とは・・。

しかし、張慈円の手にはたしかになんらかの湿り気があるのは確かです・・。

しかし、サイトウ?イゲイ?誰ですかそれは…他者と比べられて、ああだ、こうだと体の事を言われるのは些か歯がゆいものですが、今の私には取るに足らない事。

私の身体の批評をしたければお好きになさっていただければ、それで気が済むのならば好きになされば良いのです…。

「くはは。・・陰核も皮を押しのけて勃ってきたぞ?・・・デカいな。こんなもの隠し持っておったのか?・・澄ました顔してスケベな突起を潜ませておる」

陰核を・・触られ・・・摘まんで・・。

この感触は‥直・・接・・っ・・ですか。

無遠慮でいて・・繊細な・・。

くりゅっ!くりゅっ!・・・くりっ!

「・・・!」

「貴様。堪らん顔をするな。声こそ出さんが、くっくっく・・思った通りだ。貴様声を出すのが屈辱なのであろう?男に嬌声を聞かれるのを恥だと思っておるのであろう?」

なにを・・、感情を表・・情に・・出すなど・・未熟の・・証明・・に近い行為・・。

「デカいな。摘まんでいるのがわかるだろう?コリコリにさせおって」

わか・・りますが・・それが・どうした・・というので・すか。

びしっ!

っ!!女性器である陰核を弾くなど!

デリカシーのかけらもない男です・・!

「くくく、デカいせいで弄りやすいな・・。陰核にも少しばかり電流を強めにいくぞ?」

バチッ!バチッ!・・・バチッ!バチッ!・・・

「!・・・っ・・・っ・・・っ」

「腰が少し跳ねだしたな」

電・・流・・。このような使い方を・・私の陰核を・・女の部分を刺激するために能力を使うとは・・。

きっと…あの敵に情けをかけるほどの器量を持つ菊沢宏と、このような行為に至ったとしても、このような粗末な扱いは受ける事も無かったでしょう…くっ…菊沢宏、あの者がこの張慈円に敗れたとは思いにくいのですが…やはり私との戦いでオーラを使い、負傷していたのが響いたのか?

千原奈津紀は、今自分に起きている事がいくら仲間の為、組織の為とは言え、これまでの彼女の30年と少しの人生においてこの種の類の屈辱は経験など当たり前ではあるが無く、本日自分と互角以上の戦いを繰り広げ命を賭けた戦いにも関わらずフェアに完ぺきな形で勝利した、容姿も張とは正反対の男に置き換える事により、正気と冷静さをギリギリで保てていた。

「蜜壺はもう潤ってきておる。陰核もこんなにでかくさせて感じ出しておると言うのに、そのポーカーフェイス・・・いいぞ。嬲りがいがある。表情はともかく身体は正直だ。時間はたっぷりある。貴様の身体たっぷり味合わせてもらうことにするぞ」

っ・・私が愛液・・を・・?陰核に・・ぅ・・塗って・・そんなに執拗・・に、で・・電流も・・いつまでこの電流は続くのですか・・?

濡らしてしまうとは・・恥辱・・。

この男の受け入れを身体が許容し始めているとは・・・!

「乳首も陰核もコリッコリではないか・・。顔も身体も紅潮させて・・いい顔をする・・それなのに貴様」

・・・?私の顔を‥見て‥いるのですか・・?

全裸に剥かれ・・・女の部分を弄られ・・私にも恥・・はあるのですよ・・?

・・妖しい感覚が・・身体の内底から・・沸いてきてしまっていますが・・私の表情を‥読むことなど・・できないはず・・。

「顔や口以上に身体は正直だぞ千原?貴様もずいぶんご無沙汰なのであろう?蜜壺をこんなに溢れさせて・・乳首も陰核も勃起させて恥ずかしい女だ」

・・!?そ、それ・・が私の?

「どうした?これはお前が濡らしたのだぞ?」

私を弄っていた・・指・・。

たしかに、濡らしてしまっているのはわかってはいましたが・・、そ・・そこまで・・?

水飴が入った瓶に指をすべて付けたような・・・。

そんな・・。

「どれ・・そろそろ」

お・・犯される・・。

しかし、覚悟の上・・、そうしないといつまでたっても終わりません・・。

「まずは・・指だ・・。中にも電気を流してやろう。澄ました顔の貴様が逝き果てる顔はどうなのであろうな」

犯されるのではない・・?指です・・って?もう十分潤っているとわざわざ見せつけてきたではないですか?

男根ではなく指とは・・、私を弄ぶつもりですか?

ずちゅり!

「っ!」

とっとと犯して終わればいいものを指などで・・・!

しかし・・今の音・・本当に私が出した音なのですか・・?

卑猥な‥音。

そこまで濡れているとは・・。

張慈円の指に・・私が犯され・・。

ずちゅり!ずちゅ!ずちゅ!ずちゅ!ずちゅ!ずちゅ!ずちゅ!

「・・!っ!」

だ…男根自体ほどのボリュームもないというのに・・この感覚!

ずちゅ!ずちゅ!ずちゅ!ずちゅ!ずちゅ!

ま・・まず・・い。

ここまでとは・・。

「・・っく!」

「少し声がでたな?」

バカな・・!私が声を出してしまうなど・・!

ぢゅっ!ぢゅっ!ぢゅっ!ぢゅっ!ぢゅっ!ぢゅっ!ぢゅっ!ぢゅっ!

く・・!・・いいようにさせてしまっては・・。

調子に乗らせてしまいます・・。

「おっと。何を手を伸ばしてきておるのだ?」

両手首が・・!

この程度も跳ね退けられないほど弱体しているのですか・・!

「っ・・っ・・!」

「くはは!もっと感じている姿を見せろ!もう少し電流を強くするぞ?」

ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!

こ‥これ以上・・速くうごかされては・・!

奈津紀自身も気づいていないが、こと性技に関しては奈津紀など比べ物にならない程の、百戦錬磨の張慈円は、張慈円の卓越した指の責めに奈津紀が無意識に腰の動きを逃げようと心ではしているが身体を指に合わせて動かしてきていることに気づいていた。

「ククク…そんなに激しく逃げようとすると、貴様の豊満な胸に太ももが揺れに揺れ、さらに俺の性欲を掻き立てるではないか。良い感じに剥き出しになっている陰核も弄ってやろう。くくく。こんなに勃起させおって」

「っ!・・・っ!!?・・・っ!!」

陰核まで・・!親指で触ってきているのですか・・?

くっ…!そんなに激しく指を出し入れしたら、動くなという方が無理っ…うぅ…肉が揺れている?うっ‥内心人が気にしている脚の事まで…しかしこんな状態では、そんな些細なことは取るに足らない小事…早く挿入して果ててしま…

えっ?この感触・・私はそこまで陰核を硬くさせてしまって・・!!?

ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!
くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!

お・・おのれ!指などで!・・これでは張慈円が果てずに、終わりに近づかないではないですか・・!

「っっ!・・・・っ!!っ!!」

汗・・?!顔に汗が!!

「ははは!どうしたそんなに髪を振り乱して」

手首を頭上で押さえつけられて・・顔も逸らせない!

「!!っ・・・っ!!・・っ!!!」

だ・・だめです!・・あ・・あふれる!!

「逝きそうか?ああん?歯を食いしばり真っ赤な顔で、いかにも我慢してますといった顔だが声は上げんのだな?くははははっ!」

ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!
くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!

「っ!!!っ!!!っ!!!っ!!!」

果てるわけには・・!!

「貴様?・・・我慢しておるのだな!?もう逝きそうなのであろう?」

な・・なぜ!何故分かるのです?!

顔にも声にも出していないはずです!

ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!
くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!

「斎藤雪や伊芸千尋なども澄ました顔のくせに、ドスケベで淫乱な身体の持ち主であったな。貴様の身体もそのようだが」

「っ!!!!・・・!!・・・・っ!」

「くくく・・・そうか逝く様を見られるのは恥ずかしいか?これはケッサクだ。剣聖千原奈津紀が逝くのを我慢しているとは・・。だが、そうやって逝き我慢顔を晒し続けるのも相当な恥だと思うのだが、それは平気なのか?」

ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!ぢゅっ!!
くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!

「っ!っ!~~っ!!~!!~っ!!」

感じてあげてしまう声など・・・聴かせるわけには・・!

わたしは・・高嶺六刃仙が筆頭・・!

剣聖と謳われた千原奈津紀・・弱みなどみせ・・ません!

「剣聖の逝き我慢顔はきっちり録画しておるぞ?」

「なっ!!?」

「声をあげるほど驚いたのか?・・それにしても気づかなかったのか?よほど動転していたのか油断しているのか・・」

スマホ・・・が・・!こちらに向けられて置いてある・・!

カ・・カメラも・・2台??

「せっかくの剣聖千原の痴態だからな。なんどでも確認できるようにしておかなければ・・くくく」

「は・・張っ!慈円さま・・・!!それは・・そんなことは!!条件にはありません!!」

「言ってなかったな・・。しかし今の貴様に抵抗できるのか?・・・とりあえず鳴き声がきけるまでは楽しむつもりだが?そろそろ鳴け」

くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!
くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!

「っく!!~っ!!~~~~っ!!!っ!」

い・・逝くわけには・・・!!撮られているなら!!なおさら!!

我慢するのです!!

しかし・・いつまで・・?

くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!

張慈円の体力がなくなるまで・・・?

無理です!

「~~~~!!!っ!!!!っ~~!!」

張慈円の体力がなくなるまでなど・・・到底・・!

くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くちゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!くりゅ!!

「くくく!いい様だな千原奈津紀!もう陥落寸前というのに、声も上げず顔も・・まあ・澄ましきれてはおらんがな!」

だ‥ダメ・・こんな屈辱を・・・!

さっさと私の身体を使い欲望を満たせばよいのに・・“

何故私を・・こう辱め・・るの・・ああっ!!!・・ですか!!?

「っく!・・・や・・やめ!!」

くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!
こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!

「逝け」

ああぁ~!!!な・・なぜ!!私だけを・・・?!!

くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!
こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!

「くくく」

「ひっ・・!!んんっ!!・・・~~っ!!」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!
こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!

「逝き晒せ」

何故!!張慈円!!こんなことをしてもあなたは気持ちよくならないでしょう??!!

「っく!!うぅっ!んん~っっ!!!!~~っ!!」

くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!くちゃ!!
こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!こりゅ!!

「我慢など無駄だ。晒せ」

く!も・・もう!!!む・・むり!!!

「っ!~~~~~~~~っっっっっ!!!!!!!」

がっ!!・・・くううううううううううううう!!!!!

「くはははは!!剣聖千原の逝き顔だな。だが・・もう一度だ。もう一度連続で逝き晒せ!!」

ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!
ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!
ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!ぐちゅ!!

「や!!やめ!!」

「逝け!」

果てたばかりなのにまた!!!!

ずちゃ!!ずちゃ!!ずちゃ!!ずちゅ!ずちゅ!!ずちゃ!!ずちゃ!!ずちゅ!!ずちゅ!
ぷしゅっ!!ぷしゅっぅ!!ぷしゃああああ!!

ああああああっ!!で・・でる!!な・・なんということですか!!!

よ‥よすぎる・・!!・・い‥意識を失うわけには・・・・。

「っっ!!!!~~~~っ!!!っはっ!!!!・・・・・!!!!!っ!!」

このような姿!!!あああっ!!!果てたのにまた果てて・・・!!!

「くはははは!!剣聖殿の聖水だな。我慢の甲斐もなく派手に果てたな千原?・・・まだまだ時間はたっぷりある。貴様の身体、たっぷり楽しませてもらうぞ」

ぜぇ!ぜぇ!ぜぇ!ぜぇ!

私の息・・・?こんなに息があがるなど・・!

それに・・まだこんなことが続くというのですか?

訓練では殿方は、私相手に10分も持たなかったというのに・・、こんなことを続けられては終わりません。

は・・張慈円にすぐにでも犯されてしまったほうが楽です・・・!

こんな嬲るようなことをされたのでは・・・こちらの身が持ちません!

男女の行為でこのようなやり方をされるとは・・!

「さて・・次はそのデカい尻がよく見えるようにこれを付けてもらおうか」

な・・?枷?

ギロチン板・・・?

この・・私がそのような格好で戒めを・・・??

それではまるで囚人や奴隷のようではないですか・・!

「は‥張慈円さま・・。わたしは・・身体を許すのは承知しましたが・・、これでは・・あまりにも・・」

「南川や前迫の手当てを打ち切ってもよいのか?さっさとケツを突き出して跪け」

お・・おのれ!

そのようなことを言うとは!

しかし、刀もなく力も封じられている私には従うしか手がありません・・。

「・・わ・・わかりました」

屈辱・・・・。これでは私のお尻が・・張慈円に丸見えです・・。

撮られてしまっているというのに・・・ああっ。

どうしたというのです・・!怪しい感情がとまりません!

こんなに屈辱の炎に塗れているというのに・・・!

「良い眺めだ」

ぴしゃり!・・ぱーん!

・・・くっ!私のお尻を叩くとは・・!

「くくく、さあ嵌めるぞ。今の貴様の力では外せんはずだ。これを嵌められたら、俺の気が済むまで貴様は奴隷だ。たっぷり可愛がってやるぞ?くくく」

首と手首が一直線・・・。

首と手首を固定している板はベッドに添えつけられてる・・・。

うっ!?正面にもカメラが・・・おそらく後ろからも撮っているはず・・・。

顔と・・後ろからと・・な・・なんということです・・!

御屋形さま・・お許しください。

もはや高嶺にドロを塗るなどという生易しい罪ではありません!!

「さて、続けるぞ?」

【第9章 歪と失脚からの脱出 53話 損失と補填~剣聖凌辱~終わり】54話へ続く

第9章 歪と失脚からの脱出 54話 損失と補填~剣聖凌辱2~


第9章 歪と失脚からの脱出 54話 損失と補填~剣聖凌辱2~

この格好では確認しにくいですが、張慈円が私の真後ろにいるのは間違いありません。

このように無抵抗な格好でこの私が戒めを受ける日が来ようとは・・。

腰、臀部に手が這いまわる手・・・。

乱暴ではありませんが、無遠慮な手つき・・・。

濡れそぼってしまった女の部分を指で弄られ、垂らして濡らした内腿を指でなぞってくる・・笑い声・・?・・くっ!濡らしてしまっているのを嘲っているのですか!?

びしっ!

びくんっ!

ま、またしても陰核を指で弾いて・・!

此方から見えない分、咄嗟のことに身体が反応してしまいます。

パシーン!

張慈円が奈津紀の豊満な臀部を打つと、その存在感を露わにするように白く豊かな肉が波打つ。

びくんっ!

くっ・・臀部を・・急に叩かれると身体が反応して・・、おそらく私のこの反応ですら張慈円を喜ばせてしまうというのに・・ですが、二度も果ててしまったせいか、先ほどより敏感になってしまっています・・。

全く…私がまともな状態であれば…張慈円など敵では無いというのに…髙峰六刃仙という立場と責任、そしてあの男に打たれオーラを封じられたこの身体が、この男にこのような理不尽なふるまいを許してしまっている事が情けない…

しかし張慈円の指名が香織や沙織ではなくわたくしで良かったのかも…あの2人にはこのような行為などさせたくはありませんし、よもや訓練を受けていても張慈円のこの異常すぎる性的拷問に耐えれるとも思い難いですし…

しかし…悔しいですが、こっこれは最早、自分自身ではで制御できていませんね…くっ成すがままとはまさにこのこと。

私の女の部分と言うべきところが反応してきてしまっているというのですか?

昨日までの私は、女性で快楽に溺れその身を堕としたり、地位を失ったりする女性がこの世に存在する事に対して軽蔑の対象でしかありませんでしたが、髙峰の剣士になるために一通り人体構造について学んではいますが、自分自身の体の中にこれほど精神を揺るがされる箇所があるとは…これは体感しなければ理解など不可能…

それに…それにその予想をはるかに超えていく快感から逃れたくとも、張慈円の言った通りこの首手枷は今の私の力ではとても外せないようです。

オーラが使える状態であれば性的拷問に耐える訓練にて、快感を受ける箇所に防御オーラを張り芝居で多少、効いているフリをしておけばと…一通りの対処法は学んではいますが、その肝心のオーラが使えない今の私は、生身のただの女性と同等の性的な拷問への耐性しかありません…。

その状態で果たして張慈円のこの蛮行に耐えれるのか些か不安ではありますが…わたくしのオーラを戻し、香織と沙織の治療をしてもらうには、よもやこの男にはしたない姿を見せてしまうなど些末な事…そう覚悟は決めてはいるものの耐え難いのも事実。

しかし、この屈辱的な態勢ならば間もなく挿入もなんなくされてしまうでしょう。

後はこの男がみじめに放出してしまうのを待つだけ…もう少しの辛抱です。

挿入さえさせてしまえば、これまでの経験上、男はそう長く持ちません。

「千原。気分はどうだ?貴様は俺のことを男としては嫌っておったであろう?」

二度の絶頂と動けない身体を無意識に快感から逃すために動き汗ばんだ私の背中に、張慈円が爪で軽くなぞりながら聞いてくる。

豊満な下半身にしては華奢な鎖骨周辺の後背部分から私の90cmは軽く越えていく臀部を強調させるくびれた腰あたりまでをわざと時間をかけて触るか触らないくらいの感触でなぞる。

こうされると皮膚全体がより鋭敏になり性感が増すのだと今、実戦にてレクチャーを受けているようで、まさに私の全身は普段の私の陰核並みの性感帯へと変貌を遂げさせられたような感覚に、実戦での命のやりとりでも感じた事のないほどのある種の恐怖を私は感じていた。

しかしこの状態で気分などと…気分?いいはずがありません!

何を言っているのですか。

ですが、張慈円を嫌っているかと聞かれると。

「嫌ってなど・・おりません」

正直に応えたつもりなのですが、果たしてどうでしょう?

仕事ですし、特に好き嫌いの感情など張慈円に持ち合わせてはいませんでしたが、この身を委ねる男として考えるのであれば、些か抵抗があります。

そう言う意味では、嫌っている・・?その通りかもしれません。

それに、何故か・・・あの男と比べてしまう。

張慈円ではなく、フェアな戦いで私を圧倒したあの男に敗れ組み敷かれてしまっていたほうが・・。

ま、また私はなんということを・・!

私を打ち負かした男に、この身を自由にされるのを想像してしまうなど・・。

あの男とのギリギリの攻防のことを考えて紛らわそうとしているのでしょうか?・・しかし、それではあの男を想像してしまって更に潤わせてしまうことに・・それでは張慈円の思うつぼに・・!

ずちゅ!

「っんぁ!」

「溢れてきたぞ?ポーカーフェイスを装っていても心境は然に非ずといったところか?濡らしまくっている貴様の膣は、こんな太い玩具でもすんなり入ってしまうな。髙峰の最高幹部であろうとも貴様ももう三十路を越えた出産適齢期の女なのだ。頭でどう考えようとも生物として雌として、この部分は雄を求めるものなのだと教えてやろう。ククククッ」

くっ・・。

「~~・・っ!」

うぅ…好き放題言ってくれますね‥このわたくしを雌呼ばわりする男がよもやこの世に存在しようとは…しかしあの者の事は…今は考えないようにしなくては・・!いまはあのサングラスの男のことは頭から排除しないと・・!

もっと濡らしてしまう・・。

それでは余計に惨めです・・!

あの男ではなく張慈円・・!しかもこれは本物・・ではない!・・・なにを入れたのです!

張慈円の声の位置からして今私に入っているのは明らかに張慈円自身ではないし、この温度は・・?!

先ほど目にした張型・・・?

あのような玩具で私を辱めるとは。

「くくく、こいつの直径は4.5cmだ。少々キツそうだが千原。俺のモノを咥えるにはすこしほぐしておかんとな?」

なん・・ですって?

この男性器を模した玩具でもこの存在感・・このまま動かされてしまってはまた声を堪えなければならないのは必至だというのに・・!

このまま嬲らせてしまっては終わりません。

・・しかし、張慈円自身はなぜ挿入してこないのです?

男は陰茎を入れなければ気持ちよくならないはず・・先ほどから張慈円は自らを入れてこようとはしていない。

もう、このような恥辱は済ませていただきたいというのに・・。

「は・・・張慈円さま・・。もう、かまいませんのでそのようなことは・・私への配慮など無用です・・済ませてしまってください」

少々の痛みなど構いません。

さっさと終わらせねば・・。

この姿は恥ずかしすぎます・・。

「んん?男根を自分からおねだりしておるのか?いかんいかん。物事には順序というものがあるのだ。それに貴様、先ほど逝きまくった時は声もろくに上げておらんかったではないか。それは貴様がまだまだ満足しておらんからであろう?くっくっく」

何を言っているのですこの男は!

「ま、満足など。私のことなど構わないのです。それに、私がこんなことをされて満足などするわけがないではないですか。一思いに済ませてください」

ずちゅっ!ずちゅっ!ずちゅっ!ずちゅぅう!!

ガチャン!ガチャ!

「えっ!?なっなにをっ!!んんっ!!はっ!~・・っ!!」

いきなり動かすとは!

見えないところで動かされるとどうしても、予想できない分反応してしまいます・・!

「また声が出たな。満足するわけがないだと?・・俺は貴様にも満足してもらいたいのだ。くっくっく・・。逝くのは気持ちよかったであろう?普段自慰はしないのか?今日は何度でも与えてやるぞ?さっきのではまだ満足できんということであろう?・・安心しろ。この極太ディルドでも俺のモノよりは細い。俺のモノを咥え込めばもっと満足するだろうが、いまはこの玩具でウォーミングアップがてらまた気をやって楽しんではどうだ?んん?」

ずちゅっ!ずちゅっ!ずちゅっ!ずちゅっ!ずちゅっ!ずちゅっ!ずちゅっ!ずちゅっ!

潤いきった奈津紀の膣壁をこじあけるように男性器を模した樹脂製の玩具が奈津紀自身に出入りする。

奈津紀の膣圧の握力をあざけわらうかのように、その先端は軽く奈津紀の膣奥までを蹂躙していた。

ミチミチミチッ!ズリュリュリュ…

「なっ!なにを!?・・くっ!あっ!・・そのようなこと!・・必要ありません!もう・・十分です」

「いや。しっかりほぐさんとな?それに剣聖千原がこのように毒々しいピンク色の卑猥な玩具などで逝く様を見て見たいではないか。くはははは、そういえばお前は俺の同胞の袁が小賢しく稼いでいるビジネスでも高額賞金首だったような…確か世界で10指に入るほどお前の痴態の動画は高く売れるらしいぞ。まあ俺には興味はないがな、俺が興味があるのは強い女が快感に負けて逝き狂う姿をこの肉眼で拝んだあとに俺の雷砲で貫き気を失わせるまで賞味する事だからな。くくくくっさしずめここ最近では、お前が1番俺の趣向に合う女よ。あの前迫でも良かったが尻と性格と強さにその澄ましたメガネがお前を選んだ理由よ。しかしお前が俺の望む姿で俺を受け入れる気がないのであればこの撮影しているものを金に換えても良いかも知れんな。お前たち髙峰には損害を与えられたことだしな。」

えっ袁?

確か・・・張慈円と同列の三合会の首領ね…しかしまた意味不明な事をこのわたくしが賞金首などと…強い女性に恥辱を与えている動画に賞金をかけているという事でしょうか?

確かに私のこのような姿…そんなものが配信されるだけで生きてはいけないですし、私をこのような目に合わせれる男性がこの世に存在するはずもないので、それが高額となるのはわかりますが‥今回はたまたま奇跡的な条件が重なっただけ…ですし…

今の言動から察するにやはり張慈円は、私を無様に逝かせ恥をかかせることを楽しみ喜んでいる・・?

私が気をやるところを見て楽しんでいるというのですか?

な・・なんという下種な・・!力さえ戻ればこのような屈辱を受けなくても済むというのに!

張慈円に犯されてきた女性たちは・・このようなことをされて心を蹂躙されてきたというのですか?!

この様子では、天穴によってオーラが使えなくなる症状を除去できるかもしれないという言葉は、私を辱める口実の一つに過ぎなかったのでは・・?

「千原。貴様の感じる場所が大体わかってきたぞ?くくく」

奈津紀に突き刺さる男性器を模した樹脂製の玩具を手慣れた様子で動かす張慈円。

ずちゅ!ずちゅ!ずちゅ!ずちゅ!

んん!!っんん!!~っんん!!こっこれは…!感じすぎますっ!!

「くくくくっデカい尻肉を揺らせ、肉付きの良い太ももを激しく揺らしながら背をそんなに仰け反らせおって。自分で擦りつけやすいようにしておるのか?ケツの穴も丸見えで、愛液も内腿に垂れておるぞ?くははは!!しかしそんなにのけ反るとお前の見事なくびれがさらに際立つではないかっ俺の雷砲をとことん刺激する女よ千原奈津紀。」

ば・・ばかなことを!

しかしこの水音、腿を伝う液体らしきものの感触・・私が垂らせたもの・・ですか?!

「くっくっく、歯を食いしばって必死に耐えておる顔がよく撮れているぞ?声は我慢しているが貴様が逝きそうなのはバレバレだ。ほら!こうであろう?!

ずちゅうぅ!こりこりっ!

そういえば・・撮られていました。

そして袁という男に売られるかも知れないとも…嫌っこんな姿、これ以上他の人間に見られるなんてさすがにありえないですっ!

えっ?これは…!!お・・奥に!・・当たって・!

「うっうそっ!!これはっ!!あっあぁぁ!!・・っ!ん!!!」

「奥が好きか?やはりどの女も何度か逝かせた後は子宮口が感じるのは同じだな。剣聖と言えどもやはり女。千原は31歳であったな?女としてはちょうど盛りになりだしだ頃合いだ。貴様も女の本能が求めだしておるのには逆らえまい?」

「んっく!・・くっ!・・私をこのように辱めて・・楽しいのですか?はぁはぁはぁ!・・私を抱くことには同意は・・くっうぅ!・・致しましたが・・このような辱め・・承知しておりませんよっましてや・・・あぁっもっもうそれを止めてっくださ・・・・んんっ!まっましてや撮影もそれを売るなど・・・ごっ言語道断ですっ!」

枷を入れられ不自由な四つん這いに近い恰好で振り返り、張慈円を睨んだ視界にレンズにヒビ越しに自らの髪が汗で濡れているのが確認できる。

私がこんなに汗を?

「そんなに背を逸らせてデカいケツを突き出して、今にも逝きそうな身体でなにを承知していないというのだ?ああ?クライアントの俺すら怯えさせていたあの涼しくも威圧感のあった千原奈津紀の凄みはどこへいったのだ?くくくくっ」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

「こ・・この・・ような・・辱めを受けると・は・・!聞いておりま・・せん!・・はやくぅ!!・・す!・・すませてっ!・・くだっ!・・さい」

「しっかり喋らんか。済ませてほしいのなら素直になれ。逝くのを我慢しておるのであろう?!いまさら恥ずかしがるな。さっきすでに2度も逝ったではないか?この安っぽい樹脂製の玩具でも逝くところを見せてみろ」

「うぅっ!・・はぁ・・はぁ!・・く・・くう!」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

張慈円の男性器を模した玩具での責めが激しくなり、奈津紀の女性器から溢れ出る蜜液の量に音もそれに伴い激しくなる、奈津紀も快楽から身体を逃そうとするが、四つん這いで腰を落とされた状態でヒップのみ強調させられるよう突きだ刺された格好でほぼ固定されているので奈津紀が動こうが虚しく拘束具の金具がこすり合わされる音だけが響くのみであった。

ガチャリガチャリ!

いけません・・また・・。

「くっくっく。我慢しきれまい」

「くっうぅぅ・・・ちょ・・・張慈円様、だ・・だめです」

「高嶺六刃仙筆頭剣士の剣聖千原奈津紀が、安物の樹脂製のオモチャで派手に逝く姿を見せろ!!」

張慈円の言葉で首筋から股間にかけてゾクリと鳥肌が立ったかのような震えが走る。

私は・・私が・・高嶺の筆頭剣士である私がこのように無様に果てるわけにはいかないというのにっ!

この身体・・言うことを聞きなさい!

あ・・・ああああ!?

い・・いけません!

「っく!!・・・~~~っんっんっくぅ!!!ぅっくぅ!!」

ガチャリガチャリガチャリガチャリガチャリ!!

「逝ったか。千原次は逝くと言え。ちゃんと言えるようになるまで練習だ。女は逝くときは報告するのが礼儀だぞ?くくくくくっ!」

「はぁはぁはぁはぁあ!・・はぁはぁ!はぁ!はぁ!!つ・・つぎ??・・お、おやめ!!くだ・・さい!!すこし!・・休ませてくだ・・さいっ!」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

「んんんんんっ!!!!!」

「休みは無しだ。鳴いていろ。いいか?次はきちんと言うのだぞ?くっくっく。女の作法の基本だ。逝くときは逝くと言え」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

ガチャガチャ!ガチャガチャ!

果てたばかりで敏感になっているのも関わらず、この身体は・・・!!

なぜこんなにすぐ私の意に反して感じてしまうのです!

「んんん~~っ!!あっ!っく!・・は、張・・慈円・・様!!・・もう、もう・・!」

「また逝くのであろう?逝くと言え」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

ガチャリガチャリガチャリガチャリガチャリ!!

だ・・だめ!!また・・!こんな男の前で晒していい姿ではないというのに!!

「くぅ~・・・・っ!!がっ!!んんっ!!はぁはぁ!!!はぁ!!っく!はぁはぁ!!」

「くくくっ俺のディルドを持つ手にすらお前の物凄い握力での股間の締め付けが伝わったぞっ!いよいよお前の身体が大砲を欲しがり食いついてきているではないか。うん?それに・・・さすが高峰の筆頭剣士いい逝きっぷりだ。だが・・」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

「んんんん~~っ!!?」

おのれ・・!この私をオモチャにして楽しんでいるというのですか!

「逝くと言え。言わんと終わらんぞ?くっくっく」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

このままでは・・く・・狂う!

くはっ!・・敏感になりすぎて!苦しい!!のに!!また高まってくる!!?

逃げようにも!この枷が!!

「あ・・・あぁっ!ダ・・ダメ!!」

「千原でもダメなどと言うのだな?女らしいセリフになってきたが、そのまま言わずに逝けばまだまだ続くぞ?」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

「ま・・また!!・・こんなことを続けられたら!本当に狂ってしまいます!」

「こんなことぐらいではまだまだ狂わん。斎藤も伊芸ももっとたっぷりと可愛がってやったが大丈夫であった。気持ちよくて狂うことなどそうそうないから心配するな。くくくくっ」

ま・・また!ああああっ!!

こんなことを続けられたら!!

「電流もサービスしてやろう」

張慈円がディルドを介しこれまでの経験上、女性の快感が最も増幅する強さに調節された微弱の電流をその能力を使い流し込む。

ミチミチミチッ!グチュグチュッ!!バリバリッ!!

「キャッ!!あぁっ!んんんんんっ!」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

ガチャガチャガチャ!!ガチャガチャガチャ!!

男性器を模した玩具での膣内への快感を伴う刺激に電流が乗った事により、子宮口から一気に脳天まで快楽が突き抜けたと思う程の快感が奈津紀を襲う。

な・・・何これ・・・これは・・・人間が感じ得れる快感の範疇を越えている・・・

「逝くと言え」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

もっもう嫌!もう無理!き・・きたっまたきた・・・!

く・・悔しい!・・こんなことで・・!男女の行為とは・・こんなものではないはず・・!

あああ~~!!

い・・いく!!逝く!こんな男に弄ばれて・・・・!逝くぅう!!

「っ!!!・・・~っっ!!かっ!・・んんぅ!!はっ!はぁ!はぁ!はぁ!」

ガチャガチャガチャ!!ガチャガチャガチャ!!

「逝ったか。しかし学習せんヤツだな。逝くと言わんと終わらんぞ?くくく。まあ、俺はしばらくそれでも構わんが?」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

やはりですか!

つづけられてしまう!

このままでは・・!

「んはっぁあ!!?・・も、もう!!」

「もう、何だ?」

「も・・もう!!苦しいっ!!ですっ・・・あっあぁ・・・」

「わかっておる。止めてほしければ逝くと言え」

私が苦しんでいるのをみて楽しんでいる・・。

逝く・・などと・・知らせるように言うなど・・

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

「カメラに顔を向けて、逝くときに逝くと言えばよいのだ。逝き顔を録画されながら逝くと鳴くところを記録されるのだ」

そ・・そうです。撮られているのです。そしてこの姿…売られてしまえば、あの男にも見られるのかも…?

えっ!?そんなどうしてあの男の事は今は関係ない…でもどうして思い出すだけでこんなにさらに感じるの!

十分限界を越えて感じてしまっているのに更に…!

しかしこのような男のいいように言わされるわけには・・。無様な顔などを撮られるわけにはいかないというのにっ!

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

ひっ!か、髪を?!

卑劣な!カメラに顔が向くようにしているのですか?!

そして股間への責めも容赦なくっ!

「そんな!!こんなこと!!撮らないでください!!‥張慈円様!!あんまりではないですか!!わた・・・しは!・・・っくうう!私たち・・は!!命がけで・・!あなたたち香港を!!守ったのですよ!!!?その私たちに・・私を辱めて撮影するなど!!衣服も剥がれ、枷を付けられて辱められている姿と顔を・・!後生です!これ以上は・・!私を抱くのには同意しましたがこれは・・あまりにも酷すぎます!」

「御託はいい。逝くと言わんと止めん。それだけだ」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

どうして!

横暴を言われ、惨い扱いをされているというのに股間が熱くなる?

「命を・・かけた私たちに・・ぅうんああ!!もうう!!!・・この仕打ち!!!ああっ!!ただ抱くだけではなく!こんな辱めええ!あんまり・・ではないですかっ!!あああっ!」

高まってくる・・。考えられなくなる・・!

理不尽なことが、雑な扱いが身体の先端を敏感にさせていく!

「いいぞ!乳首も陰核も見ただけで固くなっているのがわかるぞ?調子がでてきたようだな?それが本音でその硬くなった乳首や陰核が女としても貴様の本性か??千原奈津紀」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

「きゃあああ!・・ま、また!ああ張慈円様!・・これ以上私を貶めないでください!!」

「堕ちろ。乳首も恥ずかしいぐらい硬くなっておるではないか。安物のオモチャで逝き果てて堕ちるのだ。陰核も包皮から飛び出しておるぞ?くははは・・・。逝くと鳴け。鳴けば止めてやろうではないか?」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

きつすぎる!

果てても果てても!!

この男は私を許す気は無いのでしょう?!

言わなければ終わらない・・!

御屋形様!お許しを・・・!

この屈辱から逃れる為に、一度だけこの男に屈することをお許しください!

「ひっ・っくぅう!あああっ・・!くる・・くる!!・・ああ・・御屋形様!申し訳ありません!!!・・あああっ!逝く!!!逝くう!!逝くううううううううっ!!!」

ガチャガチャガチャ!

くははははははっ!ついに鳴きおったな!所詮貴様もただの牝だ。くくくくくっ!しかし飼い主に断わってから逝くとは律儀なのは結構だが、断る相手を間違えておるようだな?やり直しだ」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

「っ!!??い・・言いました!!な、なぜ!!?話が・・?!」

ど・・どうして!?

言えば・・・屈すれば・・止めるといったではないですか?!

・・・騙された・・?

「くははははっ。俺に断わって逝ってもらおうか?」

な・なぜ・・!なぜここまでのことをされなければならないのです!

果てて屈服のセリフまで口にしたというのに!

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!

「もっと鳴け!」

ヴィィィィィィィィン!!ヴヴヴヴヴヴヴヴッ!!

「ひぐっ!ちょ!?・・・きゃああああああ!?」

「次は電マも加えてだ」

「は・なしが!!違います!!きゃああああああ!!」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!
ヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィ!!!

逝く!!また逝く!!

「ひぁ!!ま、またくる!!ダメです!!話が違いますぅ!!!またあぁ!!~~っ!!!!っうっくぅ!!!んん~~!!!んはっ!!ぜぇぜぇぜぇ!!っん!!ぜぇぜぇ!!」

ガチャガチャガチャガチャガチャン!!がちゃん!!がちゃん!!

「女らしい声になってきたぞ千原?だが、俺に断わって逝くと鳴けと教えたであろう?!またやり直しだな?!」

「もう!やり直し致しました!だめ、当てないで!!逝きました!逝きましたから!!逝きましたって申し上げてるじゃないですか!!?きゃあああ!!?」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!
ヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィ!!!

この男に断わって逝く・・。

逝く!!悔しいですが・・!!

「はぐっ!!また!!!ひっ!きゃああああああ!!逝く逝く逝く!!張慈円様ぁ!!逝く!逝きますっ!逝く!逝っくぅううううう!!」

がちゃん!!がちゃん!!がちゃん!!

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!
ヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィ!!!

「くははは。そうか逝ったか?!」

「いい??!っっっ???!!きゃああ!!??言いましたあああ!!?言いましたよ!!?」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!
ヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィ!!!

「張慈円さま。千原奈津紀逝かせていただきますと言え」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!
ヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィ!!!

壊れる・・!

また・・逝きそう・・・!

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!
ヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィ!!!

「言え」

ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!ずちゅ!!
ヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィ!!!

我慢できない・・。

もう何も考えられない・・。

逝く・・。この拷問から逃れられるなら・・・!

「あっあぁぁぁっ!!こっこれ以上はっ!!またっまた逝っちゃいますっ!!もっもう!!は、張慈円・・・様ぁ!!・・千原・・奈津紀っ!!!千原奈津紀っ逝かせていただきます~!!!!あんっ!!!!!!」

ガチャンガチャンガチャン!!‥‥‥‥。

拘束具の金具が悲鳴をあげている音が聞こえないくらいの、普段の囁くような声で話す奈津紀の声とは思えないほどの絶叫をさせられた張慈円の性技ではあるが、張慈円にとっては玩具での責めは、一般男性の性行為に置き換えればそれはただ口づけをして、胸から下腹部を軽く愛撫しただけに過ぎない行為であった事を奈津紀は知る由も無かった。

【第9章 歪と失脚からの脱出 54話 損失と補填~剣聖凌辱2~終わり】55話へ続く



筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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