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第9章 歪と失脚からの脱出 20話 銀獣を女に変える着流し男

第9章 歪と失脚からの脱出 20話  銀獣を女に変える着流し男


濡れて肌に張り付くボディーアーマーを脱ぎさり、黑のタンクトップに白い七分丈のオフショルダーチュニック、下は青のデニムパンツに着替えた稲垣加奈子は、深夜の繁華街を、とくにあてもなく歩いていた。

胸元は大きく開いたデザインで、チュニックの裾はヒップを半分ほど隠しているが、腰は絞られており、加奈子の長い脚、豊満な胸、括れた腰のため強調されるヒップがよくわかる。

加奈子は真理の指示通り、二人の私物を取りに行き公麿の隠れ家に持ってきたのだが、真理が公麿と濃厚な時間をすごしているようなので、荷物をそっと玄関先にある収納庫に押し込むと、加奈子自身も狭い収納庫に入って着替え、仕方なくあてもなく外へ繰り出したのである。

佐恵子には安全な場所である公麿のアジトに移動してもらおうと思ったのだが、そのアジトは真理と公麿の空間になっているし、すでに佐恵子は部下である岩堀香澄のマンションへと何故か移動していた。

そして佐恵子も今日はこれ以上移動する元気がなさそうだったので、加奈子は香澄に佐恵子のことをお願いし、そのまま佐恵子には香澄の部屋に泊まってもらうことにしたのだ。

(・・・紅露や松前は、佐恵子さんの自宅マンションに来てたし、警備部門の八尾部長が対応していた・・。聴覚強化で聞いていたけど、八尾さんも佐恵子の行先は知らないみたいだし、紅露や松前も紅音の命令で来てたみたいだけど、佐恵子さんの手がかりもなく今日は引き上げたようだしね。岩堀さんのマンションには今日、明日とか、すぐに手は伸びないだろうし、佐恵子さんもなんだかすごく疲れてたように見えるから心配だわ・・。大丈夫かしら)

加奈子も状況が状況だけに、そわそわしてしまうが、北王子の部屋に帰って仮眠をとることもできず、かといって岩堀香澄の部屋に佐恵子ともどもお邪魔するにはどうも気が引けたのだ。

結果的に、加奈子はどうしたものかと街を当てもなく練り歩いているという状況である。

何かあればすぐに佐恵子のところへ駆けつけるつもりで、岩堀香澄のマンション近くの繁華街を歩き、お腹に何か入れたら、適当にビジネスホテルにでも泊まろうかと思っていた。

深夜を回ったこんな時間帯に、水商売風でもない恰好をした長身で豊満な美女の登場に、人通りの少なくなった歩道では、加奈子が歩くと酔っぱらったサラリーマンや、終電を逃しタクシーを探す男たちが、加奈子の通り過ぎた後、振り返り目で追っているのだが、加奈子は思案中で、それを気にとめず、なにかめぼしい店は無いかとキョロキョロ探しながら歩いている。

「ったく・・わたしも、くたくただってのに・・、真理め~。一つしかないベッドをあの画家と占領しちゃって・・。・・あの恰好で出迎えてあげろとは言ったけど、そのままはじめろなんて言ってないでしょうが・・。ちょっと考えればわかるじゃん?わたしがすぐ帰ってくるってさ・・」

加奈子は自分のスマホが使えなくなってしまったことを、佐恵子に伝えた時に、佐恵子の予備のスマホを手渡されていた。

なにか異変があればすぐに佐恵子からは連絡があるはずなので、そのあたりの心配は和らいではいる。

しかし、今まさに二人で楽しんでいるであろう真理と公麿のことを考えると、モヤモヤとした気持ちが沸きあがり、一人で歩きながらブツブツと口を尖らせた。

深夜を回っているため、普通の飲食店は軒並み閉店している。

「お腹もペコペコだし・・どこでもいいんだけど・・」

加奈子がそう思ったとき、雑居ビルの1Fにコングと書かれたバーらしき店舗の看板が、営業中の派手なネオンを灯していたので、迷うことなく扉を開けた。

カランカランとレトロなドアベル音が響くと、カウンターの中からスキンヘッドの大男が、いかつい顔ながらも愛想のいい笑顔と声で

「いらっしゃいませ。お一人ですか?」

と声を掛けてきたので、加奈子は

「ええ、一人だけど時間まだ大丈夫?」

と返すと、スキンヘッドのマスターは

「もちろんです。どうぞ」

と笑顔で目の前のカウンターの席を指し、グラスと御絞を用意しだした。

このコングというバーの店内は意外にも広く、奥には個室もあるようで、この時間だというのにかなりの客が入り、流行っているようであった。

店の壁にはお酒の他にも、本日の軽食メニューと題されたボードに、肉料理が列挙されている。

加奈子はお昼のランチ時間から何も食べていないすきっ腹を軽く撫でると、ちょうどいいと思いつつ、マスターに勧められるままカウンターの一番端の席に腰を下ろしたのだった。

「う~ん・・・、これと・・ビールでも頂いちゃおうかな」

加奈子は壁に掛けられたボードのポークチョップのメニューを指さし、ついでにビールを中ジョッキで注文をする。

マスターはテカテカの頭を笑顔で下げ、

「承知しました。お待ちください」

と丁寧に言うと、厨房で料理をし始めた。

さっそく冷えたビールが料理に先んじてカウンターに置かれると、加奈子は喉の渇きから、ぐいっと喉を反らせてジョッキの半分ほどを飲み干した。

「っぷはぁ~!!っくぅ~!!や~っぱ一日の終わりにはこれがなきゃね!」

と、加奈子的にはかなり控えめな声量のつもりであったが、周囲にとっては、けっこうな音量であったらしく、後ろのボックス席の客は手を止め加奈子の背中から様子を見ているし、手を止めず料理をしているマスターも加奈子の気持ちのいい飲みっぷりに対して、笑顔で話しかけてきた。

「おねえさん、いい飲みっぷりですね。料理ができるまでもう少しかかりますので、もう一杯いかがです?」

マスターが低くダンディな声で、突然話しかけてきたことに、「ん?」と思った加奈子ではあったが、今日は支社であの紅蓮相手に大立ち回りもあったことから、空腹もさることながら喉も乾ききっていた。

「じゃあ、もう一杯頂こうかな」

と、スキンヘッドでダンディボイスのマスターにそう言って、ジョッキを一気に空けてしまった。

ポークチョップのオーブン焼ステーキと、ルートビートとサーモンのマリネサラダを食べたところで、加奈子は一息ついた。

「はぁ、生き返る・・。空腹だったからってわけじゃないわね。美味しかったわ。マスター」

加奈子はマスターにそう言うと、ダンディボイスのマスターが、すっとカウンターにグラスを置いてきたのだ。

「ありがとうございます。どうぞ」

「えっ?なにこれ?サービス?」

「いえいえ、あちらのお客様からです」

加奈子が間の抜けた声をあげると、加奈子と同じカウンターの逆の端に座っている男が、軽く手をあげて頷いている。

「ははっ、なによこれ」

映画やドラマなどではよく見るシーンだが、加奈子は人生初の体験に率直な感想を口に出して笑ってしまった。

「カルヴァドスは嫌いなんか?」

キザな男が、カッコをつけてそんなワンシーンを演出したのかとおもったのだが、その男のバーに似合わない場違いな格好に驚いた加奈子は、男のセリフにうまく返せず、笑顔のまま凝視してしまった。

何故なら男は、紺色の着流しに濃紺の帯、そして黒い下駄という格好であったからだ。

「ううん。嫌いじゃないよ。でもなんで私に?」

男の格好にすこし愉快な気持ちになった加奈子は、カルヴァドスの入ったグラスを手で持ち、着流し男に聞き返した。

「あんたの飲みっぷりと、食いっぷり、それとその類まれな美貌と、完璧な形のおっぱいに乾杯したくって・・な」

着流し男は恥ずかしげもなく、しゃあしゃあと加奈子にそう言うと、自らのグラスを手に持ち、加奈子の隣の席へと移動してきた。

「ふふっ、なによ。変わった人ねえ」

風体や発言は、加奈子の言葉通り、かなり変わっているが、男の容姿は加奈子の厳しい男性評価眼から見ても、相当なハイスペックだ。

年のころは30半ばだろうか、そうだとすれば、見た目より若く見えし、相当身体も鍛えているようだ。

それでいて、年齢以上に経験や知識を蓄えていることを醸し出している自信に満ちた表情。

容姿は玉木宏を悪者にしたような見た目だ。

「なになに?なんで隣に隣に来るのよ」

そう言いながらも加奈子は、嫌がる素振りも見せずに、カウンターの上に並べられている皿を、隅に寄せ、男が座りやすいように加奈子自身も椅子の位置をずらし、着流し男が座りやすいようにスペースを作ってやった。

「まあまあ、ええやないかい。あんたみたいな上玉が一人でおるんや。声掛けるなちゅうほうが無理な話やで。あんたもその美貌やし、こんなことは慣れっこやろ?」

加奈子の気を許した仕草に安堵した様子の男は、加奈子の隣に座りながら更に話しかけてくる。

「誰にでもそう言ってるんでしょ?」

着流し男にそう返すも加奈子も、この男が纏う不思議な魅力が気になり始めてた。

「いやいや、そんなことあらへんで?何やその顔・・ホンマやねんって。そもそも俺こないだ日本に着いたばっかりで、電話以外で日本人とまともに喋ったん1年ぶりぐらいやねん」

「ふーん。そうなの?」

着流し男の言葉を聞き流しながらも、加奈子は、まあちょっとぐらい一緒に飲んでもいいかなと思い、カルヴァドスが入ったグラスに口につけ傾けた。

「ええ飲みっぷりや・・・。美人やし、ほんま雰囲気も堂に入っとるちゅうか、自分に自信たっぷりな仕草、男に媚びるでもない、流されるでもないその意志の強そうな顔・・。頭も良うて知性を感じさせる目・・・。あんた、ええところのお嬢様かなんかやろ?どんな人なんか気になるわ」

「そんなことないわよ。・・それに、初対面なのにほめ過ぎだっての。褒めても何にも出ませんよーだ」

「いやいや、ほんまやねん。古い馴染みに急な仕事依頼されて、急いで日本に帰ってきたんやけど、尊敬する恩義ある先輩の頼みや言うても、けっこうめんどい仕事のはずやねん。そう思てたたところに、こんな時間に、こんなところでアンタみたいな上玉みかけたんや。今までの会話で俺のことイヤやなかったら、ちょっと飲むんぐらい付き合うてくれや」

加奈子のことを本気で気に入っている様子の着流し男はそう言うと、自らの持っているグラスを加奈子に向け乾杯を促してきた。

そのとき、奥の個室の方の席から、グラスが割れる音と、英語と、カタコトの日本語での暴言が店内に響いた。

「チクショウガ!ナンデコノオレサマガコンナトコロデクスブッテナキャイケナインダ!」

スキンヘッドのマスターが、騒ぎを聞きつけ大柄な外国人を宥めだしたようだが、英語とカタコトが混ざった騒ぎは止む様子はない。

加奈子も眉を顰めてそちらに顔を向けたとき、どこかで見た覚えのある顔にはっとしてしまった。

(あいつ!・・たしかアレンってやつだわ!周りの奴等も私がオルガノで叩きのめした連中・・。・・・どうしよう)

面倒くさい奴等を発見してしまったという顔になった加奈子だったが、ふぅと溜息をつき覚悟を決めると、やれやれと言う表情で頭をかいて立ち上がりかける。

しかしその時、すぐ近くで大声がした。

「おいおい!ルール守れんヤンキーはゴーホームや!お前ら誰の前で騒ぎ起こしてると思てんねん。みんながおる場所で機嫌よう飲めんのやったら、お前らは自分ちに帰ってバドワイザーでも飲んどけ!こっちは今めったに出会えん上玉口説いとる最中なんや!これ以上邪魔するんやったら外に放りだすぞ!」

加奈子はその怒鳴り声に驚き「え?!」て声をあげて振り向くと、そこには隣に座っている着流し男が、アレン達に怒鳴ると同時に、中指を思いっきり立ててファックユーのポーズをとっていたのだ。

(えええええ?!・・・ど、ど、どうしよう。あいつら相手だと、いくらなんでも普通の人じゃさすがに太刀打ちできないんじゃないの?)

つい先ほどまで、せっかくいい気分なりかけていたというのに、加奈子は手で顔を隠すように覆うと、着流し男とアレン達の様子を伺いだした。

(いざとなれば・・出て行かないとね)

と思おもってはいるが、これだけの大言壮語を言う着流し男の面子とやらも考慮し、出るタイミングをはかる。

加奈子がそんな心配しているうちに、アレン達ボクサー崩れの連中は、スキンヘッドのマスターを手で押しのけ、周囲の客を威圧しながら、のしのしと着流し男のすぐそばまで迫ってきた。

「オマエナニカモンクデモアルノカ?オカシナカッコシヤガッテ、アタマモオカシイノカ?コノオレサマヲ、ソトニホウリダスダト?ゼヒヤッテモラオウジャナイカ。ナア?!」

黒人の大男。元クルーザー級のプロボクサーであったアレンはそう言うと、周囲の取り巻きのボクサー崩れたちにも笑うように促し、自身も白い歯を見せ大声で笑いだした。

「お客さん!困りますよ!・・・ったく、警察なんざ呼びたくないんだが・・」

アレン達の後ろからスキンヘッドのマスターが、困ったような声をあげているが、それに着流し男が答えた。

「警察なんか呼ばんでええでマスター?そいつらの飲み代も俺が払うたるし、きっちり追い出してやるさかい心配せんでええ」

着流し男はそう言うと、ゆらりと立ち上がりアレンの前まで歩いていくと、人差指をアレンに向けて、クイクイと倒し挑発しだした。

「おら。先に打たせてやるから、かかってこんかい」

着流し男のセリフにアレンは、取り巻き達の顔を見まわしながらハハハハハ、と笑っていたが、不意に憤怒の表情に変わり、突如着流し男に殴り掛かった。

「フン!!」

190cmを越える黒人の大男が、右ストレートを繰り出したその動きに、店内の女性客はこぞって「キャー!」という声をあげたが、当の着流し男は口を歪め、詰まらなさそうにひょいと躱すと、アレンのボディに下駄を履いた足をめり込ませた。

「グボォオオオ!」

着流し男は、腹を抱え膝をついてうずくまるアレンの横を通り過ぎると、いきり立って次々と殴り掛かってくる取り巻きのボクサー崩れたちに対し、

「ゴーホーム。ゴーホームや。行儀悪いヤンキーはゴーホーム言うてるやろ」

と言いながら、ボクサー崩れたちを吹き飛ばさないように立ち回り、店内を壊さないよう、他の客に迷惑にならないよう、ヤンキーたちの鳩尾を下駄で蹴り、蹲らせて戦意を削いでいった。

(・・・・こ、この人何者なの?あのアレンて奴のパンチは少なくとも常人の域じゃなかった・・。それを難なく・・この着流し男・・いったい・・)

加奈子は自分が出て行かなければいけないと思っていたのだが、着流し男の予想外の強さに目を見張っていた。

~~~~~

「すまんかったな。怖い思いさせて」

支払いを済ませコングを出た着流し男は、済まなさそうに頭をかきながら加奈子に頭を下げる。

アレン達は着流し男に蹴り倒され、逃げるようにコングから去っていったのだ。

最初言っていた通り、着流し男はアレン達の飲み代をきっちりカードで支払ったようで、マスターも恐縮していた。

そのうえ、加奈子の飲んだ分と食事代もなぜか着流し男は支払うと言ってきかなかったのだ。

着流し男曰く、迷惑をかけたし、怖い思いをさせた謝罪だということなのだが、加奈子としては、そういう事にしておいた方が男のメンツも保てるものかと思い黙っていた。

「ったく・・せっかく機嫌よう飲めると思った矢先やったちゅうのに・・、えっと、ねえさん?もう流石に家帰る時間やろ?タクシーでも呼ぼか?あいつらがまだ近くうろついてるかもしれへんし、近くやったら俺が送っていくけど?」

ああいう喧嘩の場で力を奮わずに終わった経験がない加奈子は、着流し男のセリフに、新鮮さを感じていた。

「ありがと。でも、うーん・・」

どこに帰ろう。と悩んだ加奈子は口ごもる。

すると着流し男は、口ごもっている加奈子の様子に、「おっ、脈があるのか?」という表情になり、

「もしよかったらなんやけどな、俺そこのリーガルホテルのスイートで泊ってんねん。ねえさんさえよかったらやで?・・俺と飲みなおすん付き合えへん?」

着流し男の意外な提案に加奈子は「はっ?」と顔を上げるが、男の顔には一応思い切って誘ったんや。という表情が少しだけ浮かんでいた。

着流し男の表情に、加奈子はイタズラっぽい笑顔を向けると、

「いいけど、変なことしないって約束できる?」

「できるできる。OKや。せえへんで。ねえさんが嫌がることはせえへんってことで、飲みなおすとしよか」

加奈子の少し意地悪なセリフに着流し男は即答すると、「こっちや」と言って歩き出す。

加奈子は、「場所なら知ってるって。そのホテルはうちの系列だからね」と心の中で呟くと、先を歩く着流し男に追いつく。

しかし、着流しを着て周囲から浮いている男と一緒に並んで歩くのには、さすがに抵抗があった加奈子は、少し離れてついて歩いたのだった。

【第9章 歪と失脚からの脱出 20話 銀獣を女に変える着流し男終わり】21話へ続く
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筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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