第10章 賞金を賭けられた美女たち 25話
目的の部屋の金属製の扉を前にして、二人は呼吸を荒くして焦っていた。
「くっそ!刀さえあればこんな扉簡単にぶった斬れるのによ!」
目の前の扉には鍵穴も無ければドアノブも無いのだが、しっかりと鍵が掛かっていたのだ。
淡い青色の患者衣の前をはだけたショートカットの女が、童顔小柄ながらも案外とふくよかな胸が露出するのもかまわず、可愛い顔に似合わない悪態をついて、【肉体強化】だけで何とか蹴り破れないものかと、金属製のドアをがぁん!と蹴りつけた。
「沙織!ダメよ。音を立てないで」
童顔小柄フェイスの女と同じ服装をした長髪の女が、患者衣の胸の部分を抑え、裸体を隠しながら周囲を伺って窘める。
「くっそ・・この向こうに刀があるのに・・」
顔だけ見れば、小柄な童顔の少女と見紛う女、実は三十路前の南川沙織が右足で扉を蹴りつけた格好のまま悔しそうにつぶやき歯ぎしりをする。
やはり剣士である南川沙織の【肉体強化】だけでは分厚い金属製の扉を蹴り抜くのは無理であった。
しかも、沙織は怪我も完治しているわけでもなく、能力全開と言うには程遠い。
沙織は焦りから、周囲を気にしておらず、周りには同僚の前迫香織しかいないと思っているためか、患者衣を完全にはだけて、蹴ったドアに足を掛けたままでいる格好であり、女性として大事な部分が淡い毛で僅かに隠せているだけで、丸見えになっているが、そんなことは今の沙織には些細なことのようである。
扉の向こうに装備一式が置いてあることがわかっているのに、どうにもならない状況であることが沙織は耐えがたいようで、可愛い顔で口を食いしばり、鼻息も荒くぎりぎりと歯を鳴らして悔しそうに扉をにらみつけている。
そんな様子の沙織がまた大声を出して癇癪を起さないよう、何か声を掛けようとした前迫香織は、乏しいオーラで小さく展開している【見】に反応した気配に驚いて長い髪を靡かせて振り返った。
しかし、そこには敵はなく、まさかの見知った顔の女が、いつも通りの表情でのんびりとした歩調で歩いてきていたのだった。
「え?!ほ、穂香!?」
「かおりん。さおりん。み~っけ。穂香迷子になっちゃったかと思ってたから助かったよ~」
香織が案外大きな声を上げてしまったのに対して、穂香は人差し指を向けて、普段と変わらぬ様子でこたえたのだった。
「本当にこんなところで穂香に会うなんて!で、でも迷子って・・?!」
前迫香織はそう言って、長い髪をなびかせ穂香に駆け寄る。
「でも、おまたせ~。それにしてもすごい恰好だね~。ふたりとも寒くないの~?」
神田川真理に指摘されたように、気の抜けた炭酸水のような表情と口調。
しかし大石穂香は、高嶺製薬の社員がよく愛用している、黒を基調としたタイトスカートとジャケットというスーツ姿で、そのうえ幹部職員の証である刀を帯びている。
ド天然でサイコパスであるが、穂香の剣の腕前は当主である弥佳子も認めるところで、銘刀の葵紋越前康継を弥佳子から下賜されている六刃仙に名を連ねる天才剣士の一人だ。
「ふたりとも久しぶりだよね~。任務でけっこうすれ違いだったしさ~。えっと今回の任務のおかげでふたりに会えたよね~・・って・・あれれ?私の今回の任務ってなんだったっけ?」
その穂香は、肩まで届く色素の明るいソバージュを肩の後ろに払い、場所もわきまえず、状況も呑み込めていないのか、そう言って半裸に近い香織と沙織を眺めながら、自分の任務を忘れてしまった為か照れ笑いをしている。
「え・・ええ??何の任務かわすれてしまったのですか?・・でも穂香。とにかく来てくれて本当にうれしいわ。でも、どうやってここがわかったの?」
「どうしてって・・・・どうしてだろ。連れてきてもらっただけだからわかんない」
患者衣の胸部分を抑えて穂香に言った前迫香織だったが、穂香のとぼけた返答を聞いてさすがに苦笑い顔になる。
「わかんないって相変わらずバカかよ!?任務の内容わすれてるんじゃねえ!しっかり思い出せよ!」
穂香のとぼけた返答に、沙織にしては我慢していたが、ついに沸騰した沙織が扉に掛けていた足を下ろして振り返り、いつも何かとかみ合わない同僚を怒鳴りつけた。
「沙織!やめなさい!」
沙織の態度に香織がやや大きめの声で窘めると、沙織は可愛い上目遣いで香織を恨めしそうに睨んで顔を逸らせると、ぷくっ!と頬を膨らませてから口をとがらせて後ろを向いて腕を組んで黙ってしまった。
そんな沙織のことを少し可哀そうかもと思った香織だが、いまは助けに来てくれた穂香に感謝すべきだ。
「ありがとう穂香。とにかく助かったわ。今回は穂香の単独任務・・じゃないわよね?ほかには誰が来てくれてるの?十鬼集も誰かきてるのかしら?」
穂香のマイペースぶりは今に始まったことではないし、穂香はこの調子なので単独任務のはずがない。
香織はいつも通り優しい声のトーンで穂香に問いかける。
「ううん。十鬼衆のみんなは来てないよ。えっと来たのは穂香も入れたら四人かな」
穂香の言葉に、香織と沙織は見合わせる。
穂香の言葉に、さっきまでふくれっ面だった沙織の顔も可愛らしい童顔に戻り、沙織と香織のお互いの顔に安堵の色が広がっていくのがわかる。
たった4人ということは、六刃仙の井川栄一や、十鬼衆の中でも腕の立つ者たちによる構成だと思われたからであった。
「それで、誰が来たのです?」
「えっと~、御屋形様と~、穂香と~、グラサンと~、まりりん」
「お、御屋形様まで来てくれているのですか?!なんということでしょう・・」
香織はそう声を上げたものの、その他のメンバーが意外過ぎることに驚いてもいた。
穂香の返答は香織や沙織が期待していた内容とは全然違っていた。
いや、じつはグラサンに関してはうすうす予想していたとおりだ。
グラサンこと菊沢宏が、なぜか救援にきていることを沙織も香織も先ほどのやり取りで見当づけている。
御屋形様である高嶺弥佳子が、あの男をどうやって味方に引き込んだのかは全くの謎だが、剣聖千原奈津紀と対等以上に戦える菊沢宏が味方であるのは、今は心強い。
つい数十時間前まで命のやり取りをしていた相手が味方なのは、正直思わないことが無いわけではないが、御屋形様が連れてきたのであれば、それなりの理由があるはずで、異論をはさむことがあっていいはずがない。
つまり、いまグラサンは味方。
それでいい。
しかしである。
沙織と香織はもう一人の『まりりん』なるものに心当たりはない。
二人は首を傾げた。
「おい、まりりんって誰だよ・・。十鬼衆にそんなあだ名のヤツいたっけ?」
沙織は眉間にしわを寄せて穂香に聞き返す。
「相変わらずさおりんは口がわるいね~・・・・。でもさ、まりりんはね~。御屋形様に似てるんだよ?穂香もびっくり」
ド天然の穂香もさすがに沙織の発言に目つきが変わりかけたが、『まりりん』に関する発見のほうが今は穂香にとっては重要らしく、『まりりん』を説明しだした。
「はぁ?」
穂香の返答に対して、沙織はわけわかんないといった様子と口調でそう返す。
沙織が穂香のことを「またわけわかんねえこと言いやがって」みたいな顔で眺め出しはじめたが、沙織は『御屋形様に似ている』、『まりりん』というフレーズに引っかかるものが突然脳裏に閃いてきた。
もしかしてと思い、沙織はその名を口にする。
「も・・もしかして・・神田川か?!」
「そうそう~!そんな名前~!御屋形様が『神田川の令嬢に失礼だ~』とかなんとか言って穂香のことぶったから覚えてるの~。それで合ってると思う~」
穂香が「よくわかったねえ~さおりん~!すごい~なんでわかったの~?」といいパチパチと拍手をしている前で、沙織は穂香の様子を無視し、神田川真理の姿や顔を思い出していた。
「似てる・・。言われてみれば似てるかもしれない。・・・・ぜんっぜん似てない気もするけどやっぱり似てる・・!」
沙織はかつて大塚マンションで真理と対峙した時のことを記憶から掘り返し、真理の顔や姿と、自身のボスたる高嶺弥佳子の顔や姿形を頭の中で重ね合わせて、指をわなわなと動かしだした。
「そうなのですか沙織?私は神田川を写真でしか見たことがありませんが・・そこまで似てるのですか?」
「え?・・う・・うん。まあ似てるかな・・。言われてみれば神田川って、見た目は御屋形様に似てるかもしんない。うーん・・違うかもしれないけど・・でもほかに心当たりなんて私は無いし、かおりんはある?穂香の言ってる『まりりん』ってたぶん神田川真理の真理からきてるんだと思う。・・もしかして、御屋形様はあいつのこと回復係として連れてきたのかもしれない・・。うちは剣士ばっかりだから回復技能持ちが絶望的に少ないじゃん?しかも六刃仙唯一の回復係の私がこんなザマだから・・・。私たち救出の為に、あの憎たらしい宮コーに・・神田川を貸してくれって御屋形様が頭を下げたのかもっ・・・」
「・・・私たちが掴まってしまったせいと言うのですか・・!掴まった私たちが手負いであることを想定して・・申し訳ありません御屋形様!私たちが不甲斐ないばかりに、高嶺の門下生を大勢殺戮した宮コーなどに頭を下げねばならなかったとは・・っ!その無念を晴らすためであれば、この身が朽ちるまでお使いさせていただく覚悟です・・」
実際は、高嶺弥佳子は宮川佐恵子を脅迫気味な交渉で無理やり協力させたのだが、捕らわれの香織と沙織には、そのやり取りは知りようがない。
憶測で、自分たちのせいで当主である高嶺弥佳子が不倶戴天の敵である宮川に協力を仰いだのかと勘違いし、二人はひとしきり嘆いてから俯き、自分たちのしでかしたことを悔いて唇を噛んだ。
「あ。そうだ。なっちゃんたちが怪我してたら、これ渡せって御屋形様に言われてたんだ。さおりんの部屋にあったやつなんだけど、御屋形様がいいからもって行くようにって言ったから持ってきたよ~?」
悔しさとやるせなさで、猛省している香織と沙織を気にした様子もなく、普段通りの口調で穂香はそう言ってジャケットのボタンをはずし、内張に仕込んでいたモノを二人によく見えるように広げてみせた。
「っ!」
その見覚えのあるモノを見て沙織の目が輝く。
沙織が社外に仕事に行かないときに、入魂していた回復匕首の3本が穂香のジャケットの内張にきらめいていたのだ。
体力を回復する回復匕首が2本と、作るのが難しい、オーラを回復する入魂匕首の1本であった。
沙織がストックとしてとって作成しておいた特別な匕首だ。
媒体となる匕首が、業物であるほど入魂できるオーラ量が多い。
オーラを入魂するにも、元になる武器が上等であればあるほど効果が期待できるのだ。
そして、今回穂香が沙織の部屋から勝手に持ってきたものは、高嶺で用意できる最高級の業物の匕首である。
「わっ!」
沙織は、穂香のジャケットの内張に仕込まれていた3本の匕首をむしり取る。
穂香が可愛らしい声を上げるが、沙織は構わず3本の匕首を手に取ってから、穂香のことをチラリと見て、
「穂香ありがと」
と、ものすごい小声で恥ずかしそうに穂香に言ってから
「かおりん!ごめん。私1本使うよ?!かおりんはこっちのオーラ回復の使って。さっき即席で作ったオモチャみたいなメスに入魂したのとは段違いの効果があるはずだからっ」
と言うと、一気に自分の心臓目掛け突き立てた。
「うぐっ!」
どくん!と沙織の身体が一回だけ大きく痙攣する。
止めても無駄だし、止める気も無かった香織も、沙織が差し出している手から1つ匕首をとると、オーラ量を回復する入魂匕首を心臓に一気に突き立てた。
「さおりんが予備でつくってくれてたのは全部もってきたんだけど、それだけだから最後の一本は大事に使ってね~。最後のはなっちゃんにとっとくつもりかな?」
沙織は体力を、香織はオーラだけを回復させている。
回復を一気に受けて、前かがみになっている二人に、穂香がいつも通りののんびりとした口調で言う。
そして穂香は、沙織と香織の匕首から流れこんでくるオーラで回復しているのを横目に、さきほど沙織が蹴りつけていた扉に向かって、葵紋越前康継の鍔を左手の親指でくっと持ち上げた。
「さおりんは、ここ開けたかったんだよね~?・・ってもう斬っちゃったけど・・別によかったんだよね?」
そう言うと穂香が、とっくに抜いてしまっていた剣は、目で追うこと能わず既に迸っており、しかも、もうすでに鞘に元通り納まっている。
そして、厚さ5cmほどある金属製の扉がぐわんと重そうな金属音をさせて左右に真っ二つに割れて倒れだした。
「穂香・・。今回ばかりはマジで助かった・・」
いつも抜けたセリフばかり言う穂香に対して、常にイライラしていた沙織は本心からそう言ったが、面と向かって言えるほど大人ではなかった。
扉が倒れるより速く部屋の中に入った沙織は、力を失いボロリと崩れる匕首を投げ捨て駆けながらそう言ったのであった。
そして沙織は、目的のモノまで一直線に進み、ソレをやさしくそっと手に取った。
「無事だ・・!一人にさせてごめん・・!」
沙織は愛刀である瓶割刀を両手で握り、頬を当てて、目を閉じそう詫びると、さっと背中に背負って結び紐を止める。
そして、すぐ隣に置いてあった長刀も掴んで振り返る。
「かおりん!」
香織に向って、香織の愛刀である備前長船長光を香織に渡す。
オーラの入魂でオーラが回復した香織は、鍛錬された愛刀を受け取る。
「ありがとう沙織。・・【見】!」
香織は、鞘に収まった愛刀、備前長船長光の感触を懐かしむのは一瞬にして、得意の探知能力を本来の射程で全力展開させた。
「さすが沙織の入魂した匕首ですね・・。オーラがみなぎってきます・・・。【見】も問題なく使えるわ。・・さっきのところにまだいるわね袁揚仁!菊沢宏と・・戦ってる。あとは・・階層が違うけどこれが神田川真理・・ですね・・。何者かと交戦中・・というか、勝負はついていますね・・神田川の負けのようです」
「ふ~ん、神田川もうやられちゃってるのか・・・。まあ、もう私ら回復しちゃったし、なっちゃんさん用の回復匕首はかおりんが残してくれたから、薬箱の神田川にもう用はないっちゃ無いかな。神田川は無視で決定ってことで。それより御屋形様となっちゃんさんは?・・それと忘れちゃいけないのは、なっちゃんフリークのクソ蟷螂野郎だよ!あいつ私たちを売りやがって!ゆるさねえ!!ずったずたのナマス斬りにして回復匕首ぶち込んでまたナマス斬りにしてやりたいよっ!!」
「ダメよ。これは奈津紀の分として取っておきましょ?・・・穂香?御屋形様も一緒にきているのですよね?」
刀を取り戻し、体力もオーラもほぼ全開している沙織は、普段の調子を取り戻し、可愛らしい顔を憎悪で歪ませて息巻いているが、香織は冷静だ。
香織も沙織と同じくオーラに関してはほぼ全快し、【見】を最大範囲まで広げて索敵したものの、当主の高嶺弥佳子と、今や一番の敵となった張慈円を見つけられないことを不審に思い、穂香に向って聞いている。
「来てるよ~。一緒にきたもん」
「【見】では全く見えませんが・・・、張慈円もいません・・。なぜか【見】で探知できませんね。・・沙織の【不浄血怨嗟結界】のような妨害技能を広範囲に展開できる能力者でもいるのでしょうか?」
「どうだろ・・。アレ系の技をそんな広い範囲で使うってすごい大変なことだよ?一瞬ならともかく、ずっと展開するなんてめちゃんこ疲れちゃう。かおりんの【見】だってソナーみたく一瞬だけ広げるってのを連続して使ってるんでしょ?」
沙織のセリフに香織は「ええ」と応えつつ、索敵に漏れがないか【見】で探っている様子だ。
「それに、ここってそこまで広いのかな・・?かおりんの【見】って半径2kmもあるよね?」
「扁平に伸ばせば4kmぐらいになりますが、すでにそれは全方位やりました。ですが・・それでも御屋形様のオーラは見当たりませんね・・」
沙織のさらなる質問にも香織は能力を展開しつつ応えている。
「・・なにかあったのかな?」
まさか御屋形様に何かがあったのではと、沙織が心配そうな顔になって呟いたところで、能力を一時解除した香織が口を開いた。
「御屋形様に万が一などありえないとは思いますが、とりあえず、【見】にかかった反応は10人です。私たちを除くと7人。そのうちの4人が奈津紀、袁揚仁、菊沢宏、神田川真理ですね。のこり3人は心当たりのない波長のオーラでした。袁の手下の能力者とみるのが妥当でしょう。奈津紀はここからかなり近いところにいるわ。見張りが二人いるみたいだけど・・・穂香?相手は二人いるけど、私と行ってくれるかしら?」
穂香と沙織に向って、【見】で得た情報を伝える。
奈津紀の状況を先ほど袁揚仁のせいで知ってしまっている香織は、奈津紀の救出には自分が出向きたいところだが、体力は回復していない自分だけでは敵二人を相手取るのは不安があったため、穂香にそう促す。。
「私もなっちゃんさんの方に行きたいけど・・なっちゃんさんのほうはかおりんがいってくれるのね。じゃあ私は・・クソ蟷螂の場所がわかればそっちに行きたいんだけど、ここにいないんなら私は袁揚仁にさっき蹴られたお返しをしに行こっか?・・・いちおうグラサンにはさっき助けてもらった借りがあるよね・・?どうしようかおりん?」
沙織は背中に背負った瓶割刀の柄を右手で掴むと、可愛らしい童顔を好戦的な表情に変えて香織に聞く。
「そうですね。御屋形様のオーラが探知できないのも気になりますし、沙織は袁揚仁と戦っている菊沢宏に加勢し御屋形様のことを聞いてきてください。奈津紀の方は私と穂香に任せてください」
「了解!そこなら場所わかってるから行くね!待ってろよ~~!あのモヤシ男。私のこと蹴りやがって・・!思い知らせてやる!」
沙織はそう言うと、自分の方が先に袁揚仁を二度も蹴ったことを棚に上げて悪態をつくと、先ほど逃げてきた方向に向かって駆けて行った。
「穂香は私と来てください。神田川と袁の部下一人らしき者がいるところまでは遠いですし、まずは奈津紀の救出です。でも奈津紀の近くには、二人ほど能力者の見張りがいますから、穂香に手伝ってもらいたいのです。今、私のオーラは回復してますけど、体力的には微妙です・・。いいですか?」
「は~い。ぜんぜん敵に出くわさなくて退屈してたんだよね~。グラサンはぜんぜんしゃべんないし・・・。でも今度はかおりんについて行ったら、間違いなく敵に出会えそうだから穂香はかおりんと一緒にいくよ~。かおりんが戦えないなら二人とも私が狩っちゃっていいよね~?」
駆けていく沙織の背中を見送って穂香にそう言うと、穂香も普段の気の抜けた顔ながらも、目は笑っていない表情で快諾してきた。
香織は、備前長船長光の腰に佩くも、この部屋には服は何故かなく、いまだに患者衣のままである。
胸元から股間までばっくり開いてしまっている患者衣の前に3つしかないボタンをしっかりと留めると、香織は穂香と一緒に駆けだした。
【第10章 賞金を賭けられた美女たち 25話 揃う六刃仙3人 終わり】26話へ続く
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続きを楽しみにしています。
12月は多忙でてっきり見落としてしまっていました。
穂香には他の読者の方々からも好意的なお便りも頂いておりまして、私自身少し驚いております。
性格的にも行動的にも今までにないキャラなので印象が強かったでしょうか?
どの登場人物も一生懸命考えどんな人物にしようかと思いながら書いておりますので気にいって頂けますと本当にうれしく思います。
ご頻繁に直接のコメントやあとメールも頂いておりまして本当にうれしく思います。
今後とも一夜を末永くよろしくお願い致します。