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第9章 歪と失脚からの脱出 17話  髙嶺17代目当主

第9章 歪と失脚からの脱出 17話  髙嶺17代目当主

古めかしく錆び付いた大きな倉庫に続く鉄橋の上を4人のスーツ姿の女性達が、カツンカツンと足音を響かせ颯爽と歩いている。

日本海側にあるこの孤島では、初秋とはいえ寒風が容赦なく吹き荒れ4人の女性は髪を、風に靡かせるのをそのままに、やや緊迫した表情をして歩いていた。

あいにくの曇り空で天気も悪いが、天気とは違い、歩いてくる4人の女性は、それぞれに個性はあるが、一様に美しい。

同じような黒いスーツにタイトスカート、長髪で背の高い一人はパンツスーツだが、4人の共通点は腰に刀を帯びているというところだ。

美女と言っても過言ではない4人であるが、纏う雰囲気は華やかな明るさではなく、妙齢の女性達が放つ雰囲気はない。

むしろその周囲の空気の密度は濃く重くさえ感じられた。

しかし、その重い雰囲気の中でも、特に他の3人を従えるように歩く先頭を女性は、柳の葉のように細く美しい眉に、切れ長の意志の強そうな目、総じて顔立ちや体形は、佳絶を極めたりと言っていい程の容姿である。

その佳絶柳眉の美女も他の3人同様腰に刀を帯びており、鞘は漆黒、柄は黒地に金と紫の刺繍が施され、鍔は黒鉄に鷹を模した意匠が拵えられていた。

4人はそのまま古びて錆の目立つようになった大きな倉庫に入っていくかに思われたが、鉄橋の中ほどに差し掛かった時、先頭の女性がはたと歩みを止めた。

「・・・気に入りませんね」

鷹のように鋭い目だが佳絶の女、髙嶺弥佳子が刀の柄に左手を置き呟くと、不快げにその美しい柳眉を顰めた。

追従する3人は畏怖する主の煩いの原因を探ろうと一瞬の沈黙があったが、3人ともすぐに理由を察知した。

千原奈津紀、前迫香織、南川沙織は鉄板の床をヒールで蹴り、髙嶺弥佳子を防御するよう陣形を組んだのとほぼ同時に2か所から銃声が轟いた。

「ふっ!」

「えいっ!」

3人のうち二人はすでに抜刀し、弥佳子を狙って放たれた銃弾を、奈津紀が抜刀と同時に真っ二つに切裂いて打ち落とし、香織もまた別の方向から放たれた銃弾を、能力を発動して、ぐにゃりと捻じ曲げ明後日の方向に吹き飛ばしたのだ。

「おらぁ!ざっけんじゃねーぞ!死ねや!!」

ショートカットを振り乱した南川沙織はそう吼えると、腰と背中に背負った小太刀二刀を特殊な構えから跳躍して抜刀し、500mは離れているであろう弾丸の発射地点目掛け【刀閃】をぶっ放した。

青白いクレセント型の真空の刃が、猛スピードで唸りを上げ回転しながら鉄塔の監視小屋と、鉄橋の側面にある廃屋の屋上に直撃して、爆音と埃を巻き上げる。

劉幸喜と同じ、否、似て非なる強力な技能だが、沙織は二刀流故それを二方向に同時に飛ばしたのだ。沙織の【刀閃】をみれば、その切味、破壊力、飛距離、正確さに驚嘆し、髙嶺以外のオーラを使う剣士ならばほとんどのものが肝を潰し、自信を失うだろう。

髙嶺六刃仙に籍を置く者は皆、生まれながらにして天賦の才を持ち、特殊な選別を潜り抜け、さらに磨き上げた者たちなのだ。

沙織は小柄な可愛らしい容姿で、ゴスロリメイクと派手なラメピンクのマニキュア、ごついシルバーリングを細い指に幾つもゴリゴリと付けている。

黙っているところを一見すれば人形のような可愛らしさがあるのだが、。いざ戦闘となれば悪鬼のような笑みと、乱暴な口調になるのだった。

「沙織?」

「直撃。殺った。・・・当たった手応えからするとたぶん二人とも能力者」

千原奈津紀の問いかけに、着地しすでに納刀した沙織が即答で返したところで、通路の先にある倉庫の入口の方から拍手が聞こえてきた。

「いや、お見事、お見事。皆さん私の予想に反して素晴らしいお手並みでした。私が雇ったくずボディーガードを瞬殺してくれるとは・・、まあ、あの程度の腕前だったので、始末も兼ねてちょうど良かったです。前金だけしか払ってなかったのでね。それにしても、募集して雇ったのが、まさかあんな雑魚だったので、大損だと後悔してましたが、始末もでき、あなた方の腕を確認できて一石二鳥でしたよ」

パチパチパチと拍手しながら、気取った仕草で背の高いスーツ姿の男が、とんでもないことを言いつつ、にこやかな表情で現れたのだ。

男は右目の銀縁片眼鏡を親指で押し上げると、大げさで慇懃な態度で頭を下げた。

「試すような真似をして申し訳ございません。わたくし、樋口と申します。この度、こちらに来られるボディーガードが全員女性と聞いたもので、つい不安になってしまっていたのです。しかし、これは私の思い込みで浅慮の致すところでした。深く、お詫び申し上げます」

品があり慇懃な態度と口調で、気取った紳士が下げていた頭をあげると、目の前には南川沙織が刀の切っ先を突きつけ迫っていた。

「おっさん。遺言はすんだのか?」

沙織の左手に逆手で握られた九字兼定が男の首筋にあてがわれ、右手の京極政宗は同じく男の胸を今にも貫かんと構えられている。

樋口と名乗った男の背後にもすでに前迫香織が回り込んでおり、愛用の長刀を男の首の後ろからあてがい、沙織の九字兼定と交差させている。

「これはこれは、しかし、わたくしはまだおっさんと呼ばれるほどの歳ではありませんよ。今年で45になったばかりですからね」

沙織に剣先を突きつけられた状態だというのに片眼鏡の男は、虚勢とは思えない落ち着き払った口調で、害意が無いことをアピールするように両手を肩まで軽く上げ、鋭い目つきの沙織に笑顔で言い返す。

「45って・・・おっさんじゃねーか

沙織が表情を崩さずそう言い、握っていた柄に力を込めたところで、片眼鏡の男の後ろから声がした。

「まて!待ってくれ!髙嶺の・!」

そう言い慌てて走ってきたのは、褐色の肌に整った顔立ち。三浦春馬を少しだけ軽そうにした見た目の劉幸喜である。

「あ、あんたは・・!うぉ!!」

劉幸喜が樋口に駆け寄ってきたところで前迫香織がビュンと長刀を翻し、その切っ先が劉に向けられたのだ。

劉は香織の殺気に思わず声をあげた。

今の香織は、スタジオ野口にある庭園で出会った人物とは別人のような鋭い顔であり、あの時の温厚で優し気な目付きの印象が強く残っている劉は面食らったのであった。

「くっ・・!ま、待ってくれ!誤解なんだ・・手違いを説明させてくれ!とにかく・・!聞いてくれ!」

香織の殺気と怒りを本気と捉えた劉ではあったが、香織に一言断わると、兎にも角にも髙嶺とこの樋口を揉めさせるわけにはいかなかい劉は樋口に怒鳴った。

「あんた!さっき言ってたの本気だったのかよ?!いくら依頼主と言っても、この人達を試すようなことは絶対にやめてくれって言っただろ?!まったく何考えてんだよ。」

沙織に刀の切っ先を突きつけられている樋口に対して、劉は冗談じゃねえよといった表情と口調で捲し立てる。

「劉君・・。そうは言っても、女が護衛に来ると言われれば誰だって不安になりますよ。女はろくな仕事をしてくれませんからね。あ、ベッドの上では別ですよ?女に相応しい無様な仕事がありますから」

必死な形相の劉とは対照的な表情の樋口は、刀を突きつけながらも肩を竦め、しょうがありません、とうそぶいたような様子である。

「てめえ・・」

樋口のあまりにもなセリフに、沙織が目付きと口元を歪め危険な表情になると

「沙織。先ほど名乗っていただいたように、その方が今回の護衛対象の樋口様のようです」

香織は相変わらず長刀の切っ先を劉に突き付けたまま、当主である髙嶺弥佳子の意思を伺いつつも、ひとまず沙織を制止する。

「そうだ!その通りだ!悪かったアンタら!今回は俺たち香港の護衛も兼ねてるだろ?!どうかここはボスに免じて・・、頼む!ことが始まる前に揉めて空中分解なんて、しゃれにならないんだ!頼む・・!」

香織のセリフを渡り舟とばかりに、劉幸喜が髙嶺弥佳子に深々と頭を下げて必死に頼み込んだ。

劉と髙嶺弥佳子は初対面ではあったが、周りの女の様子や雰囲気から、間違いなくこの女が髙嶺弥佳子だと劉にも確信が持てたからだ。

嘆願する劉を眺めていた弥佳子であったが、目を閉じふっと失笑すると、左手の親指で鍔を押し上げ、そしてカチンと鞘に落した。

「・・不愉快極まりないですが・・・、香港本国からのじきじきの依頼です。張慈円の顔を立てるとして、ついでの護衛対象の無礼にも、これで目を瞑りましょう・・。しかし、二度目はありませんよ」

目を開けそういうと、その切れ長の目で樋口のことをじっと見つめた弥佳子であったが、ちらりと劉に視線を戻し、澄んだ静かで抑揚のない声でそう言った。

そして、カツカツと足音をさせ、劉と刀を突きつけられている樋口の間を通り過ぎていった。

千原奈津紀と前迫香織もそれに続き、

南川沙織も鋭い目つきで樋口を睨んだままであったが、無言で刀を引き少し遅れて3人に続く。

「・・・感謝するぜ!」

通り過ぎた4人の美女剣士たちの背中に再度深々と頭を下げた劉が、重ねて謝辞の言葉を口にした。

恐るべき力を持った4人の剣士たちが、倉庫の中に消えて行ったのを見届けると、劉は肺に溜まった空気を思い切り吐き出し、樋口に向き直った。

「さあ、アンタも外をあんまりうろつかないでくれ。まったく寿命が縮むぜ・・。ったく!・・あんたが連れてきたボディーガードの後始末もしなきゃいけねえじゃねえか」

額の汗を拭きながら、不満を口にし、樋口を打ち合わせ場所である倉庫の中に促す。

「劉くん。気にしすぎだよ。あの気の利かない役立たずなボディーガードの二人は海にでも投げ込めばいい。こんな孤島から人を二人投げ込んだところで気にする奴なんて誰もいないさ」

その投げ込むのが大変なんだよ・・。と、劉が内心悪態をついていると樋口が更に続ける。

「宮コー本社が嗅ぎつけたとしても、俺とまともに戦えるのはジョーカー技能持ちの宮川のガキか、紅蓮の緋村紅音ぐらいのもんさ。でも、宮川は失脚したし、紅蓮もこういう泥臭い仕事は絶対に直接しない。もし、宮川のガキがかぎつけても、周りが反対してお嬢様自らがくるわけないさ。だから二人とも、こんな僻地までこない。安心していいはずだよ。・・・それに、さっきの女剣士たちが意外にも腕利きだというのはわかったのは良かったけど、最後に偉そうなことを言っていた女の実力はよくわからないな。取り巻きの3人に守られてるだけでひょっとしたら無能なのかもしれない。無能な女はいくら美しくてもただの穴だからね。・・・・でもあんなに護衛を補強するなんて香港は臆病なのか人材不足なのか・・いったい何をそんなに怖れているんだい?張慈円が達人だということは承知しているし、俺だって自分自身の身は守れるんだぜ?」

樋口の楽観的且つ人格崩壊したセリフを聞きながら、ほんとにこいつそんなに強いのかよ?と疑問を感じながらも、誤魔化すように頭をかき、一応念を押す。

「本当に、頼むから、そういう事もう言わないでくれ」

揉め事は本当にうんざりだと言った様子で劉が呻いた。

劉達香港はすでに確かなルートから宮川コーポレーションが今回の取引を嗅ぎつけ、3人の能力者を送り込んでくるという情報を得ていたのだが、それを樋口には伝えていない。

今回の取引を嗅ぎつけられているというのを仲介役である香港としてはクライアントに知られたくはなかったからだ。

しかも、奇妙なことに事前に宮コーが妨害をしてくる人員の詳細や日時までもが、あまりにもあからさまにキャッチできたことを、張慈円とともに不信に思っていた。

樋口は扱いにくく変人だが、宮川重工業の重要機密を大量に詰め込んだディスクを持ち出してきており、その認証のパスワードとして樋口の網膜とオーラが必要であった。

劉としてはこの大きな取引をどうしても成功させたかったのだが、宮コーの手先となった菊一、それに対抗するために雇った髙嶺、そして変態クライアントの樋口のことで、いまから胃が悲鳴を上げていた。

「とにかく、顔合わせだ。髙嶺の当主がわざわざこんなところまで出向くなんて珍しいって話だからな。失礼のないようにってボスから言われてたってのに・・まったく・・。なんて日だよ。いまから嫌な予感しかしないぜ」

劉はクライアントに余計なことを言って、信用を落とすよりは、黙っていて今回の潜入してくるであろう菊一の面々を圧倒できそうな髙嶺を雇い、ぶつけるという張慈円の作戦を高くつくところが不満ではあったが確実だと思っていた。

ボスの張慈円ですら、菊沢事務所の豊島哲司には手を焼いたのだ。

ここは髙嶺でもなんでも、とにかく強いカードをぶつけるのが得策というモノだ。

「なにブツブツ悩んでるんだい?君は若そうなのに気苦労が多いね?ハゲるよ?」

劉の心労など気にした様子もなく樋口はそう言うと、倉庫の方に向き直り、片眼鏡を親指で押し上げ歩き出そうとしたその時。

「うっ!」

押し上げた銀縁片眼鏡が縦横十字に切断されており、親指で押したときにずれて鉄橋の上に割れ落ちたのだ。

「こ、これは・・」

そう言って樋口が4つに切り割かれた片眼鏡を拾い上げようとしゃがむと、腰に違和感を覚えた。

スラックスのファスナーがベルトのバックルごと切られており、二つに割れたバックルとバラバラになったファスナーが鉄橋の床の上に散らばったのだ。

「い、何時の間に!・・まさか・・あの二刀女か・・?いや、そんなはずはない・・違う!・・・あいつか・・?しかし・・馬鹿な!」

樋口はスラックスがズリ落ちてしまわないよう掴みつつも、この不可解な現実の原因が、柳眉佳絶の女の仕業だと直感で悟り肌を粟立たせた。

(ただの上等な穴だと思ったが・・俺とあの女の間には、二刀のチビ女がいた・・!メガネはともかく、あの一瞬でこんなところを攻撃できるわけがない・・・!しかし・・!現に・・・どうやって?!)

この樋口という男は、女性蔑視の人格破綻者だが、口だけではなく本当に優れた能力者で、今は宮コーの下部組織の役員とはいえ、佐恵子や真理も警戒をしている人物であった。

以前から人材集めに躍起になっていた佐恵子も、かつて宮川本体の勤務であった樋口の能力者としての噂を聞きつけ真理と共に面会したのだが、樋口の纏うオーラがあまりにも女性軽視で卑猥且つ邪悪だったので、佐恵子は樋口を一目見た一瞬で嫌いになり、問答無用で下部組織の閑職に左遷したのであった。

しかし、樋口はもともと仕事では優秀だったし、そのうえ能力を駆使して、本社の目が届きにくくなった宮川重工業で、常務取締役にまで出世し、立場を利用して汚職に汚職を重ねて私服を肥やしていたのだ。

そして、さらなる利益を求め香港にわたりをつけてもらい、大陸の組織に宮川重工業の機密を高値で売りさばき、日本からとんずらする予定であったのだ。

「・・。日本を発つ前に、女の然るべきポジションを教えてやる必要があるヤツがまた増えちまった」

自分の気づかぬうちにメガネとバックルを切裂いた弥佳子の絶技に慄きながらも、女性軽視の歪んだ感情が樋口の胸を憎悪の炎が激しく焼いていた。


~~~~~~~~~~~~~

弥佳子は簡素な椅子に腰を下ろしており、奈津紀は弥佳子に向かって立ったままでいた。

張慈円の部下に促され、顔合わせの会合が始まるまでの間、この部屋で待っていてほしいとのことであったからだ。

前迫香織と南川沙織は部屋の扉の外で、一応の警戒をしている。

今は部屋内に二人しかいない。

「どうしたの奈津紀さん?」

奈津紀と二人きりだと、畏怖の対象とされる髙嶺17代目当主の目も些か優しい。

「いえ・・」

そんな弥佳子のセリフに奈津紀は短く返した。

「ははは、はっきり言ったらどう?私があいつの胴を切断してしまうと思ったのでしょ?」

「ええ・・まあ」

部屋の外には聞こえない程度の声で、弥佳子は快い音色で笑い言うと、奈津紀は言いにくそうに同意し頷いた。

この部屋が機械的な機器などで、盗聴盗撮されていないのはすでに確認済みだ。

弥佳子が愉快そうな声で続ける。

「退屈しのぎよ。こういうのも久方ぶりだしね。あの忌まわしいジジイに封印された力がやっと戻ったのだから、楽しみの芽を早々に積んでしまうのは憚れるじゃない?香港に宮コー、あのジジイを血祭にあげるというのも目的の一つだけど、奈津紀さんの話じゃ栗田は宮コーにいるらしいんでしょ?寄り道のようだけど、案外これが最短ルートのように思えてるのよね。となれば道中の楽しみは多い方がいいじゃない?」

弥佳子の様子とは裏腹に、奈津紀は表情を曇らせて頭を下げた。

「あの時は私の失態です。栗田を御屋形様の前まで連れてきてしまいました。栗田の意思をもっと確認すべきでした。我々に匹敵する違った能力者を仲間に引き込めるかもしれないと、舞い上がってしまったのです。そのせいで・・あやうく・・」

さげていた頭をあげた奈津紀の顔はいまだに曇ったままであり、弥佳子も先ほどの愉快そうな表情を引き締め、しかし優し気な口調で奈津紀に返す。

「たしかに・・・、でも奈津紀さん。あなたはいつでもよくやってくれてるわ。私のオーラが封じられている間、あなたが切り盛りしてくれたわね。本当にかわいい妹」

そのセリフに奈津紀ははっとした表情になり周囲を警戒すると、小声で弥佳子に呟いた。

「御屋形様。・・どこに耳があるやもしれませんので・・」

「ふふ・・。大丈夫よ。でもそうね。気を付けるわ」

弥佳子がそう言ったとき、扉の外からノックされ声が掛けられる。

「御屋形様。張慈円様が戻られたそうです」

「わかりました。参りましょう」

扉越しにそう言うと、弥佳子は組んでいた脚を戻すと膝丈のタイトスカートに鋭く入ったスリットから覗く筋肉と贅肉がバランスよくついた太ももの肉を妖艶に揺らしながら立ち上がった

【第9章 歪と失脚からの脱出 17話  髙峰17代目当主終わり】18話へ続く




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筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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