2ntブログ

■当サイトは既婚女性を中心に描いている連続長編の官能小説サイトです■性的な描写が多く出てくる為18歳歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい■

第8章 三つ巴 22話 自動絵画

第8章 三つ巴 22話 自動絵画

菊一探偵事務所が今後使用するフロアは事務用品がまだ配置されておらず、まだ、引っ越し作業中である。

引っ越しの指示は宏と哲司に任せ、美佳帆と真理はエレベーターホール近くの打ち合わせ用のテーブルに向かい合って座り、お互いの状況や情報を交換し合っていた。

「なるほど。大体の状況は分かりました。いくつか、処理しなければいけない問題を抱えておいでですね」

「そうなのです。この水島と言う男の処理を請け負ってしまっているので、大手企業の宮川コーポレーションの仕事として正式受諾するには、些か問題があるのかとは思っておりまして・・」

美佳帆はさすがに上場企業で「殺害依頼」の実行は無理だと思い、真理の反応を伺う。

橋元一味の水島喜八は、現在、大塚さんの隠れ家マンションに監禁しており、大塚さんの数少ない部下である、現役刑事の粉川さんや杉さん、それに斎藤さんに24時間交代で監視をさせているのだ。

一通り情報の擦り合わせを終えたところで、2杯目のコーヒーに口を付けた真理が、カップを置き、口を軽くハンカチで拭うと

「まあ・・それは、また後日と致しましょう」

と、軽く濁したあとに、別件を切り出した。

「それよりも至急案件なのは、そのマンションですね。美佳帆さんたち菊一探偵事務所が宮コーに買い取られたことは、その大塚さまはもうご存じなのですか?」

「え、ええ。お互い協力し合う関係にありますから、そうなるかもしれないとは・・。詳しく決まったら、改めて連絡を入れるって話してありますけど・・」

「なるほど・・・」

美佳帆の返答を受け、真理が頷き、数秒考えると再度口を開く。

「私が香港三合会の幹部であれば、張慈円に対してこう指示を出します。『邪魔な人物、及び、その部下の家族、恋人を襲い、監禁拷問し、彼らに情報をリークするように脅迫した後に人質諸共消せ』です」

世界一荒事から遠い存在に見え、虫も殺せそうに見えない神田川真理が、先ほど挨拶を交わしたときの口調と同じような声色と表情でそう言った。

「そ、そんな・・!そこまで・・。それに、彼らが裏切りだなんて!」

その反応を予想していたらしく、真理は美佳帆に向かって深く相槌を打ってから、続けた。

「お気持ちは分かります。もちろん、誰かは分かりませんが、誰しも裏切りたいわけではないと思います。しかし水島喜八という人物を監禁してから時間が経ちすぎています。もはや敵からみると、水島には何の価値もありません。むしろ、消したい存在でしょう。なので、彼を匿っている限り、敵のほうからどうしても接触してきます」

真理は、両手でカップを持ち、半分程度まで減ったコーヒーをくるくるとカップごと回しながら、さらに続ける。

「それと、岩堀さんや大東さんからの依頼達成をこの目で確認しにくくはなりますが、もう敵に渡してしまうだけで目的は達成するでしょうね。かつての仲間の手によって闇に葬ってくださると思います。・・・こちらにとっては、能力者ですらない水島喜八には価値どころか、敵をおびき寄せてしまう危険、そしてその危険を守る為に、配置している人員やその家族が狙われ、今度はこちらの情報が敵に漏洩する可能性があります」

指摘されれば、可能性としては十分考えられることであると理解できる。

美佳帆はどこかで、敵の凶悪さ加減の認識の甘さゆえ、すでに後手に回っているかもしれないと、感じていた。

それにしても神田川真理・・・。見た目どおりの人物ではない。宮川コーポレーションに身を置く幹部ともなると、ここまで肝が据わっているものかと美佳帆は感心する。

たしかに、真理の言う通り、状況を変えられれば、人は意思に反した行動も起こす。

敵にとって犯罪などは、普通のサラリーマンの日常の仕事となんら変わりはしない。その認識が少しばかり甘かったのだ。

「たしかに・・、お嬢や神谷さん達が襲われるタイミングを考えると、不自然ね」

真理の発言で、どこか頭の片隅ではその可能性に気付いていたのだが、一気にその考えが頭の中の中心に広がってくる。

もしかしたら、すでに敵の手が回っており、大塚たちの家族がスノウやお嬢のように、敵の凌辱を受け、脅迫の材料にされている可能性を感じ、唇を噛む。

「敵に内通しているかどうかは直ぐに確かめることができます。佐恵子が元気なら、連れて行くだけですぐさま見破ってくれるのですが、今はそうもいきません」

カップを両手に持ち、普段の表情を変えず、穏やかとさえ見える真理さんの発言に、顔を上げ、続きを促す。

「いますぐ本人たちに内緒で、水島喜八を見張っている人員の、ご家族の安否確認をしてみてください。・・家族全員が健在なら私の邪推だったと安心できますが、先ほども申し上げた通り、時間が経過し過ぎています。もうおそらくは・・。斎藤雪さんは別としても、伊芸千尋さん、神谷沙織さん・・。美佳帆さんが、違和感どおり、どうして同時期に、別の場所で敵と鉢合わせをして、立て続けに捕らえられたのでしょうか?もちろん、敵の拠点にいったのですから、偶然の可能性もかなり高いですが、その他偶然が重なったとしても・・・こちらが強襲したというのに、囚われるとは・・・っと、私達3人も此度は、強襲したというのに、手痛いダメージを受けたので、偉そうなことは言えませんけどね」

真理の自虐的な冗談とも思えない発言を少し聞き流し気味に、美佳帆は困惑気味ではあるが、素早く頭を切り替え、スマホを取り出しモゲにダイヤルをする。

美佳帆のその様子を見ていた真理もスマホを取り出し、部下に連絡しだした。

「もうしばらくしたら警備の責任者がここに来ますので、マンションに詰めている刑事さんたちの身辺調査にお使いください」

「ええ、ありがとう。こちらも姫とモゲに、お嬢とスノウを引っ張ってでもここに連れてくるように連絡したわ。ちょっと可哀そうかもしれないけど、そうも言ってられそうにないかもしれないですしね」

先に電話を終えていた真理が、美佳帆が話し終えるのと同時に話しかけ、お互いに報告をし合う。

「さすが、ご賢明です。それに、ご安心ください。ここの警備員たちは、クリーニング済みです。使えない・・ということもないとは思いますが、気になることがあれば教えてください。それと、このビルの11階より上は、ご存じの通りホテルです。急な来客や緊急事態に備えて、部屋はいつも5部屋ほど空けてありますので、伊芸さんや斎藤雪さんはもちろん、菊一事務所の皆さんも今後しばらくは、そちらでご滞在ください。11階のフロントで私の名前を出してくだされば、スムーズに話が進むと思います」

「真理さん。気遣い本当にありがとう。今回甘えさせてもらうわ」

「いえいえ、私達はすでに同じ組織、美佳帆さんが私と同じ立場でも、同じ対応をされたでしょう。・・・それに、ふふふ・・私の希望としては、今後、美佳帆さん達とはこのようなお堅いおしゃべりではなく、もっと打ち解けられたらなと思っております」

「ええ、もちろん。私もガラにもなく、ちょっと堅かったし、ね。そのうち、お互いに慣れてくるわよ真理さん」

美佳帆はそう言い、真理と美佳帆はお互いに笑顔を交わす。

すると真理は何かを思い出したような顔をすると、先ほど交し合った資料を捲り出し、お互いの能力を確認し合った用紙をテーブルに出し、用紙を指さしながら、美佳帆に尋ねる。

「話は変わるんですけど美佳帆さん。このお二人、本日お貸し願えないですか?」


美佳帆に貸した警備部門の人員を捜査に使っても、刑事たちの身辺調査は夕方か夜半まではかかるだろうと真理は考え、今日のほかの予定を進めてしまう前に、試したいことがあったのだ。

資料を整えていると、ノックの音が部屋に響いた。

美佳帆に、拝借する要請をした1人目の人物がやってきた。

「北王子公麿です。僕に御用がおありだとか・・?」

「ええ、神田川真理と申します。北王子さんの面談を兼ねてお願いしたいことがございまして」

5階にあるフリーの応接室に呼ばれた画伯こと北王子公麿が扉を開けて部屋に入ってきた。

真理は自らも腰掛けながら、いつも通りの笑顔で北王子に座るように促すと、北王子もそれに倣って、机を挟んで真理の正面に座った。

机には白紙A4の用紙が20枚ほどであろうか、積み上げられており筆記用具等が並べられている。

北王子は机に並べられていた道具を見て、目の前にいる微笑の美女が、うちの美佳帆さんから自分の能力を聞いたんだなと即座に理解していた。

「お察しのとおりです北王子さん。少しお願いしたいことがありまして、お力を貸していただけますか?」

「もちろんです!絵は僕の得意分野でもありますし、能力を使っての的中率は今までなんと100%!・・・僕がどれだけ菊一事務所にとって事件解決のキーマンになっていたかをご覧に入れましょう!そして、僕がどれほど役立つ男かを、神田川さんに知っていただきたい!」

北王子は、何故か座っていた椅子からガタンと音をさせ立ち上がり、メガネを反射させながら真理に向かって左手を差し出すようなポーズをとると、眼鏡を右手の人差指と中指でクイッと持ち上げた。

真理は笑顔のまま2秒ほど固まっていたが、

「それは頼もしいですね。ぜひとも【自動絵画】をしていただきたいことがあって、私が個人的に気になっていることがありまして、北王子さんの能力の精度の検証を兼ねて、能力を使って描写していただきたいことがあるのです」

真理は、何事もなかったかのようにキラースマイルのまま返答をするも、北王子は真理の予想の違うところを飛んでいた。

「公麿とお呼びください。貴女のことは真理とお呼びしても?」

「いえ、社員の目もございますので、神田川と」

相変わらずのキラースマイルのままの真理は、北王子が言い終えた直後に即答する。

「・・今日お会いしたばかりですしね・・照れるのは無理もありません。・・・貴女という女性を、じっくり知ることができる時間を得たと感謝することにしましょう!」

「確認なのですが、【自動絵画】は、私の思念を通じて、私が描いてほしいと思っている人物の今の状態を描き表すことができる。その認識でいいのですか?」

真理は『北王子は、なかなか愉快』と頭の中のメモ帳に記載しながら、確認したいことを北王子に投げかける。

「そうです!真理さんの思いが強ければ強いほど、鮮明に描写されます」

「神田川とお呼びください」

眼鏡を光らせ指で位置を直しながら、ようやく座った北王子の暴走を無視し、真理は訂正を入れる。

「失礼・・。つい・・。ですが、【自動絵画】には少しばかり残念なことがありまして・・」

僅かに口ごもる北王子に、真理は少しだけ身を乗り出す。

「どういったことなのです?」

「・・・実は、【自動絵画】で描写中の私は無防備になりまして、その間は、麗しくもお強い貴女に守っていただかなければなりません。それに加え、描写中の記憶は私には全く残らないのです」

北王子が大げさに頭を振りながら、右手で頭をかかるような仕草で肩を落とす。

「ちょっとよくわかりませんが、全く問題はないようですね。では、描いた絵は改めて見なければ、北王子さん自身も認識できないと・・?」

ちょっとよくわからない、という真理の発言に「え?」と声と顔を上げた北王子であったが、真理の無言の催促に負け答える。

「そうです。僕自身も描き終えた絵を見なければ、何を描いていたのかはわからないです」

「なるほど、十分です。ではさっそく始めてください」

真理は即座に北王子に答えると、促した。

「わかりました・・・。・・では・・いきますよ」

北王子はそう言い、濃い鉛筆を手に取ると同時に身体全体がオーラ包まれる。

真理も北王子のオーラに包まれ、北王子の思念と同調した感触に、一瞬躊躇うが、できるだけ北王子の波長にシンクロするようにオーラを調整し、佐恵子の情報をイメージに乗せる。

特に北王子から方法は聞いていなかったのだが、オーラが同調したと同時に、どうするべきか伝わってきたので、やるべきことは簡単であった。

サラサラと絵を描き上げていく北王子を観察する。

目は開いているが何かを見ているという感じではない。

真理は絵を描き上げていく北王子の様子と、描きあげられていく用紙を交互に見ていたが、ある程度描写が進んだあたりで、予想をしていた描写に僅かに赤面する。

「佐恵子・・・」

北王子がほぼ描き終えている絵を手に取り、まじまじと見つめる。

それは、完全に宮川佐恵子であった。北王子が、鉛筆で描写しているため白黒であるが、光と影のコントラストが付いた絵は、佐恵子を知る人が見れば、誰が見ても佐恵子とわかるほどの精度であった。

能力者同士で波長が合わせやすかったせいもあるかもしれない、写真のような描写である。

描きかけの絵を手元から真理に奪われた北王子の手元に、真理はもう一枚紙を置いてやる。

すると、真っ白の用紙にまたもや北王子が描き出す。

絵には佐恵子が普段は絶対しないような表情で、全裸で両手を股間に這わせ、目を閉じ、歯を食いしばって、顔を快楽にゆがめている自慰姿が描かれていた。

ベッドで正常位の格好になり、脚を開き右手は女性の代表的な性感帯である陰核を中指の腹で捏ねるような動作をし、左手の中指は、この行為がもう始まり結構な時を経過している事を物語る程に淫液を放出する蜜壺に突き立てているのが見て取れる。

(スゴイ・・・絵なのに音まで聞こえてきそう・・・佐恵子が奏でる、クチュクチュという水音が私の耳には確かに聞こえるわ・・・これは、北王子さんの能力がまだ発展途上で、依頼人が能力者の場合は、より密度の高い情報を得れるのかしら?それとも、私と北王子さんのオーラの相性が良いから?もしそうだとしたら・・・)

真理はそんな事を考えながらも、次から次へと、まるでドラマのコマ送りを見る速度で用紙に、佐恵子の痴態を描き上げていき既に北王子に描かせた絵の枚数は10枚に達していた。

北王子が一枚描くスピードが約2分ほどである。アニメーションのように少しずつ変化している絵を見ながら、この20分の時系列を間違えないように並べながら真理が呟く。

「これは・・。すっごい能力だわ・・・。それにしても、佐恵子ったら・・激しいわね・・この静止画でも、温度や息づかいまで伝わってくるわよ・・・それに私だけかも知れないけど、本当に音に、佐恵子の吐息、時折あげている声まで聞こえてくるわ・・・」

クスクスと笑いながら絵を見ていた真理であったが、十数枚続けて描かせていると、途中で北王子のオーラが弱弱しくなってきているのを感じたが、同調している真理自身のオーラを奮発し、北王子の手を休めることなく20枚描ききらせたのであった。

「ぶはぁ!!」

ようやく真理との同調から解放された北王子は、大きく息を吐き出し机に突っ伏した。

汗びっしょりとなり、ゼエゼエと肩で息をしている北王子に向かって、北王子が部屋に入ってきたときと同じ笑顔で労う。

「お疲れ様です。北王子さん。素晴らしい力です。今後もお願いするときがあると思うので、その時もまた頑張ってくださいね」

北王子が顔を上げると、タオルと冷たいお茶のペットボトルを差し出す女神がそこにはいた。

「ゼエゼエ・・・。ぼ、僕は・・いったい・・・どんなことを・・どれだけ・描いた・・ゼエゼエ・・ですか・・?でも、お役に・・立てた・・ゼエゼエ・ようで・・ゼエゼエ・・・よかった・・・です」

真理に向かって何とかそう言うと、再び机に突っ伏した。

「ええ、ありがとうございます。では私は、次の予定がありますのでこれにて失礼しますね。ゆっくり休んでから引っ越し作業に戻ってくださいね」

真理は、肩で息をして突っ伏したままの北王子にそういうと、描いてもらった絵20枚を丁寧にクリアファイルに挟み、自身のバッグにしまうと北王子一人を残して応接室を後にした。


【第8章 三つ巴 22話 自動絵画終わり】23話へ続く
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

最新記事
最新コメント
リンク
カテゴリ
ランキング
にほんブログ村 小説ブログ 長編小説へ
にほんブログ村
アダルトブログランキングへ
  • SEOブログパーツ
ご拝読ありがとうございます
ご拝読中
現在の閲覧者数:
問い合わせフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
官能小説 人妻 

ランキング