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■当サイトは既婚女性を中心に描いている連続長編の官能小説サイトです■性的な描写が多く出てくる為18歳歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい■

第7章 慟哭 第1話 昇華できない気持ち 大東奈津紀

「弟さんの事は・・・

本当に残念だった・・・

何といえば良いか・・・」

弟、良助の初七日も終え久々に

自宅のマンション

ハイツエレガンスの503号室に

帰宅した私達は最近では必要最低限の

会話しか交わさなくなっていた主人からも

今だけは優しい言葉をかけてくれた。

1人暮らしの弟の良助の家事を

週に1度や2度くらい手伝いに

行ってあげていた私に主人は

「良い年した

大人に世話を焼き過ぎだ」

とよく苦言を呈していた

彼からすれば私の弟の良助は

主人からすれば好ましい存在では

無かったと思うがさすがに亡くなって

しまっては本心かどうかは解らないが

悲しんではくれていた。

私は帰宅して喪服も脱がずにそのまま

の格好で浴室へ行き先に風呂に湯を張るために

給湯のボタンを押し浴室の電気をつけ

リビングへ戻った。

主人は喪服の上着を脱ぎネクタイも外すと

喪服の下に白のカッターシャツという

姿でソファでくつろいでいた。

「あなた・・・

お湯が入ったら先に

お風呂に入って下さいね。」

私はこちらを向きもしないで

首だけ縦に振った主人を尻目に

寝室へ行き今日、良助の葬式と初七日を

合せて行った席で納骨まで居てくれた

良助の上司の岩堀香澄さんが

「菊一探偵事務所への依頼の

件で後で少しお話できますか・・・

依頼内容の更新の件で・・・

お姉さまの・・・

奈津紀さんの意見をまず第一に

尊重したいと思いますので・・・」

とお手洗いで会った時に言われて

いたので主人が風呂に入ったドアの

音が聞こえれば岩堀さんへ連絡を

入れようと思っていた。

去り際に岩堀さんは

「・・・

奈津紀さん・・・

大原君の事は・・・

私はまだ納得しておりませんので・・・」

と背中越しに言っていた岩堀さんの

声はかなり震えていた。

私は都合岩堀さんと会うのは良助の葬儀の日が

3度目であったが上司であるという事を

差し引いても彼女があれほど良助の死に

怒りを露わにしてくれるのは本当に嬉しいが

彼女は良助とどういう関係だったのか・・・?

と疑問にも思える。

「まさかね・・・

あんな綺麗な仕事の出来そうな

人が良助となんて・・・

それに岩堀さんご結婚されてるんだし・・・」

私は岩堀さんと良助が恋人関係かもしくは

それに近い関係だったのかと勘ぐってしまったが

現実的にそんなことはないだろうと勝手に

思い込み勝手に否定していた。

寝室の横、リビングの向こうから主人が浴室に

入るドアの音が聞こえたので私はスマートフォンを

取り出して岩堀香澄さんへ電話をかけていた。

落ち着いた容姿の彼女らしく通常の着信音が数回

鳴ると岩堀さんは電話に出た。

「はい。

岩堀です。」

「あっもしもし・・・

大東ですが・・・」

「わざわざご連絡ありがとうございます。

本日はお疲れさまでした。

少し告別式の時にお話しさせて頂いた事

なのですが・・・」

「あっはい・・・

その・・・

以前探偵事務所へ一緒に

行って頂いたときの事ですよね・・・」

私はお昼の岩堀さんの話しを思い出しながら

そう聞いた。

「はい。

私は・・・

大原君・・・

弟さんを実質的に殺めた

相手の2人を死刑台に送りたいと

思っております・・・

しかしあの後も依頼人である私は

菊一探偵事務所の方達から細かい経過

報告を受け・・・

実質的に手を下した2人のうちの1人は

菊一探偵事務所の方が捕らえたのですがもう1人は

まだとの事・・・

そしてこの2人のバックにつく張という男と

橋元社長の存在が邪魔で警察に突き出しても

すぐに釈放されることが明白である事という

報告を受けております。」

そんな・・・

良助を殺した相手を逮捕させても

裁けないの?

そんなバカな・・・

しかし私より岩堀さんが悔しそうに

声を震わせながら話していた事の方が

私には印象深かった。

「そんな・・・

警察はどうなっているのでしょう・・・」

私はやはり実行犯を裁くことができないと

いう事実がショックで声を詰まらせながら

そう言うしか無かった。

「奈津紀さん・・・

私も同意見です・・・

そして大原君をこんな事に巻き込んだ

私の元部下の水島も今、菊一探偵事務所に捕まり

管理下にあります・・・

彼もまだ警察には引き渡せずにいるみたいで・・・

そして・・・

菊沢美佳帆さん・・・

覚えていらっしゃいますでしょうか?

彼女が言うには・・・

菊一探偵事務所は法で裁けない悪人は

彼らの手により依頼人の希望があれば

法や依頼人に成り代わりそれ相応の

報いを受けさせて頂けるらしいのです。」

岩堀さんは力強い言葉で私にそう伝える。

「えっ?そっそれって・・・」

「私もまだ詳しくは聞いてはいないのですが・・・

明日にそのことについて依頼をするかしないは

別にして依頼人である私・・・

それに大原君のお姉さまの奈津紀さんを

交え説明をしてくれると菊沢さんが言って

おられましたので・・・

もしご都合よろしければ奈津紀さんにも

ご同席願えればと思いまして・・・」

明日はまだ仕事は休む予定でいた。

一緒に暮らしていたわけでは無いが

弟の良助が居なくなった生活に慣れるのには

もうしばらく時間が必要であったからだ。

だからと言って何かすることがあるわけでも

ないので私は岩堀さんに着いて行くことにした。

「明日は仕事もまだ休暇を出して

おりますので・・・

私も是非同席させてください。」

「ありがとうございます。

助かります・・・

それでは明日ご自宅のそばまで

車でお迎えに上がります。

10時に菊一探偵事務所に行く予定

ですので9時30分位には伺います。」

「あっはい・・・

それではよろしくお願いします・・・」

こうして私は明日、良助の上司の岩堀香澄さんと

再び菊一探偵事務所へ伺う事となった。

その日私は浴室から出てきた主人と入れ替わり入浴を

済ませると翌朝まで結局主人と言葉を交わすことは無かった。

《第7章 大話 昇華できない気持ち 大東奈津紀 終わり》
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筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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