大原と香澄がこの町から少し離れた海岸通り
を抜けた繁華街にあるラブホテルに居た頃、
自宅に謝罪に来るはずの大原と香澄がいくら待っても
来ない事に腹を立て木島は義理の兄の橋元に連絡をしていた。
橋元は一言
「計画通り行かないから
また別の面白い計画も
浮かんでくるのさ」
と余裕の笑みを浮かべている声色で
すぐに行くと木島に伝え、橋元は水島にも
連絡を取り今3人は木島の住む、岩堀香澄と
大原良助が謝罪に来てこの場でSEXをする
はずであったオルガノというマンションの208号室に
居た。
「まさか・・・・
あの大原が裏切るとは・・・・
社長すみません・・・
私の読み違いでした」
この男俺の兄貴のコバンザメをしている
が中々役に立つから置いていてやっているが
ここに来て読み違いとは言い訳も甚だしい。
元々気に食わない奴だったが兄貴は奴を異常に
評価しているのが俺には解らない。
「まあまあ
水島さんそう悲痛な表情を浮かべなさんな~
私もあの大原と言う小僧・・・・
アンタがあのべっぴんの広告会社の
お姉ちゃんと楽しんでいた時に話をしたが
ここまで肝が太いとは思わなんだ。
アンタが読み違えるのも仕方ないわな~」
「しかしっ!
兄さんこれであの女・・・
平安住宅の岩堀か?
あの女撮るのが難しくなったぜ!」
俺は過去に一度このマンションに仕事で
来ていた岩堀と言う女を見たことがあるが
それはそれは良い女だった。
あのツンと澄ましたような表情にプライドの
高そうな眼鏡も似合っていてああいう
【私はできるのです】
と顔に書いて歩いているような女を
めちゃくちゃにしてやるのが俺の性癖
でもあったので
今回の件も俺がクレームにかこつけて
あの女を抱きたいと兄貴に言ったが
ああいう女は自分の部下のような奴に
抱かせてプライドをへし折るのが見ものだと
俺の提案は却下された。
しかもああいう女は相手が若ければ若い程
作品としては面白いのだと兄貴は言う。
しかし結局兄貴は水島の計画で行くことに決めたが
失敗したではないか。
「社長・・・
そう言って頂けると助かりますが・・・
ここに来なかったという事はあの大原が
岩堀に計画の事や社長や私らの裏の商売の
事も話している可能性がありますね・・・」
「話しているでしょうな~
まあ大原の口は私が封じましょう。
問題は岩堀ですな~
あの女が大原から聞いた事を誰に話すか?」
「私の二重請求を捏造した事に関しては
まず部門長の上妻でしょうね・・・
しかし社長にその上の中崎専務辺りに
上手く圧力をかけつつ口を利いて頂ければ
後は私がこの二重請求を職務を投げ出した
岩堀に代り解決した事にして逆に岩堀に貸しを
作れます。
そうなれば例えその後上妻に岩堀が何を言おうが
自分のミスや職務怠慢を人になすりつけようとしている
という絵が画けます。
先にそこまでの手を打っておいて私は岩堀が大原から何も
聞いていないと決めつけ接します。
そうすれば岩堀も上妻に話す事すらしないでしょう。
万が一話してしまった時の為に上妻を抑えるよう社長に1本
ウチの中崎辺りに連絡を入れておいて頂ければ後は問題ないですよ。
それに二重請求問題は私が残りの顧客も当たり何とかしますから
それを社内では岩堀と大原が解決した事にしておけば帰社した岩堀も
何も言えんでしょう。」
この悪知恵はどこから出て来るのか?
俺はこの水島という男の悪知恵がこの先俺たちを
裏切り兄貴や俺に向いた時は真っ先にこの俺が
奴を始末してやると決めていた。
しかし兄貴は
「ほうほう。
それは見事な絵ですな~
それで行きましょう。
中崎さんには今から私が1本電話を入れておきましょう。
上妻さんから万が一もし何か面白い報告を受けたらうまくごまかす
ようにでも伝えておきますかな。
しかし水島さんが早速動いてくれるなら上妻さんから中崎さんに話が
上がってくることもないでしょう。」
「ええ。
そうなるとは思います。
仕事が第一の岩堀・・・
覚悟があっての行動でしょうし
私の悪事を明るみにすれば事は
済むと思ったのでしょうがそれを
したところで自分の言葉は誰も信用しないと
解って騒がなければ今の立場も守れるのだと
知ればあの女も騒がんでしょう。」
「そうなればあとはあの思っていたより
肝の据わっていた大原君ですな~
彼は張とマイクを使います」
橋元がスーツの内ポケットから
扇子を取り出し仰ぎながら
「兄さん!
奴等を・・・・
何もそこまでしなくても・・・」
兄貴が言った2人の外国人。
1人はアジア系マフィアで今は
兄貴の仕事の後処理みたいな
事や邪魔者の排除を手段を
問わず跡形も残さずにやってのける
所謂プロ。
マイクはボクサー崩れでこの町に
流れ着いた浮浪者同然であった所を
兄貴に拾われ今は兄貴のボディーガード
や張の仕事の手伝いなどもしていて兄貴が
売っている素人物の裏のAVにもたまに
女を犯す役で出てもいる。
この2人を使うという事は大原と言う男は
ただの口封じでは無く非常に辛い目に合う事に
なる。
しかし最近俺や水島の周りにまで府警の私服警官が
うろつきだしているのが気になり俺は兄貴の為を
思い今回に関してはあまり事を荒げるべきではないと
思っていた。
「健太。
お前も私の後を継ぎたいのなら
先々の不安は微塵も残さない
私のやり方をよく見ておきなさいよ。
あの大原と言う男。
予想以上の肝を見せてきた。
ああいう男は野放しにしておくと
今後色々邪魔になってくるのだよ。
早々に動けなくしておいた方が
私達の為なのさ。」
向かいで深く頷く水島が俺を苛立たせる。
その水島が
「社長・・・・・
仰る通りで・・・・
大原の事はお願いします」
とコバンザメぶりを発揮する。
「しかし兄さんっ
最近俺らの周りにまで府警の
私服警官がうろついてるんだぜ!」
「健太~
彼等には何もできやしないよ~
それに良い被写体が2人程いるね~
あの私服警官なかなか上手そうな体
してたでしょ~?」
「はぁ!?
なっ何を・・・・
相手は警官だぜ!
そんな女どうやって・・・
水島さんっアンタからも
何とか言ってくれよっ!」
少し無言で考え込んでいた水島が
「・・・・・・・・・・・
社長・・・・さすがにそれは
・・・・それとも社長は府警本部にまで
裏のコネクションがあるとでも・・・」
「がははははっ!
さすがに私の参謀の水島さんは
鋭いですな~
まあそのあたりは心配無用と
だけ申し上げておきましょう」
「・・・・府警本部にまで・・
マジかよ?兄さん・・・」
俺は我が義理の兄貴ながら
この人の怖さをまた再確認した。
そしてこの人に付いて行けば俺は
一生金と女に困らない生活が送れると
思い身震いし一生この人に付いて行こうと
思った。
《第3章 愛情の伴わない快楽の怖さ 第7話 それでも計画は続く 木島健太 終わり》
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