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第8章 三つ巴 43話 紅蓮の紅音 

第8章 三つ巴 43話 紅蓮の紅音 

斎藤アリサは肩で息をしながらも、膝をついて斬られた肩口を抑えているスノウを庇うように3人の剣士に向かって構えて振り返らずに後ろに声を飛ばす。

「画伯・・!スノウちゃんを!」

「わ、わかってます!」

アリサと同じく肩で息をしているスノウこと斎藤雪に駆け寄り、画伯こと北王子公麿はスノウの肩口に手をかざして傷を癒す。

その様子を、二人を斬りつけた本人である南川沙織はつまらなさそうに見ていた。

スリットの入った真っ黒のタイトスカートのスーツを着こなし、その服装には不似合いと言える対照的なピンク色のネイルを施した白い指には大きなシルバーリングを幾つも嵌め、両手には日本刀・・、いや、脇差か小太刀程度の長さの刃物が握られている。

童顔の沙織は一見すると可愛らしいという表現が一番ぴったりと合うのかもしれないが、彼女を知るものはそれが見た目だけであることをよく知っていた。

「はんっ!あの銀髪がいないじゃない・・・こりゃ肩透かしもいいとこね!」

沙織は両手に刀を持ち万全の態勢で臨んだのであるが、全力を出すべき相手はおらず、更にこちらの人数が多すぎて、戦闘に歯ごたえがないことが不満であった。

「沙織!油断大敵ですよ・・。ここで汚名をそそいでおかないと、僕たちは大手を振って戻れません。それに稲垣加奈子が乱入してきたらすぐさまここは修羅場になります。それにその女たちの体術もなかなか侮れません。さっさと人数を減らしておくべきです!」

沙織のセリフに対して窘めたのは白いスーツをところどころドロと血で汚した井川栄一であった。

「そうですよ。栄一さんの言う通りです。・・・私をこんな時間にこんな辺鄙ところまで呼び出しておいて・・。何かと思って来てみれば・・、やっぱり助太刀と御屋形様との仲立ちじゃないですか。・・私もほとほと自分のお人好しさ加減を反省しています」

凛とした声で、栄一のセリフに続けたのは腰よりも長い黒髪を片手で押さえた女性の剣士だった。

切れ目で儚げな危うさのある美人で、和服が似合いそうな容姿であるが、沙織と同じくスーツ姿だ。違うのは沙織のようなスカートでなくパンツを着用しており、足の長い長身女剣士のスタイルによく似合っていた。

その女剣士の艶のある黒髪は腰まであり、華奢ともいえる身体つきではあるが身長は170半ばもある。

そして更に目を引くのが女剣士の手にした刀、その長さは女の身長ほどもあった。

「ごめんごめん。そう言わないでよ、かおりん・・感謝してるって・・。御屋形様がまともに意見聞いてくれるのって、なっちゃんさんか、かおりんしかいないからさ。・・私達だけで報告するとまた髪の毛短くされちゃうよ・・」

振り返った沙織が以前に髙嶺弥佳子に髪の毛をトラ刈りにされたのを思い出したのか、その表情を暗く曇らせている。

沙織が(かおりん)と呼んだ長身細身の女剣士にそう言うと、長い髪が風に靡くのを抑え、肩を僅かに竦めながら沙織と栄一に応える。

「ふぅ・・わかりましたから、済ませてしまいましょう」

そう言うと、かおりんと呼ばれた長身剣士は自分の背丈ほどある長刀をスラリと抜き、月光を反射させた刀身でゆっくりと弧を描きオーラを凝縮する。

「・・・【斥力排撃】」

長身女剣士が静かな声でそう言うと、両手で持ち掲げた長刀からキィィン!と澄んだ高い音させオーラが放出する。

「・・ま、またそれなの~!?」

アリサが然も嫌そうに唸った。

アリサが先ほどから沙織に何度も打ち込んだ蹴りを、その能力によってほとんど威力を削がれてしまっていたからだ。

アリサの鍛え抜かれた脚の筋肉をオーラで更に強化したキックボクシング仕込みの蹴りは沙織に触れるかなり手前から、空気を圧縮させたようなものに阻害され軌道を逸らされてしまうのだ。

通常なら、アリサの跳躍からの蹴りは、樹齢100年にもなる大木すら真っ二つにするほどの威力なのだが、その威力を全く無効化されてしまって現状の戦況を招いている。

アリサのげんなりした声を無視して、(かおりん)と呼ばれた女の手にした刃から放たれたオーラが栄一と沙織の周囲に纏わり二人を包む。

「・・ま、念には念をいれてってことでいっか」

【斥力排撃】は展開させた対象に対して放たれた攻撃をはじく能力。沙織自身は詳しく知らないし、原理は知る由もないが、生半可な威力ではまともなダメージを与えられない・・。南川沙織は同僚である前迫香織(まえさこ かおり)、通称(かおりん)の能力を思い出し、小声で呟くと、気を取り直してアリサと呼ばれている女に構える。

「さてっと・・そんじゃま・・いきますかー♪」

いつもの残忍な笑みを張り付けた沙織は構えを更に低くし、その童顔を自身の膝の高さほどまで下げてから地面を蹴る。

「きゃは!♪」

大塚マンションで見せたのと同じ笑顔を張り付けた沙織の表情にアリサは一瞬息を飲む。

が、沙織は意にも解せずアリサ目掛けて愛刀の九字兼定と京極政宗をすでに抜刀した状態でアリサに斬りかかる。

「もうっ!舐めないでよね!!」

大塚マンションで真理と一緒にこの南川沙織と対峙した際、沙織は納刀した状態での突進居合を多用していた。

今はあの時とは比べ物にならないぐらい遅い。

(私のこと甘く見てる!後悔させてやるんだから~!)

大塚マンションでは蹴りを躱され、アキレス腱を斬られたことが脳裏に浮かぶが、良くも悪くもアリサは過去を引きずらない。

(あの速度じゃ見切られるってことなんだよね!)

「でえええええい!」

そう思うと気合の籠った声を発し、最大速度で凶悪な笑みを浮かべた、迫りくる狂気のゴスロリ女に敢えて間合いを詰め膝蹴りを放つ。

「っと!!♪」

アリサが打って出てくるとは思わなかった沙織は嬉しそうな顔をしたまま驚き声を上げた。

ガキッ!と金属同士がぶつかるような音が響き、沙織は交差させた二刀でアリサの全体重を乗せた膝蹴りを防ぐ。

「ってめえ!!・・ぅわ!!」

アリサは右膝での飛び膝蹴りから、沙織の顎目掛け左足を思い切り振り上げたのだ。

蹴りで両方の刀を持った手を弾かれた沙織は、歪んだ笑みを張り付けたまま、怒りをあらわに正面のアリサを睨むが、アリサの追撃は続いていた。

沙織の目の前にはすでに空中で身体を捻り、回転し顔を向けたアリサと沙織の視線が交錯する。

キックボクシング仕込みの強烈なソバットが沙織の顔面を捉えた、はずであった。

完全に捉えたタイミングであったはずであるのに、ぶぅん!と空気を切裂く空振り音が暗く静かな林の中に響く。

「ちょっ~・・っと!!もうこれ何なの~!?」

沙織を蹴ったはずの右脚は、沙織には当たらず、沙織の顔を避けるようにして頭上を通り過ぎたのだ。

香織が沙織に纏わせた【斥力排撃】が発動したのであった。

大技を盛大に空振りしたアリサは空中で訳が分からないと言ったような声を上げ、崩した態勢を立て直そうと大慌てで手をバタつかせるが空中ではどうしようもない。

「あーらら・・隙だらけ♪・・ほいっと!」

沙織は場違いな余裕のある声で可愛らしくそう言うと、高速で二刀をヒュンヒュンヒュン!と音を立てて呻らせる。

カカカカッカキン!バチン!バチン!

「うぁっ!?きゃっ!いたっ!!」

左手に握られた九字兼定で垂直に切り上げ、アーマースーツ下腹部付近のジッパーエンドから鎖骨付近のスライダーまで肌を傷付けないよう器用に斬り飛ばし、刀を返しそのまま振り下ろして、アリサの振り上げた右脚の内腿をしたたかに強打する。

それと同時に右手に構えていた京極政宗でアリサの軸足である左脚の内股部分も同時に強打したのだ。

攻撃を受けたアリサは空中で大きく態勢を崩し仰向けで地面に激突する。慌てて起きようとするが、内腿を強打されたため、脚の反応が鈍い。

(早く立て直さなきゃ!)

と焦るアリサの胸に鈍い衝撃が走った。

「ぐふぅ!」

沙織にジッパーを切裂かれ露わになった胸の上を、ピカピカに磨かれ先端がやや丸まったパンプスでどかっ!と踏み抜かれ、再び地面に背中を打ち付けさせられたのだ。

「ぐっ!・・く・くっそ~!・・なんなのよう!さっきからインチキばっかり!」

周囲の地面にバラバラと音を立てて粉々にはじけ飛んだジッパーの破片が飛び落ちる。

悔しそうな声を上げて自分の身体の上に乗って首筋に刀を突きつけている南川沙織をアリサが罵る。

「インチキ・・ね。・・・かおりんの能力は私もそう思うわよっと!♪」

そう言い終わるが否や、沙織は再び二刀をアリサの両肩目掛け鎬地で強打する。
所謂峰打ちというやつだ。

「きゃあああっ!!・・あうぅう!痛い!ああああ!」

両脚両肩ともに鍛え抜かれた鋼で強打され、四肢身動きできなくなったアリサは悔しさと痛みで悲鳴を上げた。

「んんんん~♪いい声♪どう?同性に裸に剥かれておっぱい踏みつけられる気分はぁ?♪」

アリサの露わになった白い腹部や豊満な胸の膨らみを土足で踏み付けている沙織は、目を閉じアリサの上げる悲鳴を堪能する。

「アリサーー!」

あまりにもな仕打ちを受けているアリサに向かってスノウが叫ぶが、そのスノウの状況も芳しくない。

「こらっ!暴れるな」

スノウは井川栄一に手首を掴まれ、鉄扇を手にしたまま後ろ手に腕を決められ、うつ伏せに地面に組み伏されていた。

鉄扇の要の下に空いている穴に通していたパラコードを逆に利用され、手首ごと後ろ手で縛られているところだ。

「加奈子と比べると・・信じられないほど・・楽です」

スノウこと斎藤雪の細く華奢な腕を後ろ手に縛り上げた井川栄一は、立ち上がってスノウを見下ろしながらそう呟いた。

「くぅ!こ、こんなに強いなんて!」

菊沢事務所の中では華奢で戦闘は画伯の次に不得手だとしても、それは菊沢事務所内の話であり、一般的な身体能力を持っている成人男性だと、スノウの身体に触れることもなく、鉄扇で滅多打ちにされるであろう。

スノウは土で服を汚しながらも、何とか立ち上がろうとするが、何故か四肢が異常に重くてほとんど動かせない。

スノウを【治療】していた画伯はすでに井川栄一の問答無用の峰打ちでのされて、仰向けに倒されている。

「何を言うのです。私が【斥力排撃】を纏わせたから、敵の攻撃を気にせず突っ込めたおかげでしょうに・・。それにこんな小規模な作戦に六刃仙が3人もいるのですよ?・・奈津紀には何と説明してあるんです・・?それに御屋形様に報告することを考えると今から胃が痛いですよ」

キン!と澄んだ音をさせて身の丈ほどある長刀を、舞っているような所作で数回回転させながら前迫香織(かおりん)は、頭上で納刀し静かな声で井川栄一に言った。

「助かったよ香織さん。・・・君には借りをつくってしまったね」

香織は栄一の謝辞に肩をすくめ、軽く手を上げた。

「御屋形様には・・うまく言っておきますよ。」

そう言う香織の顔には仲間を思いやる優しい笑顔があった。

(さて、噂の銀獣とやらを見学に行きましょうか・・。もし張慈円と渡り合えるのなら一見の価値ありです。・・話では強化系特化のガチンコタイプと聞いてますが・・、そういうタイプなら私とは相性最悪のはずですし、・・張慈円が困っていたならば助太刀しましょう)

香織は左手で刀の鞘を持ち軽く肩に置くと、沙織や栄一が話していた銀髪女のことを思い出してこの機会に見ておこうと踵を返す。

「か、香織さんどこ行くんです?」

「ちょっとそこまで~すぐ戻りますよ」

栄一の問いかけに、右手を上げ顔だけ振り返りそう言う香織の顔は笑っていた。

栄一は(沙織の笑顔とはえらい違いです・・)と内心で呟くと足元で呻いているスノウを見下ろした。

後ろ手に縛られたスノウは地面にうつ伏せで悔しそうに呻きながら這いつくばっている。

「うぅ・・まだ何もしてないのに!・・美佳帆さん力になれなくてごめんなさい」

黒のミニフレアスカートは捲りあがり、白い肌のヒップに白いTバックが露わになってしまっている。黒のハイソックスに包まれた長い脚は栄一の能力で重くなっており、捲れあがったスカートを直そうと不自由に動く様は栄一の加虐芯に火をつけた。

栄一は口元を歪めると地面にうつ伏せで這いつくばっているスノウに、両肩と膝裏をもう軽く峰打ちをする。

「はっうう!?ああああ!重いぃ・・!?痛い!・・っな、なにをしたの!?」

後ろ手で縛られ仰向けに倒されていたスノウが身体に起こった異常に狼狽して悲鳴を上げる。

【鈍重】刀にオーラを込めた状態での攻撃が成功すると、対象の部位の重量を重くできる。重くできるのは一回の攻撃につきその部位の2倍までで、ダメージではなく送り込んだオーラ量による。

地味だが、相手に行動阻害を継続で与える呪詛能力で、栄一らしい嫌味な能力だ。

かつて二条橋の上で、あの銀獣すらもこの能力で自由を封じ、動きが鈍くなった銀獣の四肢を更に重くて、首から上だけは自由にさせて凌辱したのだ。

重くさせても、術者の栄一にその重さは影響がない為、動けなくなった無抵抗の銀獣の意識だけを残したまま銀獣の初めてを奪い、泣いて抵抗しながらも、敵相手に何度もアクメを与えられて屈辱に濡れた銀獣の表情を堪能しつつ、何度も精を注ぎ込んだのだ。

足元で無抵抗になり這いつくばっているスノウを見ていると、かつての性交体験が頭の中に甦り、本人では紳士を装ってるつもりの顔が醜く歪んだ。

「ふふふふ!・・聞いているよ。君は張慈円にたっぷりと仕込まれたんだってね?・・加奈子とは随分タイプが違うが、やっぱり女は君みたいに非力な癖にプライドの高い女が最高だね・・。プライドが高くて力も強いなんて女はサイテーさ。その点君は優秀なほうだよ」

栄一は訳の分からない歪んだ持論をしゃべりながら、下半身をショーツ丸出しにされているスノウを見下ろし、自身の中心部が滾ってくるのを感じていた。

愛刀三日月宗近の切っ先をスノウのヒップを包んでいるTバックの小さな布地が集中している個所に当て刃の先端をクルリと回転させ布を巻き付かせた。

元の形に戻ろうとする生地は刃に切断切断され、Tバックはパチン!と音を立て三方に弾け無残にもスノウの白いヒップと薄めの陰毛に覆われた秘部が露わになる。

「・・・っ!!こ、この下種!」

スノウは自由に動く首を持ち上げそう言うと、見下ろしている栄一を睨み上げる。後ろ手にパラコードで縛られて腕はびくともさせられない。脚も何故か根が生えたように重く思うように動かせないスノウは悔しさと情けなさで目尻に涙を溜めながらも栄一を睨み続ける。

「おぉ・・動くこともできないのにその顔。その視線!これは・・、たまりませんね・・」

加虐心を大いに掻き立てられた栄一はスノウの感想を呟くと、睨み上げてくるスノウのすぐそばに座り、髪の毛を掴み更に上を向かせて好色な笑みを浮かべた。

「くっ!」

髪の毛を掴まれ仰け反らされたスノウは白い喉を露わにさせられながら悔しそうに呻いた。

「見るに堪えない。たまらないのはこっちのセリフ」

突如、聞きなれない声が暗がりの林のほうから響き、とっさにそちらに目を向けた瞬間、栄一は目を剥いたように見開いた。

火?

次の瞬間、ごう!と音がして栄一の身体全体が火炎の一閃に包まれる。

「うぎゃあああああああ!」

「きゃっ!」

「井川君?!」

アリサの乳房を土足で踏みつぶし、喉元に切っ先をあてがっていた沙織は栄一の悲鳴のほうに顔を向け叫ぶ。

スノウは動かない身体をできるだけ縮め、顔を伏せて炎をやり過ごす、が音と業風は肌で感じられるのに、不思議と熱による熱さを感じない。

(こ、これは・・オーラによる炎・・!対象だけにダメージを与えるように熱の範囲を調整してる・・。地面に落ちてる木の葉や木々も燃えていない・・・のにこの威力・・!とんでもない高等技術だわ!何者なの?!)

スノウは自分に害が及ばないことを確信すると、炎が飛ばされてきた方向に首を向ける。頭で理屈は解るが簡単ではないことをやってのけた人物を、視力強化と暗視を使い暗闇の中に視線を飛ばす。

スノウのすぐ隣で紅蓮の炎に包まれた栄一は、炎が消え、白いスーツは燃えてほとんどなくなり、ベルトとベルト下の布地が僅かに残っているだけで、ほぼ全裸に焼き尽くされている。髪の毛もチリチリになった井川栄一が足を踏ん張り、手を顔の前で交差させた状態で立っていた。

「お、おのれ~!!何者だぁ!!」

そんな恰好でも生きているのは前迫香織に施してもらった【斥力排撃】のおかげである。

ススで顔を黒く汚した栄一が、炎が飛んできた方向に大声で叫ぶがダメージは大きく、その場に片膝をつく。

「なるほど・・・さすが、髙嶺と言ったところかしら?この私の【火炎】をまともにくらっても事切れないとは・・ね。はな!その全裸の変態からノーパンの女を引きはがして介抱をして!」

両手に炎を宿した小柄なスーツ姿の女が、栄一を、蔑みを込めた目で見ながら同じスーツを着こなした(はな)と呼ばれた女性に指示を出す。

「まかしとき!って紅音ちゃんがもう瀕死にしてもうとるやん・・。私の見せ場なしやないの。・・それにノーパンの女って・・もうちょっと言い方あるやろうに・・きっとあの子が雪ちゃんやで?今後、紅音ちゃんの部下になるんやし、優しいにしいよ?」

はなと呼ばれた体格のいい女性が目の前の小柄な女性の背に向けて微かな不満を口にする。

「丸岳君、そっちの女を始末するわよ。」

紅音と呼ばれた小柄な女性は、はなの不満には答えず、続けて後ろに立っていた長髪のダークスーツを着こなした男性に振り返らずそう指示を出す。

「ククク・・。着任早々お祭り騒ぎですね。まあ退屈しなくてよさそうですが」

たれ目の長髪男は悪党のような笑い方をして髪をかき上げ、小柄な女性の指示に、素直に軽く頭を下げ了承の意を示す。

「な、何者なんだよてめえら!」

沙織がアリサの身体の上から飛び降り、二刀を納刀し柄に手を掛け、腰を落として構え最大警戒した様子で怒鳴る。

「??・・あなた達、自分たちが戦ってる相手を知らないのですか?」

「わーかってるわよ!!宮コーでしょうがよ!!名前聞いてんだよ!!馬鹿がっ!!」

小首を傾げ淡々とした様子で語る赤髪の小柄な女性の態度に苛ついた沙織が、ギラついた目で睨みながら怒鳴る。

「汚い言葉・・・。答える義理も無いですね。・・・いきますよっ・・っはあっ!!」

【紅蓮火柱】

大きく目を見開いた赤髪の小柄な女性はそう言うと両手を高く掲げ振り下ろした。

次の瞬間、スタジオ野口に膨大なオーラが収束し、ぼぅ!!と音を立て大きな火柱が立ち上がった。

暗くひっそりとした林の中が突然発生した炎の光で周囲広範囲を明るく照らす。

火柱の高さは十数メートルにも及び、範囲は建物全体をほぼ包み込んでいる。

バチバチバチバチ!と炎が爆ぜる音を響かせて炎よりなお赤い紅蓮の火柱が立ち上り、建物を焼き尽くしていく。

赤髪の女は、ゼエゼエと大きく息を吐き肩で息をしており、その背を(はな)がやれやれと言った表情で撫でている。

「いきなり大技連発やね、紅音ちゃん。・・そんな飛ばさんでも大丈夫やで、うち等もおるし」

「・・まったくだ。社長から証拠を消せとは言われてるのは解るが、後でもよかっただろう?」

「ぜぇ・・ぜぇ・・やることは・・ぜぇ・・先にやっておかないと・・ぜぇ・・落ち着かないのよ!・・ぜぇ・・あの七光り女の・・ぜぇ・・尻ぬぐいなんでしょ・・。やっとドジ踏んだわね・・ふぅ・・一気に失脚させてやるわ」

大柄な女と長髪男が赤毛の女を気遣うように声をかけるが、目に欲望の濁った光をたたえて顔を上げた紅音は、汗で濡れた額を拭いながら言った。

「・・紅音ちゃん・・社長から特権もろうとるちゅうても、支社長さんと仲良うしてや?・・案外と悪い子やないし、噛みついても大人しいなるタマとちがうで?・・真理ちゃんも加奈ちゃんも、生粋の支社長派やしメンドクサイことになるわ・・仲良うやってよ?」

はなが心配そうに背中越しに声を掛けるが、紅音は「相手次第ね」とだけ振り向かずに言いう。

突出した恐るべき能力を持つ紅音の小さな背中を見ながら、大柄なはなと長髪のたれ目の丸岳は顔を見合わせてやれやれと肩をすくめた。


【第8章 三つ巴 43話 紅蓮の紅音 終わり】44話へ続く


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筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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