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第9章 歪と失脚からの脱出 1話 寺野麗華の行方

第9章 歪と失脚からの脱出 1話 寺野麗華の行方

支給された黒地に薄い茶色のストライプが施された制服のスーツに身を包み、全身姿鏡の前で色々ポーズをとり自らのボディラインを確認する。

今年で38を迎えるが、この熟したボディの肌はまだまだ若々しくてハリがあるし、年齢を10歳サバ読みしても通用する・・・はずだ。と自分自身は思っているし、実際それはたぶん事実であろうとひいき目なしに思う。

「うん。悪くない」

菊沢美佳帆は、鏡の前で正面に向き直り、メガネをかけなおしてデキる女の顔でにっこりと笑顔でそう言った。

制服のスカートは膝丈のタイトスカートだが、美佳帆は少しだけ短く丈を詰めている。

菊一探偵事務所で働いていた時は、ほぼ毎日デニムのホットパンツに上は襟付きのカットソーなどを愛用していたが、いまは宮川コーポレーション調査部部長代理という職位に就いている以上、さすがにホットパンツ姿で社内をウロウロするのはまずいのだ。

宮川コーポレーション関西支店内部だけで言うと、部長代理以上の職位の人間は30人もいない。関西支社だけで全社員300人ほどなので、美佳帆は職位だけで言うと上位10%に入社していきなり抜擢されたのである。

もと菊一事務所のメンバーが厚遇されていることは、新支社長の緋村紅音以下幹部の人たちには一応の理解を得られてはいるが、その他一般の大勢いる社員たちには元菊一事務所メンバーの待遇や能力などは、もちろん詳しく、そして正しく認知されていない。

思った通り、古参の社員からの目は冷たい・・と言えるほどまでではないが、その目や対応は冷ややかだった。

もうすでに入社してから3か月になり、いままで外注していた調査や幹部たちの警護などで活躍しているため、少しずつだがいい意味で認知されつつあるように思う。

徐々に美佳帆たちの実力を認める人たちも増え、入れられつつあるのは感じるが、今だにまだまだ様子を探られている、と感じる場面は多少ある。

その為入社してから美佳帆の【百聞】は、自分自身や菊一事務所の仲間たちの処世術に大きく貢献することになったのは事実である。

美佳帆は宮コーに入社すると、そういう気苦労をある程度覚悟していたので、今更気分を害することはない。おどおどすることもないし、それにうちにはそういうタイプの人物はいない・・。

ただ、誠実に実力を示しておけば、周囲は美佳帆たち元菊一事務所のことを認めざるを得ないのだ。

それより美佳帆にとっては、宮コー指定の制服スーツのスカートの丈だ。

デザイン的には可愛いしカッコいい、おまけに機能的でもある。

動きやすさ重視で愛用し出したのがきっかけだが、脚を見せていると男性たちの視線が集まるのが、やや中毒になってしまっているのは事実でもあった。

しかし、今まで毎日着ていなかったスーツ姿だと、どうにも肩が凝ってしまうのと、指定制服のタイトスカートの丈では、自慢の美脚と太腿に視線を注いでくる男性が少ないのが個人的にやや不満なのだ。

それ故の、美佳帆のささやかな抵抗の証である丈を短くして太腿チラ見せファッションなのであるが、社内規則の厳しい宮コーでは時々他部署の女性社員からはけしからんものを見るような視線を浴びる時がある。

最近すっかり親しくなった神田川真理にも、入社当初に「スカートが短すぎる」と、忠告を受けたので、協議の結果「まあ、これぐらいなら・・」と真理の容認の言葉を、得られたので、美佳帆はほかの社員より僅かに丈が短いのだ。

だが、美佳帆にとっては、その僅かな差が大きな違いで、椅子に座ったり、足を組んだ時に大いに効果を発揮することになる。

真理がぎりぎり許容してくれている丈になるようにスカートの位置を調整しながら、美佳帆は菊一事務所のメンバーで現在行方不明になっている人物のことを思う。

湖岸公園で別れたきり、あれ以来消息のつかめない寺野麗華のことだ。

「いろいろ網張ってるんだけど、なかなかヒットが無いわね・・」

美佳帆はカーテンを開け、窓を開け放ち、差し込んでくる朝日を手のひらで遮りそう呟くと、晴天の天候とは真逆の顔つきで人伸び背伸びをしてから、背後で未だ着替えを終えていない同部屋の女性のほうに向きなおる。

「ちょっと美佳帆さん!まだ窓開けないでくださいよ」

少しだけ慌てた声のスノウが、カーテンを思い切り開け放った美佳帆に抗議の声をあげる。

元菊一事務所のメンバーは宮川コーポレーション関西支社ビルの上階にあるホテルの15階の一室を住居代わりに提供されている。

美佳帆と宏用の大きめの部屋も用意されているのでるが、スタジオ野口での一件以来、何となく気まずく宏とは寝所を共にしていない。

スノウの心の傷がまだ癒えていないからフォローする・・。というこじつけ的な理由で、宏との相部屋では寝起きはせず、スノウの部屋に居候状態だ。

スノウは察するところもあったのか、その件については美佳帆になにも追及してこない。ただ時折なにか言いたそうな素振りをみせるが、それについては美佳帆のほうが気付かない振りで今はスルーしている。

でも、スノウも一人になりたい時もあったりするだろうし・・。早めに何とかしないとね・・。と心の中で呟くが、とりあえずは今の抗議に謝罪を口にする。

「あ・・!ごめんごめん。でもバルコニーの壁も高いし、この部屋の階数ならドローンとかで覗かれない限り大丈夫だってば」

「そうかもしれませんけど驚きます・・」


椅子に腰かけ、白いショーツの上に黒いパンストを履いた姿のスノウこと斎藤雪は今まさに制服であるスカートを足に通そうとしているところであった。

抗議しながらも手を止めていないスノウは、淡い水色のブラウスの裾をスカートの中におさめ、ほぼ身支度を整え終えたようだ。

それにしても、宮コーの能力者の収集への力の入れようは相当ね。と美佳帆は改めて感じる。

宮川前支社長の懇請で、菊一事務所は宮コーに吸収される形となったので、新支社長の緋村紅音に変わったら状況が変わるのかと思いきや、紅音も能力者集めに余念がない。

私達をどうにかして取り込みたいようだ。

私たちは宮川さんが題した条件ですでにかなりの好待遇だったのに、緋村支社長は更に追加で待遇のグレードを上げてきたのだ。

このスイートのホテル住まいを半ば強引に受けるように勧められたのと、食堂や休憩室のカフェまで無料になった。

ギャンブル好きで万年金欠のモゲこと三出光春や、メガネの変態楽天家、画伯こと北王子公麿は無邪気に手放しで喜んでいるが、美佳帆としてあまりに露骨な贔屓は気持ち悪いし、何よりほかの社員からの視線が痛い・・と感じている。

(たぶん、宮川さんがあんなに人材収集に熱をあげていたのは、あの緋村さんのような野心家に対抗する為だったのね・・。でも、その緋村さんはすでに宮川さん以上に、周りを能力者でガチガチに固めてた・・。宮川誠氏の愛人・・、社内では暗黙の了解で口にするのはタブーのようだけど、その立場を使いつつとはいえ、あの人たぶんロビー活動なら宮川さんより上手いんだわ・・。能力の高さもあるんでしょうけど、外様でありながら、一族経営の企業でここまで影響を持つなんて・・。だから、ここにきてパワーバランスを崩すかもしれない、降って湧いて出たような勢力の私たちを野放しにできない・・って状況なんでしょうね。・・こちらの能力の種類もほとんど明かしてないし、・・・だからこそ、緋村さんもそれらを調査するために、多様な仕事を割り振ってきて此方の様子や能力を探ってる・・。味方にするにしろ、敵になるにしろ・・ってとこね。・・いまは懐柔路線のようだけど・・あの緋村さんならこっちの対応でいくらでも変わると考えておくのが自然・・。もしかして、露骨な贔屓は、ほかの社員から孤立させることのほうが目的なのかしら・・。でも【百聞】で注意してるけど、そんな情報ないのよね・・・)

「昨日はどんなお話だったんですか?」

開け放った窓から外を眺めながら考え事をしていると、身支度を整え終えたスノウが、先ほど二人の食べえたルームサービスの食器を片付けながら、美佳帆の背後からそう声を掛けてきた。

「うーん・・見え見えだけど、なかなか強引であの手この手を使ってくるわ。・・・まあ、平たく言うと私達の力を取り込みたいっていうところは宮川さんと同じ・・。でも昨日の話は、いままで違って直球よ。調査部という部署じゃなくて私達全員を幹部職に引き上げたい・・って話だったの・・・」

「・・つまりそれは・?」

振り返ると首を傾げて聞き返してくるスノウと目が合った。

昨晩は宏と哲司、そして私の3人が紅音に呼ばれ、打ち合わせを兼ねた懇親会に誘われていたのだ。

「・・・まあ、緋村さんの直属の部下になれってことなのよね・・・・」

「・・はっきり言ってきたんですね。いままでは緩く懐柔してくるようなことしかしてこなかったのに・・。やっぱりドラマみたいにこういう大きな企業って派閥争いがあるんですね・・・。こういうの面倒くさいです・・」

美佳帆の発言にスノウも眉間に皺を寄せて渋い表情で呟く。

「まあ、当然ながら宏がガンとして聞かないってわけ。もちろん私も反対だけど。・・・なにより、私達を宮コーに誘った宮川さんがこんなに早くあんな形で社を追われるなんて、いくら何でも想定外すぎるわよね・・・」

「・・・わたしあの人のこと思いっきり引っぱたいちゃいました。・・・泣きっ面に蜂・・って状態だった宮川さんに今更ですけど、少し悪いかなって気がしてます」

「泣きっ面に蜂・・ね。たしかにあのお嬢様にとったら今まで経験したことないような転落・・青天の霹靂だったでしょうね。・・・でも、きっと大丈夫よ。彼女あまり長いこと気に病むタイプじゃなさそうだし・・。宮川さんもスノウに引っ張たかれたことに怒ってやり返してこようとしたんでしょ?そういうすぐ反応する人ってあまり物事を長く引きずらないわ。・・・たぶん」


そう濁してスノウに微妙な苦笑いでこたえる。

美佳帆の表情に不安を掻き立てられたのか、スノウも「だといいんですけど・・」と言って微妙な顔で笑った。

「さ、それよりそろそろ行きましょ。今日はあたりを付けてたところに麗華の手がかりを聞きに行く予定よ。会社には寄らずに直接行くから、その時に宮川さんのところにも寄る予定だし、そのつもりでいてね?」


「・・はい。なんだかお腹痛くなってきたような気がします」

「・・スノウも画伯やモゲみたいなセリフ言うようになってきたわねえ・・」


部屋の外に出ようとバッグを肩にかけ、リビングを歩きながら言う美佳帆の突っ込みは応えず、上目遣いで微妙な表情のスノウを見て、美佳帆は、こういうセリフが言えるのは、張慈円に連れ去られていた時のことから気が紛れだしたのかなと思って少しだけホッとした。


「ありがとう杉君、粉川君。現役警官にこんなことに協力してもらっちゃって本当に悪いわね」

杉誠一から繁華街での聞き込み情報の資料を受け取りながら美佳帆は笑顔で答える。

「・・すいません。美佳帆さん!。・・・斎藤さん、本当に申し訳ない!!」

繁華街にあるコーヒーカフェのボックス席の正面に座る杉誠一と粉川卓也は頭を五分刈り丸め、杉がそう言うのと同時に粉川も同時にテーブルに額をくっつけんばかりして、美佳帆とスノウに頭を下げる。

「・・いいのよ。私が無理ばっかり押し付けちゃったせいだしね。もっと早く気づいてあげられなかった私にも責任があるから。・・・あ~もう!頭上げてよ」

美佳帆は結構な大声で謝罪する杉に注目する周囲の目を気にして、杉と粉川を宥める。

「・・・私の見込みが甘かったせい・・。敵が想定より多かったし、私の想定より強かっただけ。何かあっても一人なら逃げ切れると思った・・甘かった。あなた達だけのせいじゃない」


ポーカーフェイスのスノウが片言っぽい言葉で、杉や粉川を気遣うようにスノウなりの気を使った言葉を掛ける。

あまり親しくない人に対しては片言になりがちなスノウにしては流暢に喋ったほうだ。

美佳帆はスノウの言葉を聞きながら、私のほうこそ見込みが甘かったのよ・・。と反省しつつもここでは口に出さず、杉と粉川に頭を上げるように促す。

「で、なにかめぼしい話はあった?・・電話じゃもしかしてって言うのがいくつかあるみたいに言ってたじゃない?」


美佳帆のその言葉に、ようやく頭を上げた二人が、目を輝かす。

「はい!そのことですが・・今朝撮ったばかりの写メです。ちょっと確認してください!」

今まで、散々調査したのに有力情報がなかっただけに、今回もと思ってはいた美佳帆であったが、二人の思った以上の反応に目を見開く。

「見せて!」

スマホを取り出して見せようとしていた杉からスマホを奪い、表示されている画像を食い入るように見る。

「・・・麗華!・・生きてたのね!」

「麗華・・よかった・・」


美佳帆とスノウ二人してスマホに顔を寄せて思わず声を上げてしまった。

「やっぱり・・間違いなさそうですね」

杉と粉川は顔を見合わると、ほっとしたような顔になった。

暗くて画質はあまり良いとは言えないが、見間違えるはずがない。マスクをしているが寺野麗華である。

麗華が着そうにもない作業着のような服を着て自転車に乗っている画像だ。

「これって?!どこで?何か他に調べってついてる?」

杉と粉川に食いつくようにして美佳帆が聞くと二人は早朝から調べていた内容を語り出した。

まず、寺野麗華という名前ではなく湯島優香という名前らしいこと。
惣菜や仕出し、お弁当を早朝から作るアルバイトをしているということ。
河口近くの築40年ぐらいのアパートに兄と一緒に暮らしているということ。
同じアパートの住人からの情報では、少し前から兄妹で暮らしているとのこと。

「・・・?・・麗華じゃない?・・料理のバイト・・?それに麗華に兄弟なんていないはず・・」

話を聞き終えたスノウが独り言のように、麗華が料理なんて・・・絶対に選びそうにない仕事・・、それに何故私たちに連絡をしてこないの・・?などとブツブツ呟いている。

「そうなんです・・。腑に落ちないところだらけなんです!でも、俺らも寺野さんとは何度もあってます!さっきの写真!どうです?美佳帆さん斎藤さん?これって寺野さんじゃないですか?」

スノウの独り言に反応した粉川が身を乗り出し、スマホの画像を指で指しながら言い美佳帆やスノウの反応を注視する。

美佳帆やスノウが麗華を見間違うはずがない、絶対に麗華が着そうにもない服を着ているが麗華である。

再度、美佳帆とスノウと顔を見合わせ、お互いに目で確認し合うと二人して力強く頷いた。

「今すぐ行くわよ!杉君、粉川君!お手柄だわ!」

美佳帆は席から立ち上がりそう言うと、杉と粉川に向かって笑顔でウインクして力強く頷いた。

【第9章 歪と失脚からの脱出 1話 寺野麗華の行方終わり】2話へ続く
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筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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