私は橋元所有のテナントビルの
4階の小田切先生が拘束されていた
隣の部屋の中央辺りにおかれていた
ベッドに座る。
橋元は意外にも何もしてくる気は
ないみたいで趣味の悪い
子供の遊具のような木馬に
跨っていた。
この男何を考えているのか
本当に解らないわね・・・
私はこの部屋に時計が無いか
見渡してみたがこの部屋に
時計は無かったようだ。
「菊沢美佳帆さん?
あのギロチンがそんなに
気になりますかな?
それともあのクロスの十字架
が宜しかな?
あぁ・・・
アンタはクロスより
ギロチンが好きみたいですな~
好きな体位はバックみたいですし
がはははっ
いやいや冗談はさておき
この部屋に時計は無いですぞ・・
ご主人にあの大塚府警本部長の
息子の刑事ももうすぐここに
来るようですがな・・・
それまでに話をしておきたくてね。」
私はこの部屋に入ってから
先程より橋元から感じる
プレッシャーが強くなり
全身を電流に当てられている感覚を
ジンジン感じていたが自分の性癖まで
見破られそれを突き付けられるように
言われ触れられてもいないのに
橋元の存在自体に子宮口まで
犯され快楽を与えられている
ような気持ちになっていた。
(この男ダメだ・・・
一緒に居るだけで
どうにかなりそうだ・・・
普通の女性ならそんな
事もないのだろうが・・
私の様に同様の力が
ある人間には彼自身の
刺激が強すぎる)
「本当に怖い人ね・・
それで私をこの部屋に
連れて来て彼等と
離した目的は?」
私は振り返りもせずに
強がった口調でそう応えた。
「まあまあ
時間は無いと言っても
あと15分くらいはあるでしょう。
先程も言いましたが私は
あんたに凄く興味が
あるのですよ~
正直妻にしたい
気分ですな~」
この期に及んでこの男
バカなの?
それより時間まで正確に・・・
無心になると読まれないとも限らないか?
しかし何も考えれないからこちらも
何もできないしそれ以上にこの男
今考えている事だけで
無く過去の事や私の奥底に眠って
いる事まで解るみたいだし・・
私をここに居させて私の事を
次々見破り辱める事が目的なの?
「がはははっ
まあそうツンツンしないでっ
菊沢美佳帆さんっ
さっきの好きな体位を
言われた時あんた
かなり感じてたでしょ?
私の言葉は特別ですからな~
なんなら手を触れずに絶頂にも
導けますぞっ
アンタのような経験豊富な
女性ならなおさらね~
今もうその赤のパンツは
ビショビショでしょうが
がはははっ」
やはりそうね。
まあ・・・
好きにすれば良いわ・・・
下着の色なんて
楽々お見通しみたいね。
全く良い趣味しているわ・・・
しかし
それだけの為に
時間を無駄にしている
とは思えないが・・・
「がはははっ
美佳帆さんへのご褒美は
後にして
そろそろ本題に
入りましょうか?
時間はまだ15分弱くらいは
ありますしな。
しかし2人は時間通りに
来ますかな~
まあ良いですか?
アンタの本当の狙いは私では
無いでしょう?
水島さんですな。
それと張。」
ご褒美てなんなのよ・・・
本当に嫌な男だわ・・・
扇子で切り刻んでやりたくなるわね・・
でも宏や大塚君が来る時間までは
正確に解るはずはないと思う・・・
この男の力は読心術・・・
それも本人すら気づいていない
心の奥底に眠る部分まで
手に取るように解り橋元の言葉で
見破られた真実を突き付けられると
相手の感情や欲望まである程度
コントロールする催眠術のような
力も加えられている。
ここまでは正しいはず・・・・
水島が狙いと言うのは
ばれていたとは
考えていたけどそれを私に
言ってどうする気?
「そこまで解っているなら
話が早いわね。
あなたまともに交渉する気
無いから私の思っている事を
先に言うわ。
乗るか乗らないかは解らないけど・・・
水島と張を今からここに来る大塚刑事に
引き渡しなさい。
それと小田切先生を始め
響子さんに深町さんも無傷で開放する事。
あなたも私達と最後までやり合えば
かなりの被害が出るはずよ。
宏や大塚君の後にも私達の
仲間は次々来るはずよ。
彼等が手配しているはずだから・・・・
それを望まないからあなたも
私をここに呼び話し合おうと
思ったんじゃないの?」
私は橋元のプレッシャーを
跳ね除け振りむきながら
足を組み挑発的な態度を
わざと作り木馬の上で
揺れながらふざけている橋元を
直視した。
いや
やっと直視する勇気が出て
直視できた。
「ええ。
ええ。
かまいませんよ~
私もアンタ達・・・
特にあのアンタの旦那の
グラサン男と事を構える気は
無いですからな~
しかし譲れるのは水島さんに
小田切先生の事務所の3人。
アンタは張も欲しいみたい
ですがそれはできませんな~
しかしアンタの依頼人の
ターゲットは水島さんだけでしょうが?
張は違いますでしょ?
1つまだ解っていない事実を
教えてさしあげても良いですが
その場合はアンタにも
私の条件を飲んでもらいたいの
ですがかまいませんかな?」
1つまだ私が解っていない事実・・・
しかしこの男今まで一緒に
悪事を働いていた水島を
こうも簡単に切り捨てると言うの?
それに張はやはり能力者?
だから水島以上の価値があるという事?
しかしその事実を聞く条件とは
何なの?
「小田切先生の事務所の
3人も無事に解放するのね?
張を引き渡せない理由は?
それと私の知らない事実を聞く条件て
何なの?」
私は橋元のプレッシャーに
押しつぶされないようにさらに
挑発的な態度を取り
足を組み替えると橋元を睨み付けた。
「本当に怖い人ですな~
アンタは~
がはははっ!
小田切響子さんは勿体ないが
今はアンタがここに居るから
私にはアンタの方が実に興味が
あってね~
小田切響子さんもね私達と同類ですよ。」
えっ?
気づかなかった・・・
そうなの!?
「えっ・・・
それは本当?」
「本当ですとも・・・」
橋元が少し悔しそうな
表情を浮かべながらここに来てから
終始飄々として余裕に感じた
彼のこのような表情は初めて見た。
「しかも私のリーディング・・・
アンタが読心術と心で思っている
力も1度跳ね除けられましたからな~
しかしまあ今日は色々彼女の事は
見せてもらい楽しませて頂けましたがな
がはははっ」
響子さんにそんな力が・・・
今日は小田切先生を
拘束されている姿を見たからか
何かで意識を集中できなかったのね。
「まあ、そんな響子さんですが
お返しいたしまずわ~
大塚の息子にアンタの旦那を
相手にしてまで私も意地を張るほど
執着はしていないという事ですわ
そして張の事ですがな~
それは言えませんな~今は
価値があるからとだけ
言っておきましょうか?
まあアンタの最後の質問の条件ですな
それを飲んでくれたら教えてやっても
良いですがな。
張の事だけやなくもう1つアンタが調べ
落としている事も教えますがな~
その条件でしたな。
最後の質問は?
アンタともう少し話がしたいんですわ~
ですから今から
私この先のドアから逃げますから
アンタ追いかけて来ませんか?
頃合い見て張と張の
部下も逃げるように指示は
出しますからマイクも勿論逃がしますが
水島さんは差し出しますわ。
大塚刑事とあんたの旦那にね。
せやさかいアンタは
逃げた私達を追った事に
して旦那にLINEか
何かで知らせたら
よろしいやろう?
それで此処で待ってますさかい
ここに来てくれたら
アンタの知りたい事は
全部教えますわ~
まあ2時間くらいで
解放はしますさかい
情報たんまり持って
旦那さんと合流できますわ~
小田切事務所の3人も無事に済むし
情報も入る。
親友の大塚刑事も
水島逮捕できますやろ?
まあ情報の1つはね。
アンタの捜索している
平安住宅の大原君の
事ですわ~
ほらっもう私らは時間無いですから
張とマイクに脱出指示出しましたさかい
私もここから出ますがアンタも
情報欲しかったらここに
ついておいで。
私1人で待ってるさかい」
時間が迫ってきたので橋元もやや
早口でそれだけ言い私にメモを渡すと
彼のスマホでおそらくは張に何か指示を
出したのかそれだけすると私の返答は
待たずに先ほど私達が乗り込んだ
部屋とは反対側のドアから出て行った。
部屋に取り残された私は手に渡された
メモを持ち橋元のプレッシャーから
解放された安堵と彼が口にした
大原君の情報の事について考えていた。
大原君に関しては岩堀香澄と言う女性からの
依頼で彼の行方を捜していた。
北王子君の絵画の力では彼の居場所は
見つからなかった。
その為に大原君が失踪する直前に
会っていた今
先程まで私の目の前に居た
橋元と水島を中心に
調べている最中であった。
それが本人の口から情報をくれると
言うのだ。
勿論罠かも知れないが彼が私を
罠にかけて得るものは私の力を含め
悪事に加担させる事くらいで
それを私が首を盾に振らないと言う事は
彼は百も承知だろう。
しかし水島をあっさりと
切り捨て売る当たり
この件に関しては水島の
単独か橋元が関与
していても水島に罪を
被せる気かいずれにしても
大原君の消息には期待が持てない。
岩堀さんには最悪の報告をしなければ
ならない可能性が大きい。
しかしその情報を本当にもらえるなら
橋元の待つところへ行くしかない。
私は主人の宏にLINEをした。
【橋元が単独で逃げたので追う。
無茶はしないけど出来る限りの
事はしたいのでテナントについたら
小田切先生も響子さんも深町さんも
無事なので保護してあげてね。
水島や残りの取り巻きが
居るかも知れないから容赦なく
捕獲してください。
後は任せたからお願いね。
橋元追跡終了次第連絡します。】
と送信した。
そして橋元に渡されたメモを見ると
【ドットクラブ。
VIPルーム10階キングの間】
と書いてあった。
メモを見て時間がもうないので私も
橋元の出たドアから出るとLINEに
返信が来た。
【了解。
美佳帆さん無事で良かった。
あの男かなりやばいから
くれぐれも無理しないでな~】
と届く。
私はスマホをデニムのポケットに
直すと階段を駆け下りた。
《第5章 悲報 第32話 情報 菊沢美佳帆 終わり》
« 第5章 悲報 第31話 未知数の怖さ 菊沢美佳帆 l ホーム l 第5章 悲報 第33話 水島失脚 大塚博之 »
お姉さんに「見ていたブルーのサイトどこなの?」
と聞いて、教えてもらって読んでいたら、興味と
ワクワク、ドキドキ感に惹きつけられ、離れられなくなっての、イッキ読み。
夏の休暇でイイモノ見つけました。
思わず、身体が熱くなるところも・・・。
イロイロな状況、人物の変化でクギリもつけられイイ所、好きな所
頑張って続けられることを望みます。
お姉さまにもお礼を言っておいて下さい。
私は登場人物1人1人に細かな設定を決めて
書いておりますのでシーンの移り変わりが
激しく読者の皆様には解りにくいかなと
思い少し心配しておりました。
クギリがありというお言葉を頂き
そのようにとらえて下さっている方
もいらっしゃるのだなと大変参考に
なりこのスタンスで今後も書いていける
自信になりました。
まだまだ拙い部分が多い私ですが読者の
方々のご意見を最大限に尊重し参考に
させて頂き今後も更新頑張りますので
宜しくお願い致します