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第9章 歪と失脚からの脱出 59話 髙峰当主動く

第9章 歪と失脚からの脱出 59話 髙峰当主動く



下腹部の最奥に何度も打ち付けられる感覚に脳を揺さぶられる。

その感覚の正体は物理的な衝撃だけではなく、脊髄を通り脳幹へと快感を途切れなく送り込んでくるのだ。

それを受け止めきれず、あふれ出したモノが声や涙となって表れてくる。

「あんっ!あんっ!あんっ!ま・・またっ!」

いつの間にか外されたボールギャグは首輪のように首からぶら下がっており、穴の開いた青いボール部分は奈津紀の唾液で汚れている。

「くははっ!また逝くのか?今度は言えるであろう?」

張慈円は腰の動きを緩めず、嘲りの籠った口調で奈津紀のヒップを叩いて嗤う。

ばちんっ!ばちんっ!ばちんっ!ばちんっ!

奈津紀のヒップに、張慈円の腰が激しくぶつかり、張慈円の長大な雷砲が深々と何度も刺さっては抜かれ、刺さっては抜かれを繰り返している音が響く。

「逝くっ!あああっ!!逝くぅう!!」

雷砲でのオルガズムを何度も味わい、今回も深い絶頂に全身を小刻みに震わせて、不自由な身体で受け身もできず深い快感で全身を震わせる。

奈津紀は、髪を縛られているため上げられっぱなしの顔を、顎を更に突き出すようにして快感に打ち震えた表情をレンズに晒したまま、激しい快感の波が弱まるのを待とうとするも、張慈円はその奈津紀の様子を知ってか、腰の動きを緩めることはなかった。

「きゃっ!ううっ?!またっ!?もっもう許してくださいっお止め!お止めくださいっ!!ああああっ!またすぐ・・!また逝き・・そう・・ですっ!!」

がちゃり!がちゃり!ぎちぎちっ!と拘束具と荒縄を軋ませて奈津紀は、数十回目のオルガズムに打ち上げられる。

「くくくっ、いい声で鳴く。それにしても、これだけ逝っても気を失わんとは、やはり大した女だ・・。貴様ほど俺の雷砲に耐えた女はいないぞ。・・・だが、そろそろ俺も一度貴様を味わっておくとするか・・」

目を閉じ、頤を突き出して、小刻みに震え快感の余韻に浸っている奈津紀に構わずそう言うと、張慈円は奈津紀の括れた腰に手をかけ、ガッチリと掴みなおした。

ばちんっ!!ばちんっ!!ばちんっ!!ばちんっ!!・・・・

いままでの激しいストロークが緩やかに見えてしまうほど張慈円のピストンが激しくなったのである。

「きゃぁぁぁぁっ!!(うっうそっこっこんなっこれは…!!逝き…逝き過ぎる!!逝ってるうえからまた上書きされるように…こんなの正気をどう保てば…)あっ!?あっ!あっ!あんっ!ひっ!いやっ!ダメ!逝きます!ああっ!ああっ!きゃっ!やんっ!やっ!いやっ!いって!逝ってっ!逝ってますっ!だめっ!ああっ!またっ!」

張慈円が今までの経験豊富な凌辱経験の中でも、それこそ今までで1番興奮しこの状況に満足し、奈津紀の膣肉をむさぼるように雷砲を激しく刺し込む理由は、張慈円自身の戦闘力を確実に上回る女性を犯すのが初めてであったからである。

そんな彼よりも明らかに強く普通であればこんな絶頂の限りを繰り返し味合わされる事など無い相手の張慈円の雷砲に最奥を何度も抉られ、果てても止む様子のない激しいピストンに奈津紀は頭すら振ることのできない四肢を戦慄かせ、拘束具を鳴らす。

ぎちぎちぎちっ!ぎちっ!がちゃん!

「あああああっ!?」

ばちんっ!!ばちんっ!!ばちんっ!!ばちんっ!!・・・・

ひと際大きなオルガズムの波に飲まれ奈津紀は大声を上げてしまったが、張慈円のピストンは止まらない。

本来、千原奈津紀という女の趣味や好みからすれば、張慈円という男に身体を許すことなどあり得ないのことである。

しかし、奈津紀は任務失敗の責任と、傷ついた仲間の治療のためという二つの名目のため、一度ぐらいであれば張慈円に身体を許してもよいと思ってしまったのだ。

それが、これほど凄惨に犯されるとは思っておらず、訓練でしか性体験をしたことのない千原奈津紀にはとても想定できなかったのである。

奈津紀は決断を激しく後悔しながらも、知識ではわかったつもりでいたSEXはなんだったのかと思いながら、理解しがたい許容を越えた快感に戸惑っていた。

「あっあっあんっ!こっこんな…あぁぁぁぁまたっまた来ますっ!逝ってます!もうなんども・・!逝って・・・ますっ!!・・」

つい先ほどまでの自分であれば、決して口にしなかったであろう言葉すら、口にするのがやぶさかではなく、心地よくすら感じてしまう。

ボールギャグを外されているのは頭ではわかっているので、ついさっき決行しようとした自決も可能だというのに、奈津紀はふつふつと湧き上がってくる怪しい気分を抑えられず、快感に酔いしれてしまっていたのだ。

「っ!・・くっ!さすが千原、なんとも強靭な大腿筋に膣肉の具合…かなりの締め付けだな・・!そろそろ・・」

逝っている最中に逝くという波にいいように翻弄されている奈津紀を凌辱していた張慈円もついに限界を迎えたのだ。

放銃する直前で素早く自慢の雷砲を膣から引き抜くと、奈津紀の正面に周りその顔面へと雷砲の銃口を向けたのだ。

びゅっ!!びゅっ!!

雷砲の先端から妙に生々しい重い水音が発せられると同時に、濃く白濁した液体が奈津紀の顔面をメガネの上から汚す。

「ひっ・・!?ああっ!ああっ・・そんな…ハァハァハァ…(でもようやく・・・)」

奈津紀にとっては予想すらできぬ突然の顔射に、目をきつく閉じてやり過ごすも、生暖かい液体が顔を心を汚すの感触が滴ってゆく。

びゅっ!

最後の一滴までも無駄にせぬように、奈津紀の顔面を汚しつくすと、掴んでいた奈津紀の髪を更に引き上げて、雷砲から垂れる白濁液を奈津紀の頬に擦り付けてから、唇をも汚し、口内に突き込んだ。

「うぐぅ!・・んんっ!!」

奈津紀が冷静であれば、噛み切ってしまわれかねない行為だが、張慈円にはそうされない確信があった。

何故なら白濁液で汚れた眼鏡越しに覗く奈津紀の目は、敗北感で濁り、負けを受け入れることで得られる負の快楽の光がともっていたのを見抜いたからである。

放出したにも関わらず、硬度を保ったままの雷砲で奈津紀の喉奥をひとしきり犯すと、ふたたび背後に回り込み、スペルマと奈津紀の唾液の絡み合った雷砲を再び奈津紀の膣に埋め込んだのだ。

「あっ・・・え?いっ・・いやっ」

「妊娠を気にしておるのか?くっくっく」

ばちんっ!ばちんっ!ばちんっ!ばちんっ!

「だ・・だめっ・・です!もう・・ああっ!ああああっ!きゃああ!またあ!!」

「出すぞ?」

「だめええ!ああっ!逝くっ!逝きますっ!」

張慈円は奈津紀の掴み甲斐の極上さはこの上ないほどのヒップに腰を打ち付けて肉付きの良い双球を波打たせると同時に、二度目の放出を奈津紀の最奥で至したのであった。

奈津紀と張慈円の最後の絶頂は同時であった。

愛し合う者同士であれば、お互いの愛を確かめ合う行為であるのに、張慈円と奈津紀の間柄で同時絶頂は凌辱以外のなにものでもなかった。

普段剣聖としての凛とした表情は面影もなく、だらしなく荒くなった吐息で一定のリズムを刻む口には唾液と精液が混ざり、ヒビの入った眼鏡と顔には征服された証である白濁液がぶちまけられている。

だがそんな屈辱も、奈津紀は中で放出された衝撃と、自ら身体をとても許すはずもない相手に中出しと、自らも張慈円と同時に迎えた深いオルガズムの快感のうねりの中で、脳を焼き揺さぶられた屈辱の憤慨と快感でようやく気を失えたのであった。

          ~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦

間もなく太陽が沈もうかとしている水平線を遠く眺めながら、高嶺弥佳子は目を細め寒風に髪を靡かせて一人海岸に立っていた。

もう数分もすれば、完全に太陽が沈み、視界を支配する色は金色から漆黒に変わってしまうあろう。

空に舞い鳴く海鳥を眺める弥佳子の表情は浮かない。

弥佳子はポーカーフェイスが得意な腹違いの妹とは違うのである。

多少・・否、人並み以上には弥佳子も知られて不利な心情を面体に表すほど未熟ではない。

しかし、いまの弥佳子の前には白く砕ける荒波と、物憂げな鳴き声を発する海鳥しかいないので問題はないのだ。

奈津紀たちに課していた作戦はとうに終了しているはずである。

だが予定の時刻になっても奈津紀たちは帰還せず、連絡すらなかったのである。

弥佳子は今までになかった事態に、表情こそ冷静だが、内心穏やかではなかった。

(・・・奈津紀さんだけでなく、香織さんも沙織もいたというのに・・、3人とも連絡すらできない状況とはいったい・・)

金色色の景色が漆黒になり、海鳥も失せ、波の音も打ち据える風も冷たさを増したころ、失礼がないようわざと僅かな気配だけを発した男が弥佳子の背後から声が掛けた。

「・・御屋形様・・。千原奈津紀、前迫香織、南川沙織の姿はやはり確認できません。香港のアジトももぬけの空です・・。現在【残り香】と【過去画念写】をさせておりますが、六刃仙の3名は重症を負った模様でしたが、かろうじて命は取り留めているかと存じ・・・」

「今なんと言ったのです?」

スーツ姿に白のコートを羽織り、腰には太刀、髪を靡かせつつ、僅かに顔だけを半分だけ振り返って、弥佳子は報告にきた全身白いスーツに身を包んだ井川栄一の言葉を遮って聞き返す。

自身に次ぐ実力を持っている奈津紀や香織、そして将来を期待している沙織までもがかろうじて命を取り留めた・・という報告に弥佳子はその美しい柳眉を釣りあげ言葉を挟んだのだ。

普段軽いノリでしゃべる井川栄一も、当主である高嶺弥佳子の前では普段の口調はなりをひそめてしまっている。

井川栄一はトレードマークの上下白スーツに身を包んで片膝を付き、腰から下げている三日月宗月の拵えだけが漆黒である。

その栄一の顔は緊張で強張っていた。

同僚である奈津紀や沙織、香織たちとはやはり当主である高嶺弥佳子の圧力は違うのである。

高嶺暗殺集団の最高戦力六刃仙の3名までもが、重症にされ任務に失敗し、定時報告もできないほどの状況に陥っているということに、栄一もまた主人が顔に出さずとも苛立っていたということを主人の声色で察したのだ。

栄一は膝を付いたまま頭を下げて身を縮め、主の勘気に触れないようにと言葉を選んでいたが、その弥佳子から先ほど僅かに含んでいた怒気が霧散した声で再度催促が飛ぶ。

「腰を折ってしまったわね。つづけなさい」

冷静な口調に戻ったものの、弥佳子の気性を弁えている栄一は、持ってまわした言い方は危険だと悟り、顔を上げて思い切って報告をし直し出した。

「は・・はっ!任務に当たっていた六刃仙の3名は重傷を負った模様ではありますが、かろうじて命は取り留めており、張慈円の所有している戦闘ヘリにて低空飛行で本土の方へと逃げ去ったようです。現在まだ情報に不明瞭な部分も多く、引き続き高弟たちに【残り香】や【過去画念写】で情報を収集しております。・・・ですが、今回の取引は明らかに宮コーに察知されていたようで、50人を超える能力者が宮コーから投入されています・・。六刃仙の3名も、宮コーの主力と思しき先行した能力者と随分長時間戦った形跡がありまして、今回の作戦は香港の不手際、もしくは・・あの大人数での強襲・・宮コーのこの対応の速さや手際の良さを考えますと、あらかじめ香港や宮川重工業は宮コーに泳がされ仕組まれていたのかもしれません」

栄一の報告に再び視線を水面へと戻した弥佳子は、愛刀菊一文字の柄を掴む左手に力が入っていくのを感じていた。

「またしても宮コーですか・・忌々しい」

弥佳子は風と波の音だけを運んでくる仄暗い水面に向かって背後にいる栄一にすら聞こえぬよう吐き捨てた。

「連れて来ている十鬼集の面々にはそのまま調査をつづけさせなさい。私はこのまま本土に戻り・・宮コーへと向かうことにします」

弥佳子は振り返ってそう言い海を背にすると、膝を付いたままの栄一の隣まで歩きそのまま、ヘリの方へと足を運ぶ。

そんな主の様子に栄一は振り返って顔を上げ慌てて声を掛けた。

「な‥何故ですか?御屋形様が奴等に後れを取るなどとは思いませんが、御屋形様が宮コーに直々に行くとなると、組織同士で表立って対立してしまうのでは?世間体にも色々不味いことに・・」

栄一はもちろん弥佳子自身も宮コーの能力者と戦っても万が一に後れを取るとは思っていない。

事実、高嶺弥佳子は強い。

それに弥佳子は強力な思念能力であり、体得が難しいとされる空間操作を弥佳子は体得している。

栗田に点穴を突かれ、オーラの流動が不十分だとしても、歴代高嶺当主に隔世的に遺伝するその能力を高嶺弥佳子が体得しているのは有名な話であり、弥佳子はその扱いには歴代当主の中でも特に長けていた。

さらに、弥佳子は肉体強化の練度も高く、通常の剣技も女性の身でありながら剣豪と名高い初代と12代目の再来と呼ばれるほどの域でもり、総合的には歴代当主最強であるとまで言われている。

しかし、いくら個として強くとも、宮コーという組織は巨大で、規模や政治力という影響力を考えれば高嶺を大きく凌ぐ。

高嶺も宮川も同じく古くから連綿と紡がれてきた歴史があるとはいえ、暗殺などを請け負う裏の道を進んできた高嶺に比べ、節操無くどん欲に財界や政界に進出しては、表向きは日の当たる道を歩んできた宮川とでは、どうしても規模と影響力で差が顕著になってきていたのだ。

ゆえに、世間的には有名上場企業とはいえ、いち製薬会社である高嶺製薬が、あらゆる方面に影響力を持つ巨大コングロマリットの宮川コーポレーションに表立って波風を起こすのは得策ではないのだ。

十七代目高嶺当主であり、高嶺製薬代表取締役という肩書を持つ高嶺弥佳子も当然そんなことはわかっている。

だが、弥佳子は自身が宮コーに直接交渉及び、現状把握を行いに行くことが事態を好転させるかもしれない最高の一手であり、唯一の手だということもわかっていた。

「局面での判断を誤れば私とて痛手を被ることは否めません。しかし、・・張慈円や取引に来ていた倣一族とも現在連絡がつかぬ状況・・。宮コーが50人も能力者を投入してきたとあれば、香港の2勢力のどちらも多大な被害を受けてしまい混乱が生じていてもおかしくありません。なにより・・あの邪眼のものどもが、あの二条城でしたように数に任せて呪われた力を振るったのであれば中途半端な能力者では何人いても太刀打ちできないでしょうからね。・・・あのときの栄一さんの働きは見事でしたよ」

顔を伏せがちに静かにそう言った弥佳子の目はかつての光景を思い出したのか怒りが宿っている。

「ありがとうございます。・・しかし、であればなおさら・・!」

背後から声を掛けている栄一はその弥佳子の表情は伺うことができなかったので、謝辞を述べつつも、意見を差しはさむ。

弥佳子は声色を変えずに栄一に応えた。

「栄一さん。一刻の猶予もなりません。張慈円や倣一族とも連絡がつかないのに、奈津紀さんたちは張慈円と共にいるのですよ?いくら重症に陥ったといっても彼女たちなら連絡は必ずしてきます。奈津紀さんたちや張慈円からすらも連絡が無いとは、好ましくないイレギュラーが起こったということ。張慈円がなんらかの理由で我らの敵に回った可能性もあります。・・此度の任務を妨害したのは宮コーにほかなりませんが、宮コー本社では動きがなかったと報告がきています。ですが宮コー関西支社では昨晩大きな動きがありました。・・現在はあの緋村とかいう外様のパイロキネシスト(発火能力者)が実権を握っているはず。その紅蓮が狡猾狐から信任されているかもしれないとはいえ、50人もの能力者を動員できるほどの権限を持っているとは考えにくいのです」

「と・・仰いますと・・?」

弥佳子は心中からふつふつと湧き上がってくる怒りを抑えつつも、懇切に説明したつもりであったのにも関わらず、栄一が要領を得ていない様子に軽く落胆と諦めを覚え、嘆息気味に言葉を噛み砕く。

「・・・。宮コーは一枚岩ではない・・ということです。メディアでは放送されていませんが、宮コー関西支社は昨晩大火災に見舞われました。それなのに、まさに火災の真っ最中か直後に、この島にあれほどの人員を送り込んできたのです。宮コー関西支社は昨晩そのような判断が行える状況ではなかったはず・・。・・・それに、数多くの能力者がひしめき、厳しいセキュリティ体制だといわれている宮コーが火災ですよ?単なる火災の訳がありません。・・現在の宮コー関西支社の責任者は緋村紅音という外様の能力者で紅蓮と呼ばれるパイロキネシスト(発火能力者)、そして本筋である宮川の小娘は紅蓮によって子会社に左遷されていた・・。これは、二人の間・・二人の属する派閥同士でなにかしらの確執が顕著化し、昨夜一悶着あった・・。しかし、この島で行われる香港三合会の取引を潰す作戦も同時に遂行していた・・・。昨夜の大火災は宮コーにとっても予想外・・もしくは好ましくない事件だったはず・・それなのに、この島に50人を超える能力者を送り込んでる判断を下した強権者がいるのです。・・魔眼の小娘や紅蓮がいかに十指の最高戦力の一人とは言っても、そんな権限があるはずもありません。・・昨夜の火災で紅蓮と魔眼の間で争いがあり、どちらかが勝利した・・。そして、一方の権力を奪うか無力化し魔眼の小娘か紅蓮が属する派閥が強権を行使した・・と私は考えるのだけど・・」


(魔眼の小娘は宮川の古だぬきが溺愛している一人娘・・、紅蓮は現社長である狡猾狐の愛人であり尖兵・・、果たしてどちらが・・、私としては紅蓮に勝利しておいてほしいところなのですが、今は情報が足りません・・しかし、奈津紀さん達のことを考えると正確な情報を待っている時間もありません)

弥佳子はそう言うと美しい柳眉を顰めて思案顔で下弦の月を仰ぎ見た。

「な、なるほど。さすが御屋形様!」

栄一は噛み砕いて説明してくれた主の明察に感嘆の声を上げる。

「あくまで推測ですが合点はいく筋書きでしょう?・・では私だけで行きますので、準備してください」

栄一の声量に些か不快気に眉を吊り上げた弥佳子だったが、そのかわり表情には出さず静かに突き放すような指示を下した。

「ですからっ・・どうしてそうなるのです?!」

栄一自身も当然同行すると思っていた為、主の背中に向かって大きな声をだしてしまう。

「・・・宮コー関西支社に行くのですよ?行っても確実に死なない人員だけで行くということです。栄一さん、銀獣の一人ぐらいは抑えられますか?栄一さんでは一対一でも銀獣を抑えられなかったと報告がきていますよ?・・・最近鍛錬に身が入っていないのでは?」

弥佳子はわざと窘める為に冷ややかな口調でそう言って振り返ると、やや肥満気味の栄一の腹や顎などに視線を走らせてから栄一と目を合わせた。

「うっ・・!」

主人である弥佳子に、後ろめたいところを指摘された栄一は恥じ入り目を伏せるも、弥佳子はそれに構わず静かに続ける。

「まあいいでしょう。それは後日話しましょうか。・・・現在宮コー関西支社には十指でいえば魔眼、銀獣、菩薩、紅蓮がいます・・。これは宮コー十指だけで言えば、ほぼ宮コー本社と戦力を二分してきているということ。しかし、その大きな戦力があっても、魔眼と紅蓮との間に何かしらの確執があり対立したのではないか・・というのが私の推測です。宮コー十指最強と言われる紅蓮と、直系魔眼の小娘が対立しているのであれば、我らにとっては良い機会です。乗り込んでみて、十指の者どもを私一人で一掃できると判断すればそうしますが、そうでなかった場合、部下を連れて行ってしまうと死人が出ます。・・・もし戦うのが不利だとなったとしても、私一人であればどうにでもなりますからね」

「・・・そうだとしても、危険すぎます

栄一は主の性格からして意趣を返すことはないと感じつつもそう口にせずにはいられなかった。

「最初に言ったでしょう?一刻を争うと・・。奈津紀さんや香織さん、沙織も生きているのにどこにいるかもわからず、向こうからも連絡できない状況なのですよ?クライアントの張慈円も生きているとわかっているのに、こちらから連絡を取ることもできず、連絡も寄越してこない。これは明らかに異常です。今回の当事者で足取りを正確に追えるのは宮コーだけなのです。さっさと局面を好転させなければ、奈津紀さんたちの身が危ないかもしれないということ。栄一さん、ここは任せましたよ?新たな情報がわかり次第連絡をしなさい。いいですね?」

弥佳子はそう言うと、駆けてきた高弟の一人に怨敵でもある宮コーへとヘリの進路を指示したのであった。

(些か強引過ぎますがこれが最良の一手のはず・・・わたくしは今までもこういうイレギュラーな状況判断を指し間違えたことはありません。それでなくとも、香織さんに沙織…大切な2人に、それに最も大切な私の可愛い1番信頼のおける妹に身の危険が及んでいる可能性が濃厚な状況では強引にもなります。全く・・・栄一さんは腕はともかくその辺の機転がどうも・・早々に十鬼衆との入れ替え戦を行う必要があるかもしれませんね。最近は十鬼衆の上位3名くらいは既に六刃仙とも肩を並べる者も出てきていますし・・・)

弥佳子の内心でそのように自分自身の今後の身の振り方を大きく左右するような評価が下されているとは空気を読むことが苦手な栄一には知る由も無かった。

【第9章 歪と失脚からの脱出 59話 髙峰当主動く終わり】第9章完 10章へ続く

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筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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