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第8章 三つ巴 17話 謎の女性現る

第8章 三つ巴 17話 謎の女性現る



神田川真理は、入社当初より、佐恵子の強い希望で、佐恵子の秘書として配属されていた。

新卒者とは思えない知性、清楚な立ち振る舞いと際立った美貌で、入社当初から、社内では注目を浴びていた人材であり、都内有名私立大学を卒業し、求人倍率500倍を超える宮川コーポレーションの入社試験の筆記部門で、首席で合格した才媛である。

ちなみに宮川佐恵子が次点、そして、稲垣加奈子と続く。

佐恵子が、側近として真理を強く希望した理由は、知性や人物もそうだが、その特異な能力を欲してという理由が最も大きかった。

【未来予知】数秒から数十秒先の、危険に関する未来を予知でき、【治療】は自身もしくは対象の思念を消費して、傷や体力を回復させることができる能力を持ち合わせていたためである。

何方も非常にレアな能力で、佐恵子は探し求めていた宝石を見つけたかのように喜び、真理とは公私を問わず、可能な限り真理を伴うようになった。

真理も当初は、佐恵子の、過剰な干渉に戸惑いを見せていたが、徐々に慣れてきて、現在では、できる限り佐恵子の希望に、応えるように心掛けるようになっていた。

佐恵子は、長い付き合いで、真理の【未来予知】の精度が非常に高いことを知っていた。

真理は事故には合わない。また、食中毒等も然りである。

もし仮に、雪崩や土砂崩れ、さらに火山弾に見舞われても、真理の身体能力なら、よほど大きな規模でない限り、すべてを見通し回避しきるだろう。

戦闘においてもそうだ。【未来予知】のせいで真理に攻撃を当てるのはすごく難しい。さらに詠春拳と合気道を使うので、下手に手を出すと、逆に手痛い反撃の的になってしまう。

仮に、攻撃が当たったとしても、厄介なことに【治療】がある。しかも、能力の並行使用の使い手なので手に負えない。

その真理が大声で、「避けて」と叫んだのである。

佐恵子は、そんなに大きな真理の声を聞いたのは初めてであった。

その声に驚き、振り返ると、いつの間にか目と鼻の先にまで迫った、モブと呼ばれていた男がいた。

血まみれの顔で歯を食いしばり、オーラを膨張させている。

佐恵子は正直驚愕した。モブという男程度に、扱えるオーラの量と流れではない。スピードも体術も先ほどとは、まるで別人だ。

(この動きはまるで・・・私・・?)

その驚きが、刹那だけ反応を鈍らせた。

モブの蹴りが佐恵子の顎を、完璧に捉え、佐恵子の長い髪の毛が蹴られた衝撃で大きく靡く。

脳を揺らされ、ぼやけた視界に、モブのドヤ顔が映る。

(は、速いっ・・!・・・血・・・?ダメージ??!・・バカな・・私のオーラをも貫いたというの・・・?!)

「佐恵子!!」

真理が悲鳴に近い声で叫ぶ。

「くらえ!」

辛うじて倒れず、グラつく佐恵子に対し、モブが更に、お得意の必殺パンチを放つため振りかぶった。

(う・・動け!動きなさい!!・・うううっ!・・ひ、膝が、わらって足が動かない・・・!)

ばきぃ!

左頬にモブのワンパターン右ストレートパンチがまともに入り、後方に吹っ飛び一回転して仰向けに倒れる。

「どうだ!このクソアマ!!思い知ったぐぶぅうっ!!!あぶっはぁあ!!」

勝鬨を上げようとしていたモブに、加奈子が、コンクリートの地面を砕く勢いの踏み込みで、背中と肩を同時にぶつける体当たりをモブに喰らわせ、左足を軸に後回蹴りでモブを蹴り飛ばす。

加奈子に蹴られた衝撃で、モブは、口から血をまき散らしながら、きりもみ状態で張慈円を目掛けて飛んでいく。

「ふん!」

張慈円は一声発し、身を捻り躱す。

がしゃーん!・・どさっ

モブは倉庫の壁に激突して、埃だらけの麻袋が積まれた荷物の上に落ちて動かなくなった。

加奈子は、蹴り飛ばしたモブには目もくれず、仰向けに倒れた佐恵子に駆け寄り抱き起した。

「し、支社長?!ま、真理ぃぃ――!!」

「わかってる!わかってるけど、この人たちをどうにかしてよ!」

真理を呼ぶが、加奈子が抜けたため、アレンと劉を二人同時に、相手しだした真理が、加奈子に向かって叫び返す。

「うっしゃ!」

加奈子は佐恵子を抱えて跳躍すると、中二階にある金属格子の足場に、佐恵子を横たえた。

「だ、大丈夫?!支社長!」

「ぐ・・ごほっ!・・っ・・い・・・よ・・」

「・・・。真理と交代してくるから、少しだけ待ってて!」

佐恵子のダメージは大きそうだが、生きている。ならば、とにかく真理だ。佐恵子の言葉を待たず、加奈子は中二階からすぐさま飛び降りた。

「真理!行って!」

飛び降りながら、アレンの背中を蹴り飛ばした加奈子が真理に叫ぶ。

「ええ!」

劉の横なぎの一閃を、しゃがんで躱し、その勢いで今度は、真理が跳躍する。

「くっそ!こいつ!全然当たらねえ!どうなってやがる!」

跳躍する真理を見上げながら、劉が怒鳴る。

「次は私が相手よ!」

劉は返事の代わりに青龍刀の斬撃を、加奈子目掛けて飛ばす。

ばちん!

加奈子は飛んできた斬撃を左手で弾き、そのまま劉に突進する。

「こいつらは、どうして効かねえんだよ!」

迫りくる加奈子に悪態をつきながらも、青龍刀を上段から切り込み応戦する。

さっきまで戦っていた真理という女とは、まるで違う戦闘スタイルに劉は面食らう。

獰猛な肉食獣のように容赦なく、重い攻撃が銃弾のように襲い掛かってくる。

アレンは戦闘開始前から、すでに加奈子という女に重傷にされていたうえ、先ほど更に上乗せで攻撃を浴びていた。アレンがいま立ち上がろうとしているのは、まさに奇跡だろう。

立ち上がったとしても、アレンは戦力にはもうなるまい。

ボスは?とみると、中央の鉄骨の柱に身を預け、頭を抱えなにやら、呻いたり、首を振って意識を保とうとしているように見えた。

あの佐恵子という女に、なにかされたのだろうが、すぐに回復するようなものなのだろうか。

外傷は見受けられないが、ボスにあれだけのダメージを与えるとは、とんでもない奴だ。

先ほど、すごい動きを見せたモブは、麻袋の向こう側に落ちて、ここからでは確認できない。

目の前で、髪の毛を逆立てている加奈子というヤツの、打撃面積を最大限に使った、体当たりと、空気を切裂く音を響かせた回蹴りを喰らったのだ。

流石にモブも、もう起きてはこないだろう。下手すれば本当に死んだかもしれない。

「ちくしょう・・!なんて日だ!」

劉幸喜は肚を括ると、目の前の獰猛な女だけに集中することにし、青龍刀を構えなおした。

真理は、カツンと音を響かせ、格子の床に着地すると、仰向けに寝かされた佐恵子に向かって走り寄りながら声をかける

「佐恵子!もう大丈夫よ」

しかし、あと数歩というところで、真理の【未来予知】が最大限の警鐘を鳴らす。

真理の視界全体が一気に死地になり、安全な場所は見当たらない。

「動かないでくださいね」

背中から掛けられた冷ややかな声に、真理はビクリとなり動きを止める。動けば、死ぬ。真理にはそれがわかった。

「真理!なにやってんのよ!」

階下でアレンをヘッドロックで決めながら、劉に膝蹴りを喰らわせた加奈子が、真理を見上げて、怒鳴る。

「・・・そ、そんなこと言われたって・・・」

安全地帯は、いま自分がいる空間しかない。少しでも動けば、そこは死地だ。それが視認できる真理は、一気に噴出した汗で、全身をびっしょりと濡らせながら、かろうじて呻いた。

仰向けになり、浅い呼吸をしている佐恵子まで、あと数歩だ。しかし、ここからでは【治療】は届かない。

佐恵子が寝かされているところは、死地の圏外ではあったのがせめてもの救いであった。

「動けば斬ります」

背後の影は、再度真理にそう念を押すと、倉庫の薄暗い照明の灯りの下までゆっくりと歩みでた。

白のブラウスに、上下黒のスーツ、下は膝上のタイトスカート姿に薄い黒色のパンストに身を包む女性で、身長は真理とほぼ同じぐらい、160cmは超えているだろうか。左手には1mほどの黒い棒を持ち、長さや反りの形状から、それが日本刀であることは容易に想像できた。

カツンカツンと金属の格子床をゆっくりと歩き、固まっている真理のすぐ後ろまで歩みを進めると、掛けている眼鏡を右手でくいっと直し、一同を見回してから、女性は誰ともなしに問うた。

「指定の時刻になりました。張慈円様はどちら様ですか?」

「俺だ。連絡した張慈円本人だ」

倉庫の中央で仁王立ちしている張慈円が、女に向かって応えた。佐恵子の恐慌のせいで、顔色は真っ青だが、それを出さずに堂々と答える。

「本人に違いないようですね。初めまして、髙嶺から参りました。わたくし、千原奈津紀と申します」

「ご足労いたみ入る!だが、見てのとおり取り込み中だ。商談は、こいつらを始末してからと言うことで、お願いしたいが、よろしいか?」

「た・髙嶺ですって・・こんな時に・・」

仰向けで、浅く呼吸をしていた佐恵子が、僅かに身を起こして唸った。

千原奈津紀と名乗った一見出来の良いキャリアウーマンにしか見えない女性は、中二階から張慈円を見下ろしながら続けて問いかける。

「始末できるのですか?」

「手を貸してくれるのと言うのか?」

千原は、表情なく一瞬だけ考えると、抑揚のない声で返す。

「依頼も受けていないのに、それはできません」

「正式に依頼するぞ?こいつらは宮川だ。お前たちにとっても、積年の相手ではないのか?」

「それも党首の判断次第です。しかし・・・手は貸すかどうかは、保留としても、ここでむざむざと、魔眼佐恵子を見逃す手はありませんね」

そう言うと、奈津紀は倒れている佐恵子に向き直り、カツンカツンと音をさせ歩き出す。

「ぐ・・・はぁ、はぁ、・・・・」

佐恵子は、荒い息をしながら、肘を使い仰向けのまま後ずさる。

奈津紀が、動けず汗びっしょりの真理の横まで来た時、階下で加奈子が吼えた。

「全開だ―――――!!」

劉が加奈子の喉元を、目掛けて一閃させた青龍刀を、鎬地側から器用につかみ取ると、バキン!と音を立てて、握力だけで砕き割った。

「なっ!?ぐおっ!!」

柄だけになった青龍刀を握った劉の鳩尾を蹴り抜くと、加奈子はしゃがみ、太腿を膨張させ、奈津紀目掛けて1階から飛びかかる。

「おらぁあああ!」

加奈子が、太腿を限界まで引き絞って大跳躍しながら、放った飛び蹴りを、奈津紀は身をかがめて躱す。

「真理今よ!」

加奈子が真理に言う。

「わかってる!」

真理の目の前から死地が消えていた。それを確認すると同時に、真理も佐恵子のところに駆け出していた。

「佐恵子!一気にいくから我慢して!」

真理は、佐恵子の隣に跪くと、両手をかざし力を集中する。

「うぅ・・真理・・面倒かけ」

「しゃべらないで!」

佐恵子が言い終わる前に、真理は能力を発動する。緑色の光に包まれた両手を、佐恵子の顔かざし、顔ごと緑色の光に包まれる。

「埃をまき散らして・・」

「支社長はやらせないわ!」

埃を嫌いながら口元を右手で抑えた、奈津紀に対して、髪の毛を逆立て、湯気が立ち上るようなオーラを纏わせた加奈子が吠え、突撃する。

加奈子の能力は【能力向上】、普段は50%ほどの発動状態であるが、今の加奈子は限界を超えた150%の状態である。

非常に強力ではあるが、100%以上の使用時間は非常に短いというリスクを背負う。

50%でもオリンピック選手やプロレスラーでも2,3人程度即座にねじ伏せることができるほど加奈子は強い。

単純な膂力向上のみに特化している分、純粋に素手での殴り合いの勝負であれば、ほぼ無敵である。

しかし、加奈子は野性的な感で、奈津紀の戦闘力をほぼ正確に感じていた。限界の150%で対峙するべき相手だとみたのだ。

「はあああ!」

奈津紀は、左手の親指で刀のツバを押し上げながら、腰を落とし、右手を柄にかけ抜刀し、突撃する加奈子と場所を交差するように踏み込み、そして納刀する。

実際はすさまじく速いのだが、流麗な動作ははっきりと目に焼き付き、演舞でも見ているかのようであった。

突撃した加奈子と、今は納刀しているが、確かに抜刀した奈津紀が場所を交差させる。

「おや!?・なるほど・・斬れないのですねその服・・。それにしてもすごいスピードですね。まるで飢えた獣のようですね、美しい容姿とは正反対の戦い方をなさる方のようですね。」

奈津紀は加奈子を振り返りながらそういった。

「く・・・!」

加奈子は飛び退り、自分の身体の表面を走った、刃の感触を確かめるように、剣先が走った太腿を摩りながら、距離をとる。

(じょ、冗談でしょ・・!?この速度に、合わせてきたっての・・?!!)

加奈子は肌を粟立たせた。

今の加奈子は、持ちうるすべての能力を全開放している。長く持って10分、それ以上使えばオーラはガス欠になってしまう。

奥の手の、フルパワー状態での攻撃を躱された上、太腿に一太刀も受けた。

加奈子は少しだけチラリと振り返り、佐恵子と真理の様子を確認する。

まだ座ってはいるが、佐恵子が上体を起こし、血色も戻りつつある姿に、加奈子はホッと胸をなでおろした。

【第8章 三つ巴 第17話 謎の女性現る終わり】第18話に続く
コメント
ヤバイです!
>_<
ピンチ過ぎます。。
加奈子ちゃんもフルMAXでの闘いでも厳しいなんて。
3人の力で切り抜けてぇー!
本当に『何て日だ!』
2018/06/28(木) 22:27 | URL | カリスマ店員 #-[ 編集]
カリスマ店員様
凄く感情移入して下さりお読みいただいているのが伝わってきます。
いつも応援のコメントに感想をありがとうございます。
2018/06/29(金) 21:13 | URL | 千景 #-[ 編集]
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筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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