俺の携帯に届いたメールには、片仮名でこう綴られていた。
『スギセイイチノツマガオチルトコロ。
コレヲミテワレワレノシジニシタガウガイイカ、ドウカ
ヨクカンガエレバイイ。
メイレイハ、ヒトツ、キクザワミカホノショザイヲ、オレノケイタイニ、イチジカンヲキ
ホウコクスルコト。
コノメールノチャクシンノ、イチジカンゴヲサイショノキゲントスル。
キクザワミカホヲ、ワレワレガ、カクホデキレバ、オマエノケイタイニ、ツマノショザイヲオクッテヤル。
ゴチソウサマ。オマエノオクサンハ、ゴクジョウダッタヨ。』
くっ・・・桜子・・・おちる・・だと・・・。
菊一探偵事務所の、斉藤雪さんが、奴らに捕まりされた事は、詳しくではないが想像はつく。
それと同じ事を桜子が・・・うそだろ・・・。
動画を開く気が起こらない・・・。
ご馳走様だとっ・・・くっ・・・。
おのれ~!!マイク・・・・この俺に菊一探偵事務所の、菊沢さんの奥様を売れというのか・・・。
そんな事できるはずないだろ!
菊沢さんの奥さんは、俺の上司である大塚さんの友人でもあるのだぞ・・・そんな事・・・。
しかし・・・やらねば、桜子は・・・どうなるんだ?奴らに殺されてしまうのか?
それとも・・・。
俺は、桜子の身に何が起こったのか大方の予測はついてはいたが、何をされていようが、まずは命が無事で、身体に傷などをつけられていないか、そちらの方が気になり、震えた指で、マイクから送られてきたメールに添え付けされていた動画の1番目のファイルを開いた。
!!!????
『桜子!!!』
動画に映し出された桜子の姿は、両手を肩の高さで左右ともに木製の柱のようなものの輪の中に手首を拘束されていた。
表情は気の強い桜子らしく、この動画を撮っている相手を睨みつけている。
とりあえず、この段階では、今日出かける前に桜子が着ていた黄緑色のブラウスはそのまま着ていたが、下半身はピンク色の下着1枚にさせられていて、高校大学時代に柔道で鍛えたその逞しくも魅力的な太ももが露わになっていた。
『清一!!私がどうなっても、こんな人たちの言う事を聞かないでね!刑事の妻になった時から、覚悟は出来ていたからね!』
動画を撮っている相手を睨みつけていた視線を今度はカメラ目線にして、おそらくはこれが俺に俺を脅迫する材料に送られるとわかっていながら、俺のその言葉を伝えるためにそう言ったんだろう。
桜子は、高校時代から気が強く、気丈な性格をしていた。
それは、あの頃と今も変わっていない。
理不尽な事には、相手が教師であっても、クラスのリーダー的存在の男子で会っても立ち向かう。
納得いかない事に対して示す姿勢は、相手の強弱を問わない性格だった。
『カン、ナカナカ、キノツヨイ、オクサンノヨウダ。オレノ、マグナムデ、ウチヌキ、ホネヌキニデキルヨウ、コノオクサンノ、マグナムノマトヲ、シッカリトホグシテヤッテクレ。』
おそらくは桜子が睨みつけている相手である、この動画を撮影しているマイクがそう言った。
すると、カンと呼ばれたアジア風の外国人の男が、片手に電気按摩機のような器具を手にして、櫻野の背後に回ったので、この画面に映りこんだ。
『ククク・・・スギサクラコ・・・イツマデ、ソノヨウニ、ツヨガッテイラレルカナ?ウン?』
そう言いながら、カンと呼ばれた男は、桜子の背後から、両手を拘束され、少し後ろに突き出さされているような格好になっている桜子の下着1枚の下半身へその器具を押し当てた。
桜子は、覚悟を決めているのか、眼を閉じ口を真一文字に結び、表情は変えずに何も反応せずにいる。
桜子!・・・やめろっ!カンッ!やめてくれ!!
俺は、既にこの動画の中で起こっている事は終わっている事だとは頭では分かっているが、そう思ってしまう。
ブルルルルッ・・・・
動画を介し、俺に聞こえる振動音、あの桜子の股間へ当てた電気按摩機のようなものの電源が入れられたのだろう。
桜子の表情は、先ほどとは変わらず目を閉じ口を真一文字に結び無表情を決めてはいるが、唇が震え、結ぶ上下の唇に力が入っているように映る。
『ホウ・・・サスガニ、ジャクデハ、コエモデナイカ?マア,ソノホウガ、イタブリガイガ、アルトイウモノヨ。オマエニハ、ソトデ、ナゲラレテ、アシゲニ、サレタオカエシモ、シナケレバイケナイシナ。クク・・・ソリャ、コンナニフトイ、フトモモデ、フマレレバ、イタイハズダ・・・ホホウ、シカシ,ソノワリニ、モミゴコチハ、ゴクジョウネ。』
ブルルルルッ・・・・という音が依然、鳴り響く中、桜子は表情を変えず唇がやや震えてはいるが、眼を閉じまるで何もされていないような表情を装っている。
カンは、左手で電気按摩機を後ろから、桜子の股間にあてがい、こねるように動かしながら、右手では桜子の太ももを揉んでいるかのように見えるのは、今のカンの言葉から、想像はつく。
桜子は、無表情を装っているが、明らかに頬の色は赤く染まっていき、時折、息を吐くような、呼吸が荒くなって行っているのがわかる吐息を漏らしていた、そしてカンが、桜子の腰の後ろから廻して桜子の鍛え上げた太ももを揉んでいた手が、桜子のピンクの下着の脇から、指を中に入れると、桜子は無言で首を左右に強く振った所で1本目の動画は切れていた。
くぅぅ・・・カンっ!俺はマイクの言うとおりにする!!
菊沢弥佳帆さんの、現在位置をきちんと報告するから、桜子をこれ以上いたぶらないでくれ!!
俺は、怒りに任せて自宅の床を殴りながら、拳に感じる痛みよりさらに心に大きな痛みを感じながら、夢遊病者のように2本目の添付動画を再生してしまっていた。
【第7章 慟哭 39話 耐える妻の表情にやり場のない怒り 終わり 40話に続く】
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