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第9章 歪と失脚からの脱出 33話 心地よい夢からの目覚めと現実そして開花する者

第9章 歪と失脚からの脱出 33話 心地よい夢からの目覚めと現実そして開花する者

グラサンこと菊沢宏は、縦横に淡い茶色のレンガ調の石が敷き詰められたオープンカフェを一人歩いていた。

黒いジャケットに黒のスラックス、シャツは着ず、ジャケットの下には襟の無いTシャツを着ており、そしてトレードマークのサングラスの男は宮川コーポレーションではすでに有名人であった。

宮コー関西支社からほど近いこのオープンカフェには、正午のこの時間帯は宮コー社員も数多くいる。

年頃の女性社員たちは、調査部部長の菊沢宏が歩いているのを発見すると、遠巻きに宏を観察しては、何事かを囁きあっているが、それが好意的な会話であることは、彼女たちの表情をみてもよくわかる。

しかし、宏はそれらの視線など気にした様子もなく店庭の一角、パーゴラの下にあるテーブル席にいる人影を見つけると、そちらに歩み出した。

「スーツ姿やないから気が付かんかったわ」

宏が声を掛けた人物、宮川佐恵子は、大きめのサングラスを掛け、白の帽子にゆったりとした白の上下の衣服を着こなし、脚を組んでテーブルに置いたpcの画面を熱心に見ていたが、声を掛けられると顔をあげて僅かにほほ笑んだ。

「あら菊沢部長?珍しいですわね。こちらにいらしていたとは・・・支社5階の部長室はお気に召さなくて?わたくしは、今日は休日を頂いておりますが、支社のほうは当然勤務時間内ですわよね?」

佐恵子は丸い大きなサングラスを外し、組んでいた足をもどすとテーブルの対面に立ったままの宏を見上げて言った。

「なんやねん。おったらあかんのか?ここのフードコートは宮コーグループの社員ならだれでも使こて問題ない施設なんやろ?あんたこそ、元支社の最高責任者がこんなところでくつろいどったら、他の社員は気ぃつこてリラックスできへんのとちゃうか?」

「そう言う意味で言ったのではないのですが・・・でも菊沢部長の言うのも一理ありますわね。・・確かに、私が座るテーブルにはあちらのほうにいる支社の社員たちも近寄ろうともしませんわ。・・でも私はここでの眺めを気に入っておりますの」

悪意はないのであろうが、ぶっきらぼうな言い方をされることに慣れない佐恵子は、少し面食らったが、最近は菊沢宏という人物が少しはわかってきたので、そこまで気にせず答えることができた。

「そうなんか。まあ確かにええ天気のときはこんなオープンテラスでゆっくり休むんもええかもしれへんな」

「・・ええ・・。菊沢部長もここにはよくいらっしゃいますの?」

そう言った宏に対し、佐恵子はそうこたえながら正面の椅子に座るよう手で促す。

その様子を見ていた宮コーの女性社員たちは、宏を独占しだした佐恵子に対し、明らかに嫉妬の表情になるが、相手が相手だけに顔をしかめたまま黙ってしまっている。

「いや今日初めてやねん。うちの所員はいま全員出はろうとってオフィスに俺ひとりやしな。考え事ついでに散歩してたら、ここのこと思い出して立ち寄っただけや。あんたがおったんは偶然やな」

「そうでしたか。ここは宮コーが運営してますわ。もう秋も近いですが、ここは夜ビアガーデンもしていますので、利用してあげてくださいませ。食事はビュッフェですが冷食などは使っておりませんのよ?」

「そう言えば入口の壁にそんなポスター貼ってあったな。画伯やモゲに言うたら連れていけってうるさそうや。ははっ」

当の二人は、周りの女性社員の視線と感情に、何となく気がついてはいるが、気にした様子もなく話を進めている。

ひとしきり他愛のない会話を交わすと佐恵子は、手をあげてウェイトレスを呼び、宏のオーダーを聞くように命じると再びpcを眺め出したのだが、なにやら宏からの視線を感じ再び顔をあげた。

「どうかしまして?」

「こんな機会や、ちょっと聞かせてもらうで?」

佐恵子はいま感情感知を使ってもいないし、宏はサングラスをしたままであるが、宏がなにか真剣に聞こうとしているのは見て取れる。

「なんですの?いま仰ってた考え事のことですの?」

顔をあげてノートパソコンの画面を閉じると、佐恵子は改めて宏に向き直った。

「ああそうや。あんた俺らのこと宮コーに誘たけど、当のあんたがクビになってしもうたやないか。俺は今あの緋村が直属のボスになってるんやで?これがいつまでつづくんや?あんたもうやる気なくしたんか?宮コーちゅう大組織使うて、日本の停滞した経済直して社員や国民を幸せにする言うてたんは諦めたんか?・・・それやったら・・俺らはとっとと出て行くで?あんたがおらんのやったら、俺の目的である所員と所員の家族の安全の確保もままならんし、むしろあの緋村がおるほうが危険増すからな。所員の家族は警護が付けられとるけど、むしろもはやそれが気持ち悪いねん。逆に人質とられとるみたいや」

佐恵子は菊沢美佳帆とはよく話をするし、随分打ち解けてきたが、旦那の菊沢宏と話をこんなに聞くのは初めてね・・と思いながらも、佐恵子は真剣に聞いていた。

応えるのにやや間を空けてしまったが、佐恵子は口を開く。

「そうですわね。菊沢部長のご心配はごもっともです。紅音は・・優秀ですが、ちょっと困ったところもありますわ。・・実はわたくし、紅音とは随分付き合いは長いのです。2つ上の先輩で、あんな感じですが本当に賢くて、強くて・・。・・しかし・・わたくし、菊沢部長にそんなことまでお話しておりましたか?」

「宮川さんのことは神田川さんから聞いた話がほとんどやが、あんたと稲垣さんのケガが治ってから、あんたが一回俺らを招いて懇親会を開いてくれたことあったやろ?その時に話してたことと、神田川さんが言うてたことををつなぎ合わせたら、あんたの意思や目的がはっきりわかったんや。あんたちょっと酔うてたしな・・みんなの前で演説してけっこう饒舌やったで?店におる他の客も演説聞いてたん覚えとらへんか?これも目の能力かって思えるほど見事やったで?」

質問に対して宏が答えたことに、佐恵子は首を傾げ少し狼狽え気味に聞き返す。

「え・・?・・そう・・そんなことがあったような・・でも本当ですの?わたくしがあの居酒屋で演説・・・?」

佐恵子は宏に言われて、おぼろげな記憶が少しだけ鮮明になってきて、頬を紅潮させだした。

「ああ、そや。なに今更恥ずかしがってんねん。もうすんだことやないか。それにけっこうええ話やったで?客もねーちゃん立候補せえとか言うて、拍手しとったからな。あぁ、神田川さんがその演説撮影しとったから確認できるんちゃうか?」

少し思い出し始めた記憶が今のセリフで一気に鮮明になり、佐恵子がアルコールに弱いのを知りながら真理がやたらお酒を勧めてくる理由が、今になってわかり眉間にしわを寄せ、目を閉じる。

「く・・・・真理・・!」

(・・どうやら真理はわたくしのことで、楽しんでいる節があるようですわね・・)

真理への抗議を口に仕掛けたが、乗せられてしまいすでに済んだことだと割り切ると、諦めて宏に向き直る。

「そう・・でしたか・・。なにやらけっこう喋ったような覚えはあるのですが・・、他のお客さまにまで迷惑をかけていたとは、失態です・・。やたら真理が飲ませてくると思ってましたが・・・お恥ずかしい」

「まあそんなことは、全然どうでもええんやけどな」

「・・・」

佐恵子としては結構恥ずかしいことを思いだしたのだが、佐恵子自身が恥ずかしい思いをしたのなど、宏が本当に気にした様子もないことに、佐恵子は言葉を失ったが、宏はそれすらも、気にした様子もなくつづけた。

「そんなことより、酔うてたとはいえ、あの演説は冗談やと思われへん迫力と説得力があった。付け焼刃の思い付きで言うたんやないんは俺でもわかる。日本は経済大国やが国民の大半はワーキングプアで、幸福度が低いんをどないかする言うてたで?たしかに、日本だけで見たら宮コーは巨大企業やし、ぎょうさんいろんな仕事してるな。固定した産業に固執せんから伸びしろもまだまだある。それに確かにあんたが目指してるように、俺から見ても宮コーの社員は、他の会社に勤めてるもんに比べたら、みんな幸せやとは思うんや。・・まあ、働いてる本人らはその幸せに気づいてるかどうか知らんけどな。そういう世の中つくんのに、邪魔する凶悪な能力者や組織は容赦なく排撃して撃滅するんやろ?他のどの組織でも出来ん。これを実行するのは、わたくしたちでなければならない。わたくしたちにしかできない。力を持つ者が私利私欲に走ったらどうなるというのです?その結果が今の日本なのです!・・ってな」

「も、もうお止めになって!」

途中から自分の口調のモノマネが入ってきたところで、一気に真っ赤になった佐恵子は手のひらを軽く宏にあげて制止した。

「お止めになってて何もしとらへんがな。しかし、良かったで?まるで映画のワンシーンみたいやった。・・宮コーって社員はちゃんと定時に帰らせとるし、ほとんどの社員は有休も全部消化させとるみたいやないか。宮コーの下請会社もかなりええ条件で仕事受けとる・・。こんなことさせてくれる会社なんてほとんどあらへんで?社員や関係組織をそこまで優遇しておきながら、会社としては莫大な利益もあげとる・・。ほんまに、日本全部でこんなことできるやったら、俺らもそれに参加できるんなら手伝ってやろうと思ったんや。探偵の仕事し始めたんも、まあ俺自身の個人的な探し物もあるんやけど、基本的には理不尽な目に合うて、困っとる人助けるためってのが大きいからな。あんたのやろうとしてることは、俺らより欲張りでドでかいけど、本質は一緒やと思たからなんや。・・どうなんや?支社の運営が緋村に変わって売り上げは上がっとるけど、利益率は下がってしかも残業はあるようになってきたし、ちょっと変わってきてるんやで?あんたもう降りたんか?あんたが関西支社長になって3,4年なんやろ?一朝一夕であの状態にしたんんやないってことは俺でもわかる。あんた有言実行してたんや。うまくいってたんやで?それやのにもう降りるんか?能力ほとんど失って自信も失ってしもたんか?」

宏の真剣な口調と顔に、赤面していたことも忘れ佐恵子は視線を落し、言葉を選ぶように熟考してから口を開いた。

「自信ですか・・。たしかに、頼りとしていた目があまり使えなくなったのはショックでしたわ・・。ですが、逆にいろんなことを考えるきっかけとなりましたの。・・それにわたくし、降りてはいませんわ・・・。菊沢部長・・・どうしてほとんどの企業が宮コーのような・・いえ、宮コー関西支社のような社員満足度が高い組織ではないか真剣に考えたことがおありになって?」

「ない。いや、あるけど、あんたほどは無いってことやろな」

佐恵子は話そうとするも、宏に理解してもらえそうかどうかと伺い気味に聞いてみたのだが、宏の応えは簡潔で、はよ話せや。と顔で言っているのがよくわかる。

「・・正直な方ですわね。殿方はそういうとき、むきになる方が多いのですが・・、菊沢部長は違うようですわね」

佐恵子はそう言って宏を観察するが、正面で腕を組んだままの男は相変わらず、「はよ」という感じで、無言で催促している。

「ふふっ、簡単ですわ。権力を持つ者が搾取しすぎている上、いまの状況を維持させたがっている。加えて法律の問題ですわね」

「漠然とし過ぎとるけど、それって具体的に解決ってできるんか?」

その口調と態度から、宏の性格がよく伝わってきたため、佐恵子は口をほころばせてしまうが、宏はあくまでマイペースであり、結論を急ぐような口調である。

「できますわ。時間がかかりますけどね」

「どうするんや?長い説明いらんで?400文字ぐらいにまとめてくれや」

菊沢宏と話をすることで、佐恵子は自分が本当に周囲に気を使わせてきたのだと、実感できてしまい表情を柔らかくしてしまう。

目の前のこの男は、自分のことを財閥令嬢だと扱ってはいないのだ。

「ふふふ・・。不思議な方ですわね、本当に・・。でも、菊沢部長はわたくしがやろうとしていることを冗談とも思ってらっしゃらないご様子・・。ほとんどの方は聞く耳を持ちませんのよ?」

「あんたニュース番組とかにも出てたことあるけど、ああいった演説ってテレビや大勢の前でやったことないんやろ?やったら賛同者大勢居ると思うで?・・あの演説が冗談やないのは、あんたという人間をある程度知ってたらわかる。せやから、個性派で無軌道なうちの所員らもあんたに従うとるやんか。俺はな、うちの所員は俺の言うことは聞いても、あんたの言う事って聞かんやろなって思ってたんや。あの懇親会以来、所員のあんたを見る目変わってるのわかるってるか?あ、モゲのやつは別やな。あいつ超自己中マイペース野郎やから・・。せやけど、モゲ以外はあんたに対して認めてるし一目置いてるんやで?」

宏のセリフに佐恵子は細い目を丸くさせて驚くが、すぐに目を細めて苦笑し信頼する側近を思い浮かべた。

(真理は菊沢事務所の方々に、わたくしの口から話させたかったのですね・・)

「・・・わたくしの腹黒い参謀が仕組んだせいですわ」

「まあ、神田川さんの思惑もあるやろうけど、中身が伴うからそうなったんや。さあ、説明頼むで?どうやるつもりなんや?簡潔にな」

さすがに鋭い感覚の持ち主の菊沢宏は、神田川真理のお茶目で、イタズラ好きの性格も見抜いているうえ、当然真理の手腕もよく解ってくれていそうな様子に、佐恵子は宏に対し素直に好感を深めていた。

「400文字は無理ですが・・」

と、佐恵子は前置きすると話し出した。

「・・失われた20年、・・経済分析の世界では見当違いのことが声高に叫ばれて久しいのです。しかし、はっきり言えるのは経済の停滞のせいは産業構造が原因ですわ。残業を減らし、有給休暇を増やして、女性や定年を迎えた高齢者も働きやすい環境をつくる。そうすれば会社の業績も上がり社員のモチベーションも上がる・・・というのが、いわゆる働き方改革という残念な政策ですわ」

一区切りついたところで佐恵子は宏の様子を見るが、続けろと無言で催促されているのがよくわかる。

(わたくしに対して、なんと傲慢でストレートな態度でしょう・・・ですが嫌な気分にさせられないのは不思議です・・)

宏はこういう男なのだと納得し、佐恵子はつづけた。

「ですが、そんなことは結果の話であって、要因を分析せず、何も成したことのない評論家の戯言です。欠けているのは徹底した要因分析。老害達の固定概念や直感では決して解決いたしません。たとえば、保育所さえ足りれば女性が社会で活躍できる・・という極論を聞くことがありますが、わたくしはそうは思いません。当然保育所は必要ですが、そんなことで女性の社会進出が進むわけがありませんわ。せいぜいパートをする子持ちの女性が増えるだけです。それでも経済効果は多少ありますが、本当の意味で、それは誰にとって有益なのでしょうか?得をするのはそのパートができるようになった女性ですか?それとも、低賃金で単純労働力得る機会が増した企業でしょうか?」

「簡単にまとめいや」

今度は、注文を付けられた。

(それでも、不快な感じがしない・・。不思議な力がありますわ・・)

心中でそう呟いてから、佐恵子は続ける。

「・・・大企業の定義は曖昧ですが、日本には大企業と言える企業が少ないせいです。給与に限らず、定時帰社率、有休取得率は企業規模に比例するというのは万国共通の分析結果で、日本も例外ではありません。例えばアメリカ人の労働者の約50%は大企業で働いていますが、日本在住の労働者で大企業に勤務しているのは労働者の10%ほどしかいませんわ。そのうえ全事業者中、中小企業者数は全体企業の99%以上、そのうち従業員20人以下の小規模事業者が85%を超えておりますのよ?嫌味ではなく、それら日本のほとんどの企業は、世界的には大企業とは言い難い、この宮川コーポレーションにすら事業としては競争しうることもできませんでしょう?統制もなく、お互いが協力関係にないアリ達では恐竜に勝てないようなものです。こんなことが続けば、日本企業は取り残されてしまいます。20年前とは違います。かつては日本の企業は世界のトップ20にたくさん名を連ねておりましたわ。しかし今はどうでしょうか。1社もありませんわよ?・・1兆ドルの売り上げを伺える位置にきているグーグルやアマゾン・・フェイスブック、アップル・・それらはいずれもまだ若い会社です。しかし、それより遥かに歴史ある日本企業がそれらに対しまるっきり歯が立たないではありませんか。こんな不甲斐ないこと・・、日本の多くの殿方経営者は許せるのですか?わたくしにとって、それは嫌なことなのです。それに、すでに既得権益を得ている者達は、自己の栄達に満足して、世界の情勢は自分たちの遠いところの話のことのように思っておりますわ」

宏は腕を組みサングラスの下では目を瞑って寝ているのではないか。と佐恵子は一瞬訝るが、そうではないらしい。

きちんと聞いてくれているようだ。

「日本人がよく働くのは、国民性だとか、労働文化などと断ずるのは科学的分析とは言えません。利権を得ている一部の権力者たちの都合のよい卑劣な論理です。現に日本人にもニートは増え続けているではありませんか。その方々は日本人らしくないとでも?そうじゃありませんよわよね?原因はもはや大企業にも就職できず、小さな企業に就職すれば過酷な労働が待っているから働く意欲を削がれているのです。かといって日本には生活保護制度などもありますから、死ななくても良い。そしてそこに血税が投入され国政を圧迫する悪循環。・・・小さな企業がたくさんできてしまうような政策、票集めのための老人優遇の政策、人権派気どりで人気を得たい為の政策でがんじがらめです。・・今や、10%程度の大きな企業が、残りの小さな企業に負担を強いているのです。当然その小さな企業で働いている労働者の方は無理な働き方をせざるを得ません。こう言うと、日本に小さな企業が多いのは伝統で、文化だという人がいらっしゃいますが、それもよく考えた理論ではありませんわ。小さい企業が多い理由は中小企業を守る手厚い優遇政策の法律のせいですわ。優遇措置の微々たるはした金を目当てに、製造業は300人未満、小売業は50人未満の規模に維持しようとする企業が多すぎるのです。リスクをとらず目の前の安全な小銭を拾う方が多いのは仕方ありません。問題は制度です。・・そしてたくさんできてしまった小規模な組織では、いかに優れた技術を持っていても、日本ではおろか世界には競争力という点では全く太刀打ちできないでしょう。技術や知識を持ちながらも、日本では大企業に技術とノウハウ搾取され、世界ではとても戦えない哀れで競争力のない組織が多く生まれてしまったのです。一言で言うと・・票集めに没頭しすぎた政策ミスですわ。ですが、今の日本の大企業の多くが、そして、権力者の多くはそのままで良いと思っています。自らの栄華謳歌のためには、同じ日本人だとしても、貧しい他人がどうなろうと顧みない。・・・残念と言わざるを得ませんが、これこそが日本人の特徴と言えるでしょう。自分の知識やノウハウが時代の変化とともに陳腐化しているにも関わらず、組織に社長や会長として君臨し続け、自分の組織内ですら、組織を飛躍させる優秀な人材がいたとしても、自分を脅かす存在の台頭が許せないほど狭量・・。しかし反面では身内には甘く、出社もしてこないような配偶者にも高額給与を支払い、未成年の子息たちにも会社経費で携帯電話や、パケット代を支払う。あまつさえ愛人には車両費や生活費を経費として払い、自身の子息が無能だとしても組織の世襲を行う・・。世界的に見れば珍しい愚かな民族です。日本人には、たくさん良いところもありますが、悪い特徴もあり、それを政治家や権力者に見抜かれ、与えられているようで、実のところ奪われ、飼殺されているのです。しかし、その飼殺しているつもりの権力者たちも、いずれはヨハネの黙示録の四騎士のような、抗いがたい力を持つ、GAFAのような世界の巨人たちに駆逐されてしまうでしょう。すでに日本企業で世界トップ20に入る企業は無くなってしまったではありませんか。トップ50以内にようやく自動車メーカーが一社あるだけですわ・・・。この産業構造を根本的に変えないかぎり、日本企業の縮小化は止まらないでしょう。日本は世界一の技術を持っていると無邪気に浮かれている方がたくさんいらっしゃるようですが、巨大資本に買いたたかれればどうするのです?販売経路や運送業者に圧力を掛けられたら?パテントが切れたら?パテントなど無視するような国家もありますわよ?武力行使が大好きな国もございますわね。さあ、憲法で自衛すらままならないうえに、小資本でどう立ち向かうのです?言いなりの価格で高品質なものを要求される平和的な植民地にされてしまいますわ」
ここまで言い、佐恵子が軽く息を吐き一区切りつくと、宏が口を開いた。

「簡単に纏めろ言うたやないか・・・。せやけど言うてることはようわかったで。あんたが傘下に多くの多種多様な企業を抱えたコングロマリット形式をとってるのが、なんでかわかった気がする。大企業と言えるような世界に通用する企業を傘下にたくさん作って、そこで働ける人を増やしてたいんやな?」

「そのとおりです。トップ50に10社・・日本企業をつくりたいのです。・・ことを成したとしても、結局いずれまた・・とは思いますが・・。水は流れなければ淀むのは必然だとしても、わたくしはそうしたいのです」

「説明長すぎるねんホンマ」

真理とはこういう話をよくするのだが、あまり話したことのない宏とこんな話をすることになるとは思ってなかった佐恵子は、不思議と清々しさを感じていた。

以前に【感情感知】で宏を見た時は、初対面の状況や、妻の美佳帆が攫われたということもあり、宏が佐恵子に対しあまり好意を持っておらず、疑心、怒り、軽蔑など負の感情を向けていたので、完全に嫌われていたのだが、【感情感知】を使わず、いま話をした限りでは、宏からそういった負の感情を感じない。

「本当に不思議ですわ。こんなこと話したのは久しぶりです。真理や加奈子とはこういう話をよくしますが・・。さすが美佳帆さまが惚れられた方、そして哲司さまの親友ですわね・・。促されるまま話してしまいました」

「だれが不思議やねん。わかりやすいやろが?」

「・・・ええ、そうですわね。わかりやすいですわ・・」

佐恵子は、以前は意識していなくてもあふれ出すオーラのせいで常時展開してしまっていたパッシブスキルの【感情感知】を無意識に展開しだしてしまっていた。

(はっ・・どう思われてるのか気になってしまってつい使ってしまいましたわ。栗田先生にとめられているというのに・・・。また目の痛みが再発してしまいます・・。それに、菊沢部長は私の【感情感知】が展開しているのを気づいてしまうはず・・。また怒らせてしまいますわ・・)

「まあ、ようわかった。あんたはそれを今後もやるつもりなんやな?」

感情感知を察したせいだろうか、宏は一瞬だけ動きを止めたが、気にした様子もなく話を続けている。

「ええ。紅音は確かにとても優秀ですが、たぶん長くは続きませんわ。・・・学生時代もそう・・・紅音はいままで長続きしたことはございませんの・・。きっと勝手に自滅いたしますわ・・。ですから、いましばらくお待ちください。自滅を待つだけではなく、わたくしたちも準備をすすめておりますから・・」

(怒らない・・・。感情を見られても構わないということ?)

「さよか。そやけどいつまでも待たれへんから。帰ってくるなら早よしてくれや?もし必要なら俺が緋村しとめてアンタのかたき討ってやってもええんやけど、あんたもそんなことは望んでないやろしな・・・」

「そっそんなことは・・・現実的に考えても無理ですわ。そんな事をしたら騒ぎが大きくなるだけですわ。しかし・・・ええ・・。わかりましたわ菊沢部長」

片目だけで無理に発動しているため、ズキズキと痛む右目の【感情感知】で得られる宏の感情色の情報に、佐恵子は感激に近い思いを感じてた。

(わたくしのことを信用している・・・。美佳帆さまが攫われたときは、わたくしのこと・・あんなに怒って軽蔑してらっしゃったのに・・いまは怒りがまったくない・・・・、まったく・・、でも・・このわたくしのことを女として魅力もまったく感じていない・・・)

今までの【感情感知】が発動しっぱなしだった経験から佐恵子は、異性はほぼ例外なく、自分に対し女としての魅力を感じているものだと思っていたが、宏が自分に怒りや軽蔑の感情を向けず、信頼や少々の尊敬を向けていることに感激はしたが、同時に女として見ていないということに激しく落胆してしまっていた。

(・・なんですの・・?この感情は・・。わたくしはいまどういう感情に支配されているのです・・?)

【感情感知】を展開したまま鏡を見れば、自分の感情もわかる。

しかし、いまバッグから手鏡を取り出して確認するのも、何故か躊躇われた。しかし、もう目が持ちそうにない。

「よっしゃようわかった。ほな戻るわ。そろそろモゲと画伯が戻ってくる頃やねん。ほなな、まあなんか手伝い必要ならいつでも言うてくれたらええから。俺は今でも緋村やなくあんたに雇われているつもりでいてるから。うちの所員たちもな。」

「・・き、菊沢宏!」

聞きたいことは聞いた。

という態度で席を立った宏は、半分以上残っているアイスコーヒーをそのままにし、軽く手をあげ背を向けて立ち去ろうとしている大きな背中に、佐恵子は思わず声を掛けてしまっていた。

「なんや?」

突然フルネームで呼ばれたのに、気にした様子もなく半身だけ振り返り、佐恵子の言葉を待っている。

佐恵子は、何事か言わなければと、頭をフル回転させるが、気の利いたことは思いつかず、宏をやや戸惑わせてしまうセリフが口から飛び出した。

「・・わたくし・・わたくしとも親友になってくださる?」

「・・そんなもん言うてなるもんとちゃうと思うで?」

「・・そう・・ですわね。・・忘れてください」

一瞬の沈黙があったが、宏は素っ気なく言い、再び背を向けて歩き出した宏の背に向かい、佐恵子は、なんとかそう言い目を伏せた。

「・・ま、そうなんちゃうか?・・・うん、あんたは同志やしな。ははっ」

宏のそのセリフに、佐恵子は顔を勢いよく上げ、振り返らず歩き去り去る背を凝視した。

けっして長身という訳ではないが大きく見える背中は、もう振り返らず行ってしまう。

佐恵子は宏の背から目が離せなかった。

言葉で肯定してくれた。

今の佐恵子にとって無理をして発動させている【感情感知】が、宏の言葉に嘘が無いことを色で伝えてくる。

それは嬉しいのだが、それ以外の感情が沸き上がってくることに佐恵子は戸惑い、頭でいくら考えてもわからぬまま目を離せずに見ていると、宏がカフェの中ほどまできたところで、支社の女性社員たちが宏に群がり、笑顔で宏に話しかけだしたのだ。

今度はまた違う感情が沸き上がる。

なんだかとてもイライラする。

佐恵子は、【感情感知】がオーラ切れになる前にと、急いでバッグに手を突っ込み化粧ポーチから手鏡を取り出すと、コンパクトを開くのももどかしく慌てて鏡を覗き、自身を【感情感知】で視認する。

「くっ!・・」

複雑に入り乱れた自分の感情色を見て、佐恵子は思わず声を漏らしてしまった。

手鏡に映った自分と、背を向けて支社の女性社員と話をしている宏の感情色を2度ほど見比べたところで痛みとガス欠で発動が解除される。

(わたくし・・この男にもっと前から出会っていたら・・・出会ってしまっていたら・・)

久しぶりに能力を使ったせいで目と頭はズキズキと痛み、ぐったりと疲れてしまったが、頬が赤くなってしまったのは疲労のせいだけではなかった。

「・・・オーラも私より多くて戦えば敵いそうにないと畏怖させれるかと思えば・・こんな思いも抱かされるなんて・・本当にやっかいで・・・・不思議な男・・」

佐恵子は、自分自身を女として全く意識していない男に対して抱くには、あまりにも報われない突然の感情に戸惑い、哲司という恋人がいるにもかかわらず、湧き上がってきてしまった自分自身の感情を情けなく思って呻いてしまったのであった。

♪♬♪~♪♬♪~♪♬♪~♪♬♪~♪♬♪~♪♬♪~

支社の女性たちが宏に笑顔で群がっている様子をイライラして見ていた佐恵子は、聞きなれたメロディで目を開けると、そこはほぼ暗闇だった。

(あれ・・?着信・・?・・いまのは夢・・?いえ・・先日カフェでの一件ですわ・・)

なんでこんな夢をと思い、身をよじって音のする方に手を伸ばすが、普段とは勝手が違う様子に暗闇の中、佐恵子はメロディを奏でるスマホの僅かな灯りを頼りに手を伸ばす。

(そうでしたわ・・。ここは香澄のマンションでしたわね)

向いのソファでも着信音に気が付き、身をおこそうとしている女性、岩堀香澄に対して申し訳なく思いながらも、佐恵子はスマホの画面をのぞく。

「美佳帆さま?・・こんな時間に・」

そう呟くと佐恵子はスマホの通話ボタンをプッシュし耳に当てた。

「もしも・・」

話はじめた瞬間、向こうから美佳帆が一方的に喋り出した。

「宮川さん!緋村支社長が・・いえ、紅蓮が私たちを殺しに来るわ!私の能力で聞いたから間違いないの!・・宏達とも連絡がとれない!私たちだけじゃ、あの紅蓮を止められないかもしれない」

切ない思いをさせられたが、気持ちの良い思いの夢の余韻が美佳帆の切羽詰まった声で吹き飛ばされる。

佐恵子は寝起きの頭をむりやり起動させてフル回転させると、スマホの向こうの状況を正確に知ろうと耳を澄ませ、美佳帆に問いかけた。

「そんな・・いくらなんでも紅音が・・!・・美佳帆さま今は支社のホテルですわね?」

「そう!なんとか頑張ってみるけど、救援お願い!」

「わ、わかりましたわ。今からすぐ向かいます。なんとか耐えて!」

「ええ!・・むざむざやられたりなんかしないけど。お願い!じゃ今から緋村支社長をおもてなしする支度をみんなでするから!」

美香帆はそう言ったところで通話が切れた。

佐恵子はベランダの窓を勢いよく開け、視力強化をして2kmほど離れたところにある関西支社を凝視する。

栗田教授に魔眼の使用を控えるように言われているが、いまはそんな事を言っていられる場合ではない。

遠目には何事もないようだが、支社10階部分の支社長室の窓はほとんどが割れており、炎は見えないがいまだに煙が上がっており、なにやら作業をしている人の影が大勢あった。

「紅音・・!はやまらないで・・」

佐恵子はベランダから部屋に入り、一気にバスローブを脱ぎさり上下黒の下着姿になると、持ってきていたバッグから動きやすそうな服に袖を急いで通し、玄関へと走った。

「支社長!一人では行かせませんよ?」

すると玄関まで着た時、パジャマから着替え、すでに靴まで履いている香澄が、手には木刀を持ってそう言ってきた。

「か、香澄・・。起こしてごめんなさいね。大丈夫だから。あなたはここにいてちょう・・」

佐恵子は香澄を安心させようと言いかけたが、有無を言わさず香澄はセリフを被せてきた。

「社長!・・わたしわかってるんです。・・社長、今日ひどい目に合ったんでしょう?言わなくてもわかります。・・私がついて行ってあげますから安心してください!社長を呼び出したクズどもにはもう指一本触れさせませんから!・・私これでも剣道4段の腕前なんです!」

香澄はそう言うと木刀を竹刀袋に入れて背中で背負い、佐恵子の返事を待たず玄関の扉を開けた。

「ちょ!?ちょっと?・・香澄。大丈夫だから加奈子や真理を呼ぶから!って・・行っちゃうし・・鍵はどうするのですか?」

なにやら一方的な誤解をされていると思った佐恵子ではあったが、反論の時間も与えられず、当人が目の前からいなくなってしまったので、慌てて靴を履き玄関の外に出ている香澄を追う。

「香澄・・本当にあぶないのですよ?あなたを危険な目に合わせられないですわ」

「社長大丈夫ですから。安心してください。このさいケリをつけてしまいましょう。私こういう卑劣なことする人達許せないんです」

「な、なにか誤解があるようだけど・・」

佐恵子は、なんとか香澄を宥めようと靴を履きながら、スマホを操作し加奈子へとコールする。

「・・・出ない・・。どうしたのかしら・・」

「社長・・こんな時間にかわいそうじゃないですか・・。私がいれば大丈夫ですよ」

20秒ほどコールしてみたが、加奈子は電話にでない。

さっき加奈子に渡しておいた予備のスマホであるから出ないはずはないし、何より加奈子は着信音が鳴ればぐっすり眠っていても起きるほど聴覚は優れている。

「加奈子・・まさか何かあったんじゃ・・・」

「社長・・寝てるだけですって・・いくら何でもこんな時間にたたき起こしたら、可哀そうすぎますよ」

香澄の言い分は一般的且つ常識なので当然である。

「真理に至っては・・コールすらしないわ・・・急がなきゃならないのに・・・いまのわたくしだけでは・・」

「・・・社長いい加減にしてください。元部下とはいえこんな時間に電話して出てくれるわけないじゃないですか。今何時だと思っているんです?・・社長。私が同行してあげますから安心してください。きっとひどい目になんか合わせませんから」

佐恵子は、スマホを耳から離しそう言ってくる香澄を見上げる。

「香澄・・あなたまで巻き込めな・・」

「社宅とはいえ夜中に私の家に転がり込んできてるじゃないですか。もう十分巻き込まれてますから」

できるだけ優しい声でそう言いかけたのだが、勘違いしているであろう香澄はがんとして聞きそうにもない。

香澄は背中に背負った黒い竹刀袋に入った木刀の握りを確かめるようにして、目には強い意思を輝かせている。

(・・・どうしてもついてきそうね・・。いざとなれば香澄に付与を付けて逃げさせるぐらいはできるかしら・・?でも紅音の他にもたぶん丸岳さんや、美琴・・紅露部長や松前常務・・そしてはなもいるかもしれない・・・。紅音だけでも、いまのわたくしでは到底太刀打ちできないのに・・。やっぱり香澄についてこられたら・・香澄が死ぬわ・・)

目を輝かせ、靴を履いている佐恵子を見下ろしてくる香澄から目を逸らしてそう考えると、佐恵子は履き終えた靴の感触を確かめると、床を蹴り一瞬で香澄の背後に回り込んで首筋に手刀を浴びせ香澄を気絶させた。

つもりだったのだが、佐恵子の手刀は竹刀袋に入ったままの木刀で防がれていたのだ。

「え?なっ!?・・・か、香澄?・・・ええ?・・わ、わたくしの動きが見えたのです??」

手刀の威力はかなり手加減したとはいえ、移動速度は佐恵子の最高速だったのだ。

いまはオーラも減少しているのだが、佐恵子の動きを常人が捉えることは絶対に無理である。

そんな事情など知らない香澄は、背に手を回して柄を握ったまま、ただただ驚いている佐恵子を至近距離からジロリと睨んできた。

「いきなり何するんですか?せっかくの親切心をパワハラで応えるなんて・・」

「か・・香澄。・・でも・・・え?・・あなた、わたくしの動きが本当にみえたのです・?」

「言ったじゃないですか私剣道四段ですよ?こんな専門的なお話社長に言っても仕方ないかもしれませんが、しかも実戦派の天然理心流ですよ。社長もなにか武道されてるのかもしれませんが、剣道三倍段って言うでしょう?社長が12段じゃないと剣を持った私には敵いませんよ?それに真剣も使えるのですが、まあ暴漢相手に真剣じゃ必殺しちゃいますし木刀でも十分すぎますしね。」

「そういうことじゃなくて・・脆弱とはいえ、今わたくしは肉体を強化しているのよ・・?無能力者に今の私の動きに反応することなんてできるはずが・・・」

「は?」

竹刀袋を握ったまま首をかしげる香澄の様子に、佐恵子は困惑するが真理の言っていたことを思いだす。

(もともと彼女は無意識に【事象拒絶】を使ってたようですね。いわゆる無自覚なノラだったんです。ちょっと強引に目覚めさせたのですが、センスがあれば色々自力で使えるようになるかもしれません。・・まあ、訓練無しで使えるようになるのは難しいですから、過度な期待は禁物ですけどね。ただ目を付けていた不動産スキルを持っている人が、たまたまノラだったのはとにかく拾い物ですよね)

真理がいい笑顔でそう言っていたのを思い出し、佐恵子は能力を発動し香澄を凝視する。

「香澄・・あなた・・」

(剣道をしているって確か履歴書に書いてあったわね・・・。でも肉体強化も無意識に使えるようになったってこと?・・・ありえなくないけどこの年齢からの新しい能力の開花なんて聞いたことが無いわ・・)

「どうしたんです?人にいきなりチョップしてきておいて謝らないんですか?」

まだまだ淡さがあるが、佐恵子の右目にはオーラを纏った香澄が映し出されていたのだ。

「ごめんなさいね・・いきなり。香澄・・・すごく身勝手な言い分ですが・・やっぱりついて来てもらってもよいかしら・・?」


佐恵子は思わずそう口に出していた。

【第9章 歪と失脚からの脱出 33話 心地よい夢からの目覚めと現実そして開花する者終わり】34話へ続く
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筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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