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■当サイトは既婚女性を中心に描いている連続長編の官能小説サイトです■性的な描写が多く出てくる為18歳歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい■

第5章 悲報 第43話 帰らぬ者 菊沢宏

俺は事務所で居てもたっても

いられぬ気持ちで待っていた。

結局府警の刑事の大塚の旦那からは

水島の身柄をこちらで1日拘束しておいて

くれと頼まれ、何とか部下の荒木さんと

神谷さんに明日までに令状を用意させると

息まいていたがあの橋元が本部長に

圧力をかけないであろうかと心配だった。

我が菊一探偵事務所の代表代行・・・

いや代表は俺なのだが実質は代表的

存在感と実務能力を兼ね添える

俺の愛する奥さんの

美佳帆さんが橋元を追跡している。

橋元は今の所ターゲットでも

何でもないので捕獲目的では

無く情報を抜くためだとは思うが

あのカスがタダで話す訳も無いし

ましてや力づくが通じるかどうか・・・

俺は代表の権限で姫こと寺野玲華と

天然こと斉藤アリサに美佳帆さんの

援軍を頼んだ。

俺自身が行けば良いのだが水島を

預かった手前事務所をうちの中では、

非戦闘員に該当するスノウと画伯

だけにするわけには行かず代りに

通信の力が使えるスノウが姫の

要望で現場へ行くことになった。

スノウも現場担当ではないが

美佳帆さん仕込みの芹沢流の達人で

余程の相手ではない限り不覚を取ることもないし

チンピラレベルであれば束になっても2ダースくらいなら

処理できる力は持っているし何より冷静で頭も切れる。

現場は美佳帆さんの同行しか

経験が無いが俺は中学生の頃からスノウは知っているが

スノウの事は能力も性格も信用でき大丈夫だろうと

姫こと寺野玲華の要望を受け入れた。

しかしスノウこと斉藤雪は俺の許可が

無くとも現場へは出向くつもりであったらしく

既に美佳帆さんのスマートフォンから

今いる所在地まで割り出していた。

何やらドットクラブというホテルに

居るらしい。

そして俺はスノウを送り出し

事務所で待機していたのだが

もう2時間が経過していた・・・。

俺はこの2時間の間に何度

拘束している水島に蹴りを食らわせそうに

なったか分からない。

その都度、画伯こと北王子や

事務所の一大事に休暇だが駆けつけて

くれたお嬢こと伊芸千尋に止められ

思いとどまっていた。

「少し落ち着きなさいよ。

グラサン・・・あなたがそれをしたら、

この男が元水島だと判別できない

くらい顔が粉砕した死体になってしまいますよ。」


「ああ。

わかってる。

わかってんねんけどな・・・

このハゲ蹴り倒しても

何も解決にならんことも・・・」


お嬢に諭され俺は代表の席に

ドカッと座り両足をデスクに置く。

いつもならこれをやると

行儀が悪いと叱ってくれる

美佳帆さんが居ないのが

この体勢を取る事により

余計思い知らされイラつきが

増してくる。

「こらっ

宏~!

お行儀悪いでしょ!」


「ただいま~

今帰りました~」


えっ?

俺はそのまま椅子から飛び降り

声がした事務所玄関口に目をやる。

「所長~!!

アリサさん~!!」


北王子はいつも俺を差し置き

美佳帆さんを所長と呼ぶが

いつもなら蹴り倒すところだが

今日は許す。

「美佳帆さん~

アリサちゃん~

心配しましたよ~

あの橋元とまさかの

一騎打ちを挑むなんて・・・」


伊芸千尋と北王子公麿が

2人に駆け寄り俺も

遅まきながら続く。

「美佳帆さん・・・・

大丈夫?

あっアリサッ

すまんかったな~

助かったよ。

俺が動けん時に・・・」


美佳帆さんがソファに腰を下ろし

付き添うようにアリサがその横に座る。

その対面に北王子と伊芸が

座ったので俺は所長で

ありながらソファの短い辺の前に

パイプ椅子を持ってきて座る。

「姫とスノウは?」

伊芸千尋が俺や北王子も

思っていた事を聞く。

「・・・・・・・・」

美佳帆さんはうつむき浮かない表情で

無言で首を横に振るとアリサがフォローするように

「3人で橋元と美佳帆さんが居た部屋に

乗り込んでね。

美佳帆さんを連れて帰ろうと

思ったら張とマイクという

外国人の橋元の部下が居たの。

そこで玲華さんが2人で足止めするから

私には美佳帆さんを連れて

逃げるように言って・・・

皆でバラバラに逃げようと

言う事になって・・・」


「そうか・・・・

2人には感謝やなぁ・・・

で張の相手は誰がしてたんや?」


俺は張という男を知っていた。

あの橋元の傘下では1番ヤバイ男で

もし今後橋元とぶつかることが

あれば張は俺か哲司しか相手できない

だろうと思っていた。

その張が現場に居て美佳帆さんが

無事に帰ってきてくれた

だけでもありがたいが寺野玲華と斉藤雪

が代わりに帰って来ないのであれば

嬉しさも半減以上である。

「私達が部屋から出た時は

スノウが対峙していたわ・・・」


美佳帆さんがやっと口を開く。

「スノウでは・・・

奴は無理や・・・」


俺は今から2人を迎えに行こうと

パイプ椅子から立つと美佳帆さんが

「宏!

ちょっと待って・・・

私が橋元から抜いた情報が

あるのそれを北王子君に

伝えたら私が2人を迎えに行くから

あなた・・・

着いて行ってくれる?」


「あっ・・

あぁ・・・

勿論や・・・」


俺は美佳帆さんに行かせたくは

無かったがここは止めても無駄なのは

これまでの付き合いで解っていたので

無毛な言い争いはせずに着いていく事を

了承した。

美佳帆さんが橋元から得た情報は

美佳帆さんが岩堀香澄という人から

受けた人探しの依頼で大原良助という

人を探す依頼を受けていたが彼が既に

亡くなっているという事だった。

場所は俺が伊芸と寺野を連れて

調査に行った

連続主婦失踪事件の流れで依頼を

受けていて亡くなられた田中美穂さんが

吊るされていたあの府と県の境の山奥。

そしてその実行犯は張の部下だが

張の部下に勝手に指示を出し教唆したのが

今うちの事務所で監禁中の水島という事。

それを聞いた俺は

「あのハゲやっぱり

蹴り殺したる!!」


と立ち上がると美佳帆さんに

ピシッ!

と扇子で頭をはたかれる。

「それはクライアントの

田中さんに報告してから・・・

それともしかしたら・・・

岩堀さんも・・・・

水島をターゲットに裏の仕事の

依頼人になるかも知れないでしょ?

ただこの事を私岩堀さんにお伝えするのが・・・

辛くて・・・」


俺は頭を抑えながら

「そうやよなぁ・・・

俺はその岩堀さん会った事ないけど・・・

でも職場の部下なんやろ?

まあそりゃ悲しいやろうけどなぁ・・

それも大事やけど・・・

田中さんの方はどうやろ?

田中さんかその岩堀さんから

社会的抹殺以上の制裁の方の依頼が

あれば大塚の旦那との事も

ややこしなるわなぁ・・

何とか2人に社会的抹殺で大塚の旦那に

引き渡して終わりにしてもらわんと・・・」


俺の隣でしなやかな美脚を組みながら呆れた

表情でため息をつきながらお嬢こと

伊芸千尋が

「グラサン。

お解りでしょ?

あなたがあの水島を蹴り殺しちゃ

大塚さんも美佳帆さんも困らせるのですよ。」


「あっああ・・

そうやな・・・

まあ今日散々ぼてくりまわした

さかい・・・

もうせんから・・・

そんなに怒んなよ~」


美佳帆さんから事件の全貌を

聞いていたら事務所の玄関が

勢いよく開いた。

皆一斉に玄関を向き立ち上がる。

「きゃはっ!姫~!!」

恐ろしい跳躍力で猿のようにぴょんっと

跳ねて事務所の玄関を開けた寺野玲華に

1番最初に抱き着いたのは斉藤アリサだった。

美佳帆さん、伊芸千尋、北王子公麿に

俺も彼女を囲むように明るい表情で迎えるが

寺野は悲壮感を漂させた表情で事務所内を

きょろきょろして見渡している。

「美佳帆さん・・・

美佳帆さん・・・みんな・・・

スノウは?

スノウはまだ?」


寺野の声は震えていて気の強い

彼女の涙など俺は中学、高校時代から見たことが

無かったが目には涙を溜めていた。

その寺野の表情と声と彼女自身が

スノウこと斉藤雪の心配をしている

ということは2人が橋元の居たドットクラブから

脱出してくる時に何かあったのか?

と思いさっきまで明るかった皆の

表情が一気に曇って行った。

《第5章 悲報 第43話 帰らぬ者 菊沢宏》
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筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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