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第11章 人工島カジノ計画に渦巻く黒き影 10話【回想】小田切響子の学生時代


第11章 人工島カジノ計画に渦巻く黒き影 10話【回想】小田切響子の学生時代


執事長から葵は秀才故に他との協調性がとりにくく、頭の回転が速すぎて同級生や学校の教員とすら話が合わない子だと聞かされていた。

響子なりに葵を分析したところ、葵は頭が良すぎて、口調が悪いところを覗けば、小柄で童顔ながらも文句なしに美人である。

それに他と協調性が取れないといわれているのは、頭の回転が周囲の同級生より随分早いため、周囲からは少し変わっていると思われてしまうのだろう。

ただ、それは葵の突出した才能の一部が尖りすぎているために周囲にその印象をあたえているだけあり、それ以外はやや知性や感受性が鋭いだけの真面目な女の子そのもの・・・のはずだとも響子は思っている。

「えっと・・そろそろお夕食にしましょうか?ここまで良い匂いがしてきましたね」

姉が去り、少し寂しそうな表情の葵をできるだけ明るい気持ちにさせようと、葵の背を押しダイニングの方へと促すと、葵が期待のこもった表情で聞いてきた。

「ごはんごはん!お腹減ったよね。響子さんの分も用意してくれてるはずだし一緒に食べようよ。ご飯食べたらまたアレやろうよ!」

響子は一瞬だけ迷ったが、葵とアレをするのは響子も楽しんでいるし、さっき葵の姉にもアレに付き合うように言われている。

響子はにっこりとして快く返事を返したのだった。

「ええ、いいですよ」

「いやったー!」

葵は響子の返事に、小さな身体全身で喜びを表すように飛び跳ねる。

浜野響子は、東都大学理学部に通いながら、親の負担をできるだけ減らそうと家庭教師のアルバイトをしてる女子大生である。

大学に入学したての頃は、かつて棋院で鍛えた棋力をもって碁会場でアルバイトをして学費の足しにしていた。

アルバイト代は学生としては相場だし、なにより碁会場のような自分の趣味と一致するアルバイト先であるのに響子は満足していた。

そんな響子が働く碁会場に、ある日無理やり連れてこられた感満載の表情の葵が現れたのである。

葵は、彼女の担任の教師が葵のずば抜けた記憶力が碁に向いているのではないかと思い連れてこられていたのだ。

葵はクラスでも打ち解けられず、中学校の授業内容では簡単すぎてやる気を失いかけて、不登校になりかけていたのである。

「ほら、葵くん。これが囲碁だよ。この白と黒の石を打って陣地の広さを競う競技なんだ。先生、葵くんならすごく上手になると思ってるんだ」

少し必死な感じで熱っぽく説明する担任の男性教諭の様子とは真逆のテンションで、葵は碁石の入った碁笥に入った白い石を一つ摘まみ、興味なさそうに死んだ魚のような目で眺めている。

いまでは、まったく学校にすら通っておらず家で自宅学習になってしまっているが、葵が中学2年に上がったばかりのころは、葵の周囲は葵のことを彼らなりに何とかしようとしていたのだ。

この真面目な男性教諭もその一人である。

葵は、碁会場の主である自称アマ8段の人の好さそうなおじさんからルールの説明を、とてつもなく興味なさそうな表情で一通り聞いてから、覚束ない手つきで碁を打ち始めたのだ。

響子はその日のことをよく覚えている。

碁石を握りなれてない仕草の白く細い指先が、碁石をびしぃ!とかっこよく打つ自称アマ8段のおじさんを、指し方の可愛らしさとは裏腹に鋭い一手一手で追い込んでいくのだ。

そもそも、初心者の葵はハンデをもらい、九子の置き碁から始まったのだから、すでに自称アマ八段のおじさんは開幕から物凄く窮地に陥っていた。

9目ハンデをもらっていたとしても普通ド素人が初めてアマ8段という猛者と戦えば、勝ち目はない。

だが、そうはならなかった。

葵の指が石を置く度に、自称アマ8段のおじさんは、人の好さそうな顔からだんだんと脂汗が噴出し、中盤以降は信じられないと言った表情になって劣勢になってきた基面と、つまらなさそうに碁を初めて打つ中学生の葵を見比べては、震える手でなんとか石を落とさずに指していたのだが、結局は途中で投了してしまったのだ。

「思ったより面白いけど、もういいかなぁ。またしたいとは思わないよ。この最初から置いてる石がなければもう少し楽しめたかもね」

碁盤の前で突っ伏し、自信を喪失した自称アマ8段のおじさんの様子など気にした風もなく、葵はそう担任の教師に言ったのである。

「そ、そうか・・。葵くんには合わなかったか・・」

葵に何か興味を持ってもらおうと腐心している様子の善良そうな担任の教師は、思惑が外れるにしてもハズレ過ぎたことに当惑しながら言葉を絞り出していた。

碁会場きっての猛者と謎の美人中学生との対決に、かなりの熱気を帯びて観戦していた弥次馬たちは、葵の白けた様子に冷水を浴びたように一気に静まり、この不思議な少女が碁に興味を持たなかったことに落胆していく様子が場に広がっていく。

皆、この中学生がこの碁会場に通うことになると思っていたアテがはずれて落胆しているのである。

ただ、響子だけはこの不思議な少女の信じられない棋力に目を輝かせたのだ。

「今度は私がお相手いたしましょう」

響子はついそう声に出してしまっていた。

響子は普段から慎ましく、差し出がましいことを絶対に言わない美人女子大生アルバイターと思われていただけに、その響子の発言で周囲は再び熱を帯びた目で二人を取り囲みだした。

「えーー・・・もういいよ~」

響子の発言に、葵は心底イヤそうにそう言ったが、響子の方がこの不思議な子に俄然興味が湧きだしていたのである。

「お時間とらせませんよ。私ともう一戦だけ。お願いできるかしら?ね?」

「う~ん。まあ・・いいよ。どうせ帰ってもやることないし。でも一戦だけだよ?」

にっこり笑顔で対戦を誘ってくる響子の様子に、どこか通ずる部分を感じたのか葵は渋々頷いたのだった。

「ありがとう」

響子は小さな対戦者に笑顔でそう言うと、座布団に正座して座る。

相手の思考が映像として流れ込んでくる特技があるとはいえ、響子は高校生まで棋院に通っていたのだ。

響子は純粋に碁が好きである。

10年以上碁に触れてきた響子にしても、この子の若さで、初めて囲碁を打ってここまでの打ち手は見たことがない。

素直に対局してみたくなったのだ。

「置き石なしの互戦でやりましょう。コミは六目半で良いでしょう。」

響子の提案に、すっかり葵の棋力に度肝を抜かれていた碁会場の客たちは、めいめいに歓喜の声を上げて色めき立った。

「こりゃあ見ものだ」

美人大学生と、突然現れた美少女中学生との一局が突如始まったのだ。

響子はこの碁会場では敵なしの強さである。

自称アマ八段のおじさんよりもずいぶん強い。

元院生でもあり、プロ試験は辞退して受けていなかったが、院生1位になっていた事も何度もある響子の実力はプロレベルなので当たり前ではあるのだが…。

ただ、響子は自称アマ八段のおじさんに花を持たせるために勝ったり負けたりしていたので、自称アマ八段のおじさんの自尊心を砕くことはないようにしていたが、目の前の少女にはその必要はなさそうに感じたのだ。

「先生?これで最後だからね?」

葵は周囲の雰囲気に少し戸惑っていたが、担任の教師にそう念を押してから、響子と向かい、再度座布団の上に座る。

先手は葵からだ。

誰にも教えられていない、今日初めて囲碁を始めたというのに自分に近い第四辺の隅に、コトリと黒い碁石を置く。

(この子・・・)

響子は、その一手に粟立つ肌に合わせて心臓が喜ぶように躍動するのを感じていた。

響子の置く白石が、黒石のすぐそばに置かれると、葵もまったくよどみなく定石どおりに打ち返してくる。

(本当に今日初めて囲碁を打ったんだとしたらすごいわ・・)

響子は葵の非凡を越えたセンスに感嘆しつつ、石を置いていく。

しかし、両者が打ちはじめてしばらくすると葵の表情が徐々に険しくなり、10手も打ちあったころには中学生とは思えない目に殺気を灯した危険な形相になった。

「ねえ。さっきからなにやってるの?」

中学生の女の子とは思えないドスのきいた低い声でそう言ったのである。

「ど、どうしたんだ葵くん?」

担任の男性教師は葵の様子に、慌てた様子で聞き返しているが、葵は鋭い眼を響子に向けたまま無言だ。

響子はその中学生の視線に心の芯が冷えて、背中に汗が一気に噴き出たのを覚えている。

「なに・・って?」

ようやく口を開いた響子は葵という中学生の迫力にタジタジとなりながらも、なんとか表情を引きつらせずに答えることができた。

びしぃ!

葵は応えず、白く細い指が、碁盤に黑石が砕けんばかりに叩きつけるように打つ。

先ほどのやる気のなさそうな顔とは全く別人の形相で葵は響子の目を睨みながら指したのだ。

(み、みえなくなったわ・・)

先ほどまで、葵が次に打つ手、その次に打つ手と見えていたのが突然見えなくなったのだ。

響子は今までにない経験に戸惑うも、ずっと戸惑っているわけにもいかない。

葵の視線を受けながらも、響子は打ち返す。

響子の打った一手を見て、葵は少しだけ表情を和らげてから「ふぅ」と笑った。

葵が異様な威圧感を発したのはこの一瞬だったので、碁会場のギャラリーは、葵が発した殺気ともいえる気迫に気づくことなく、珍しい組み合わせの対戦者たちを、わいのわいのと興味津々で観戦している。

その後は、粛々と盤上は進み5目半の差で響子の勝ちで幕を閉じた。

ドキドキと早鐘のように打つ心臓を、誰にも気づかれないようにして響子はほっと胸をなでおろした。

(さっきのこの子の気迫・・・いったい何なのかしら・・。そのあとから、この子が打とうとしてるイメージが全然見えなくなったわ。地力だけでも勝てたけど、この子・・いったいどういう子なの?)

響子は自分の特異体質で相手の思考したイメージが映像となって流れ込んでくるが、途中から全く見えなくなったのだ。

ただ、長年培った囲碁の実力は葵を純粋に上回っていた。

それに純粋に葵と呼ばれる少女との一局は楽しめたのである。

対局が終わった時、響子は自分の背中がじっとりと汗ばんでいることに初めて気が付いたのだ。

この少女との対局は、ただの碁の対局とは違う緊張感があったのだ。

(この対局の緊張感・・。ほんとうに合戦みたいな緊張感があったわ)

「あ~あ、負けちゃった」

一方の葵は、さきほど中学生とは思えない気迫のこもった殺気を一瞬だけ叩きつけてきた様子は最早全くなく、あっけらかんとした様子でそう言ったいる。

ともかく、これが二人の出会いで、日常の退屈しのぎがてら葵は響子がいる碁会場にしばしば来るようになり、仲を深めていったのだ。

そして葵はすぐに響子に懐きだし、響子が最高学府である東都大学生ということを知ると、響子を家庭教師として雇ってほしいと父親に駄々をこねたのであった。

葵の強引すぎる提案に、響子も最初は戸惑っていたが、碁会場でのアルバイトよりはるかにいいお給料で勧誘されていたし、なにより響子もこの葵のことを可愛く思えてきていたので、この外観が城のようなお屋敷に家庭教師として住込みで働くことになったのである。

外観は銀灰色で中世の城を思わせる大きな屋敷、大理石の床や壁にこれでもかと飾られた調度品は、どこかアンバランスで調和がとれていないが、どちらかと言えば庶民の家庭に育った響子にとって、金持ちの美的感覚というのはわからない。

純和風だった実家からすると、かなり落ち着かない雰囲気の屋敷だが、葵と打ち解けていくにつれ、そんなことは気にならなくなっていった。

葵は140cmほどの華奢で小柄な少女、青みがかった艶のある黒髪に、大きな目、若い子特有の透き通るようでいて張りのある白い肌、スカートから伸びたスラリと伸びた足、胴もまだまだ細すぎるが、胸はほんのり膨らみ、腰はすでに括れ、女の身体になりつつある前の美少女だ。

大きく見開いた目の中の黒い瞳は、色が濃すぎて光の加減で少しばかり青く見える。

中学生と言われれば大人びているが、大学生と言われても通用するぐらいには大人びた顔、いや目に宿る知性がこの子を童顔ながらも大人びて見せるのだろう。

なんとも不思議なあやうさのある美しさを持つ美少女だ。

まさしく城と言ってもいいような屋敷にいる住込みの家政婦たちや執事は、響子が家庭教師として葵の面倒をみてくれるようになって、困った天才少女のお守り役を担ってくれていることに本気でありがたがっている。

響子と葵はまだ数か月程度の付き合いしかないが、響子は葵のことを妹のように可愛がり始めていたのだった。

【第11章 人工島カジノ計画に渦巻く黒き影 10話【回想】小田切響子の学生時代 終わり】11話へ続く
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筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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