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第9章 歪と失脚からの脱出 46話 覚醒したバツイチキャリアウーマン

第9章 歪と失脚からの脱出 46話 覚醒したバツイチキャリアウーマン

制服を着た守衛たちが、私の前を走る人物の顔を確認できる距離まで来た時、驚きの表情で立ち止まり敬礼し、私にまで直立して敬礼をしてくる。

私は、火事の炎で舞い上がる黒煙を赤々と照らされている夜空を見上げつつ、宮川コーポレーション敷地内を駆けていた。

前を走る長髪細身の上司、宮川佐恵子の駆ける速度はこれが人間の速度なの?と疑うほど速いのだが、何故かその速度についていけている自分の脚力が信じられない。

いや、私自身も足は遅い方ではないが、久しぶりの全力疾走にしては、周りの景色の過ぎ方が早すぎるのだ。

(こんなことって・・!)

自分の足の動きに目をやると、歩道路面を彩るタイルが過ぎ去っていく速度と自分の足の動きの速さが、今の速度が気のせいではないことを実感させられる。

自分の身に何が起こったのか頭が整理し終わらないうちに、前を駆けていた長髪細身の上司、宮川佐恵子が社屋入口の自動ドアの前で立ち止まった。

夜中であるためドアの電源が落ちていると判断したのであろう。

宮川社長は、なんと手動でその自動ドアを開けだしたのだ。

ギギギギギ・・。

「しゃ・・社長・・」

宮川コーポレーション関西支社の入口の自動ドアは巨大で、高さが3m以上あり、ドア幅も片側だけで2m以上はある。

それにガラスドアの厚みは、2cmはあろうかというほど分厚かった。

おそらくそのガラスドアが、目の前でそれを開けようとしている宮川社長自身の体重より重いのは間違いない。

(お、おかしいわ。社長こんなに細いのにこの腕力。・・非現実的すぎる)

宮川社長が、細い肩に細い腕でガラスドアを押し開けていく背中を見て、こんな力が一体この細身のどこにあるのか不思議だった。

「開きましたわ。すぐ閉まりだしてしまうはずですから急いで」

ガラスドアを滑らせて少し隙間をつくって振り返った宮川社長が、少し焦った口調なものの平時とそう変わらぬ様子で言ってくる。

そして、その身を滑り込ませ社内に社内に入って、私にも入ってくるように頷いている。

その重みからか、はたまた力が加わらなくなると自動的に閉まってしまう構造なのかはわからないが、その重く分厚いガラスドアはゆっくりと徐々に閉じ始めている。

私は慌てて社長のように、身を横にして、少し隙間の出来た自動ドアから身を滑り込ます。

しかし、思惑通りに行かず、85㎝ほどあるDカップの胸と自分でも少し気にしてる88㎝のヒップが、ガッと透明なガラスの自動ドアにぶつかってしまった。

「ちょ!・・そ、そんなのって・・あんまりじゃない・・」

(私も産後少し太っちゃったけど、まだまだ若い子にもナンパされちゃうくらいなのよ。それに、このプロポーションを維持することにだって努力もしているのに・・しゃ、社長が細すぎるだけだわ・・!)

しかし、その努力の甲斐も空しく、上司の佐恵子が難なく通り抜けた隙間にそのプロポーションゆえ引っかかってしまったのであった。

とりあえず自分が太いのではないと言いきかせ、心中で言い訳すると、背負っている木刀が入った竹刀袋を手に持ち替え、社長より少し女性的であると位置づけをした、自慢の胸とヒップを、閉じかけた自動ドアの隙間に無理やりねじ込んで通り抜ける。

実際に、男性受けするプロポーションで比べれば香澄に軍配が上がるところであるが、とかく女と言う生き物はそういうところが気になってしまうところがある。

「香澄!エレベーターも止まっているわ!階段で行きますわよ?」

あわやガラスドアに挟まって潰されてしまうかもしれなかった可能性に身をゾッとさせる暇もなく、エレベーターのボタンを連打していた宮川佐恵子が、パネルボタンの電源が落ちていることに「やっぱり!」と言い、悔しそうに地面を踏み付けてから、私にに向き直ってそう言ってきた。

「は、はい。ってでも社長。ここって本社じゃないですか?ここなんですか?社長を呼び出したの人がいるのは?それにこの騒ぎは・・やっぱり火事ですよね?どうして消防車が一台も着てないんです?」

「ええ。そうここにいますわ・・。消防車は呼んでないでしょうし、呼んでも無駄ですわ。放水の水なんかであの炎が消えるはずがありません」

香澄の問いかけに佐恵子はエレベーターの隣にある非常階段に通じる大きな金属製の扉をあけながら振り返らずにそう言っている。

(どういうことかしら・・?)

普段、ランニング時に来ているトレーニングウェア姿にシューズという格好で、非常階段を駆け上がりながら、少し前を駆けている上司の背中を見ながら困惑顔でそう呟く。

どのぐらい階段を上ったのだろうか。

こんな速度で階段を駆け上がってもほとんど疲労を感じない自分の体力に驚きながら登っていた時、階段室の壁に10と大きく書かれた扉の前で長髪を靡かせて走っていた社長が立ち止まって振り返った。

「香澄・・。先に謝っておきますわね」

宮川コーポレーション関西支社に宮川社長が向かった時から、社長が悪漢に呼び出されたとの推測は勘違いだったのかもと感じていた。

そして、真剣な面持ちで先に謝ると言っている宮川社長をみて、もっと別の理由、そして悪漢とは違う人物に呼ばれてたのだと確信する。

「・・・社長。・・私勘違いしてたんですね。でも、どうして木刀まで持ち出した私について来てと言ったのです?」

宮川社長がレイプでもされて、それをネタに脅されているのかも・・と早とちりをしてしまっていたのを気恥ずかしく思ったが、目の前で膝に手を付き、はぁはぁと息を切らせている宮川社長に対し、新たに沸いてきた疑問をぶつけてみる。

「わたくしを呼んだのは、わたくしの元部下ですわ。その部下がいま窮地にいるはずなのです」

息を整えた宮川社長が言った内容は理解できるが、なぜ急にそんなことになったのかはわからないし、いったい誰のことことなのかはさっぱりわからない。

「部下の方・・ということなら、いったい誰がその部下の方を窮地に陥れているというんですか?ここは宮コー関西支社・・社長の古巣じゃないですか。社長にとっては嫌な思いをしたところかもしれませんが、そんな窮地に陥るような危険なんてあるんです?」

息を切らしている宮川社長に急かすように問いただしたくはないが、聞かないことにはわからない。

「わたくしの予想が甘く・・あってしまったのです。わたくしの元部下を襲っているのは紅音・・緋村紅音ですわ。紅蓮とも呼ばれています」

「ぐ、紅蓮・・??社長の代わりに関西支社長に就任したあの赤髪の方ですよね・・?」

息を整えようとしながら、答える宮川社長が出した意外な名前に驚いて聞き返した。

「ええそう。彼女は能力者で恐るべき力を持ってますの。力量で言えばわたくしを上回るでしょう。まともに戦えば勝ち目は無いのですが・・わたくしは紅音を止めねばなりません」

いまの宮川社長の表情や、私の部屋からここに向かってくるまでの様子では社長が嘘を言っているようには見えない。

「ちょっとまってください・・!どういうことです?能力者で恐るべき力って・・緋村支社長は短気なところもあるけど、優秀な方だというお話は聞き及んでます。でも今の社長のお話を聞く限りですと・・私の思っている緋村社長とは違う方なのですか?」

いまだに能力者という単語や、緋村支社長が紅蓮という二つ名を持っていることに、一瞬馬鹿げた話だと、疑いを禁じ得ないところがあるが、目の前の宮川社長の表情は真剣そのものであるし、実際宮川コーポレーション関西支社は先ほど外から見る限り大火事であるし、社内で僅かに残っている社員も大騒ぎで、侵入してきた私たちに構うゆとりもなさそうである。

「いえ・・その緋村社長ですわ。通称紅蓮。宮川十指と呼ばれる能力者の中の一人。オーラ容量ならわたくしと同等程度の力を持った能力者ですが、その能力はわたくしよりもずっと攻撃的なのです」

「な、なにをおっしゃってるのです?攻撃的って・・」

更に質問を続けたかったのであるが、宮川社長は手で質問を遮ってきた。

「・・香澄。ありがとう。ここまで来ればもう大丈夫ですわ。社の入口に支社の部長クラス以上の能力者が見張っていれば、わたくし一人では社内に入り込めないと思って香澄に同行していただきましたが、もう大丈夫ですわ。・・ここまで来ればわたくし一人で紅音のところまでいけます。香澄はここの踊り場で待っていてください。10階の踊り場は広くて用具置き場も兼ねていますから、誰かがここを通っても十分身を隠せます。隠れていればおいそれと見つかりませんわ」

「どうも話がよくわかりませんが・・、要約すると社長の元部下の方が、緋村支社長に襲われている・・ということですか?」

「・・そうですけれども、香澄はここにいてください。誰かきても決して声を掛けたりせず、隠れていてください」

「何を言ってるんですか。そんな危険があるなら、なおさら社長の近くに私がいたほうがいいですよ。あの緋村支社長がそんな武闘派とは知りませんでしたが・・、社長には手を出させませんよ。社長は私と比べると、痩せてますし、腕なんてそんなに華奢なんですから・・」

「・・わ、わたくしが華奢・・?見た目だけで判断してはいけませんわ・・って・・今はそんなこと言っている時間はありません。いいですか?香澄がいかにその木刀の扱いに長けているとしても、支社にいる幹部クラスの能力者にはおそらく一人では歯が立ちませんわ。宮コーの社員の人間には見つからないようにしてください。公安にも連絡してありますから、公安が来るまで隠れていてください。わかりましたね香澄?」

社長の言葉に納得できず、言葉を返す。

「私も行きますから」

「・・・聞き分けてくれないつもりなのですか?私とペアなら紅音以外なら乗り切れると思いますが、これより先は紅音がいます。・・・紅音相手だと香澄を連れて行くわけにはいきませんの。ここまで連れてきてなんなのですが、ここで隠れていてください」

きっぱり言い切った私の様子に、むっとした表情になった支社長が言い返してくる。

そのとき、階段室の上階のほうで何かが倒壊するような大きな音が響き渡ると同時に、階段室の上階から真っ赤な炎が見え、その直後に暴風が吹きつけてきた。

「きゃっ!」

「あ‥紅音!・・美佳帆さま・・!香澄はここで隠れていて!」

上階が倒壊し出したため、振ってくる瓦礫の破片に身を屈め、火の粉を手で払ったとき、宮川社長は上階をキッと睨んでそう言うと、一気に11階まで跳躍してさらに階段を駆け上がっていってしまった。

「えっ!!?ちょっ・・!ど、どんな運動神経してるの・・!?」

みえなくなった社長の姿に向かってそう言って見るが、もちろん返事はない。

最近、自分自身の体調や、身体能力も若返ったのかしらと思うほど調子がよかったのだが、今日宮川社長と一緒に街中を走り抜けた時といい、いまの宮川社長の動きといい明らかに人間離れしている。

「・・・ひょっとして私の身体にも何か変化が・・・?」

何日にもわたって、神田川真理と両手を繋ぎ、何時間もストレッチとヨガをさせられ続けたが、その時から身体の調子がすこぶる良い。

無意識に竹刀袋から木刀を取り出し、竹刀袋をポケットにしまってから構える。

胴着や防具も付けておらず、ランニング時の格好で傍目には変に見えるかも・・と思ったが、構えた瞬間に周囲が良く見渡せた。

「え・・?」

視野がほぼ300度にまで、見えているかの如く感覚が研ぎ澄まされている。

握った木刀が身体の一部であるかのような錯覚すら起こり、鋭気がみなぎってきた。

「こんなことって・・竹刀はともかく木刀なんて何年も握ってなかったのに・・」

今までにない鋭い感覚に、戸惑いを感じつつも久しぶりに握る木刀の鋭敏すぎる自身との一体感に深呼吸をし心を落ち着かせてみるが、その感覚はいささかも喪失する様子すらない。

「・・・」

学生時代に仲間内で試合形式ではなく仕合、いわゆる命のやり取りを模した荒稽古をしていたときの得意の構えを無意識にとっていた。

先ほど天井に空いた大穴から、時々パラパラとコンクリートの破片が落ちてきているが、前面、上方、左右は300度程度が視認もしていないのに、何があるのか手に取るようにわかる。

全身を鳥肌が覆う。

自分自身が身に宿している力が偽りでなく、真に力のある感覚だと脳が理解している。

「・・・信じられないわ」

パラパラと時折堕ちてきている小さな破片に混ざって、人の頭ほどのある瓦礫が3個ほど落下してきているのが、見てもないのに視える。

腰を落として切っ先を横に倒し、左手で握った木刀の峰に軽く右手を添え落下してきている一番大きな瓦礫に向かって床を蹴り、かつて得意としていた左片手平刺突を放つ。

木刀が一番大きな瓦礫のど真ん中に風穴をあけて粉砕すると、香澄は続けて左手のみの返す刀で残りのもう一つも難なく切り上げ、両手に握りかえてから最後の一つを真っ二つに切り落とす。

「み・・みえる・・。私の身体・・・どうしちゃったのかしら・・。・・・夢・・なの?」

自分の動きや感覚が、鋭敏すぎるのが信じられない。

しかし、感覚が鋭敏になっているのは気のせいではない。

「だ・・だれ!?」

先ほど駆け上がってきた非常階段の階下から確かに気配を感じるからだ。

「げはは。剣を使うのがいるとは聞いたことが無い。見たところ初めて見る顔だが、お嬢様にもお前のような剣士の部下がいたとは初耳だな。しかも構えからして天然理心流か。俺としては因縁を感じるが・・」

身長190㎝はあろうかというスーツ姿の巨漢の男が、のしのしと階段を上がってきていたのだ。

「・・どちらさまですか?」

(誰とも合わないように隠れてろっていわれたけど・・、自分の感覚に夢中になっちゃったわね・・。でも、見つかっちゃったらしょうがないわ。でも、この人・・宮コーの人っぽくない?なんだか下品であり得ない笑い方してるけど・・)

「どちらさまですか?ってご挨拶だなおい。勝手に侵入してきてるのはそっちの方じゃないか。ええ?・・お嬢さん?お嬢さんのほうから名乗ったらどうかね?」

「・・・失礼しました。宮川アシストの岩堀です。宮川社長と同行してまいりましたが、先ほど社長は用があるとのことで、先に行かれたところです」

巨漢男の外見と歩き方と笑い方は品もなかったのだが、確かに礼を失しているのは自分のほうなので、素直に名乗ってしまった。

「ふんふん・・、律儀にどうも。侵入者がまさかまともに名乗るとは・・。俺も名乗るとしよう岩堀殿。俺は紅露。紅露孝也だ。宮川コーポレーションでの剣客といえばまずは一番に俺の名が上がるだろう。剣を使うモンは宮川では少なくてなあ。今の平手刺突はなかなか見事だった。久しぶりにいいものを見た。剣技もさることながら、岩堀殿の姿は目の保養になった。げははははははは。・・・失敬失敬」

巨漢男は外見や声色ほど下品な男でない風でだと思ったが、最後の一言で一気に下品な顔に見え、ジロジロとこちらの様子を伺っている目付も厭らしく見えてきた。

「やはりこうであるべきだな。名乗り合って仕合う。こうであるべきだと俺は思うんだよ。礼節は重んじるが、実戦ということで挨拶はせん!というのはあまりにも味気ないではないと思わんか?さて岩堀殿。仕合おうとしよう」

巨漢男はそういうと、腰の後ろから短い金属製の棒を取り出すと、右手でぶぅんと一振りする。

カシャン!

と乾いた金属音が響くと、それは1mほどの反りのある刀形状へと姿を変えていた。

「お互い宮仕えは辛いと思うが、岩堀殿も先ほどの腕だ。剣に生きる者の定らしく、仕える主人の為に剣を振い合うとしよう。げははははははは」

下卑た表情の巨漢が剣士らしい神妙なセリフを吐くと、下品な笑い声を階段室にひびかせて、上段に構えたにもかかわらず左足を前にした。

「示現流?!」

「さすがにご存じですな。だから天然理心流の岩堀殿とは因縁を感じるって言ったワケですわ。お互い初撃決殺。一の太刀がめっぽう強いモン同士ってことで勝負は一瞬ですわ。げはははは」

巨漢の男は、冗談なのかはたまた勝負に自信があるのか、下品な笑い声を響かせたが、急に眼光鋭く表情も引き締めると、改めて八相の上段に構え、ずりりっと一歩にじり寄ってきた。

【第9章 歪と失脚からの脱出 46話 覚醒したバツイチキャリアウーマン終わり】47話へ続く
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筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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