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第10章 賞金を賭けられた美女たち 7話 再会

第10章 賞金を賭けられた美女たち 7話 再会

【登場人物紹介】

大山田 種多加(おおやまだ たねたか)
身長165cm 60kg 22cm

モブの1つ先輩でモブと同じ学校出身。

モブと同じく高校は中退している。

先輩風をビュービュー吹かすくせに、大した実力のない典型的なダメ先輩。

自尊心は強いが、強いモノには弱く、弱いモノには強くでることで自分では合理主義者だと勘違いしているところがある。

容姿は千鳥の大吾似であり、素の格闘術では宮コーに入社して加奈子や真理にシゴかれる前のモブより劣り、体格的にも優れていない。

高校を中退後、期間労働や短期のアルバイトや口八丁で一時的に仲良くなった女性のヒモなどを転々としながらも、幼馴染の徳川将(とくがわまさる)にくっつき、なんとか雀荘をオープンするまで漕ぎつける。

しかし持ち前の自分勝手さをあらゆる場面で炸裂させるうえ、女性客が男性客と一緒に来店していようが見境なく口説きだすため、雀荘の評判と経営状態は良くない。

そのため、雀荘は現在では閑古鳥が鳴いており、同じテナントを賃料折半で借りている相棒の徳川将(とくがわまさる)にここ数か月は家賃を全額払ってもらっている負い目から、悪名高い清水探偵事務所の危険な副業に手を染めだしている。

先天的に僅かながら能力者としての下卑た力を持っていたのだが、つい最近まで自分自身でもその能力には気づいてはいなかった。

【強奪】:相手の意思による同意を得ずに性行為をした場合、相手が能力者であった場合は、相手の能力の1%~99%の範囲で奪うことができる。

【強奪】の条件が満たされた時の強奪率は、自分より能力が低い相手ほど力を奪いやすい。

大山田は生まれ持ってその能力を持っていたせいか、目を付けた女性への執着は強く、同時に何人もの女性をモノにするまで追い回す執念深さがある。

つい最近まで犯した女性の中に能力者がいなかった為、大山田は自身の能力に気付くことなくいたが、清水探偵事務所が香港マフィアから請け負った仕事のオコボレで、奇跡的にも国内屈指の能力者を犯すことに成功している。

そのため、非常にレアな能力であるオーラを炎に変換させる発火能力を【強奪】することに成功しており、絶賛増長中である。

徳川 将(とくがわ まさる)
180cm 75kg 23cm

大山田種多加(おおやまだ たねたか)の幼馴染で、容姿は鈴木亮平に似ており、現在は大山田と共同経営で創作和食料理店と雀荘を経営している。

徳川自身も高校中退をしておりながらも、料理の世界に飛び込み、努力と根性で料理の才能を開花させた。

文化人であり美食家としても名高い喜多大路魯山人の弟子となり、あの気難し屋で知られる喜多大路から料理の造詣と腕前を評価されている。

喜多大路は画家、陶芸家、書道家、料理家として様々な文化的な顔を持っている文化人で、会員制食堂美食倶楽部を経営しており、徳川はそこで15歳のころより腕を磨いていた。

5年間の厳しい修行を経て、自分の店を持とうと美食倶楽部を辞める時に喜多大路は大いに徳川を引き留めたが、徳川は夢を叶えるために慰留を断っている。

そのときの一件で喜多大路からは破門を言い渡されており、そのため料理人の世界では浮いた存在となるも、料理の腕前が評判を呼び経営の方は順調である。

大山田と同じテナントに借りることになったのは、徳川が開業する店を探しているときに、どこからともなく大山田が駆けつけ、頼みもしないのに店舗探しを手伝ってもらったのがきっかけで、いつのまにか大山田と折半で賃料を払う羽目になっていたというお人好し且つアニキ肌の男前である。

徳川自身も無自覚な能力者であり、生粋の【肉体強化】能力者である。

能力を有しているが故、学生時代からケンカはめっぽう強かったのだが、いまはヤンチャをすることはなく、また仕事柄戦闘を好んですることはない。

能力は食材の鮮度の見極めや、複数の料理を同時に調理するのに必要な高い集中力と、精密で素早い包丁さばきや、正確な時間管理に活かしており、能力を用いて犯罪などに手を染めることなく、正しく能力を世の中の為に使っている数少ない善良なノラである。



【本編】

「おう!モブ」

個室のドアが乱暴に開き、趣味のいいとは言えない、明るいグリーンのジャージ姿の男が、横柄な口調でそう言って部屋に入り個室内にいる二人の男女を舐めるように見回した。

個室に乱入した男、大山田種多可は、最初にモブ、そしてモブの正面に座る香澄に視線を走らせ、黄色い歯をむき出して下卑た笑顔を浮かべた。

香澄は大山田のその表情に、気づかれないようにブルリと背筋を震わせる。

(な・・なに?この人?気持ち悪い)

先ほど事務所で香澄の下着を盗撮し、その映像で、2度も白濁液を放出したてきた大山田であったが、年中発情し、繁殖欲旺盛な大山田は、映像とは違う生の香澄を値踏みするような、無遠慮で好色な目を向けてきたのだ。

「あ・・山さん。いたんすか?」

そんな大山田の不躾すぎる態度にむっとしたモブは、香澄に向けられている下卑た視線を逸らせようと、わざと大山田が反応しそうな口調で切り出した。

厳しい時もあるが優しい人生の先輩であるメガネ美人こと岩堀部長との楽しい時間を邪魔されたせいもあり、モブはあからさまに嫌そうな顔を大山田に向けて言ってみたのだ。

香澄をさりげなくフォローしたことにかんしては、モブのファインプレーと言える。

モブは短慮浅学ながらも、学生時代からその立派な体格と、それなりに整った容姿をもち、そのうえ女性にはさりげない気遣いができるところもあったので、ヤンチャさと時折みせる優しさのギャップから、ヤンキー女の中ではなかなか人気のある男ではあったのだ。

そんな自分よりモテる後輩を、心の狭い大山田先輩が快く思う訳がなかった。

学生のころから、些細なイチャモンをモブに付け、よく絡んでは腕力で自分に勝るモブに、軽くあしらわれていたのだ。

しかし、いまの大山田は経営する店の経営状態がどん底にも関わらず、最近奇跡的な出来事が身に起こり、絶賛増長中であった。

「おおぅ!?いたんすかとはなんや!?いたんすかとは?!ええモブ!ここは俺の店やぞ?居るん当たり前やろが?!それにおまえ、先輩に対して口のききかた。・・ちょっと会わん間に図体だけやのうて、さらに態度でかなったようやのう!?」

モブたちが知らないことをいいことに、大山田は家賃をここ数か月払ってない分際で、オーナー風を猛烈に吹かせて、顎を突き出すような角度で顔を傾けモブに迫ってきた。

「いまの全然態度でかくねっすよ。ここは先輩の店なのかもしれないっすけど、俺ら今日は客としてきてるし、先輩こそ客に対してその態度はないんじゃないっすか?」

「なっ!?てめ!?モブのくせにおまっ!?」

大山田は勢いよくスゴんでみたももの、後輩であるモブに、呆れ口調で至極正論を言われては無様に口ごもる。

(茂部くんの言ってた先輩?)

モブの反論で無様に狼狽える大山田を横目に、目と表情でモブにそう聞いた香澄に対して、モブはコクリと無言で肯首する。

「なんや今の!?なんやなんや!?二人で相槌打ちおうて人の前で内緒話してるみたいで態度悪いなぁ?!それに宮コーの社員さんがこんな昼間っからお酒飲んで、勤務中と違うんですかぁ?!通報しましょか?!」

モブと香澄の言葉のない一瞬のやり取りを、目ざとく気付いた大山田は、自分のことを蔑まれたのだと勘違いし、今度は香澄にもむかって絡みだす。

「ちょっと先輩。通報って・・どこにですか・・?通報したいのは俺たちの方っすよ・・。そんなこと言ってるとまた・・」

モブは席から立ち、香澄と大山田の間に割って入ってそこまで言うと、言いにくそうに口ごもる。

「お?!またってなんや?おまえ・・モブよ。俺があの時のままやと思うなよ?あれで俺に勝ったつもりでおるんちゃうやろな?!」

モブのセリフに、大山田は香澄からモブへと標的を変え、体当たりするようにモブに身体ごと押し付け、いきり立って聞き返してきた。

「勝った気になんてなってねえっすよ勝った気になんて・・・。完全に俺の勝ちだと思ってるっすよ。先輩俺に勝ったことなんて一度もないじゃねえっすか・・。俺もガッコの先輩を何度も殴るのなんて後味悪いっすよ。後輩らの目もあるし・・もうお互い社会人なのに勘弁してくださいっすよ・・」

いかに先輩と言えども学生時代に頻繁に絡まれていたモブは、大山田を仕方なく何度か腕力でねじ伏せたことがあるのだが、懲りずに絡んでくるこの人の精神と根性がイマイチ理解できずにいた。

(俺なんでこの人にこんなに嫌われてんのかなぁ?・・俺もバカだけど、自分より強い奴にイチャモンつけ続けるのってどういう神経なのかぜんっぜんわかんねえ。動物だって自分より強いもんにかかっていかねえって言うのに・・)

「ああん!てめえモブ!ちょっといい会社に就職できたからって完全に調子に乗ってんな?!・・・いいだろう・・てめえなんぞにゃもったいねえが、そんな社会のチンケなステータスなんか超越した俺の力を見せてやる!」

突っかかられて困惑顔のモブに、大山田はツバを飛ばしながらそう言うと、右手の人差指を立てて、なにやら力み始めた。

「ぬぉぉおおおお!」

モブはテーブルに置かれていたオシボリで、服や顔に飛び散った大山田のツバを拭いながら、力んで五月蠅くなった先輩から香澄を庇うようにして立ち迷惑そうに眺めている。

香澄もモブから困った先輩とは聞かされていたが、予想以上の益荒男ぶりに唖然とした表情で大山田を観察していた。

「なんなんすかもう。ウルサイっすね・・トイレでも我慢してるんすか?・・自分の店だからトイレの場所ぐらい知ってるっすよね?」

モブが心底ウンザリした様子でそう言うと、大山田がプルプル震わせている人差指に炎が灯った。

「どおだ!見たか!これが俺の力だ。選ばれし者だけがつかえる思念の力。いわゆるオーラってやつだ。ビビったかモブ?!あぁん?!てめえなんかじゃ逆立ちしてもできねえ芸当だろ?!」

「えっ!?」

大山田が粋がった会心のどや顔でそう言って、指先から発して炎を見て、香澄は驚いて声をあげた。

「心配すんなってねーちゃん。大人しくしてりゃ危害はくわえねえよ。だが先輩に舐めた口をきいちゃってる、この冴ねえ男のモブはちょっと教育してやる必要があるがなぁ!」

香澄の驚いた声に気をよくしたのか、大山田は黄色い歯を見せてどやぁ!という顔で香澄にそう言うと、モブに向き直って再びスゴむ。

「こうっすか?」

モブがそう言って人差指に灯した炎をみて、大山田の表情は激変した。

「なっ!!!なんでだてめえ!」

モブが立てた人差指には、大山田が口からツバと騒音をまき散らしてようやく灯したライターの火と同じぐらいの大きさの炎が灯っていたのだ。

「めっちゃオーラ食わねえっす。省エネ技能っすね。栗田先生の念動力の10億分の1ぐらいっす。戦闘じゃまったく使えなさそうっすけど。タバコとかキャンプで火つけるのとかは便利そうっす。まあ俺タバコ吸わねえっすけど・・・。でもこれ、とにかく火が小さくて制御しやすいし、とりあえずストックにいれとくっすよ」

「なっ!?まさかお前も火を使えるのか?いや・・、違うな。ガスボンベでも腕に仕込んでんだろ?そうだろうが?!ええ?!図星だろ?!」

モブの指先からでている炎をみて仰天した大山田が身体をのけ反らせて驚いたのは一瞬で、すぐに、ははーんといった表情になって名推理をした探偵のような仕草でモブを指さして言い放つ。

「・・・ガスボンベを腕に仕込むなんて、いったい何の役に立つんすか?腕に銃を仕込むとか漫画じゃありそうっすけど、ガスボンベって・・・無いっしょ。んなバカみたいこと言うのはやめていい加減にしてくださいっす。今日は会社の先輩と飯食いに来ただけだってのに何でこんなに絡まれなきゃいけねえんすか・・」

「炎を使えんのはこのオレ以外だと宮コーの紅蓮だけだって聞いてんぞ?!紅蓮の緋村紅音と双璧の、この爆炎使い大山田種多可様だけだ!」

後輩であるモブにあからさまにディスられていることに、大山田は気づくこともできず、自分の力を今度は言葉で誇示し出した。

少し実力を見せれば静かになると思ってのモブの行動は逆効果であった。

いまの大山田のセリフも、かの紅蓮こと緋村紅音に聞かれれば、鼻で笑われた挙句即座に灰にされそうなセリフを吐いて、更にうるさくなってしまった。

呆れてゲンナリしているモブとは違い、少し大山田の奇行に慣れて考えるゆとりのでてきた香澄は、モブと大山田のやり取りを冷静に観察できていた。

(この人・・なぜ緋村さんの二つ名の紅蓮という名を知っているの?私だってつい最近までそんなこと知らなかったし、宮コーの幹部社員たちが不思議な力を持ってるなんて全然知らなかったのよ・・・?部長の辞令書には秘書主任及び部長職以上の幹部職員は、各職員のパーソナルデータおよび、能力、技能について口外を禁ずる。という文面があったわ。読んだときはイマイチどういう意味か解らなかったけど、たぶん能力のことじゃないかしら?・・ってことは、宮川支社長はあまり気にしてないみたいだけど、宮コーという組織自体は能力者の存在を世間には秘匿しているってこと。それなのに、茂部くんの先輩の大山田さんだっけ・・いち雀荘の店主さんでしかないこの人が紅蓮イコール緋村紅音ということを知っているのはおかしいわ。これはどういうことなの・・・?)

香澄が頭を働かせている間に、ついに我慢の出来なくなった大山田はモブの胸倉をつかみ、拳を振り上げた。

「おんどりゃあ!ウチの客に何しとんじゃ!」

騒ぎを駆けつけた徳川が厨房から駆けてきたのだ。

「いだだだだだっ!すまん!徳川!いだだっ!」

徳川の登場に驚いた大山田は一瞬で腕を捻りあげ情けない声をあげだした。

「モブすまんな。今ならべてる料理も作り直すさかい、ゆっくりしていってくれや。そっちのおねえさんもえらいすんまへん。このとおりです堪忍してください」

大山田の腕を捻りあげたまま、徳川はモブと香澄に対して深々と頭を下げる。

「いや!徳川さんやめてくださいっすよ!徳川さんが頭を下げることじゃねえっす」

「こいつはウチの人間や。こいつが迷惑かけたってことは俺のせいでもある。モブほんますまんな。せっかく就職祝いでウチを選んでくれたってのにホンマすまん。今日は代金サービスするから、堪忍してくれや。こいつはきっちりヤキいれとくけん・・」

ようやく頭を上げた徳川は、心底申し訳なさそうな顔でモブにそう言うと、大山田の腕を肩甲骨当たりの高さまで捻りあげたまま裏に消えて行ってしまった。

「なかなか・・凄まじい人だったわね」

「部長・・面目ねえっす・・。先輩、前より磨きがかかってるっす。あそこまでブッ飛んだ人じゃなかったんすけど・・」

香澄のセリフに、モブが香澄の方へ振り返り申し訳なさそうに頭を下げた。

「ええ・・いいのよ。それこそ茂部くんが謝ることじゃないわ・・。それよりあの人、気になること言ってたわ。それにあの力・・・指から火を出して・・緋村さんのことも・・」

まさかの店側のスタッフからのクレームを受け、個室には訳の分からない嵐が吹き荒れていたが、嵐の去ったあと香澄は冷静に考え込んでしまう。

「紅蓮っすか。支社長の天敵っすね。俺は紅蓮にあったことねえっすけど、能力もってる幹部たちの間じゃ二人の不仲は有名らしいっすよ」

「そうみたいね・・。先日の支社での火災のとき・・私も直接見たわけじゃないけど、あの火・・全部緋村さんがやってたんだとすればとんでもない炎よ?・・あの緋村さんと茂部くんの先輩が双璧って言ってたから対等ってこと?あの人も緋村さんと同じような力を使えるの?・・なんで二つ名までしってるのかしら・・モブくん?あの大山田さんって何者なの?」

フリルのついたスカートを履いた小柄なウエイトレスが、サイドテールの髪を揺らし忙しそうにテーブルの食器を下げ終わって個室から出て行くのを見計らい、香澄はさっきの大山田のセリフを思い出しながらモブに問いかけてみるも、モブもそう詳しく知るわけではない。

「俺の先輩っすけど・・。たぶんそういうこと聞いてるんじゃねえっすよね?・・わかんねえっす・・。山さんがあんなことできるなんて今日初めて知ったっす。でも、俺の【複写】でコピーできたってことは、間違いなく山さんは能力者っす。・・・稲垣主任が言ってたんすけど、あのくそビッチ・・あ、すんません、紅蓮のことっす。稲垣主任、紅蓮のことそう呼ぶんでつい・・、紅蓮はマジでヤバいってしょっちゅう言ってたんす。あの鬼強い稲垣主任がそう言うんだから紅蓮はきっとガチでヤバいやつっす。・・昔の山さんのこと考えると、あり得ない気もするんすけど、もし山さんが紅蓮並みだったんなら、俺またもや命拾いしたってことっすかね・・・?」

モブが今朝に続き、今も命拾いをしたのかと苦い顔になって言うが、香澄は首を振る。

「違うと思うわ。私から見てもさっきの大山田さんの立ち振る舞い・・私の剣道で学んだ観察眼レベルの話にはなるんだけど…それでも何度も一本を取れたと思うの。それに宮川支社長のボディガードの稲垣さんがそう評価する紅蓮とその大山田さんが同列だなんてとても思えないのよ。茂部くんから見ても大山田さんに対してそんな感じしなかったんじゃない?」

「まあ・・そうっす。隙だらけの顔面に、マジで手が出そうになるの我慢するのが辛かったっすもん」

モブのセリフに香澄は笑いをこらえるようにして口を押えた。

「でも、なんだか引っかかるのよね。茂部くん大山田さんのこと少し教えてよ?・・宮コーが世間に公表してないような情報をあの人知ってたのよ?気にならない?しかも緋村さんって、こっちにいたのって3か月ぐらいなのよ?今じゃ都心の本社に帰ってるし、この3か月で大山田さんと緋村さんとで接触があったってことじゃないのかしら?緋村さんの仲間・・って感じじゃなさそうだけどね・・」

そして、香澄はすぐ神妙な顔になってそう言った。

「なかなか鋭いねえちゃんじゃねえか。ツラも極上で身体も熟れごろか…?これで能力者なら言う事ねえんだがな。」

モニタ越しに香澄を見ていた男は、感心と苛立ちの感情が混ざった表情でため息交じりに呟いた。

徳川に5発ほど小突かれ、顔を腫らした大山田が事務所に戻った時、大山田の椅子にはオールバックで細身のスーツ姿の男が椅子に座り、監視カメラが映し出している香澄とモブを眺めていたのだ。

「それに引き換え・・てめえはマジで使えねえな。ええ?大山田」

きぃ!と椅子を鳴らして事務室の入口に立っている大山田に男は椅子ごと身体を向ける。

「か、金山さん・・!来てたんすか・・!」

小突かれて腫らした顔を手で押さえていた大山田は意外な来訪者に狼狽えてそう言うのがやっとであった。

金山という男は、監視カメラ越しに大山田とモブのやり取りをずっと見ていたのだ。

ばきっ!

「ぐあっ!」

その金山が椅子から立ち上がりざまに一閃させた蹴りが、大山田のアゴにクリーンヒットしたのだ。

大山田は吹っ飛ばされ、机に置かれていた灰皿と吸い殻ともども派手な音を立てて床に転がる。

「てめえにゃ、良い思いさせてやっただろうが?おまけに自分の薄汚ねぇ能力にも気づけたんだろうがよ?!【強奪】だっけか?あの紅蓮の能力をほんの一部とはいえモノにしたんだろ!?紅蓮みたいな上玉をてめえ如きチンピラにオコボレで味見させてやるんじゃなかったぜ。おまけに紅蓮の能力までかすめ取りやがって・・。タナボタだな、おい?!そこまで面倒みてやったのに、てめえは何ペラペラと三味線奏でてんだ。おお!?」

どかっ!

金山は蹲っている大山田にそう言って、追撃の蹴りを食らわせるとペッと床に唾を吐いた。

「おい!大山田!今度はなんやねん!!?」

事務所での騒ぎに再び駆けつけた徳川を目にした金山は、苛立たしそうに舌打ちをして、大山田に「いくぞ?」とだけ言うと、肩で徳川を突き飛ばすように外へ出て行ってしまう。

「おい!どういうことや大山田?」

肩をぶつけられたものの、徳川は金山に蹴り飛ばされ鼻血の出た顔を抑えている大山田に駆けよって助け起こしながらも問い詰める。

「・・すまん徳川。なんでもないんや」

しかし、大山田はそう言って徳川の手を払うと、ポタポタと鼻血のあとを床に残しながら、よたよたと金山の後を追うようにして事務所から出て行ってしまったのであった。

【第10章 賞金を賭けられた美女たち 7話 再会 終わり】8話へ続く
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筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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