2ntブログ

■当サイトは既婚女性を中心に描いている連続長編の官能小説サイトです■性的な描写が多く出てくる為18歳歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい■

第7章 慟哭 32話 包囲 神谷沙織

「ハァハァハァッ!」

私は全力で走り港区の倉庫周辺からできる限り
人通りの多い、繁華街へ行こうとするが行く道
行く道に全て張慈円の部下らしき、アジア系の
マフィア風の男たちが居て、次第に逃げ道の
無い方向へと追い込まれて行っていた。

おかしい・・・
この人たち今日の私と荒木さんが港区の橋本所有の倉庫の
捜査に来ると解っていなければこのような、的確な包囲網
を予め張る事なんてできないはず・・・?
あてずっぽで私たちが居たのならば、ここまで逃げ道を
塞ぐようにできないわよね・・・

「コッチダ!イタゾ!!」

3人・・・4人・・・

それにしても張慈円の部下は20数人と聞いていたが
これじゃここに全員投入されているの?
それとも、また人数が増えたのかしら?

私は張慈円の部下に三度、いや四度見つかると
倉庫周辺から海側へ海側へ下らされ、人気のいない
廃倉庫の方まで追い込まれていた。

この先は1本道で廃倉庫が奥にあるのみ・・・

ここまでか・・・
相手は2人増えて6人。
しかしこの奥の倉庫に逃げ込み
戦ったとしても、張の部下は次から
次へと増えて来て結局10人以上は
相手にしなくてはならなくなる・・・
荒木さんは大丈夫かしら?
何故か私の方ばかりに追手が来たのは
良かったのか悪かったのか・・・
荒木さんに何かあれば大塚さんに顔向け
できないからね・・・
良かったのよこれで・・・

私は伸縮するチタン製の短棒をスーツの内ポケットから
抜くとそれを一振りし30㎝程に伸ばす。

「ヤットカンネンシタカ!」

アジア風の男2人が刃物を持ち私に向かい距離を詰めてくる。

まるで猪ね・・・

私は1人目の男をさらりと交わすと容赦なくチタン製の短棒で
男の顔を打つ。

ビシッ!!

そしてすかさずみぞおちに靴の先が食い込むように
蹴りを入れた。

バシュッ!!

「ウギィ!!」

1人目の男はお腹と顔を抑えながらその場に蹲り
悶えている。

そして私を背後から襲おうとした2人目の男には
全くの勘で回し蹴りを見舞うと見事男の首元にヒットした。

シュンッ!!

「ブゲェ!!」

2人目の男も顔を抑え蹲る。

しかし次から次へと男たちが押し寄せてくると
私が立ち回る範囲も狭くなってきていよいよ4人もの
男に包囲されてしまった。

これでは倉庫に逃げ込むこともここから離れる事も出来ない・・・

「サスガ、オンナケイジ。
ソコソコヤルヨウダガ
ココマデダ」

私を囲んだ4人の男の1人が片言の日本語でそう言う。

「解ったわ・・・
あなたたちの好きなようにすれば
良いわ・・・
その代わり1つ教えて欲しいの。」

「ホウ・・・
レイコクデ、キガツヨイ
トキイテイタガ
ナカナカキキワケガイイナ」

私は手に持っていた短棒を構えるのを
止め一旦構えを解きながら

「あなた達
今日ここに私たちが来るのが
解っていたわよね?
それはどうして?」

私はまずそのことが気になり
それを聞き出してから、この4人を
始末してここから逃げ出そうと
もくろんでいた。

もし私たちの捜査状況や行動範囲が
何らかの形で橋元や張にバレているのなら
この場から逃げ出せたとしても、今後も
私たちや菊一探偵事務所の人たちにも
被害が及ぶ可能性が非常に高い。

「ソレハデスネ・・・」

私の問いに答えたのは前にいた男4人の
中の誰でもなく背後の倉庫の中から
出て来た男だった。

私はドキッとして振り向くとそこには
私も知っている男。

このアジア系マフィアの総元締めの
張慈円が立っていた。

《第7章 慟哭 32話 包囲 神谷沙織 終わり》



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筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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