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第3章 愛情の伴わない快楽の怖さ 第3話 裏切り 大原良助

僕はどうなってしまうのだろう・・・・

念願とは思ってもいない形で叶う事があるのかもしれない・・・

しかしその叶い方によっては人はかならずしも喜べる物では

無いという事もあるのかも知れない・・・

昨日僕は上司である主任代理の水島さんに

仕事が終わった後呼び出されBARに行った。

そこにはウチの会社のクライアントでもある

不動産会社の社長の橋元さんという方も後から来られた。

入社2年目のこの僕にウチの古株でキャリア20年くらいに

もなる水島主任代理がいったい何の用なのだろう?

僕が仕事ができる期待の若手とかならまだプライベートで

良質なクライアントを紹介されてというような話も解るが

僕は昔から不器用で入社して2年経つが岩堀主任を始め

他の先輩方に迷惑かけてばかりだ。

そんな僕にウチの賃貸借部門の実質No2である今までは

僕の教育担当でもないので殆ど関わり合いも持った事もない

水島主任代理から急にスマートフォンに連絡が入った。

『はい・・・もしもし大原です』

『あ~大原君~水島ですが・・・

今日はもう仕事は終わったかね?』

『あっ水島主任代理!

はい今終わり今から帰ろうかと・・・』

『それはお疲れさま。

大原君今日はこれから

何か予定はあるかね?』

『いえ・・・

帰るだけですが・・・』

『そうかね。

実はね・・・・・

電話では話せないのだが

君を見込んでお願いしたい

事があるんだよ。

ちょっと今から話せるかね?』

『(水島主任代理が僕にお願い?)

あっはい!主任代理?お願いとは・・・

はい・・・時間は大丈夫ですが・・・』

『いやいや・・・

それは会ってから話そうと思ってね

君BAR KONGというショットバーは

知っているかい?』

『はい・・・

行った事はありませんが

場所は解ります。

三栄ビルの地下でしたよね?

確か・・・』

『そうそう。

そこで待っているから』

『かしこまりました。

それでは今から向かいます。』

そしてBARで僕は水島主任代理とほぼ初めてと言っても

良いくらい会話を交わした。

最初は僕の大学時代の部活の話や彼女が居るのか居ないのか

など、仕事で悩みはないかというような話を聞いて下さった。

しかし僕はこの日、僕の上司である水島主任代理が実はとてつも

なく怖い人だと知る事になった。

水島主任代理から聞かされた衝撃の事実の1つ目が僕がミスを

してしまった二重請求。

あれは水島主任代理が二度目の請求を僕がしたように仕組み

出したという事実。

僕は唖然として何故そんなことをと聞いたが

水島主任代理は君の為だとしか言わない。

何故僕にミスをさせるのが僕の為なのか解らない僕は

頭が混乱しながらも次から次へと会話を進める水島

主任代理の話を聞く。

水島主任代理の質問の中に岩堀主任が主任で自分が代理という事を

どう思うかと言う質問をされ僕は返事に困っていると

君は岩堀主任をどう思う?

と聞かれ僕は正直に応えた。

注意される事も多いが僕が仕事ができないからなので

理不尽に思った事は無いと。

そう応えると水島主任代理はチッと怒ったような舌打ちをされ

僕は何かマズイ事を言ったかなと思うと

そうではなく女としてどう思う?

と聞かれ僕はそんなことを聞かれると思っていなかったので

焦りながら

怖いけど・・・綺麗な人だと思います・・・

でも怖いと言うよりは少し冷たく感じるのは

そういう話し方だから・・・・

あっでも結婚されているしかなり年上の方

で上司でもあるし女としてという風には

見た事がなくて・・・

とかなり動揺しながら支離滅裂になりそうなのを

何とかまとめて応えた僕に水島主任代理はもっと

動揺する質問をされる。

ほう・・・

大原君?

岩堀とやりたいか?

えっ?

代理何を・・・・

岩堀とSEXしたいかしたくないかどっちだい?

そんな・・・・そんな事考えた事ないですよっ!

焦って応えた僕に代理は

君ね~僕のキャリア舐めちゃいかんよ。

今の君の答え方で君が岩堀をオカズに

オナニーしてるのが解ったよっははははっ

と大笑いされる代理。

僕は図星を突かれ、そんな事ないですって!

と言いながら恥ずかしそうな顔でうつむくしか

できなかった。

そんな僕に代理が

私の言う事を聞いて協力すれば

君と岩堀がSEXすることになるかも知れないと

言うとどうする?

と聞かれ

僕は代理が何を言っているか解らず

何をすれば良いのですか?

と聞き返してしまっていた。

代理が言うには

明日僕と岩堀主任が二重請求の口座振替の

木島様と言うお客様の所に返金と謝罪に行くことを

知っておられ

その時の手順を説明した。

木島様とは既に話がついているらしく

岩堀主任や僕がいくら謝罪しても許さないと言うとの事。

木島様はしかもこの物件のオーナーである橋元様の義理の

弟でこんな良い加減な管理会社に任せられないと橋元様の

物件の管理を全て引き上げ別の管理会社に移すと言われるとの事。

そうすれば岩堀主任の責任問題になり岩堀主任も困るだろうから

必死に岩堀主任も食い下がるだろうが木島様は頑として謝罪を

受け入れない。

だがそれだけなら木島様が岩堀主任に突き付ける条件を

飲まないと思うからと代理は言われ岩堀主任と僕に対して

暴言を吐き木島様はわざと僕に暴力をふるう手はずになっている

と聞き本当に驚いたが、その木島様に僕が抵抗し殴り返して欲しいと

頼まれる。

そこまで行けば普通は完全に交渉決裂だが木島様がある条件を

提示するらしい。

僕もここまで聞いてなんとなくわかってきたが代理が僕に

伝えた計画は僕が想像していたものとは違った。

どうしても許して欲しいなら

木島様の目の前で僕と岩堀主任がSEXして見せろと

木島様が僕たちに条件を出すとの事。

そうすれば二重請求の件も木島様を殴った事も水に流し

物件も今まで通りにウチで運営できるようになるという条件

を出す予定だとの事でこの話の最後に代理が

どうだ?大原君?

これで岩堀主任とSEXできるかもしれないよ?

うん?念願だろ?

もし断っても別の方法で岩堀には必ず君とSEXさせるから。

断ったら岩堀は降格、この私が賃貸部門では主任になるだろうからね。

そうなったら岩堀はおそらく責任を取って首。

それが嫌なら君とSEXするように私が条件を出す。

どうかね?協力すれば君はどう転んでも

近々あの岩堀の身体をものにできるのだがね。

僕は様々な疑問が思い浮かんだがただ一つ解ったのは

この人は悪魔だ…卑劣だ…なんて酷い人なんだ・・・

そしてどうしてそんなにあの少し冷たく感じるが本当は

優しい岩堀主任をそこまでして陥れたいのか?

そしてどうして自分では無くこの僕と岩堀主任のSEXに

こだわるのか・・・・

色々疑問は思い浮かぶがその一つも聞くことができない

うちに新たな来客が会った事によりその一つの疑問が解決した。

木島様が住む僕が二重請求をした物件のオーナーであり

不動産屋社長の橋元様の来店により僕はもっと恐ろしい事実を

知る事になる。

この橋元様来店後に水島主任代理はそのさらに後に来店してきた

ウチに広告営業で出入りしている中島さんという綺麗な女性を追いかけ

店を出られた。

橋元社長と2人になった後もこの計画を既に知っている橋元社長は

僕を説得し続ける。

そして上手くいった暁には結構な報酬も橋元社長から頂けるとの

事で僕も何故そこまでしてという質問を橋元社長にしてみた。

橋元社長はこれを聞いたらもう絶対に大原君は抜けれなくなるよ

と言いながら笑ったが目は笑っていなかったことに僕は背中に冷たい

汗をかきながら聞いた。

この日いくつも驚くことを水島主任代理から聞かされていたが

今日1番僕が驚いたのは木島様の家に隠しカメラが数点仕掛けられて

いて僕と岩堀主任がSEXする姿を隠し撮りして素人物のAVとして販売する

との事。

その販売会社の社長でもある橋元社長は僕の顔はモザイクで消すから

大丈夫とそのうえ協力してくれたら報酬も払うと言われるのだ。

水島主任代理や木島様は既にその制作に何度も関わっていて今回

上手く行けば今後は僕にも関わって欲しいと言われた。

僕は岩堀主任を裏切るようなことはしたくなかった。

岩堀主任は結婚されているしそんなことになったら大変だから

と止めてもらえないかと思い橋元社長にお願いしてみたが

素人物は素人物でも人妻専門なんだよと言われ全く問題にしていない

様子に僕は今日水島主任代理に呼ばれこのBARに来た事を後悔

し始めていた。

そして2人の要求が断れないものである事も薄々気づきはじめていた。

しかしその奥底には絶対かなうはずのない岩堀主任とのSEXの事が頭

をよぎり、僕は毎夜のように性処理のオカズに悪いと思いながらもたまに

見えたラッキーなパンチラや短めのスーツから見える岩堀主任の足、そして

SEXを想像させないあの性格や口調、どんな声を出すんだろ?どんな体位が

好きなんだろ?岩堀主任はマグロかな?などを常に想像していた自分の妄想が

こんな形で現実になるのか・・・

と思い橋元社長のやってくれるかい?

の問いに無言で首を縦に振った。

そして今出社して既に出社している岩堀主任のデスクの前に

居る。

「おはよう。

大原君?

あれ?緊張しているの?

大丈夫。

私も一緒に謝罪に行くのだから

君は今日は何も言わずに頭を下げて

いれば良いだけなのだから。」

(今日は岩堀主任また一段と短いスカートで・・・

水色のブラウスに白のタイトスカートかぁ・・・・

緊張しているのは別の理由なんですけど・・・・・・)

「はい・・・・

しっかり勉強させて頂きます・・・」

そう僕は言うしかなく今日岩堀主任が

急な高熱とかで休んでくれればと思って

いた思いも伝わらなく後はあの悪魔のような

人達の手の平の上で踊るしかないのかと

何とも言い難い緊張と興奮が入り交じったような

気持ちで変な汗が出て来る僕に岩堀主任は

今日は眼鏡をかけておらずコンタクトなのに

癖なのか眼鏡の柄の部分の眉間を指で押し

「元気ないよ~

どうした?

体育会系の出身でしょ?

ラグビーだった?確か?」

「はい!ラグビーです・・・・」

「そうそうその声の大きさ

なら大丈夫そうね。

では10時に出るからそれまでに

お手洗いとかも済ませておきなさい。

お客様の家で行きたくなっても

多分言い出すタイミングが無いと

思うから」

と少し冷ややかに笑いながらも

僕には温かく感じる表情で僕は

はいと大きく応えお手洗いに

行き今見たばかりの岩堀主任の

白のタイトスーツから覗く肉付きの

良いベージュのパンストに包まれた

美脚を思い出しながら自慰をしてしまった。

そして出発の時刻が来る。

《第3章 愛情の伴わない快楽の怖さ 第3話 裏切り 大原良助 終わり》
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第3章 愛情の伴わない快楽の怖さ 第4話 南川美千代(水島美千代)

日は遡り

中島由佳子が日常から逸脱した経験をした昨夜

由佳子が丁度水島の居るBAR【KONG】に向かう

少し前の時間帯、この町から私鉄で3駅行った所に

ある、ハイツバードアイランドに彼女は派遣社員と

して勤務しているコールセンターの仕事を終え帰宅

していた。

息子の陽介はどうやら学校から帰り、

既に塾へ行っているみたいだった。

コンビニの弁当を食べて行ったのだろうと思い、

こんな食生活をさせている日々を申し訳なく思う。

私はというとこの後、少しの休憩の後、

入浴を済ませ息子と同じく軽く食事を

済ませばすぐにまた夜務めに行っている

スナックへ行かなければならない。

元主人の水島からの養育費は受けていない。

水島が長期に渡って浮気をしていた事実はあるが、

私も水島の上司の上妻さんと

1度だけとはいえ関係を持ってしまったのだ。

それに水島とは養育費の振り込みとかその後の

受験に掛かった時に増額をお願い

するなどの連絡も取り合いたくなかったのだ。

私はあの時、水島の車で上妻さんに抱かれ、

その翌日に理由も告げずに離婚用紙を記入し

家に置き当時12歳であった陽介を連れ宛も無く家を出た。

そして2か月の間、隣の県にある実家に世話になり

その間私は新たな住居を確保

する資金を稼ぐためにピンクサロンに勤めに出た。

2か月間見知らぬ男性の性器を口に含むと言う事は

今までの生活から考えると一変し過ぎてより離婚したと

言う実感が湧いて来たのを覚えている。

何とか2か月で止めれたのは今通っている昼の仕事、

消費者金融のコールセンターの仕事が派遣社員では

あったが経験なしでも採用され勤務出来る事になったからだ。

やはり元々住んでいた都心付近でないとこのように仕事が無い為

水島にバッタリ会う可能性もあったが都心から少し離れた所のハイツを

契約し、今に至る。

実家から父の車を借り息子の陽介を都心の学校に

送り迎えするだけでも結構大変だったので新しい住居に移れた事は、

ピンクサロンからの仕事という私の禊ぎを終え、

隣の県からの息子の学校への送り迎えというハードな生活から脱し、

やっと本当に新たな人生のスタートを切れた再出発の日となった。

あれから2年近くが経過し、息子も14歳となりそろそろ高校受験、

大学受験へと貯金もしていかなくてはいけない時期に差し掛かり

私は半年前から夜も勤めに出る事にした。

2年前に2か月勤務したピンクサロンのような性的なサービスをするような

店では無く普通のサラリーマンの男性客が頻繁に飲みに来るスナックでの

バイトを同じハイツに住む織田さんというおじいさんに紹介して貰った。

織田さんは私の住んでいるハイツバードアイランドの

105号室に1人済まれている方で最初は挨拶程度だったが、

住みだして時が経つに連れこの近所の日用品のお買い得な

お店や良い食材の売っているスーパーは何処何処などと生活に

関する知恵を借りる過程で親しくなり私も夕飯の差し入れなどを持っていったりし、

今では野球部に所属する陽介のキャッチボールの相手までしてくれて

私も大変ありがたく思っている。

そんな織田さんが家に来て陽介のキャッチボールを終え陽介が塾に行った後、

「陽介君もあと2年もしたら高校生か?

そろそろワシも陽介君のボールを

受けるのが厳しくなってくるな~

やっぱり野球で通わせるのなら私立か?

美千代さんも何かと物入りで大変じゃな~」

と私の家の居間で麦茶を飲みながら

「いえいえ。

織田さんはまだまだお元気じゃないですか~

こんなに野菜も下さるほどご自身でお作りですし

やっぱり趣味で農業されてらっしゃるからお身体も

お元気なのでしょうね?

あっ高校ですよね~

そうそう・・・・そうなのですよ~

公立に行ってくれたら今の仕事の収入でも

問題ないのですが~

私立はさすがに・・・

でも本人は高校で甲子園目指す気満々ですしね~

そうなれば野球部の強い私立の高校を受験させて

あげなきゃ・・・ですからね~」

「やっぱりそうか~

陽介君ならワシは行けるが気するぞ~

甲子園!それまで生きてなきゃ~なぁ

ははははっ

でもそりゃ美千代さんも大変じゃな~

別れた旦那に相談してみたらどうじゃ?」

水島の事を言われ一瞬美千代の顔がひきつる。

しかしすぐに持ち前の愛想の良い笑顔に戻り

「ええ。

主人とはもう話したくないですし・・・

私が何とかしますっ

あ~そんな心配までさせてしまいすみません~

織田さん~お茶のあて何かおつまみ出しますね~」

とキッチンの棚の方にパタパタとスリッパの音を

立てて小走りに美千代が行く。

「あ~いやいや。

美千代さんお気遣いなく・・・

その仕事なんじゃがな・・・

美千代さんさえ嫌じゃ無ければ

ワシが良く飲みに行っているスナックで

バイトせんか?

客層も普通の気の良いサラリーマンや

ワシのようなもう引退したジジイが来る

くらいでそんな客と酒を飲み話をするだけの

店じゃし働いている女の子も皆美千代さんと

変わらんくらいの年の女の子じゃぞ」

「えっ?

スナックですか~

(確かにそれなら今の仕事しながら

でも行けるかも・・・それに短い時間でも

そこそこの収入になるかもだし丁度

陽介の受験の費用稼ぐのに良いかも)

あっ私のような年齢でも大丈夫でしょうか?

織田さん知らないかも知れませんが

私もう38歳で今年で39歳になるんですよ~」

美千代がキッチンの棚から醤油味のせんべいを

持って来ながら居間のテーブルの織田の向かい側に

正座し。

「大丈夫大丈夫~

働いている女の子は皆30代じゃ・・・・

美千代さんなら綺麗じゃから皆によくして

もらえるじゃろ~

嫌じゃなかったらワシからママに伝えておくがのう

ママも丁度女の子増やしたいと言っておったしな~」

「そんなっもうっ綺麗じゃないですよ~

かなり若作りしなきゃ働けそうに

ないですが・・・・

もしご迷惑じゃなかったらお願いします

そのお店のママさんにお伝え頂けますか?」

という半年前に織田さんから頂いた話が

きっかけで私はスナック【夜顔】という店で今働いている。

織田さんの言ったようにママは43歳の麻子という方で、スタッフは

私を含め5名居るが日に出勤しているのは3名くらいで皆

30代半ばから後半でそういう落ち着いたお店にしたい

というのがママの希望だったらしく私も上手く気にいって

もらえてすぐに採用された。

私は昼のコールセンター用のスーツで出勤しても良いと

ママが言ってくれてはいるので昼に着なかった別のスーツ

を夜着て、その次の昼はまた別のスーツをと昼夜で同じスーツを

何着かローテーションで使いまわしている。

そしてシャワーを浴び昨日昼の仕事で着ていたグレーの少し膝上の

丈のスーツで今日は出勤しようと着替えていると自宅のインターフォンが鳴る。

誰だろう?

こんな出勤前に・・・

織田さんかな?

「は~い。

織田さん?」

と玄関を開けてみるとスーツ姿の長身の男性に

同じくスーツ姿の女性が2人後ろに居た。

3人共私とは面識のない人たちだが何だか

【できる人】

というイメージを3人が3人共醸し出していて

1番前に居た男性が

「恐れ入ります。

わたくし府警刑事課の大塚と申します。

こちらは同じく府警刑事課の荒木に神谷です。

南川美千代さんで間違いないでしょうか?」

堂々とした毅然とした態度でそう話す大塚さんという

人は今自分を刑事課の・・・

刑事と名乗った。

私は車のシートベルトですら捕まった事のない警察とは

無縁の人間で今までの人生で警察と話す事すら殆どなく

初めて話すのがこんな刑事課の私服警官になるとは・・・

しかもわざわざ私宛に自宅に訪問を受けるとは全くの

予想外で

「はい・・・・・

南川美千代は私ですが・・・」

「南川さんですね。

あの・・・突然で申し訳ないのですが・・・

少しある刑事事件の捜査でお聞きしたい

事がございまして・・・

あなたの元ご主人の事なのですが・・・

水島喜八さん。

あなたの元ご主人ですよね?」

私は水島の名前がまさかこのような

刑事から聞くことになるとは思っても

いなく警官が自宅に訪ねて来た以上に

驚いた。

私は玄関先で刑事3人と話すという世間体に

あまり宜しくない事をしたくなく何よりこれから

聞かれるのが元主人の水島の事だと解りなお

さらあまり人には聞かれたくない話なので3人の

刑事に中に入ってもらうようにした。

自宅の居間で3人の刑事が座り私は一応お茶を

出す。

「あっ・・・

職務中ですので・・・お気づかいなく・・・」

男性の大塚と名乗った30代半ばくらいの刑事が

恐縮そうにしている。

2人の刑事と聞かなければ仕事のできそうな

キャリアウーマンと思えるような確か荒木と神谷と

紹介を受けた20代後半から30代前半くらいの女性の

刑事が笑顔でありがとうございますと頭を下げる。

私は夜顔に出勤する為に着替えたグレーのスーツの

まま刑事3人が座る向かいに正座して

「あの・・・・

それで・・・・

主人・・・

いえ・・・

水島は何をしたのでしょうか?」

離婚したとはいえ息子の陽介の

父である事には変わりない。

そんな水島が何か刑事に追われる

ようなことをしたとなれば今後の陽介

の進路や縁談にもついて回るのでは

ないかと不安な気持ちを抑えきれずに

「はい。

詳しくは言えないのですが・・・

まだ元ご主人が関わっているかも

解らないある連続失踪事件がありまして

その失踪していた1人の主婦の方が最近

遺体でみつかったのです。

あの・・・・・

その遺体でみつかった主婦の方が・・・

その・・・」

言いにくそうにしている大塚と言う男性の刑事の

後ろから私と同じような色のグレーのパンツスーツ

に身を包んだ神谷と言う女性刑事が

「その亡くなった主婦の人

元ご主人のセックスフレンド

だったみたいなのです。」

「こらっ!神谷お前言い方と言うものが・・・」

「大塚さんはまどろっこしいのですよ。

本当の事ですしはっきり言った方が

伝わりやすいでしょ?

ねえ智恵さん。」

「うっうん。

まぁ・・」

ともう1人の荒木と言う女性刑事も困ったような

表情をしているがこの3人では1番若く見える

神谷と言う女性刑事はかなりはっきり物を言うタイプ

のようで別に今更気を使って頂かなくても私は大丈夫で

むしろはっきり言ってもらえた方が有り難い。

「そうですか・・・

その・・それはその亡くなられた

女性と主人は・・・

いつ頃からか・・・

というのは解りますか?」

「本人からの証言ですが5年くらい前から

付き合いがあったが2年ほど前からは

会っていないと言っています。

わたくし供も水島がその後も彼女と

会っていた確証が無いですがもし

離婚されている奥様がその後も

水島と彼女になんらかの接点が

あったかという事を御存知ないかと

思い今日はお伺いさせて頂いたのです。」

と神谷という女性刑事は淡々と語る。

「そうですか・・・

5年前でしたら私もまだ水島と

暮らしていましたが、その頃は

恥ずかしながら

本当に水島にそのような人が居る

なんて知らなかったものでして・・・

そして離婚後は1度も会っていないですから

その亡くなられた方がどのような人かも

想像もつかないというのが正直な所です。」

「そうですか・・・・

すみません。

お忙しい所・・・」

今度は男性の大塚と言う刑事が応える。

「大塚さん写真!」

「神谷っもういいだろ・・・

この人は何も知らないよきっと・・・」

「甘い!」

神谷と言う女性刑事が大塚と言う

刑事のスーツの内ポケットから半ば

無理やり1枚の写真を出させる。

その写真を私に見せ

「南川さん、この写真の男御存知ないですか?」

40代半ばくらいの恰幅の良さそうな

一見怖い職業の方かと思えるような

男性が写った写真。

「いえ・・・

知らない人ですが・・・」

「南川さんが直接知らなくても

過去にこの人と元ご主人が

会っていたり何か話したり

しているのを聞いた事はないですか?」

と神谷と言う女性刑事が私に捲し立てるよう

聞いて来る。

本当に解らない・・・

こんな人と水島が面識があったというのも

知らず私は今初めて知った。

「あの・・・・全く解らないですが・・・

この方は?」

と私が忘れたい過去の記憶を辿りながら

想起してみるがこの写真の男性は全く

浮かび上がって来ず。

すると次は大塚と言う男性刑事が口を開く

「この写真の男は

橋元と言い表向きは不動産屋の社長です

元ご主人が勤務している平安住宅の取引先

の社長でもあります。

直接見た事は無かったとしても昔の事でなかなか

思い出せないかも知れませんが元ご主人が電話で

でも橋元と言う男と話していた事はないでしょうか?

もしあればその会話の内容を解る範囲で教えて頂ければ

助かるのですが・・・」

橋元・・・

橋元・・・

そういえば離婚する数か月前から取引先の

橋元社長と飲みに行くと出かける回数が増えて

行った事が今名前を聞き思い出した私は

「橋元さんという・・・

その名前の方なら名前だけは

知っています。

離婚する前になりますが・・・

頻繁に取引先の橋元社長と言う

人と飲みに行くと良く出かけていましたから」

と私が言うと大塚と言う男性刑事と

神谷と言う女性刑事、荒木と言う女性刑事が

3者3様に顔を見合わせ

「そうでしたかっ!

ありがとうございます。」

と大塚刑事が喜びながら

「何が仕事上以外の付き合いは無いよ

あの男・・・」

と神谷刑事がぼそりと呟く。

「あの・・・・

その橋元さんという方と

主人はいったい何をしたのでしょうか?」

私は元主人が何やら怖い事に巻き込まれて

いや当事者として何かをしているのならやっと

新たな人生を歩み始め新たな住居で新しく知り合いも

できたこの生活を壊される恐れを感じ息子の陽介の

為にも知っておきたかった。

「まだ・・・

全く証拠も何も無いので

お伝えすべき事ではないのですが・・・」

と大塚刑事が心配そうに聞く私に

気を使ったような話し方で口を開く。

そうするとまた横から神谷刑事が

「元ご主人の水島とこの不動産屋、裏では

怪しげなアダルトな動画も配信している会社も

運営しているこの橋元と

直接的か間接的に関わり

あっていた人たちばかりが

行方不明になっています。

私達も捜査をしてはいますが、

水島や橋元が原因で

行方不明になったという証拠も

痕跡すら掴めずに困って

いるのが現状です。

2人は仕事上の話以外では

一切交流が無いとも

言っておりましたがこれで

やっと1つの嘘を崩せました。

まだ何も水島や橋元が関与して

いるという確信はないの

ですがあまりにも彼等の近くに

居たり間接的に関わっている

特に主婦の方が多く突然行方を

くらませているので私達は

彼等に的を絞り捜査中なのです。

ですが全く尻尾を掴めません・・・・」

とまた神谷刑事が大塚刑事に

代り私に説明してくれ最後は

ここに来てから終始クールな感じの

神谷刑事が唯一トーンが変わり

残念そうに悔しそうな表情になる。

「そんな事が・・・・

その・・・水島がもし犯人であった

場合は私達親子にも何か影響が

ありますか?」

と不安そうに聞く私に大塚刑事は

「南川さんはもう水島とは

離婚されていますし今は他人ですが

お子さんの父親が水島であるという

事は変わりないですので・・・

やはり事件となり逮捕された場合は

ある程度水島の元奥さんで子供と言う

事を知っている人たちの反応は変わるかも

知れませんが・・・・・・」

とこの人が悪いわけではないが申し訳なさそうに

話す大塚刑事。

荒木刑事と神谷刑事もどのような事になるかは

解っているのだろう。

うつむき申し訳なさそうにしている。

「主人が・・・

いえ水島が関わっていない事を

祈ります・・・

刑事さん方には悪いですが・・・」

そうとしか言えず私は涙を流していた・・・

あぁ・・・

せっかく化粧したのに・・・

また店に行くのに化粧をし直さなければ・・・

大塚刑事はもし何か水島から連絡があり

この事件に関与していそうな事を話せば

連絡が欲しいとだけ私に伝え無言で頷く

私にご協力ありがとうございました。

とだけ残して帰って行った。

私はこの日1時間遅れでスナック【夜顔】に出勤した。

《第3章 愛情の伴わない快楽の怖さ 第4話 南川美千代(水島美千代)終わり》

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第3章 愛情の伴わない快楽の怖さ 第5話 迷いそして。。。大原良助

僕は社用車を用意しようとすると

岩堀主任が

「今日は私の車で行きましょう。

大原君は助手席に乗って。」

と岩堀主任の自家用車である

ワゴンタイプの軽自動車で

行くことになった。

僕が

「主任運転します!」

と言うと

「大丈夫?

緊張しているからかしら?

今日は大原君変よ?

何か二重請求以外でも

悩んでいる事があるの?」

と運転席に座りまだ車を出さずに聞いてくる

岩堀主任。

そんなに変かな?

普通にしているつもりだがこれから

岩堀主任と僕に起こる事を考えたら

平常心を保つと言う方が難しいのかも

知れない。

「そっそうですか!

だっ大丈夫ですよっ!

いつも平常心で物事に

取り組みなさいと言う主任の

御言葉に忠実に従っていますからっ!

そして何事も諦めない事!

今日のトラブル処理諦めていませんし!」

と平常心では無い僕が声を張り

虚勢を張ると完全に虚勢と見破られ

たであろうが

「ふふっ

大丈夫そうに見えないけど

信用するわね。大原君」

と普段見せない優しそうな

笑顔で岩堀主任が運転席を降り

助手席側に回って来る。

可愛いっ・・・

いや美しいっ・・・

岩堀主任ってあの僕が

学生の頃にニュースステーションに

出ていたアナウンサーの武内絵美さんに

似ているよな~

前からずっと思っていたけど・・

メガネじゃなくコンタクトだとより一層

そう思う。

僕はこんな人を・・・・

こんな優しく綺麗で良い人を陥れる

片棒を担がされるんだ・・・・

橋元社長に言われたお金なんか正直どうでも

良かった。

ただ水島主任代理に出された条件が僕の

心を大きく動かしたんだ。

岩堀主任と・・・・

この岩堀香澄とSEX。

正直考えても居ない妄想の中でしか知らない

岩堀主任の美しいであろう肌・・・

さそかし柔らかいであろうその

形の良い程よくブラウスを盛り上げて

いる乳房。

いやらしくも美しくも見える

いつもパンスト越しに覗く

程よく熟れた太もも。

パンっと張ったさぞかしバックから

したら気持ち良さそうな揉み心地

の良さそうなヒップ。

そしてご主人しか挿入が許されない

岩堀主任の中。

全て今日水島主任代理の作戦が・・・

いや謀略とも呼べる企みが・・・

成れば僕は全て物に出来る・・・

本当に願望ではあったがそんな事

この世の全ての人の時間が止まり

僕だけが動いているような事が無い

限り無理だと思った。

それが現実に【できる】と突き付けられた時

誰が断れよう・・・・

そう僕は岩堀主任とのSEXを餌にあの悪魔の

ような水島主任代理に魂を売ったのだ。

それほど僕は岩堀主任に憧れていた・・・

憧れ?

憧れなのか?

欲望?

肉欲?

お前は岩堀香澄とSEXがしたかった

だけなのか?

いや違う!

もし僕は岩堀主任が独身なら

振られると解っていても

『好きです!』

と告白していたと思う!

いやきっと告白していた。

そう僕は・・・

僕は岩堀主任が好きだったんだっ!!

ただ結婚されていて年も離れているし

それに僕など不釣り合いなほどあまりにも

綺麗だから諦めていた。

いや気づかなかった。

僕は岩堀主任が好きだ。

では水島主任代理の言う通り

事が運べば僕の好きな岩堀主任はどうなる?

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

「大丈夫?

大原君?

ボーとしながら運転してちゃ

危ないよっ!」

そんなことはさせない・・・

そんなことはさせないんだ・・・

岩堀主任は僕が守らなきゃっ!

助手席で脚を組みながら僕に

声をかけている岩堀主任。

長い葛藤のうえ、僕が導き出した

決断。

今はもう岩堀主任の言葉にも

大丈夫ですっ!

といつもの僕が発したようには

思えなかったであろう荒々しい口調で応える。

一瞬岩堀主任が驚いたような表情を

するが

「ふふふっ

あまり気負わないでね。」

といつもの淡々とした冷静な口調でポンと肩を叩かれた。

僕は目的地の木島様の住む弊社が管理し橋元不動産の

所有する物件のオルガノというマンションには向かわずに

曲がるべきところを曲がらずにそのまま直進した。

勿論どこに行くかなどあてはなかったがただオルガノにこのまま

行くわけには行かなかった。

「ちょっと・・・・

大原君。

停めて・・・・

やっぱり運転代わるわ。

あなた動揺してか意気込んでかは

解らないけど道を間違えても気づかない

くらい平常心を失っているわよ」

と岩堀主任がいつも僕を注意する

口調でため息をつきながら言うが僕は無視して

走り続けた。

「大原君!

ちょっと聞いてるの?

聞こえている!?

停めなさい大原君!

お客様との約束の時間に

間に合わなくなるわよっ!」

とついにいつも冷静な岩堀主任も

声を荒げだす。

当然だろう。

普通に考えれば今から弊社のミスを謝罪に

お客様の所に向かっている状態で道を間違え

約束の時間に間に合わないくらい違う方向へ向かって

暴走している。

気づけば車どおりの少ない防波堤沿いまで来て

海沿いを走っていた。

「はぁ・・・・・

ちょっと今から木島様のご自宅に

電話して少し遅れる旨を伝えるわ。

さらにご立腹させる事になるでしょうけど・・・

あなたにはまだトラブル対応の同行は早かった

みたいね・・・

私の判断ミスだわ・・・」

車を停めない僕に呆れて岩堀主任が

木島様に電話をして遅れる旨を伝えようと

するがそんな必要はないと思った。

僕は都心からかなり海側に離れてしまった

海岸沿いにやっと車を停めてスマートフォンを

取り出し案件票の木島様宅の電話番号を見て

いる岩堀主任に

「主任電話しなくて良いですよ!」

と大声で言ってしまった。

岩堀主任は僕の大声に一瞬ビクッと

なっていたが

「大原君・・・

何言っているの・・・

はぁっ・・・

ねえアナタ本当に大丈夫?

今日は朝からずっと変よ・・・

今連絡せずにこのまま遅れて

訪問しても謝罪の機会すらなくなる

かも知れないのよ・・・

解るでしょ?」

岩堀主任は呆れたように

しかしそれでも優しく諭すように

僕に1つ1つ確認しながら停車中

の助手席で脚を組み替えデスクから

いつも前に立たされて怒られている僕に

言うような格好で

「しなくて良いですよ!

行かないからっ!

行ったら僕も岩堀主任も

大変な事になるんですっ!」

僕は岩堀主任の前だけでなく社内でも

プライベートでもおそらくはこんなに大声で

叫んだことは大学時代に無理やり乗せられた

ジェットコースターに乗った時以来だっただろう。

岩堀主任は何が何だか解らないようなそれでも

冷静な表情で僕を見つめている。

「すみません・・・主任・・・

僕は意気込んでも無ければ

緊張も動揺もしていないです・・・・

わざと・・・・

わざとオルガノには向かわなかったのです・・・

すみません・・・

くびになってもかまいません。

でもこのまま岩堀主任をあんな奴らがいる

所に連れて行けない!!」

さっきとかわらぬ大声でまた叫ぶように

声を張り上げた僕を岩堀主任はただ冷静な

表情で見つめながら

「大原君・・・・

理由を・・・・

教えてくれる?」

と少しいつもより小さな声で

呟くように言いながら僕の方では

なく助手席の窓側の方を向いていた。

僕は昨夜水島主任代理に呼ばれた事。

水島主任代理がわざと二重請求になるように仕組んだこと。

水島主任代理に木島様宅で僕に暴力沙汰になるように

わざと殴り返すように言われた事。

木島様から出される条件が僕と岩堀主任のSEXだという事。

橋元社長にも会った事。

3人が元々グルで今回の二重請求の一連のトラブルは

岩堀主任を橋元社長が裏で売っている素人物の

AVに隠し撮りして出演させ売ろうとしていた事が

目的である事。

水島主任代理の異様なまでの岩堀主任への敵愾心。

そして1度はその水島主任代理からの要求を受け入れ

今日車に乗るまでは僕もその気でいた事も・・・

昨日知った事を全部話した。

途中岩堀主任の元々白い肌が青ざめて行き

いつも冷静な岩堀主任の表情が不安そうな表情に

なり落ち込んでいるのか怯えているのか解らない

表情や少し顔をしかめ嫌悪感を示す表情など全て

初めて見る岩堀主任の顔だった。

僕の真剣な表情から岩堀主任はこの突拍子もない

話が今日の僕の行動からも信じれるものだと感じたのか

途中で一言だけ

「君がBARで水島主任代理と居るのを

私の友人の常盤広告の中島さんが見たと

言っていたけどその話をしていたのね・・・」

と言いその後に全て辻褄が合うね。

とも言った。

そして全てを話し終え息を切らして何故か

涙が止まらない僕に岩堀主任は聞いた事も

ないような大声で

「そんな事っ!!

何故私に言ったの!!

橋元社長が絡んでいるのでしょ!!

大原君っ!あの人にっ

あの人にっ1度は承諾したんだよねっ!

だったらどうして私に話さずにそのまま進めなかったの!

あなたが危ないのよっ!

水島主任代理の事はまだ解らないけど・・・

あの橋元社長はね・・・・

本当に怖い人なの・・・

あなたあの人を裏切るとどうなるか・・・

もうっバカっ!」

岩堀主任がこれほど取り乱す橋元社長とは

それほど怖い人なのか・・・

でも自分を一瞬でも陥れようと

した僕に怒らずに橋元社長や水島主任代理の

事を裏切った僕の身を案じて怒ってくれる岩堀主任を

見て僕は今日木島様が待つオルガノに行かずに本当に

良かったと思った。

後悔はしていない。

「岩堀主任を困らせたく無かったのです・・・

警察に言いましょう!それか部門長に相談するか・・・」

「私を困らせたくないっって・・・

ありがとうね・・・・大原君・・・・でもね

今の話しだけだと警察はまだ何も起こっていないから

取り合ってくれないわ。

良くてわざと二重請求にした水島主任代理には

何らかの音沙汰があるかもだけど・・・

それもウチの社内だけでのペナルティね・・・

それより問題は橋元社長よ・・・

私も詳しくは知らないけど・・・

弊社としては良いお客様だし私も何度か

会っただけだけどあの人自分に利がある

人には凄く良い人だけど・・・

裏切ったり敵対する人にはどんな報復をするか

解ったものじゃないのよ・・・

それに殆ど自分じゃ何もしなから・・・

今まで何度も警察にマークされながらも

一回も捕まっていないし逆に疑った警察が責任取らされ

責められたりと・・

そんな人なの・・・もうっどうして私に言ったりしたのっ!」

岩堀主任は本気で僕の心配をしてくれている。

橋元社長は怖い人だと思う。

今岩堀主任の話を聞き僕もそう思ったでも

僕はそれでも岩堀主任を陥れる様な事に

加わらなかった事に後悔はしていなかった。

「僕は・・・・・

僕も岩堀主任に言われるまでも無く

橋元社長が怖い人だとは思っていました。

昨日会っていますし・・・

何となく裏の人だと言うのも解ります。

それでも・・・・

それでも・・・・

昨日断れなかったことを後悔しました・・・」

「それはそうよ・・・

あの人に頼まれたら・・・

君のような若い子は首を縦に振るしかないし

水島主任代理の話に乗った君を責めたりはしないわ」

「違うんですっ!

僕が断れなかったのは・・・・

水島主任代理や橋元社長が怖かったからじゃ

ないのですっ!」

「えっ?

じゃぁお金?

お金ってそんなに大きな金額積まれたの?

それでも仕方ないわよ。

お金はある程度人の心を・・・・」

とまだ話している岩堀主任の言葉に

被せるように僕が叫ぶ。

「お金なんて1円もいらないですっ!

僕はこの計画に乗れば・・・

岩堀主任とSEXできるとっ・・・

水島主任代理にそう言われたからっ!

それだけが目的で引き受けてしまいましたっ!

だって・・

だって・・・・・

僕は岩堀主任が好きだから・・・・

ずっとずっとそういう目で見ちゃいけないと・・・

結婚されているし上司だし・・・・

そう思っていましたっ!

だから僕の願望なんかかなうはずないっ

でも水島主任代理がっ・・・・・・・うぅ・・・

本当にすみませんでしたっ!

僕をくびにしてください!

本当に・・・何故昨日断れなかったんだ・・・・うぅ・・・

でもそんな好きな・・・

大好きな岩堀主任を困らせるのは、嫌だったんですっ!

だから僕はどうなっても良いから岩堀主任を・・・

岩堀主任を救いたかった・・・

何も解らないうちにあんな卑劣な人達に陥れられて・・・

知らない間にAVに出さされるなんて・・・我慢できなかったんですっ!

そんな形でそんな卑怯なことして僕は岩堀主任とSEXできたと

しても嬉しくもなんともないっ!!」

僕は泣きながら大声で心の中にあったものを全て吐き出した。

岩堀主任は数秒無言で・・・

「大原君・・・ありがとう・・・ごめんね・・・・辛かったね・・・」

と言い僕の手を優しく握ってくれて

バッグからハンカチを出し僕の涙を

拭いてくれた。

そして一言

「運転代わるね・・・

もうオルガノには行かないから安心して」

といつもの岩堀主任に戻ってそう呟いた。

僕は無言で頷き運転席を岩堀主任に譲りハンドルを

委ねた。

岩堀主任は無言で車を走らせ僕はこのまま

帰社してこの後どうなるかが心配ではあったが

ニ重請求問題が水島主任代理の故意によるものだと

解ったのでそのことで事が大きくなっていても後は水島

主任代理に責任を取って貰えば良いと開き直っていた。

道中無言で車を走らせる岩堀主任が途中コンビニに寄り

少し待っていてというからお手洗いかなと思っていたら僕に

缶コーヒーを買ってきてくれて

「沢山涙流したから水分補給しなさい。

あっでもコーヒーじゃ水分補給に

ならないんだっけ?」

と缶コーヒーを手渡された。

僕はありがとうございますとお礼を言い

缶コーヒーを飲みながら平安住宅本社へ何故か

向かわない岩堀主任に

「主任・・・・

道違いますよ・・・」

と伝えると岩堀主任は滅多に見せない

笑顔で

「君の暴走が移っちゃったかな?」

と笑顔で助手席に座る僕を見て

可愛い!

年上にこんな表現おかしいけどっ

やっぱりコンタクトの主任が良いっ

笑えるんだこの人・・・

僕は橋元社長と水島主任代理を

完全に敵に回すことになったがこの人を

守れたならそれで良かったと主任の笑顔を

見て再確認した。

しかし岩堀主任何処へ行くんだろうと

思っていると平安住宅のある都心とはかなり離れた

町にあるホテル街へと着いていた。

「主任・・・・・・・」

「ねえ・・・・大原君・・・

私、何でも最初から諦める子に

君を育てた覚えはないよ。

それにね・・・・

こんな堅物のどこが良いのか

解らないけど私あんなにはっきりと

SEXしたいと言われたの初めてだよ。

もう驚いたな本当に・・・・・

お金よりも圧力よりもそれが目的で

あの人たちの悪だくみに加わったなんて・・・

でも・・・

ありがとう・・・

あっ入るね?ここで良い?一応許可は取らなきゃね・・・」

嘘だろ?

あの岩堀主任からまさかラブホテルに誘われる

日が来るなんて・・・・

うお~!!!!やはり正義は勝つんだ!

と思いながらもドギマギしていると

「えっえっ主任・・・・」

「あれ?こういうデザインは好みじゃないかな?

私もあまり来た事ないからごめんね。

違う所にする?」

いやそういう問題じゃなくて何か仕事中みたいに

普通だし主任・・・

「あぁ・・・はいっ!

ここでっ!ここで良いですっ!

ここが良いですっ!」

と主任の気が変わらないうちに僕は応えたら主任は

「そう」

と笑いラブホテルのカーテンをくぐり車を駐車場に停めた。

「あのね・・・・

お礼になるかどうか解らない

代物で申し訳ないんだけど・・・

本当に大原君が思っているほど

良くないと思うよ私・・・・

それと私こういう事事態・・・・

久々だから・・・

ちゃんとできるかどうか

解らないけど・・・」

といつも自身満々の岩堀主任がうつむき

恥ずかしそうな表情で立て続けに話してくるのを

見て可愛いと!

また思ったが異常に緊張してきている僕がそこに居た。

そして

「大丈夫ですっ!十分すぎるお礼になりますっ!

本当はお礼何て求めていませんがっ!!

それに岩堀主任は素敵ですからっ!」

と言った声が裏返り

岩堀主任は

プッと吹き出すように笑い

「ありがとう大原君・・・

あっ一応・・・・・・・

私主人も居るから・・・

この事は口外しないでね。

というか今から数時間は記憶を

消しましょう。

それと避妊だけはお願いね。」

とここまで来ても業務的な口調の主任を

本当に愛おしく思い今日少し見せて

くれた岩堀主任の仕事中とのギャップを

もっと見たという欲求に駆られ僕は

「はい!勿論です!」

と車を降り岩堀主任の手を引っ張り

部屋選びのパネルのとこまで急いだ。

「こらこらっ

焦らないの・・・」

とうつむきながら恥ずかしそうに

付いて来る主任が本当に愛おしかった。

比較的シンプルな部屋を選びエレベーターに

乗ると2人共無言で鼓動の音が聞こえるくらいの

昼過ぎのラブホテルのエレベータが選んだ部屋の

3階に着いた。

《第3章 愛情の伴わない快楽の怖さ 第5話 迷いそして。。。大原良助 終わり》









第3章 愛情の伴わない快楽の怖さ 第6話 氷の女が溶ける時 岩堀香澄

私は今ホテルに居る。

ホテルと言っても天井が鏡になっていて

照明が赤いようなピンクのような私の

肌が桃色に映るような照明で所謂

ラブホテルと呼ばれる所だ。

勿論33歳で既婚者である私は初めてきた

訳ではないしこの年になればラブホテルの

1度や2度は来た事がある。

しかし今私の胸の鼓動は激しく脈打っている。

一緒に来ているのが私の部下の大原君であるから・・・

そして私から誘った。

私は結婚して子供も居る身、勿論結婚後に主人以外の

男性とこのような場所に来たのも初めてであるし

自分からラブホテルへなど誘ったのも初めてであった。

今、部下の大原君は私以上に緊張していたようで

ホテルに入りしばらく2人してソファに掛けながら

お茶を飲んでいたが彼は緊張に耐えかねて

「主任・・・

僕先にシャワー浴びて来ます!」

とバスルームに消えていった。

彼が居なくなり1人部屋に残された

私が今度は冷静になっていくに

連れ逆に緊張してきていた。

しかも今はまだ仕事中の時間である。

以前の私なら考えれない行動だ。

いや・・・

昨日の私でも考えれない行動である。

しかし・・・・

今日の一連の大原君の暴走?

いや正しい行動を彼は取ったと思う。

私が大原君の立場でもあの土壇場で・・・

自分の上司を守るような事ができたか・・・

後で彼が泣きながら語った理由は

私を好きだと・・・

彼は言った。

そして私とSEXがしたかったから

水島主任代理の口車に乗ってしまったと・・・

彼の行動の基準の指針が常に私であった事が

正直嬉しかった。

どれだけ彼に私の感謝が伝わったか

解らないがそれならば彼があの純粋な大原君が

水島主任代理に・・・

もう彼はそう飛ぶべき人間ではない・・・

あの悪魔のような男にいけないと解っていても

私を抱きたい一心で首を縦に振り、土壇場でやはり

純粋さが正しい心が勝ちその見返りを反故にした

のであれば、その見返りの部分だけでも

差し出してあげようと思った。

正直私にそれ程の価値があるとは思えないが・・・

その一面にのみ自信がなく今このように

ソファに座る私の脚が揺れるほど震えているのだ。

正直最近・・・

最近どころではなく子供を出産して以降

主人の浩二君とも数えるほどしかなくここ

三年くらいに限っては全くと言って良い程

そういう事が無かった。

私はそれが普通なのかなと思っていたが

2人目3人目を出産している人も居るのだから

ウチのような夫婦をSEXレスというのだろう

と思っていたが別にそれが不満と思う事も

無かった。

その間、繁華街でどう見ても20歳そこそこの子や

仕事関係の方や元賃貸部門の主任の上妻さんからも

明らかにSEX目的のような言葉で

誘われることもあったが興味が無かった。

そのSEXそのものに興味を失った期間が今ここに

居る私にそのギャップから部下である大原君に対し

遅れを取るのではないか?

ちゃんとできるだろうか・・・

本当に彼のあのふしだらではあるかもしれないが

純粋な思いに応え満足させれるのか?

という不安を感じさせる。

私も主人と付き合う前には人並みに男性とは付き合ったりも

してそれなりに経験はあるつもりだが皆口を揃えマグロや

不感症と言われて来た。

唯一言わない主人は前戯を合わせても10分も行為に至らないので

私のSEXに対しての知識やテクニックというものがあるのであれば

そのテクニックは磨かれる事は無かった。

その理由も1人の人と長きに渡りSEXをすることが無かったからだ。

私は主人と付き合う前に付き合っていた男性は皆年上で仕事が

【できる】

というタイプのような男性ばかりだった。

そういう男性と付き合うとどうしても意見がぶつかった時に

お互いが譲らない。

それを私が論破しようものならもう恋人同士では無くなって

しまうというパターンでそれまで付き合って来た人たちとは

ほぼ数か月で別れることばかりであった。

そんな中初めて付き合った年下の男性の主人は

優柔不断な所もあるが私と口論になる事も無くほぼ尻に

敷いてしまったような感じになっているがどうやら尻に敷かれる

のが楽で尻に敷かれるのが好きなタイプの主人とは上手く行って

結婚までいったのである。

(どうやら私は年下の真面目な子の方が合うのかな?)

主人と付き合いだした時にそう思った。

そして主人とどことなく似ている大原君の教育担当に

なったのも私が内心年下の男性を手なずけるのに自信が

あったからである。

しかしその大原君がまさか私を車内で言った様に思って

いたとは正直驚きもしたが嬉しいと思っている自分自身に

驚いた。

今まで私から男性を誘った事など結婚する前から数えても

1度も無かったのに今ここに居るのは少し変わっているが信用は

していた水島主任代理の本性を知り、彼らが企んでいた計画に

ショックを受け混乱していたのもあるが混乱していたからこそ私の

内に秘めたる何かが大原君を誘ってしまったような気がする。

今ここに居る理由を冷静に分析していると大原君がバスルームから

出て来た。

スーツの上着こそ脱いでいるが律儀にYシャツとスーツの下を履き

靴下まで履いたままの姿で出て来た所に彼らしさが伺える。

今までもこんな大原君の姿に私は癒さていたのかも知れない。

仕事を離れ彼を見てみるとそう思う。

そして今主人も居る身で子供も居る身でありながらこの場所に

居る事に自然と後悔や罪悪感は無かった。

「あっ・・・

僕シャワーしか使っていないですが・・・

一応湯船にはお湯を張っておきましたのでっ

岩堀主任も入って来てくださいっ」

私は彼を見ながら笑顔で

「ありがとう・・・・・

色々な意味で本当にありがとうね・・・」

私はそう言いながら組んでいた足を揃え

ソファから立ち上がりバスルームへ向かう。

「岩堀主任の部下になってから

そんな笑顔初めて見ましたっ

主任こういっちゃあれですが・・・

笑っている方がめちゃくちゃ可愛いですよっ!

年上の人にこんな言い方失礼かもしれませんが・・・

あっ僕は勿論冷静に怒っているあの岩堀主任も

大好きですっ!」

「ププッ

もうっ大原君ホントに失礼よ・・・・」

「えっあっなんかすみません・・・・つい・・・」

「ううん。

でもありがとう・・・・

可愛いなんて・・・

言われたの子供の時以来かな・・・・?

綺麗とかならたまにあったけど・・・」

と私は振り向き返しながら

「じゃあ・・・・・

私も入って来るね・・・・

あっえ~と・・・

本当にがっかりさせたらごめんね・・」

とまるで仕事を任され自信jが無く

出来なかった時の言い訳をする感じで

私は最後にそう付け加え脱衣場に入った。

脱衣場に入った私に

「絶対ガッカリなんてしませんからっ!!」

と大原君の大声が余計に私のハードルを上げる。

私は鏡を見ながら高鳴る鼓動を意識し

水色のブラウスと白のタイトスカートを

脱ぎパンストから片足づつ両足を抜き取ると

上下お揃いの黒地の無地のシンプルな下着だけを

身にまとった鏡に映る私の身体を見る。

明らかに子供を産んでいるのが解るよね。。。

だって・・・

誠帝王切開なんだもん・・・・

とお腹にある帝王切開の後を手でなぞりながら

黒のブラジャーと黒のショーツも脱いでいき

本当に久々に自分の全裸を見て

太ったかな?

大原君には部屋の照明を暗くしてもらおう。

と思いながら私はバスルーム入った。

後ろで1つに束ねている肩より少し下に届く

くらいの黒髪を濡れないようにテール部分を

持ち上げ洗面台の所に設置されてあったヘアピンで

止めると首から下をシャワーで念入りに洗う。

全身を洗いながら股間に手を当ててみると信じられない

事にシャワーで濡れたのとは明らかに異なる湿りを感じた。

(私・・・濡れているの?

こんなまだ行為に至る前から

濡れているのなんて初めて・・・)

私は自分の陰部から湿りを感じた事により

私は大原君を求めていたのかも知れないと

思い始め高鳴る鼓動はさらに早まり身体の

芯に熱が帯びて行くのを自覚した。

私はせっかくだから大原君が入れてくれた湯に

浸かりこんな時間からお風呂に入るのは久々で

羽目を外し過ぎている自分自身の中から

何か色々なものがふっきれていく気がした。

身体が湯により湯以外のものでも温まって

いくのを感じ、私は湯船から出て脱衣場に戻る。

身体を丹念に吹いてから鏡を見て手入れなど

した事はないが特に乱れてもいないよね?

とアンダーヘアのチェックをすると拭いたはずの

私の女性器からまた湿りを感じ明らかに体内から

湧き出てきているものだと解り誰に見られたわけでも

無いのに羞恥心を感じる。

自分でも恥ずかしいと思うと私こんな表情をするんだと

鏡に映る自分が平安住宅賃貸部門の主任である私と

同一人物であるのかと思える程私自身の変化に驚く。

そのまま私は上下お揃いの黒の下着に身を包み、

大原君と同じようにホテルに設置されているガウンは

着ずに水色のブラウスと白のタイトスカートを身に着け

パンストを履こうとしたが湯上りの私の最近肉付きがよくなって

来た足がなかなかそれをさせてくれずに・・・・

パンストは・・・・まあ良いか。

と思いそのまま大原君がソファで座って待っている

ベッドルームに戻った。

「お待たせ~」

いよいよこの後は・・・・

都合3年ぶりくらいになる行為に進むのか・・・・

それも9歳も年下の自分の部下でもある彼と・・・

と考えるだけで一度は落ち着きを取り戻していた

私の胸の鼓動の高鳴りが再加速してきた。

《第3章 愛情の伴わない快楽の怖さ 第4話 氷の女が溶ける時 岩堀香澄 終わり》






第3章 愛情の伴わない快楽の怖さ 第7話 それでも計画は続く 木島健太

大原と香澄がこの町から少し離れた海岸通り

を抜けた繁華街にあるラブホテルに居た頃、

自宅に謝罪に来るはずの大原と香澄がいくら待っても

来ない事に腹を立て木島は義理の兄の橋元に連絡をしていた。

橋元は一言

「計画通り行かないから

また別の面白い計画も

浮かんでくるのさ」

と余裕の笑みを浮かべている声色で

すぐに行くと木島に伝え、橋元は水島にも

連絡を取り今3人は木島の住む、岩堀香澄と

大原良助が謝罪に来てこの場でSEXをする

はずであったオルガノというマンションの208号室に

居た。

「まさか・・・・

あの大原が裏切るとは・・・・

社長すみません・・・

私の読み違いでした」

この男俺の兄貴のコバンザメをしている

が中々役に立つから置いていてやっているが

ここに来て読み違いとは言い訳も甚だしい。

元々気に食わない奴だったが兄貴は奴を異常に

評価しているのが俺には解らない。

「まあまあ

水島さんそう悲痛な表情を浮かべなさんな~

私もあの大原と言う小僧・・・・

アンタがあのべっぴんの広告会社の

お姉ちゃんと楽しんでいた時に話をしたが

ここまで肝が太いとは思わなんだ。

アンタが読み違えるのも仕方ないわな~」

「しかしっ!

兄さんこれであの女・・・

平安住宅の岩堀か?

あの女撮るのが難しくなったぜ!」

俺は過去に一度このマンションに仕事で

来ていた岩堀と言う女を見たことがあるが

それはそれは良い女だった。

あのツンと澄ましたような表情にプライドの

高そうな眼鏡も似合っていてああいう

【私はできるのです】

と顔に書いて歩いているような女を

めちゃくちゃにしてやるのが俺の性癖

でもあったので

今回の件も俺がクレームにかこつけて

あの女を抱きたいと兄貴に言ったが

ああいう女は自分の部下のような奴に

抱かせてプライドをへし折るのが見ものだと

俺の提案は却下された。

しかもああいう女は相手が若ければ若い程

作品としては面白いのだと兄貴は言う。

しかし結局兄貴は水島の計画で行くことに決めたが

失敗したではないか。

「社長・・・

そう言って頂けると助かりますが・・・

ここに来なかったという事はあの大原が

岩堀に計画の事や社長や私らの裏の商売の

事も話している可能性がありますね・・・」

「話しているでしょうな~

まあ大原の口は私が封じましょう。

問題は岩堀ですな~

あの女が大原から聞いた事を誰に話すか?」

「私の二重請求を捏造した事に関しては

まず部門長の上妻でしょうね・・・

しかし社長にその上の中崎専務辺りに

上手く圧力をかけつつ口を利いて頂ければ

後は私がこの二重請求を職務を投げ出した

岩堀に代り解決した事にして逆に岩堀に貸しを

作れます。

そうなれば例えその後上妻に岩堀が何を言おうが

自分のミスや職務怠慢を人になすりつけようとしている

という絵が画けます。

先にそこまでの手を打っておいて私は岩堀が大原から何も

聞いていないと決めつけ接します。

そうすれば岩堀も上妻に話す事すらしないでしょう。

万が一話してしまった時の為に上妻を抑えるよう社長に1本

ウチの中崎辺りに連絡を入れておいて頂ければ後は問題ないですよ。

それに二重請求問題は私が残りの顧客も当たり何とかしますから

それを社内では岩堀と大原が解決した事にしておけば帰社した岩堀も

何も言えんでしょう。」

この悪知恵はどこから出て来るのか?

俺はこの水島という男の悪知恵がこの先俺たちを

裏切り兄貴や俺に向いた時は真っ先にこの俺が

奴を始末してやると決めていた。

しかし兄貴は

「ほうほう。

それは見事な絵ですな~

それで行きましょう。

中崎さんには今から私が1本電話を入れておきましょう。

上妻さんから万が一もし何か面白い報告を受けたらうまくごまかす

ようにでも伝えておきますかな。

しかし水島さんが早速動いてくれるなら上妻さんから中崎さんに話が

上がってくることもないでしょう。」

「ええ。

そうなるとは思います。

仕事が第一の岩堀・・・

覚悟があっての行動でしょうし

私の悪事を明るみにすれば事は

済むと思ったのでしょうがそれを

したところで自分の言葉は誰も信用しないと

解って騒がなければ今の立場も守れるのだと

知ればあの女も騒がんでしょう。」

「そうなればあとはあの思っていたより

肝の据わっていた大原君ですな~

彼は張とマイクを使います」

橋元がスーツの内ポケットから

扇子を取り出し仰ぎながら

「兄さん!

奴等を・・・・

何もそこまでしなくても・・・」

兄貴が言った2人の外国人。

1人はアジア系マフィアで今は

兄貴の仕事の後処理みたいな

事や邪魔者の排除を手段を

問わず跡形も残さずにやってのける

所謂プロ。

マイクはボクサー崩れでこの町に

流れ着いた浮浪者同然であった所を

兄貴に拾われ今は兄貴のボディーガード

や張の仕事の手伝いなどもしていて兄貴が

売っている素人物の裏のAVにもたまに

女を犯す役で出てもいる。

この2人を使うという事は大原と言う男は

ただの口封じでは無く非常に辛い目に合う事に

なる。

しかし最近俺や水島の周りにまで府警の私服警官が

うろつきだしているのが気になり俺は兄貴の為を

思い今回に関してはあまり事を荒げるべきではないと

思っていた。

「健太。

お前も私の後を継ぎたいのなら

先々の不安は微塵も残さない

私のやり方をよく見ておきなさいよ。

あの大原と言う男。

予想以上の肝を見せてきた。

ああいう男は野放しにしておくと

今後色々邪魔になってくるのだよ。

早々に動けなくしておいた方が

私達の為なのさ。」

向かいで深く頷く水島が俺を苛立たせる。

その水島が

「社長・・・・・

仰る通りで・・・・

大原の事はお願いします」

とコバンザメぶりを発揮する。

「しかし兄さんっ

最近俺らの周りにまで府警の

私服警官がうろついてるんだぜ!」

「健太~

彼等には何もできやしないよ~

それに良い被写体が2人程いるね~

あの私服警官なかなか上手そうな体

してたでしょ~?」

「はぁ!?

なっ何を・・・・

相手は警官だぜ!

そんな女どうやって・・・

水島さんっアンタからも

何とか言ってくれよっ!」

少し無言で考え込んでいた水島が

「・・・・・・・・・・・

社長・・・・さすがにそれは

・・・・それとも社長は府警本部にまで

裏のコネクションがあるとでも・・・」

「がははははっ!

さすがに私の参謀の水島さんは

鋭いですな~

まあそのあたりは心配無用と

だけ申し上げておきましょう」

「・・・・府警本部にまで・・

マジかよ?兄さん・・・」

俺は我が義理の兄貴ながら

この人の怖さをまた再確認した。

そしてこの人に付いて行けば俺は

一生金と女に困らない生活が送れると

思い身震いし一生この人に付いて行こうと

思った。

《第3章 愛情の伴わない快楽の怖さ 第7話 それでも計画は続く 木島健太 終わり》





筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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