2ntブログ

■当サイトは既婚女性を中心に描いている連続長編の官能小説サイトです■性的な描写が多く出てくる為18歳歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい■

第10章 賞金を賭けられた美女たち 4話 髙峰弥佳子の謎めいた力

第10章 賞金を賭けられた美女たち 4話 


「よくわかりませんわ」

しばらくの沈黙の後、ポーカーフェイスの宮川佐恵子はそう口にした。

「そんな難しいことは言ってないでしょう?」

対する高嶺弥佳子は円卓の上座にある椅子に深々と腰を掛け、笑みを浮かべた表情で足を組みなおして言い返す。

「内容がわからないわけではありませんわ。なぜそんな要求をするのかわからないと言っていますの」

弥佳子の尊大な様子に多少イラついたのか、佐恵子は丁寧な口調ながらも目を細めて言い返す。

「静」

弥佳子は佐恵子の問いかけを笑顔で無視すると、その視線を隣にいる、いかにもお堅そうなベリーショートの側近の名を口にした。

名を呼ばれたベリーショートの側近女は、「はっ」と短く返事をし、きびきびした態度で頭を軽く下げつつ佐恵子たちの方に向かって口を開く。

「当方高嶺は宮川コーポレーションより張慈円の殺害依頼を受け、これを受諾することと致します。本来なら国際指名手配されており、裏の世界からも高額の賞金首をかけられている張慈円を殺害するとなれば相当な報酬となるところではありますが、この度は無報酬とさせていただきます。なお、無報酬の条件として、御社のほうから神田川真理さま、菊沢宏さまの2名には張慈円殺害ミッションに参加していただくことになります」

説明をし終わった静という女性の顔は、緊張か、もしくは魔眼と呼ばれる宮川佐恵子に凝視されて緊張したのか、僅かに頬を紅潮させ目を伏せた。

名を呼ばれた真理と宏は何も言わないが、顔に何故?と書いた表情で弥佳子の微笑から何かを読み取ろうしている。

当の弥佳子はそんな視線より、静の様子がいつもと違うことを多少訝ったが、敵地のど真ん中ということで緊張しているのであろうと察し、言い終わった静に顔を向け笑顔で頷いて見せてやる。

静が弥佳子の気遣いに目礼をした時、佐恵子が口を開いた。

「何を勝手なことを・・。お断りいたしますわ。出口はそちら、足元の明るいうちにお帰りになってくださいませ」

そう言い放ち椅子から立ち上がった佐恵子は、ふんと軽く鼻をならし時間を無駄にしたと言わんばかりの表情で弥佳子を睨みつけて踵を帰そうとする。

しかしその時、弥佳子の隣でニコニコと話を聞いていた穂香という女から殺気があふれ出したのだ。

「やっぱやっちゃうことになるじゃ~ん。いいよね御屋形様?」

穂香はズラリと腰に下げた太刀を抜くと、浮かべていた笑みを深めて腰を落とし構える。

その動作に隙は無く、攻撃することに躊躇いもなさそうな笑顔の女剣士の様子に、佐恵子の周囲の面々が途端に色めき立つ。

加奈子を正面にして佐恵子の周囲を真理、凪、宏、ついでのモブがビビりながら警戒する。

「穂香おやめなさい」

「ぶ~」

どこか配線が一つ切れてしまっている様子のソバージュ女も、当主である高嶺弥佳子の命令には従うらしく、子供のような返事をして太刀を鞘にしまう。

「ですが宮川さん。必ず我らに依頼していただきたいのです。なんならこちらからすこしサービスを付け加えてもいいのですよ?」

穂香と呼んでいる女を手で制して、弥佳子は続ける。

その弥佳子に席を立ち、去りかけた佐恵子は半身で振り返り皮肉気にしゃべりだした。

「戯言を。張慈円が目障りで殺したくなったのなら、わたくしたちを巻き込まず高嶺だけでやればよろしいではありませんか。わたくしたちに依頼させたい理由はSでの任務失敗の処理を高嶺自身の手でもみ消すのを良しとせず、宮川から依頼されたからという大義名分がほしいのでしょう?・・お生憎様。さあ、お引き取りを」

佐恵子はあざ笑うような表情を弥佳子に向け、今度こそ去りかけた佐恵子に弥佳子はなおも続けた。

「・・・条件としてあなたの命を一つ買いましょう」

そのセリフに佐恵子の取り巻き達が再び色めき立ち、ことさら加奈子に関しては髪の毛を銀髪に変えて弥佳子に肉薄する。

「きったぁ~!♪」

加奈子の縮地による接近を、瞬時に察知し嬉しそうな声をあげて穂香が抜き放った白刃で受け止める。

「てんめ!邪魔!」

穂香と加奈子が肉薄しつつ刃と拳を交えだす。

「高嶺さん、本当にこれ以上ことを荒立てるおつもりですか?」

「あら?宮川さん、荒立てているのはそちらの方ですよ?」

穂香と加奈子の戦闘を、目を細めて横目で見て、危険な雰囲気になりかけている佐恵子に対し、弥佳子はいまだ座ったまま顎を少し持ち上げて微笑を浮かべたまま返す。

「では、あなたの命を一つ条件として付けましょうか」

笑みを浮かべたまま弥佳子が椅子から立ち上がり、腰にした太刀の柄に手を伸ばす。

流麗な動きでその場で抜刀した刹那、常人の目には見えない速度で剣圧が迫る。

南川沙織の得意とする刀閃に近いが、速度は更に早い。

「【十重二十重】」

しかし弥佳子の抜刀と同時に凪は反応していた。

目は緑色に光り、一言だけそう呟き、両手を交差させ身を血締めるようにして交差させる。

「させへんで!」

宏も弥佳子の動きに当然反応し、佐恵子をその太い腕で庇うようにして刀閃の射線に割り込ませる。

ぎ!ぎ!ぎ!っぎちんっ!!

無数の金属音のような音が響き渡り、弥佳子が発した刀閃は、凪が無数に張り巡らせた硬質の糸によってボロボロになり佐恵子のずいぶん手前で失速し力を失い霧散する。

完全な敵対行動を取られたことで、凪や真理、すでに戦っている加奈子たちの目に闘志が宿る。

開戦の合図を確認しようと、佐恵子の方を振り返った面々は息を飲んだ。

佐恵子の黒く長い髪の毛が、肩口からすっぱり斬り落とされていたのだ。

「・・・えっ?」

細い目を見開き、当の佐恵子本人が一番当惑した表情を浮かべている。

高嶺弥佳子は【刀閃】を放った。

しかし、それは凪の発した糸によって、止められたはずである。

そして、宏も弥佳子の【刀閃】に反応し凪の糸で止めきれないときはという動きで、対応していた。

にも拘わらず、佐恵子の長い髪の毛は斬り落とされてしまっていたのだ。

「な・・なんやて?!」

宏もバサリと床に落ちた佐恵子の大量の髪の毛を見て狼狽する。

「ふふふっ、せっかくの長い髪でしたが、けっこう傷んでいましたのでカットして差し上げました。最近少しお忙しかったのですか?随分傷んでましたよ?美容室代もサービスしてあげたのですから今回は私共に依頼してくださいますよね?」

目を見開き、自分の首が斬り落とされていないか両手でさすっている佐恵子に向かって、弥佳子は軽やかに笑いながら言う。

「・・な・・なんて奴や。あの速度の刀閃と同時にもう一発なんか放ってたんや・・!こりゃ、あの千原とかいう女以上やで・・」

宏の発言に弥佳子から笑みが消え、びくりとその柳眉を跳ね上げる。

「あなたが菊沢宏さんですね?今回はどうしても私に同行していただきますよ?あなたのことはSで調べさせていただきました。うちにも残り香を使える者は大勢いますからね。奈津紀さんをああまで追い詰めたその腕前、今回は私に貸してもらいます。そしてその奈津紀さんの刀も持ってきてください」

先ほどまで微笑の表情だった柳眉佳絶の女剣士の真面目な表情に、宏も真面目に応える。

不本意ながらも、千原と名乗った女剣士を手にかけてしまったのを宏は悔いており、その上司の高嶺弥佳子の心境を慮ったのだ。

「てことは、俺があの女をやったんは知っとるんやな・・すまんかった。あんなつもりや無かったんやが、思った以上にあの女が強うてどうしても手加減してやれへんかった。あの女はあんたの部下やったんやろ?それでアンタの気が済むなら、俺は力貸してやってもええねんで。張慈円をやるってことやしな。それには俺も賛成や」

「誤解無きよう。奈津紀さんは死んでませんわ。どういった経緯でその刀を、和泉守兼定を持つに至ったのかわかりませんが・・・、奈津紀さんに返してもらえませんか?」

「あ‥あの女生きとるんかいや?!それやったら喜んで返すわ。最後にあの女に刀託すみたいに言われて正直困ってたんや。これで悩みが一つ無うなったわ」

「・・・驚きです。戦利品を返さないと言うと思っていたのですが・・、なるほど、腕が立つだけではなく、奈津紀さんは貴方を敵として認めていたようですね」

敵から奪った武器をハンティングトロフィーのように思っている男ではない。と弥佳子が感心しているも、当の宏は憂いが一つ消え去ったことから「よっしゃ」とガッツポーズをとっていた。

そしてその宏が後ろを振り返り、張慈円討伐の同行の同意を佐恵子に求めるような視線をサングラス越しに求めるも、佐恵子は、自分の髪の毛が散乱した床にへたり込み、自らの首を確認するように両手で摩りながら呆然としている。

「お・・せやった・・放心中やったな・・。大丈夫か宮川さん?」

そして、そのそばでは、すでに真理と凪か駆け寄っている状況だ。

「佐恵子。しっかりして、佐恵子の身体に害があるようなことは私の能力でもなにも感知してないわ」

「佐恵子。髪だけ。当たってない」

その様子に微笑を浮かべなおした弥佳子は、へたり込んだ佐恵子を見下すようにして口を開く。

「ふっ、興味深い人材を集めながらも、リーダーが一番お粗末ですね。・・オーラを糸状にし何万本同時に操る蜘蛛、神田川家の令嬢で未来予知能力者の菩薩、それに奈津紀さんを破った剛の者・・・。ともあれ、あなたの命も一つ私が買いました。私がその気なら、髪だけで済まなかったのは、いくらあなたでもわかったはず。そのうえ美容院代もサービスしてあげたのですから今回の依頼は成立・・ということでいいですね?」

そんな弥佳子の勝ち誇った様子に、穂香と干戈を交えていた銀獣が吼える。

「なに勝手なことほざいてんのよ!」

「私のこと忘れちゃダメ~!」

「くっそ!・・あんた!邪魔ねえ!!」

弥佳子に再び肉薄しようと床を蹴った加奈子に、穂香が弥佳子との間に入り込み拳と剣で押し合う。

「穂香。話はつきました。剣を引きなさい」

弥佳子はそう言うと、静を少し手で前に押すようにすると静のことを紹介し出した。

「宮川さん。この子は私の親族で、高嶺静といいます。【未来予知】を持つ神田川家のご令嬢と、うちの奈津紀さんを打ち負かしたという菊沢宏さんにはとても興味があります。是非今回のミッションに参加して、その能力を発揮していただく代わりに、この子を置いていきます。身内の私が言うのは何なのですが、静は腕も立ちますし、機転も利きますから、きっとお役に立てると思います。・・・それに私の血縁者というほうが人質として価値があるでしょう?」

弥佳子はそう言うと、返事ができずにいる佐恵子を見て溜息をつくと、「返事はすぐに。私たちはあちらで少しだけ待たせてもらいますね」と言い、私も静と一緒に宮コーに残ってみたいと言っている穂香を、「いい加減にしなさい。穂香さんは私と一緒に行くんです」と言って連れて応接室を出て行ってしまった。

高嶺弥佳子ら剣客集団のいきなりの訪問にかき回され、なすすべもなかった宮コー面々の表情は暗い。

佐恵子の動揺が治まるまで、その苦々しい沈黙は続くのであった。

【第10章 賞金を賭けられた美女たち 4話 髙峰弥佳子の謎めいた力終わり】5話へ続く
コメント
こんにちは
自粛中に良い読み物みつけました。
私の好きな要素が全て含まれていてテンションが上がりました!
まだ飛び飛びにしか読んでいませんが自粛中のゴールデンウィークに1話からじっくり読ませて頂きますね。

2020/04/28(火) 14:13 | URL | コロナで自粛中のOL #-[ 編集]
コロナで自粛中のOL様
お気に召して頂き幸いです。
私も自分の好きな要素だけを組み込み作品にしておりますのでジャンルとしては官能メインではありますが様々な要素が含まれております。
今後とも時間が許す限り更新していきますのでどうぞよろしくお願い致します。
2020/04/28(火) 23:30 | URL | 千景 #-[ 編集]
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

最新記事
最新コメント
リンク
カテゴリ
ランキング
にほんブログ村 小説ブログ 長編小説へ
にほんブログ村
アダルトブログランキングへ
  • SEOブログパーツ
ご拝読ありがとうございます
ご拝読中
現在の閲覧者数:
問い合わせフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
官能小説 人妻 

ランキング