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第9章 歪と失脚からの脱出 25話 元弱者の野望

第9章 歪と失脚からの脱出 25話 元弱者の野望

菊一三銃士が、紅音から命じられた任務の末、まさかの超強敵の髙嶺六刃仙と出くわしていた頃、この男は以前から常々考えていた己が野望を叶えるために、今や宮コーの特に宮川佐恵子派のアドバイサー的存在として、今は神田川真理のほぼ帰宅しない府内都心の個人所有のマンションの一室で世話になっていた栗田教授に会っていた。

このグランドハイツというマンションは3LDKで、通常はそこそこの家庭が家族で住んでいて、過去は今は宮川アシストに席を置く岩堀香澄も主人と子どもと3人で住んでいたマンションである。

そのグランドハイツの707号室で今、持ち主である神田川真理以外の2人の男が、寝室で居た。
1人は冒頭で挙げた栗田教授で、もう1人は今や宮川アシストの代表取締役という系列会社の社長に降格となった佐恵子のボディガード兼雑用係として真理が送り込んだモブこと茂部天牙である。

『モブ君。私はかまわないのだがね。これくらいの手術は、メスなどなくても十分行えるし、麻酔がなくとも君に痛みなど与えることもなくこなせる自信はあるのだが・・・君のこの部分を大きくするという事は決して良い事ばかりではないのだよ。』

『かまいません教授!教授のような元々でかい人には短小の辛さがわかんないんすよっ!それに俺は・・・(社長や岩堀部長と最近、美人と出会う機会も増え、真面目に働いているしきっと好印象を持たれているのでいつこの短小野郎を使う機会が来てもおかしくない!?)その・・・ここがでかけりゃもっと自信が持てると思うんです!』

神田川真理所有の、今は栗田の為に1つ追加で用意されたベッドに、全裸の若い男、モブが横たわりその隣にゴム手袋をした初老の紳士、栗田教授にそう返す。

『そうかね。まあ・・・確かにこの部分の良し悪しで女性の男性に持つ印象というのは確かに変わりますからな。モブ君の気持ちは良くわかります。しかしモブ君、今から私が手術を施す条件として、君に1つ約束をしてもらいたいことがあるのだが大丈夫ですか?』

『やっ・・・約束っすか!?はい!できる事ならなんでもっ!』

『いや・・・約束というのは、紳士たるものなら当たり前の事なのですがね。君もこれからは、レディにはいかなる理由があっても暴力を振るわないと私に誓って欲しいのですよ。ただし、君や君の守るべき人の命を狙うような相手は例外ですけどね。』

『はい!そんな事あたりまえやないですかっ!俺は社長の身を守るために雇われたんすからっ女性に暴力何てふるうわけないですしっ・・・それに・・・今俺の周りに居る女性は、宮川アシストの事務員さん以外は、仲良くしてくれてる方々はみんな俺より数段強いんすよっくそっ・・・』

今はかつての不良時代の影は潜め随分と、佐恵子や香澄の影響も受け、社会人としての心構えなども鍛えられ、真理や加奈子の稽古(リンチ)により心身ともに強くなってきたモブではあるが、そんなモブも自身が強くなるにつれ、周囲の能力者の強さが解るようになり、己の無力さを思い知らされていた。

そんなモブが純粋に望んだものが、せめてもの抵抗にいざという時に行為に至るような幸運に恵まれたときに、女性を快感に導けるほどの男性器でありたいと強く願い栗田教授に相談に来た結果、今から施される増茎手術に至ったのである。

『それではモブ君。始めますよ・・・う~ん、しかし君は・・・見れば見るほどに小さいねこれは。うん、これはいけませんね・・・しかし、この矮小な一物とも今日でおさらばですからね。3倍の24cmくらいにはなるでしょう・・・では私の指刀メスで・・・痛みはかんじませんからご心配なく・・・あと股間にかなりの熱を感じますが、それは我慢してくださいね。』

栗田が指刀でモブの男性器の包皮を切断していくが不思議と痛みを感じないのは、あらかじめ麻酔に類似するオーラをモブの下半身へ流し込んでいたからである。

『っす!熱いのも痛いのも、でかなれるのならいくらでもっ!』

そしてモブの増茎手術は進んで行き・・・













30分ほど経過したときには、すでにモブの男性器は過去の8cmほどしかなかった子供のような男性器から、24cmを越える立派な男性器へと生れ変わっていた。


『熱いっす!熱いけど自分のチンポに重みを感じる事なんてはじめてっすよっ!うっうぉぉぉ教授勝手に勃ってくるんすけどっ!』

栗田の神技により、生まれ変わった自分の男性器を眺め、モブはさぞかし満足げにしかし興奮がおさまらないようである。

『まあ、これでモブ君自身が自分に自信がもてるのなら結構なことです。(ついでに君の身体のオーラの流れも良くしておき、五感強化と君に相性の良さそうな能力をいくつか付与しておいたので、あとは努力しなさい。あっしかし、SEX快感増加の能力は付与しても使う相手がいなければ宝の持ち腐れかもね・・・まあ男の部分は自身で磨くしかありませんからな)ふふふ・・・ははははっ』

そんな事を考え1人笑う栗田を、やっとベッドから起き上がり服を着終えたモブが、

『教授!あざしたっ!これで俺もマーベラスに生きていけます!(社長に岩堀部長とやれる日がきたらこのデカマラでガンガンつけるぜ!)』

と彼のもてる最大限の礼儀作法で頭を下げると、神田川真理のマンションから勢いよく立ち去っていったモブ。

しかし、この日栗田がモブに施したのは、男性器のサイズアップなどほんのおまけだと思えるほど、モブ自身が持つ潜在能力を引き出していたのであった。

この日を境に、モブの宮川アシスト、ひいては宮コーでの存在は大きく変わり、佐恵子派の人間にとっては思いがけない戦力アップとなり彼自身が求めていた巨大化された男性器を奮う機会に恵まれていく幸せを彼自身も今はまだ半身半疑であったはずである。

そしてこの日、モブは自宅へ帰り納まりのつかない術後の男性器で一通り社内で出会った女性たちを想像しながら自慰を試みて、今までよりも勢いよく発射した白濁が彼の寝室の天井に到達してしまった事に驚き眠りについたのであった。


~同時刻・・・岩堀香澄の住むマンションでは~

そしてそのモブに性的な対象として見られているとは気づいていな2人は今偶然にも、岩堀香澄のマンションで一緒にいたのだった。

三出光春の能力で周囲には三出ことモゲが哲司、そして哲司がモゲだと認識される状態で、お互いの恋人、佐恵子と千尋と過ごし、お互いの恋人関係に進展を求めた事により、モゲを哲司だと思い込み、SEXをしてしまった佐恵子は香澄のマンションにきてすぐに浴室を借りていた。

モゲの能力や、性技をふんだんに使われての行為は、佐恵子に相手が哲司だとしても、受け入れがたいものがあり、ただ哲司への恋心、初めて出会った時の哲司の好感度により耐えることができたが、哲司だと思い込んで(思いこまされ)ていたモゲが佐恵子の股間に施したビー玉という呪縛は、自分自身で取ろうにも中々取れずにいた。

香澄のマンションの浴室内にある鏡を見て、自分自身につけられてある白い肌に食い込むような縄目の後を見て、今夜起きたことが現実だと改めて思い知らされる佐恵子。

(哲司さま・・・わたくしは、何をされても哲司さまをお慕いする気持ちはかわりませんわ・・・しかし、しかし、今日の哲司さまは、本当に哲司さまでしたの・・・?)

そう思いたくもなるほどの、モゲの責めにほぼ性経験が無いに等しかった佐恵子には受け入れがたいものであったのだ。

そして、佐恵子は自分の指で、モゲに注入された膣内のビー玉を取ろうと努力したものの、取ることは叶わず、一通り身体を流し終えると、バスルームの脱衣場に香澄が用意してくれていた、バスローブを羽織り香澄が待つリビングへ戻った。

香澄は、浴室から戻った佐恵子を見ても、まだいつもの佐恵子の様子とは明らかに違う事に、香澄が佐恵子が深夜に自分のマンションを訪れた時に感じた嫌な予感が的中しているのではないのかと、鼓動が激しくなってくる。

香澄自身、つい数か月前に不本意ながら、したくもない相手、それどころか忌むべき相手でもある水島という男に半ば無理やり性交渉を強いられた経験があるので、今の佐恵子の表情や腰のふらつき具合、そして脱力感などからあの時の自分に重なるのだ。

『社長・・・』

『あっ・・・あぁ・・・香澄、本当にごめんなさいね。こんな時間にお風呂まで・・・』

バスルームから戻った佐恵子は力なくそう言うだけで、その後はソファに浅く腰をかけ無言でどこを見るわけでもなく、うつろな表情であった。

(社長・・・やはり・・・これは、見ず知らずの行きずりの相手か・・それとも敵対する企業や、組織の誰かにか・・・激しいSEXの後のような、そんな感じがしてならない・・・しかし、今の社長にはそんな事きけないし、私に何かしてほしい事があれば・・・社長から言ってくれるよね・・・今日はゆっくりお休み頂こう・・・)

香澄は内心でそう思い、佐恵子に自分のベッドで寝るようにと即したが、佐恵子はここで休ませてもらうわとソファで寝ると頑なに言うので、香澄も佐恵子の向かい側のソファで一緒に休むように伝え、寝ていてもかまわないので何かあれば起こして言ってくださいと伝え眠る事にした。

『・・・ありがとう・・・香澄・・・感謝します』

と言ってくれた社長の声が、何か不安と寂しさが混同したように感じた事が、香澄には自分の予想は間違っていない、明日からは似たような経験のある自分が誰より社長の支えにならなければと誓うのであった。

【第9章 歪と失脚からの脱出 25話 元弱者の野望終わり】26話へ続く

第9章 歪と失脚からの脱出 26話 達人5人とバカ1人


第9章 歪と失脚からの脱出 26話 達人5人とバカ1人


もうもうと立ち上がっていた砂ぼこりを海風が攫い、ひと際高い波が岸壁に打ち付けた時、3人の姿は完全に露わになった。

沙織の灯した礫の明かりが、3人をぼんやりと照らす。

「・・・っ!?」

髙嶺の三剣士は、眼下の3人を視認したとき、皆一様に美しい顔をしかめ、目を細めて声にならない声をあげた。

香織の攻撃を受け、3人の男達はダメージを負っている。

海水に濡れ、顔はホコリで汚れ、頭や顔には出血が見て取れるのだが、髙嶺の三剣士たちにとっては香織の技を受けているにもかかわらず、生きていること、しかしそれよりも問題なのは・・・。

「なっ・・?なんであいつら服を着てないわけ?!」

沙織が崖下を指さしながら、目を見開きファーを顎の下に下げて、奈津紀と香織に聞く。

「・・・・さ、さあ?わかりません。私の方が沙織より来るのが遅かったのですよ?最初から着てなかったのでは?どうなのですか?香織?」

奈津紀も崖の下で、どう見てもダメージを受けているっぽい筋骨隆々の男3人が、無駄に肉体をアピールしているような格好でポーズをとっている異様さに、奈津紀にしては珍しく冷や汗を頬に伝わせて、隣の香澄に聞いている。

「いえ、着ていました・・。しかし、なぜ・・?特に貴方!」

他の二人はともかく、最初に攻撃を仕掛けた頭髪の少ない男は、何故か全裸で完全にポージングをしているのだ。

香織が指さしたのはもちろんモゲである。

「なぜ言われてもな・・。あんなピッチピチのスーツ着てたから肌と服の間に、砂利やら割れた石の破片が挟まってチクチク痛かったから脱いだんや!お前のせいやぞ!?痛ったいし服もボロボロにしやがって!・・・その上にや、あんた一人だけズボン履いてからに・・ほかの二人見習わんかい!」

モゲは、いわゆるフロント・ラットスプレッドというボディビルダーの規定ポーズに近い恰好で、髙嶺の3剣士を見上げるようにして立ち、勃っていたのだが、逆に香織を指さし怒鳴り返した。

叫んでいる全裸男の世迷言を無視し、奈津紀は眼下でポーズをキメる三人の筋骨を冷静に観察して、その筋肉が飾りではないことを正確に見抜いていた。

(・・・香織の剣技を受けて、あの様子・・・。そしてあの身体・・・・そして、あのサイズ・・・。・・?)

奈津紀が3人の力を、その筋肉から冷静に分析しようと眺めていたのだが、上半身が裸である哲司、宏と見て、最後に全裸のモゲに目を移したとき、さすがに全裸であるため見るともなく、巨大なアレが目に入ってきたのだ。

髙嶺の剣士は性的な拷問に対する訓練も一通り受けており、人並みの男性経験は訓練の一環で受けている。

男の裸などで、いちいち騒ぎはしないが、半年ほどの訓練を受けたのは3人とも、遥か昔のことであり、ここ最近は男の裸を見る機会などそうそうなかった。

それに、数多く行った訓練での行為の中で、あんなサイズの持ち主は見たことが無かった。

それは、奈津紀もそうであったし、香織も沙織も同様である。

「ねえねえ、全裸ハゲのアレ・・。すっごく大きくない・・・?・・すごいよ。へそより上に反り返ってるじゃん・・馬とでもやるの・・?それに、なんで大きくさせてんの・・・?かおりんの技くらっただけでしょ?興奮する要素って皆無じゃん・・?痛めつけられて喜ぶマゾってやつ・・・なの?」

「あの男の性癖は知りませんけど、私の技にそんな不埒な効果はありません・・。私の技を受けてあんな風になるのは、何故かとても嫌ですね・・・」

美女三剣士が、思いもよらぬところで規格外の男性のサイズを前にし、戸惑いながら観察していると、崖下にいる当のモゲが叫んだ。

「真ん中の女は美佳帆さん並みのムチムチ太腿で赤。隣の白ファーのお人形さんはファーに合わせて白。・・・俺に不意打ち食らわした女はサービス悪いな。パンツスーツかいや。お前こそが脱がんかい!何色や?!言えー!」

どがっ!

「人の嫁をたとえに出すなや!それに隠せ!」

その宏は、隣で場違いな発言をしているモゲの後頭部に一撃食らわせ、先ほどモゲが脱いだブーメランパンツをモゲにぶつける。

「なんでパンツまで脱いだんや!」

「い、いや・・石が入って気持ち悪かったし・・」

「周りは、履いてないほうが気持ち悪いねん!」

モゲのように全裸ではないが、香織の大技を一番近くで受けた宏の衣服もボロボロに破れ、上半身は全裸になってしまっている状態で、モゲと宏が珍しく漫才をしだした。

哲司も宏と同じような格好になってしまっているが、海水で全身水浸しなため、寒さで前かがみになっていただけで、決してモスト・マスキュラーのポージングをしているわけではなかったのだ。

「おいおい。二人とも敵さんの前やで?・・きっとこんなペースの相手なんて初めてのはずやから、絶対に戸惑ってるはずやぞ?・・ちょっと自重したほうがええような・・」

そう言いかけた哲司は逆光になっている崖上を、能力を使い見通すと見覚えのある顔を発見した。

「お、あの真ん中の女。赤い下着の女な・・。・・・あいつ、あの時倉庫で佐恵子さんに唐竹割ぶちかまそうとしてた女や!」


「なんやて?白刃取りしたって話の女か?」

「ああ、間違いあらへん。真ん中の赤パンツの女がそうや。んで、左隣におる白パンの幼女がたぶんアリサの言うてたヤツやと思う。右側のサービス悪いパンツスーツの長身ねーちゃんのことは知らへんな・・」

「そうか・・。ならあのパンチラっていうか、パンモロしてる女らはやっぱり全員髙嶺ってことやな。・・・女ばっかりかいや・・やりにくいのう・・」

眼下から聞こえてくる、人を下着の色で区別している無礼な3人に、奈津紀は無表情ながらも、こめかみに血管を浮かせている。

「・・・脱げ・・・ですって?」

香織もそう言ってワナワナと肩を震わせているだけであるが、そんな真似ができない白パンはにっこりした笑顔から始まり、結局吼えた。

「・・・冥途の土産に見るだけならいいよ♪・・なんて言うとでも思ったか!!首を胴体からお別れさせてやる!・・二つに割れろっ!!」

沙織は肩と腰の柄に手を伸ばし、二刀抜きざま【刀閃】を全裸で一人あっちの戦闘態勢にもなっているニヤついた表情のモゲに、照準を合わせて放とうとした。

しかしモゲは、沙織が技を放とうと柄を握った時、沙織の技の発動よりも先に放ったものがあった。

「ちっ!?」

沙織は鋭く舌打ちをして、それをかろうじて躱したため、大きく態勢を崩してしまう。

沙織の得意技の一つである、恐るべき威力の【刀閃】の一つはモゲの身体のすぐそばをかすめ、もう一つは発動すらせず、刀が空しく空を切ったのみである。

「うっひょー。当たったら痛ったそうやな・・・。盛大にすっころんでくれたから、またよう見えたわ・・。しかし、さっきのといい、こいつらガチの奴等や・・。あんなエロい身体してパンモロ拝ませてくれてんのに、真面目にやらなあかん連中や」

「いつも真面目にやってくれや!」

不完全ながらも発動した真空の刃が、モゲをかすめて後ろの地面を切裂き、海面にぶつかって水を爆散させているのを見て言うセリフに、哲司が突っ込みを入れる。

「ともあれナイスやモゲ。テツ、モゲ、予定には程遠いが、わかっとるな?あいつらの隙みて一気に行くぞ?こっちの侵入はもうバレとるし、派手なっても構わへんやろ。・・ええな?いきなりこんな状況や!自分の命最優先で張慈円狙いだけで行くぞ?!」

「おう!わかった!」

大雑把には3人の分担は決まっていた。

一人は張慈円の始末、もう一人は樋口の回収、残る一人は脱出経路の確保と苦戦している方の援護である。

しかし、髙嶺の三剣士の出現はあまりにも予想外で、潜入も察知されていたようであるし、宮コーの潜入計画が杜撰だったと言わざるを得ない。

そのうえ、宏は先ほどからこっそり試しているが、やはり通信は回復していない。

(・・・これは脱出予定のランディングポイントに迎えは無い・・・って考えるんが正解やろな・・。あのクソ女・・・!最初っからこういうつもりやったんや!俺らを嵌めて、あわよくば情報漏洩も阻止したいってか?!クソが・・!・・張慈円だけでも仕留めたいんやけど、まずはこいつら片づけてからやな・・。しかしあのクソ女、俺らにこんなことしてくるってことは、美佳帆さんらの方にもきっと手回してくるはずや・・・。くそっ、宮コーに入ったら所員がちょっとは安全になるかもしれへんって思ってたってのに!・・俺の判断ミスで、またみんなを危険に晒してしてしもうたんか?!・・・・麗華もおらんようになってしもて・・、それでも俺を信じてついて来てくれてるみんなが、また・・・!・・・美佳帆さん・・俺が戻るまで、なんとか凌いでくれ・・。・・・しかし、いまはこいつらと張慈円や!)

「くそっ!とりあえず一気に目的地まで行くで!?」

宏は内心の焦燥を打ち消すようにそう言うと、半裸の男たちは、一斉に倉庫の方角に向かって猛スピードで駆けだしたのだ。

「沙織!大丈夫ですか?!」

奈津紀が、態勢を崩して後方中返りし膝をついた沙織に駆け寄る。

「ごめんなっちゃんさん。油断しないって約束したのに・・。でも、当たってない。大丈夫・・これ飛ばしてきた・・ビー玉なんて・・ふざけたヤツ・・」

技を放つ直前に左手の九字兼定は【刀閃】の発動を止め、【不浄血怨嗟結界】を発動させていたのだ。

そう言って沙織は、左手で受け止めた透き通った緑色のビー玉を見せる。

「・・・あらかじめ練っておいたオーラをこれに込めていたのですね・・。ですから沙織の技より速く打てたのです。咄嗟にそれができるとは、侮れない者どもです・・」

未だ熱を持ったビー玉を沙織から受け取って指で摘まみ、しげしげと見ていた奈津紀は、久方ぶりの敵が、改めて強敵だと認識しなおしていた。

(なにしろ、殺すつもりではない一振りだったとはいえ、宮川佐恵子の戦意を断つために放った一撃を受け止めた者の仲間です・・。しかし、御屋形様を落胆させたくはありませんし、呆れられるようなことがあってはなりません)

奈津紀が、そう決心を固めていると、ずっと眼下を油断なく警戒していた香織が仲間二人背を向けて走り出した。

「奈津紀!沙織!追いましょう!奴等が!」

香織はそう言うが早いが、奈津紀と沙織の返事を待たず眼下の3人を追い、すでに駆け出していたのだ。

「わかりました。幸い相手も3人のようです。香織!周囲に敵影はもうありませんね?!」

香織の声にすぐに反応して駆けだした奈津紀は、香織の背に問いかける。

「ないわ!あの3人だけ!でも・・・でも【見】で探れば探るほど、強いと感じさせられる!みんな気を付けてください!」

香織は追う3人の背中から目を逸らさず、振り返りもせず奈津紀に応える。

「上等・・じゃない!」

奈津紀とほぼ同時に追いかけてきた沙織も、普段の顔になり駆けながら低い声で呟いた。

切り立った海岸線を疾走するする6つの影を、宮コーの衛星はしっかりと追い捉えていたのだった。

【第9章 歪と失脚からの脱出 26話 達人5人とバカ1人終わり】27話へ続く

第9章 歪と失脚からの脱出 27話 紅蓮の無理難題

第9章 歪と失脚からの脱出 27話 紅蓮の無理難題

「紅音・・・どう見る?」

丸岳貴司は、複数の衛星画像に映し出されているそれぞれの男女のことを指して言っているのであろう。

モニタの明かりだけで、管制室は薄暗く光源は抑えられている。

モニタを見ながら、上司である紅蓮こと緋村紅音に問いかけたのだ。

緋村紅音のことを名前で呼べる数少ない側近の一人が丸岳貴司であった。

呼び捨てにされた紅蓮だが、丸岳を咎めることなく組んでいた腕の一つを解きその指を形の良い顎に当て、そして前髪を弄びだす。

「あいつ等、私の【紅蓮火柱】を喰らっても死ななかったのよね。・・・このぐらいはやってくれないと・・。でも、しょせん私の敵じゃないわ」

紅音は、赤髪巻き毛を、腕組している片方で前髪を指で弄びながらも、モニタを眺めならそう言った。

「そうか・・。流石だな・・。菊沢の連中も想定以上にやるようだが・・・」

丸岳はモニタに映る達人6人の動きに感心していたが、それらを見ても事も無げに言う紅音の表情を、横目で伺いながら言う。

強がりなのか、本当に自信があるのかを確かめようとするが、紅音の横顔はセリフ以上には真剣というだけで、真意のほどは読み取れなかった。

「でも、髙嶺が押し切りそうね。・・美琴がいい所に誘い込んでくれたから、菊一は背後の上空からの攻撃を避けるので手一杯って感じね。見てる限りだと、高嶺のやつらは遠中距離の攻撃手段がたくさんあるのに対して、菊一はほとんど打つ手がないじゃない。これだと予定通り、殉職してくれそうだわ」

紅音の言った通り、モニタに映る画面では、倉庫の方角に駆ける菊一メンバーを、髙嶺が背後から一方的に追撃しているという構図であった。

菊一にとって、上空を取られ、不利な地形が延々と続く場所に誘導されたので、苦戦を強いられるのは無理もないのである。

モニタには長身黒髪ロングの女と、短髪白ファーの女が追撃しながら、時折白刃を煌めかせ、剣圧によるオーラ攻撃を行ってる。

そんな映像を3人は眺めていたが、モニタの前に座っていた女が振り返り言った。

「しかし、支社長。このまま彼らが任務に失敗してしまうと、情報が他国に渡ってしまうかもしれませんが、よろしいのですか?」

管制室のモニタの前のデスクに座っていた、少しボーイッシュな短髪黒髪の女性が、その魅惑的なアーモンド形の目を、後ろの紅音に向けて問いかけてきた。

モゲたちと話していた時の口調とは、まるで別人の猫柳美琴である。

「よろしくないわよ。そうね・・美琴には言ってなかったわね。今から美琴に出動してもらうのよ」

「い、いまからですか?」

美琴は、紅音の突然の言葉に少し驚いた様子で聞き返した。

少し困惑しながらも、その凛とした表情には、先ほどまで語尾ににゃんにゃんと言ってた面影は全くない。

細身であるが、流線型の猫のようにしなやかなボディラインで、どう見てもスーツを着こなした、デキる女そのものである。

「ええ、そう。今からよ。実はもう用意してあるの。予定が変わるかもしれないから美琴には言ってなかったのよ。屋上に高速ヘリを用意させてあるのわ。服も装備もヘリにあるから着替えながら飛んでちょうだい。追い風だし1時間もかからないわ。燃料も以前偵察で飛ばしたときに現地に置いてきてあるから、十分往復できるはずよ。到着したら、そのままヘリを待機させてディスクを回収して、重工業の方へディスクは持ち帰らず、この屋上に帰ってきなさい。いいわね?・・・香港の奴等もいまさら追加人員が来るとは思ってないわ」

いきなりな上、結構高いハードルの命令を、紅音はさらりと言ったのに対し、美琴は少しだけ困惑顔のままも、素直に返事を返した。

「そうだったのですね。・・・わかりました」

夜が明ければ普通に出勤で、仕事も山積みの美琴であったが、部下のスケジュール管理などまったく気にしていない上司の勅命で、いきなりハードスケジュールになってしまった

「ええ、お願い。美琴の力があれば、髙嶺や張慈円がいてもディスクを奪い返すなんて造作もないでしょう?」

美琴の返事を聞き満足そうに頷いた紅音は、機嫌よさそうに言う。

「はい。彼らを殺せと言われたら、大変ですが・・、ディスクを奪い返すだけであれば、おそらく可能です」

美琴はなんてブラックな職場なの・・と思いながらも、紅音に合わせて返事を返す。

「・・・ついでに樋口のカスも始末できない?菊一が捕らえてくれればいいと思ったんだけど、今見てる限りじゃ無理っぽいし、・・・・どう?もう捕えなくていいわ。殺してきて?」

すると、すでに困惑気味の美琴に、紅音は更に倍プッシュで要求を上乗せしてきた。

組織や上司には、できるだけ従順でありたい美琴であるが、さすがにその言葉には目を見開き、反論しかけるが、言葉を選ばなくてはと思い、少し間を置いてから紅音に向き直った。

「・・・彼ほどの能力者をついでに殺す・・ですか・・。・・・お言葉ですが、私ではおそらく樋口常務には歯が立たないと思います・・」

本当に樋口の始末までするのであれば、一対一では無理だと美琴は悟っていた。

しかしそれでも、樋口を始末することが優先事項として高いのであれば、それなりの人員が必要であるという思いから出たセリフであったのだが、美琴のセリフは、直属の上司である紅蓮の気分をかなり害してしまったようだ。

「はぁ?・・やるまえから何言ってるの?」

美琴は、紅音のセリフに空調の効いた薄暗い管制室の温度が、一気に上がったかのような錯覚に陥る。

しかしこのままでは、ほぼ勝てないことがわかっている敵と戦わされた上、ディスクも奪われ、自身も殺されるか、捕まり口を割らされる為、拷問を受けてしまうだろう。

どちらの可能性も高いことがわかっている美琴は、必死で言葉を探した。

「も、申し訳ありません。ですが・・・樋口常務とやり合うとなれば、私だけでは・・、それにあの雷帝張慈円もいます・・見つかれば私如きではとても・・。逃げるだけならともかく、戦うとなれば支社長にご同道をお願いしなくては到底太刀打ちできません・・」

空調の効いた管制室で、美琴は汗を流しながら必死に言葉を選び、紅音に訴える。

「私は行けないわよ。私が関与してるなんて知られるわけにいかないじゃない。美琴の能力なら見つからないで近づけるでしょ??見つからないってことは、攻撃でも先手を打てるってことじゃない。不意打ちの一撃で殺せばいいんだから楽勝でしょ?」

(・・・そんな・・。それなら誰にでも勝てるってことじゃない・・。そんなわけないのに・・)

そう思っている美琴の心中を察したわけではないが、紅音は「うん」と言わない美琴にだんだんとイライラしてきている様子になり、その表情を険しくさせつつある。

「申し訳ありません・・・。・・わかりました。お約束しなくてもいいのであれば、やるだけはやってみます。しかし・・・樋口常務と戦えばディスクを再度奪い返されてしまう可能性が高いです。・・それでもよろしいでしょうか?」

紅音の危険になりつつ様子に、美琴は覚悟を決めた。

断ればここで殺されるかもしれないが、もしかして上手く行くかもしれないというほうに掛けたのだ。

「だからよろしくないって言ってるでしょ?奪い返されるなんてダメよ。きっちり消して、ディスクも持って帰ってきなさい」

しかし、覚悟を決めた決死に近い美琴の言葉でも、紅音の我儘は止められない。

一切冗談を言っている様子のない紅音のセリフと表情に青ざめた美琴が、チラと紅音の背後に立っている丸岳貴司に、助けを求め一瞬だけ視線を飛ばす。

「紅音・・。無理を言ってやるな。・・樋口の能力と、美琴の能力を考えれば、難しいはずだ。ここは隠密行動が必要な場面だろう?・・美琴にはディスクの回収に専念させてやろう?そもそも美琴はそういう能力に特化しているんだぞ・・・。それに美琴が捕まり、正体が知られれば、結局紅音の関与を疑われることになるかもしれんのだぞ?・・・樋口を見逃しても、ディスクさえ奪えば取引は成立せんはずだ。むしろ、ディスクを奪われた樋口こそ、取引先には随分非難されるだろうな」

美琴の視線を受けずとも、助け舟を出すタイミングを計っていた丸岳は、紅音の背後から慎重に声をかけ窘めた。

「・・それは避けたいわね・・・。ふん・・・まあいいわ。じゃあ、美琴、ディスクの回収を最優先にしてちょうだい。最悪それでも取引は完全に阻止できるしね。・・・・樋口の始末は次回にするわ」

丸岳のセリフに、しかたないわね、と言った表情の紅音は、かなり妥協して美琴に言う。

「あ、ありがとうございます。ご配慮に感謝いたします」

青ざめた顔のまま、美琴は大きく息を吐いて安堵しているのを知られないよう、頭を深く下げ感謝の言葉を紅音に返した。

宮コー十指にカウントされていないアウトナンバーの樋口だが、その実力は折り紙付きで、慇懃で陽気な口調からは想像もできないほど、冷徹で残忍な能力者として知られていたのだ。

「いいのよお礼なんて。その代わり失敗は許さないわよ?わかった?・・わかったのなら、もう行きなさい」

そう言われると、顔をあげた美琴はそそくさと立ち上がり、紅音と丸岳の横を抜け管制室の出口に向かう。

「美琴、慎重にな。誰にも気づかれんようにだけ気をつけろ。もし見つかっても戦おうとするな。いいな?美琴なら見つからんとは思うが、見つかっても、逃げることを最優先にしろ」

丸岳は美琴が通り過ぎようとしたときそう声を掛けると、美琴は小声で「ありがとうございます」といい、丸岳に僅かに笑顔を向けて目礼すると足早に部屋から立ち去って行った。

「ふん・・・、丸岳くんがモテるのもわかるわね・・・。まあいいけど・・。じゃあ、私も、はなが待ってるから、行くわ」

丸岳とはそういう関係では無くなってから久しいというのに、かつての恋人がほか女のことを気遣っているのが感に触ったのか、紅音は面倒くさい女の一面を少しだけ覗かせぼやいた。

丸岳は紅音のことを熟知しているので、そんな態度や様子を追求せず、これから紅音がしようとしていることを素直に心配し口にした。

「相手は4人もいるが・・・、はなもいるし紅音なら大丈夫だな」

丸岳は紅音の背に、そう声を掛ける。

「随分違うじゃない。ふん・・まあその通りよ・・大丈夫。・・問題ないはずよ。ノープロブレム。・・いま見た菊沢宏達より嫁のほうがずいぶん弱いんでしょ?ラックショーよ。じゃあ、いってきまーす」

丸岳の言葉に紅音は振り返って、不機嫌そうな様子で返事をした。

「おいおい・・どう・・?」

「すぐ終わるって言ってるの」

丸岳は急に投げやりになった紅音に心配そうに言うが、紅音は言葉を遮り、振り返ると、腕を開き、首を傾げ、何か問題でも?といった風な様子で丸岳に一歩詰め寄る。

かつての恋人が美琴に助け船を出したのが、実はけっこう気に障ったのか、紅音はすこしイライラしている様子だ。

「しかし、紅音・・。屋内だからな・・。紅音の真骨頂である強力な技は使えんだろう?それに、あまり会社を燃やされても困るぞ・・?警察やメディアには口止めできても、見た目に燃えてしまうと、いまは誰でも動画を撮れて、アップできてしまうからな・・。そのうえ、菊沢美佳帆達の能力も、おそらく感知系だと分かっているだけで、ほぼ不明だ・・。仕事では何度か戦闘した報告が上がっているが、肉体強化以外の能力はおそらく通信や探索能力があるぐらしかわかっていない。紅音は確かに強いが、どんな相手でも油断するべきではない。・・・・言うと怒るから言わんかったんだが、紅露や松前が戻るまでまったらどうだ?」

それに、先ほど北王子公麿、稲垣加奈子、神田川真理にも仕留めきれず逃げられたではないか。とまで言いたかったが、紅音の性格を考慮しはっきり言えないでいると紅音のほうが丸岳を納得させようと口を開いた。

「・・・ていうか、はなもいるのよ?実際二対一だから大丈夫だって。それに、待ってられないわよ。松前達が七光りを連れて帰ってきたときにはもう終わらせておきたいのよ。菊沢の嫁を始末するのを、あいつに知られたら絶対邪魔するでしょ?・・弱っちくなってるあの女に暴れられたら、ついうっかり殺しちゃうかもしれないじゃない?」

「新参者である菊一の者達を始末してしまうのには反対せんが、・・紅音の匙加減に任せると言ったものの、本家の人間の弑逆は、いまはまだ諸手をあげて賛成はできんな・・」

宮川家の一族を、しかも直系の娘である宮川佐恵子を殺してしまうと、紅音に降りかかる火の粉も払いきれないものになると分かっている丸岳は、神妙な顔つきでそう言うと、じっと紅音を見つめた。

暫く二人は無言でいたが、紅音が目を逸らした。

「・・・丸岳くんがそう思ってるのは知ってるわよ・・。それに私もわかってる」

「・・そうだな。余計なことだった。すまない」

紅音は丸岳の懸念と、自身の身を案じてくれているのがよくわかり、はぁ・・とため息をついた。

「・・・・わかったわよ。慎重にいく。七光りにも短気をおこさない。ピンチになったら連絡する。・・これでいい?」

丸岳の真摯な表情に紅音はやや折れて、少しだけ安心させるような口調で言った。

「ああ、・・わかった。気をつけろ。なにかあれば知らせてくれ」

「ええ、何かあればね。丸岳くんもそっちの様子ちゃんと見ててね」

丸岳は紅音のセリフを聞き、幾分表情が和らぎ、紅音も僅かに表情を緩めて、丸岳に言う。

「わかった。1時間もすれば美琴も作戦に参加するだろう。美琴にはちゃんとした指示を送ってやらなければならないしな」

「そうね。お願い。じゃあ行ってくるわ」

そう言うと紅音は、宮川コーポレーション関西支社の上階部分、菊沢美佳帆達が寝泊まりしているスイートルームがある15階に向け、ついに歩き出した。

現在午前4時30分を少し回ったところである。

菊一の主戦力である宏達は遥か日本海の孤島におり、佐恵子の側近二人も先ほど追い払ったところだ。

よっぽどの早起きの習慣がない限り、ほとんどの者が寝静まっている時間、宮コー最大戦力の一人である紅蓮が、美佳帆達を始末すべく動き出したのだった。




紅音を見送ると、美琴が座っていた椅子に腰かけ、長髪を後ろにかき上げるようにして額を撫でる。

「・・思い通りにはいかんものだ・・。紅音も・・そこまで無理せずともいいのだが・・」

誰ともなしに独白した丸岳だったが、すぐに表情を引き締めて目の前のモニタに目を移す。

「しかし、すごいな・・。・・こんな奴等が野に潜んでいたとは・・。能力者捜索ももっと力を入れねばならないということか・・」

そう言うと、丸岳はスマホを取り出し、紅露にコールした。

もし菊沢美佳帆たち4人が、いまモニタ越しに見ている菊沢宏、豊島哲司、三出光春とまではいかずとも、もし一人一人が彼らの6割ほどの戦闘力があるのであれば、いくら紅蓮でも一筋縄ではいかないだろうと感じたからだ。

紅音は転生炎で全快しているとはいえ、もともと屋内戦闘では使える技能は制限されるし、所有している能力的に周囲に気を使いながらでの戦闘では、本領が発揮できない。

紅音の真骨頂は、多彩な高火力技能もそうだが、自身周囲に常に熱をまき散らし、近くにいるだけで敵に継続ダメージを与え続ける広範囲の地象効果が凶悪なのである。

抵抗力の弱い能力者や、一般人であればまず10秒も持たず全身火傷を負い、1分もすれば呼吸もままならないまま、カリカリに干からびてしまうだろう。

宮コー十指に数えられ、紅蓮という二つ名持ちの紅音は、過信もすぎ油断も多いが、本当に恐ろしい能力者なのである。

攻撃的な技能を多数有し、遠近オールマイティなバランス型の能力者である紅音は、オーラを纏った徒手空拳だけでも、ほとんどのものを圧倒するだろうが、今回の相手は能力がよくわからない4人である。

一人ぐらいは紅音の能力に対応する能力を持っているかもしれないし、たとえ個々の力が弱くても、連携を取り合う相手は厄介だということを丸岳はよくわかっていた。

(自信があるのにも困ったものだ・・。逃げ去った稲垣や神田川が加勢に現れたら、紅音の方こそ一気に窮地に陥ってしまうかもしれないぞ・・)

スマホを片手に紅露が出るまでのあいだ思案を巡らせていると、どんどんと不安要素が膨らんできたところで、耳元のコール音が鳴り止んだ。

「紅露か?そちらの首尾はどうだった?・・・いや、いいんだ。それでかまわない。それよりとにかく支社に戻ってきてくれ・・・。ああ、支社長には俺から事情を説明しておく。まかせておけ・・。それより松前も連れてはやく帰ってきてくれ・・・。ああ・・・そうだ。・・・そうだ。・・・・たのんだぞ」

丸岳は、通話を切りスマホを胸ポケットにしまうと、ふぅと溜息をつき座りなおす。

そして内ポケットから電子タバコを取り出して咥えると、椅子の向きを変え、脚を組んだ。

「さあ、せっかく披露してくれているんだ・・。ここでくたばるなら、必要ないが・・もしかしてということもあるからな」

丸岳は、そう呟くと今後敵になるであろう者たちの動きを、モニタ越しに観察し出したのだった。

【第9章 歪と失脚からの脱出 27話 紅蓮の無理難題終わり】28話へ続く

第9章 歪と失脚からの脱出 28話 忘れられぬ刻印

第9章 歪と失脚からの脱出 28話 忘れられぬ刻印


水色のノースリーブブラウスに白のフレアミニを着ているが、スカートは大きく縦に切裂かれ、白地に黒い刺繍が施されたショーツは、右足首のところでシュシュのようにくるりと丸まっている。

目隠しをされ、強制的に膝をつかされた格好でじっとりと汗ばんだ身体は、きつく戒めが施されていた。

強制的に突き出されたヒップには、無遠慮な手がその陰唇や陰核を弄りながら、ひんやりとした媚薬を塗り込んでくる。

その作業は念入りで厭らしく、唇や核は言うに及ばず、膣内や肛門までも這いまわり、念入りなことこの上ない。

先ほど何度も玩具で果てさせられたというのに、すでに熱く濡れたそれらに執拗に媚薬が塗り込まれる。

股間周りや体内では、ひんやりとスース―する感覚から徐々にジリジリと焼くような痺れた熱を帯び出し細身の熟れた肉体を焙りだす。

思い通りにはなるまいと、口を真一文字にきつく結ぶが、焼かれるような心身の高揚は押さえきれず、意図せず広げてしまっている鼻腔での呼吸が荒くなってしまう。

ドギュンドギュンドギュンドギュンドギュン!

突如、電動工具を改良したのであろう卑猥な機械音が背後から響き、驚きからビクンと身を固くしてしまったその時、背後から声を掛けられた。

『クールな美人秘書さん・・。覚悟するんだな』

機械音が止み低く好色そうな声でそう声かけられると、棒状のモノが、すでにしとどに濡れた陰唇を割って侵入してきた。

グチュッ!

『っ!!』

グチュチュチュチュ・・・

ズブリッ!!

・・・ぐぃ・・ぐりぃい!・・ぐりぃい!

『!!!っ!!』

ガシャンッ!ガシャッ!!

体内に無遠慮に侵入してきたモノは、柔らかくそれでいて芯に硬く、普段は下半身の奥に秘めている女の急所まで達し、ぐりりぐりりと最奥を甚振るように擦り上げてきた。

何とか悲鳴を堪えたが、静的な動作にもかかわらず予想以上の快感が流れ込んでくることに細身をねじり、逃れようと身体をよじってみるが、戒めの金具が派手にぶつかる音が無情に響くだけである。

木製のギロチン板に首と手を一直線上に拘束され、手こそ床に着いていないが、四つん這いのような屈辱的な恰好で、はぁはぁと熱い吐息を吐きだして快感をやり過ごそうとする。

侵入してきているモノが本物の男ではないのは確実だが、それでも、否それだからこそ屈辱的でもあった。

そんな疑似のモノでも、女にとっては効果はてき面である。

さきほど塗り込まれた媚薬がもう効果を表し始めたのか、股間はさらに熱を帯び、突起を尖らせ陰唇を開き、涎をますます滴らせだしている。

刺されたモノの先端が最奥を確認するかのように、何度か確かめるように動かされると、またもトリガーが引かれた。

ドギュンドギュンドギュンドギュンドギュン!

『っく!かはぁ!・・・っぐ!!!・・・っ!っ!!!』

悲鳴を上げかけた口を固く結び、これ以上嬌声をあげて男を喜ばせないよう下唇に歯型がつくほどきつく噛みしめ、痛みで濁った甘快感を打ち消そうと試みる。

しかし、背後で玩具を操る男には、白い細身に汗で光らせ、肌を粟立たせている女が快楽に身を墜としかけている様は、手に取るようにわかってしまっているようだった。

『ここが好きなのだろう?女のここは、どいつもこいつも同じだ。普段は澄ました顔で、そんなことに興味なんてありませんみたいな風を装ってはいても、下の口の好物はみんな似かよっている。・・・ははは、そんなに美味いか?・・おいおい、そんなに涎を飛ばさんでも、まだまだたくさんあるからな。慌てるな・・慌てるなというのに・・そんなにがっつくとはしたないぞ?はっはっはっは・・』

玩具を操る男の嘲笑に、心底嫌悪感が沸き上がるが、同時に身体の中心からは、その嫌悪感を糧として、どくどくと熱を帯びた恍惚の感情が湧き上がってきてしまう。

女という生き物の性、恋人や伴侶からは決して与えられない領域の甘美味・・。

真に深い快感は、心の親しい人では与えられない。

『くふぅ!!・・・っほっ!ぁあ!』

『くっくっく。我慢して、俺を楽しませる時間を伸ばしてくれているのか?』

ドギュン!ドギュン!ドギュン!ドギュン!・・・

自身の身を蕩けさせ、規律正しく体内をかき回しているモノの音、封じられた視界、屈辱的な格好で拘束された身体、憎むべき仇によって与えられる屈辱と快感・・。

脳内から止めどなく分泌される物質をコントロールできず思考が停止しかけるが、裏腹に身体の感覚はどんどん研ぎ澄まされていく。

声はできる限り抑えているが、身体の反応や発汗などで、はしたなく感じてしまっているのは、背後の男には完全にバレてしまっているだろう。

男は突き込んだ棒状のモノのスイッチを一度きると、角度を鋭く変え、吊り上がった目を細め、口角をあげてほくそ笑んだ。

『ひぅ!!あっく!ああっ・・!あっくぅう!そこはぁ!ダメ!・・だ!やめ・!て・・・!』

動きを止めた棒状のモノが、陰核の裏側にあるざらざらとした部分を、ぐりぐりと甚振るように陰核の土台を内部から押しつぶすように突き上げてきたのだ。

『そうは言ってもなぁ・・下の口はやってくれと言っているように聞こえるぞ?』

背後の低い声が愉快そうにそう言って笑うと、再度モノが動き始める。

ドギュン・・・ドギュン・・ドギュン・ドギュン!ドギュン!ドギュン!・・・

再び激しく前後運動を繰り返す男性器を模したモノは、恥ずかしいほど濡れぼそった膣内で人間では不可能な速さで暴れまわりだす。

『うっ!!・・・うぅっ!・・やめ!・・・動かさないでっ・・う、動かすなっ!!』

陰核の裏側から子宮口の入口に当たるまで、オモチャの先端が正確に肉壁を擦り上げてくる。

「ははは!動かすとどうなってしまうのだ?」

『ああはぁ!!あはっ!!・・ひぅ!!ひあっ!ぐぅ!ぐぎいっ!!やめろ!!もうやめろぉ!!・・動かすな!動かすなぁ!!ひぐっ・・!っとめてっ!!もう十分辱めたでしょうっ・・くぁ!・・これ以上っ!やめてぇえ!』

背後からの質問に応える余裕などない。

感じている様をできるだけ見せないように強気を見せてみるが、それが全く逆効果なのはわかっている。

しかし、それでもこの男が与えてくる快感を従順に受け入れるわけにはいかない。

ドギュン!ドギュン!ドギュン!・・・

その単調ながらも圧倒的な速度での往復運動に、こらえきれず普段は言わないような強い口調で可愛い声をあげる。

『あん?何と言っているのだ?上の口と下の口では意見が食い違っているようだな?こちらに言う前にもう少しそっちで話し合いして意見をまとめてから言え』

しかし、背後からは愉快そうな笑い声混じりで罵倒されてしまう。

止めてくれる様子もない男のセリフに、ますます脳が反応し子宮が収縮してしまう。

激しくガチャリガチャリと拘束具が音を立ててしまうが、戒めはもちろん緩む気配もない。

無駄だとは分かってはいるが、全力で肉体強化をし脱出しようと試みるも、せいぜい生身の屈強な男並みのパワーしか出せない自分の強化能力を脆弱さを再認識させられただけだった。

ガチャガチャと鳴る音が無駄だ無駄だと言っているように聞こえただけで、やはり戒めはびくともしない。

『く、くそっ!・・ひ、卑怯者っ!・・解けっ!!・・うっ・・っく・・こんな機械っ!!・・・こんなモノで!・・こうやって縛らないと・・!女一人っ!相手にできないっ・・!ほあぁ!!っく・・のですか!!!・・うぐぐぐぐ・・・ひぃっ!!も・・もう嫌っ!!』

強化能力を拙いながらも全力開放して使用したため、抵抗する体力をいたずらに無駄にしてしまっただけだった。

『くははは、非力なバカ牝め。もう終わりか?もっと抵抗して楽しませて見せろ?・・・耐え澄ましていても貴様は先ほど何度も昇天した顔を晒していたのだぞ?さあ、また楽しませてもらおうか!』

『あっあああっ!!いやっ!!やめてっ!!止めてっ!!・・い・・いや!!貴方ならっ!こんな拘束具無しでも私を抑えつけられるでしょう?!っいや!っくぅう!!やめてぇっ!』

膣内を激しく往復しまくるオモチャに、細身とはいえ豊かなヒップと括れた腰を卑猥に捩りながら、オモチャで与えられる屈辱の高みへ無理やり押し上げられていく。

『ははははっ。非力な女が無駄な抵抗をしているところが面白いのだろうが?嫌がっても我慢できんだろう?普段がクールに澄ましているぶん、無様に感じ始めると滑稽さが際立つな!ほら、もう一度さっきの下手くそな強化をやって俺を楽しませてみろ』

「ああああっ!!うるさいっ!・・・言われなくても!!・・・っ今度は本気で!!・・い、いや!っくっ!!?ちょっ?!!・・だっ!ダメっ!!これだめっ!!・・か、解除!だっ!だめっ!!・いっ!・・いやっ!そっ・・そんなっ!」

再び肉体強化をした瞬間、全身の筋肉が強張り突き込まれた棒状のモノを激しく下の口で食締めるように収縮させてしまう。

規則的な機械音を発していた器具が、膣の締め付けで音が鈍る。

どぎゅ・・ん!・・どぎゅ・・ん!・・ど・・ぎゅん!どぎゅ・・・ん!どぎゅんどぎゅん!ど・・ぎゅん!

『っひぁ!!だめだめっ!!・・か、いじょ!うぐぅうう!!いやっ!!いっ!・・・っい!逝っ!・・・・っくぅう!!!』

肉体強化で筋力を収縮させてしまった勢いで、ギリギリ我慢していた絶頂を自ら思い切り噛みしめてしまったのだ。

我慢していたぶん、思考が白くなり目の前がスパークする。

「へたくそ。マヌケ女め」

背後から嘲笑交じりの声で罵るのが聞こえてきたが、反論することなどできるはずもない。

言葉通りマヌケであるし、そんな余裕もない。

半分自爆の深い絶頂の波に翻弄され、涎を垂らした顔をあげて仰け反る。

容易に開放してくれない絶頂の波に身体は何度もわななき、後頭部をギロチン板で打ち付けるほど仰け反りを繰り返して髪を振り上げ、涎や、滴る汗が髪の毛を伝い迸り、天井に届かんばかりに放射状にまき散らし昇天する。

『逝ったか・・。さて派手に逝ったところで休んでいる場合ではないぞ?少し早いが、神器を挿入してやろう。くくく、逝きマンコにはさぞキツイだろうな。どれ・・』

ガチャガチャと拘束具を鳴らし、絶頂の余韻を受け止めて戦慄いている身体を逃がさぬよう腰が背後からがっちりと掴まれ背後に引き寄せられる。

ぐちゅ・・くちゅちゅ・・!

『はぁ!!いあ!いや!いやぁ!!!やめてぇ!逝ったからっ!きついっ!逝ったからぁっ!』

果てたばかりの無防備な膣穴に、先ほどのモノを上回る太さと長さの弩張が侵入してくる。

制止の懇願はもちろん聞き入れられず、悲鳴を上げているのを楽しむかのように、暴れる身体を抑えつけ、キツイ個所にわざと当たるようにえぐるように擦りつけながら侵入させてくる

ぐちゅうう!!

『ひあああっ!』

隠すこともできないむき出しの弱った急所に、先ほどのモノよりも破壊力のある、しかも先端から女にとっては完全敗北させる液体を発射する銃口が、女の子宮口にぴったり合わさるようにあてがわると、ぐりぐりと無遠慮なディープキスしだす

膣内、女のコアへの回避不可なゼロ距離射撃の可能性。

自尊心を削り、快楽だけを与えてくる疑似のオモチャとは緊張の次元が根本的に違う。

玩具の銃と本物の銃の差だ。

『はっ!!っは!っは!・・いて・・!ぬ・・いて!ああっ!おねがい!・・って!・・・ぬいてえええっ!』

憎い仇に銃口を突きつけられ、極度の緊張から浅い呼吸を短くしながらも、全身に鳥肌を浮き立たせて懇願する。

しかし、男は逃がさぬよう女の腰をぐいと引き、コアの入口に銃口を押し付けると、落ち着き払った口調で言う。

『お前は気持ちよくなっただろうが、俺はまだまだこれからだ。いいか?俺の一物で逝ったら褒美をやろうではないか』

ぐちゅぅう!ぐりぃいい!

男はそう言うと、おんなのヒップに腰を押し付けるようにして中を擦り上げる

「あぐぅう!!ああっん!・っくぅ!・・ほっ・・うび・っ?」

『そうだ。褒美だ。中で出てやろう・・』

『いっ!いやっ!!それだけは許してくれるって!!』

最初に犯されたときに、それだけは許してほしいと聞いてもらったのだが、舌の根も乾かぬうちに反故にしようとしている男に女は憤る。

『ああ。おまえが逝かなければな。約束は守るかもしれんし守らんかもしれん。ははははっ。どうしてやろうか・・』

しかし、男は悪びれもせずいい加減なセリフを言う。

女はそのセリフを聞き、反射的に肉体強化をして逃げようしてしまい、またもや先ほどと同じく肉棒を下の口で噛みしめてしまい、内側へと筋肉収縮した膣壁に押し込まれ男の肉棒が子宮口へ押し付けられる。

『ひぎぃ!?・・っか!っは!・・・っい!だめっ!!あああっ!』

『ははははは、反射的にやってしまったのか?セルフ受精か?学習できんやつだな。はははは・・ん?・・頑張るではないか。そらっ!』

ずちゅっ!ばちんっ!

反射的に行ってしまった肉体強化で不覚にもまたもや逝ってしまいそうになる。

しかし、口をパクパクとさせ息浅く呼吸しながらも耐えていたのだが、男はそんな女を嘲ると、弩張りを膣内ギリギリまで引き抜き子宮口に再び突き刺した。

「きゃっ!!!っあああ!!!・・ぐううっ!!」

男は一突きしただけで、にやにやと女の様子を見下ろし見守っている。

『どうだ?ん?我慢できそうか?くくく』

『っっ!っっ・・!っ!!・・・・っ!』

応える余裕など有るはずもない、例えるなら電柱のような細い円柱の頂上で目隠しされ、爪先立ちで落ちないように耐えている状況だ。

ぶるぶると全身を小刻みに震わせ、少しでも気を抜けば襲い掛かってくる並みに歯を食いしばり耐えている。

ずちゅぅ!ばちん!

『ほぁ!!!・・っ!っ!!!・・・!っっっ!!・・・ぐっ!!っっ!』

予告なしで再び一突きが加えられ、そのままコアをグリグリと甚振られる。

「くははははは!堕ちんのか?楽しませてくれる!」

拘束した女は全身をじっとりと汗で光らせ、呼吸も忘れ逝かないようにぶるぶると小刻みに震え快感を耐えてている。

必死で耐えている女の様子がおかしくなったのが、男は意地悪そうな笑みを浮かべ腰を動かし出した。

ずちゅっ・・・!ぐちゅ・・!ずちゅ・・・!ぐちゅ・・・!ずちゅ・!ぐちゅ・!ずちゅ・!ぐちゅ・!

最初はゆっくりと、じょじょに速度をあげ、最後は工具によるドリルバイブ並みの速度でピストンをしだす。

ずちゅぅ!ばちん!ずちゅぅ!ばちん!ずちゅ!ばちん!ずちゅ!ばちん!ばちん!ばちん!ばちん!ばちん!ばちん!ばちん!ばちん!

この動きに女が果てるのを耐える術はもうはない。

『はぁっ!!・・うっくぅぅっ!わたしをおもちゃなんかにっ!!・・ああっ・・そんなっ!・・・・っだめっ!すぐっ!!・・なんでこの身体はっ!!耐えなさいっ!・・どうしてっ!こんな下品な男にっ!!っああ!だめなのに!!・・・ひっ!きゃっ!!・・だめっ!またっ!!もうっ!!』

ピストンの途中からもうすでに耐えられない水域まで来ているのは女にも分かった。

生殺与奪に近いことをを握られていることの興奮・・。

憎い仇の男性器で無理やり押し上げられる屈辱に身を焦がし出す。

「クソ野郎に与えられる快感は堪らんだろう?それに何度も教えただろうが?・・逝くと鳴け!言わんと中に出すぞ?!逝っても出すがな!」

「っかっ!?それだけはっ!!だめっ!でもぉっ!!・・・ああっ!!ぃくぅ!っああ!!・・・ぃくっいくっ!・・っ逝っくぅうううううっ!!!」

どっちにしろ出されるのだが、興奮と快感に塗れた頭ではよくわからなくなった女は、男を喜ばせるセリフを絶叫し、鼻、口、尿道、膣という四つの穴から液体を迸らせながら大きく逝き果てた。

絶頂の余韻で、びくんっびくんっと、その逆エビ反りポーズを3度、4度と大きく繰り返してから、ガチャリと拘束具の金属音を鳴らして力尽き気を失った。




【第9章 歪と失脚からの脱出 28話 忘れられぬ刻印終わり】29話へ続く

第9章 歪と失脚からの脱出 29話 最悪な目覚めと来客

第9章 歪と失脚からの脱出 29話 最悪な目覚めと来客

それからどのぐらい経ったのだろうか、まどろみの中で身体が揺さぶられる。

「・・い・・ぶ?!・ゥ!・・ス・・ウ!・・・ス・・ノ・・!・・きて・・お・・て。・・のう!」

「!?・・・・??・・んん・・も、もう・だ・・め・・す・許し・・さい。・・ぁ・・えっ?」

最初は優しく揺すられていたのが、じょじょに強くなり、最終的にはゆっさゆっさと大きく揺らされたことで何とか薄く目を開けると、呼びかけてくる声が、だんだんと聞きなれた声だと分かり、驚き目を開けた。

すると、ベッドのすぐ横に人影があり、その人影が肩をぐわんぐわんと揺すっていたのである。

スノウこと斎藤雪は、なんとか開けた目を忙しく動かして周囲を確認すると、ベッドのすぐ脇に膝をついて、心配そうな顔で覗き込んでいる人影と目が合った。

「み、美佳帆さん!?え!?こ、これは違うんです!わたし・・!」

目を覚ましたスノウは自分が卑猥な夢を見てしまっていたことにすぐ気が付き、なにか粗相や声を聴かれなかったかと、慌てて衣服の乱れや寝具の確認をしようと上半身を跳ね上げた。

「しー!・・・大丈夫?・・汗びっしょりだけど暑かった?」

美佳帆は口の前で人差指を立てて、歯並びの良い白い歯を見せると部屋の入口の方を振り返って確認し、スノウの狼狽には気づかぬ様子で続けた。

「・・スノウ。急なんだけど、とにかく起きて。急いで着替えてちょうだい。手短に言うわね・・緋村支社長が・・いいえ、紅蓮が来るわ・・」

「え?ぐ、紅蓮・・?支社長が?・・どういうことなんですか?」

いきなりのことに、スノウは状況が飲み込めず聞き返した。

「どうやら紅蓮は本気で私たちを始末する気よ。【百聞】で聞いたから間違いない・・宏達が今夜から行ってる作戦も罠だったのよ・・!宏達がやられるなんて考えられないけど、前から念入りに用意してた様子だったわ・・。あの管制室・・どういった理由かわかんないけどオーラを遮断するんだわ・・だから今まで百聞でも聞き取れなかったんだわ」

「え!?所長たちが罠に!?じゃあ・・」

スノウは宏達がという話を聞き、先ほどまでのいやらしい夢を見ていたことも忘れ、少し大きな声をあげた。

しかし、美佳帆は再び口の前に人差指を立てスノウを黙らせるとと早口で続ける。

「宏達のことは宏達に任せましょう。ここからじゃたちまちどうしようも無いわ。簡単に死ぬタマじゃないしね。それより紅蓮は今こっちに向かってきてる。私たちの方こそ大ピンチなの。以前真理さんが言ってたわ。条件十分の紅蓮と一対一でまともに戦えるのは宮コーじゃほとんどいないってね。同じ宮川十指といっても強さだけで数えられるわけじゃないみたい。・・・でも紅蓮はこと戦闘において文句なく突出した存在なんですって。その強さは真理さんたち3人がかりでも勝てるかどうかの相手だそうよ・・。でも能力が強力なぶん、使い勝手の悪い技能も多いみたいで、なにより緋村支社長自身は優秀さゆえの慢心があるのが救いだって言ってたわ。私たちがこの状況をなんとかするには、そこにつけ込むしかないわね・・。さあ、もう行くわ。・・いま紅蓮はちょうどフロントの階段あたりまで来てるわ。アリサとお嬢も起こしてくるから・・スノウも作戦考えながら準備してて」

声を押し殺して早口で言った美佳帆に、スノウは聞き返したかったが、美佳帆は再度「急いでね」とだけ言い残すと、慌てた様子で部屋から足音無く駆けて出て行ってしまった。

出て行った美佳帆をベッドの上から見送ると、準備しようとスノウはバっと毛布をどけた。

その瞬間、むわぁと自身が発した汗と尿と女の臭いが鼻をつき、こんな状況だというのに先ほどまで、何をしてしまっていたのかが一目でわかる光景が飛び込んできた。

「あぁ・・こんな・・やっちゃってる。・・あんな奴の夢をみるなんて・・」

自分の臭いとはいえ夢の中で卑猥なことを思い出し、無意識に衣服まで乱してしまっていることに、スノウは一人で赤面し唇を噛む。

スノウは既婚ではあるが、自宅に帰らず、ずっとこの宮コーのスイートルームで暮らしていたのだ。

実は夫とは随分前から離婚調停中で別居している。

すでに別居していた為、家に帰らずとも夫に文句はいわれない。

いまは美佳帆と同じ部屋で、このグランドスイートルームに二人で住んでいたのだった。

この部屋は、二人で泊ってもゆとりがある広さで、リビング以外にも寝室が3つもあり、それぞれに鍵も掛けられ居心地も良く気に入っていたのだが、とてもそんな状況ではなくなった。

「いそがなきゃ・・あの紅蓮が私たちを・・・どうやったら・・あの炎を・・どうしたら・・考えるのよ・・」

頭を目まぐるしく回転させながら、一気にパジャマを脱ぎベッドの上に脱ぎ捨てた。

すると一刻を争う状況だと聞かされわかってはいたが、パジャマを脱ぎ捨て下着だけになったことで、ズリ下がっているショーツが目に入った。

毛布や衣服で隠れていた自分の様子を見て再び赤面し下唇を噛む。

ラヴィジュールのショーツは薄い恥毛が覗いてしまうほど、ずり降ろしてしまっているし、下着の中に右手を突っ込み派手に弄っていたのだろう。

そのエメラルドグリーンの生地は、卑猥な水分でところどころ濃いグリーンに変色させてしまっている。

右手はと見ると、主に中指と薬指は、少し渇き始めた白濁し泡立った粘着質の液体が付着し、愛液と尿の混ざったような淫卑な香りを放ち、指と指を開閉するとにちゃと糸を引いた。

今日は本気下着で、上下お揃いの下着で、ショーツはサイドストリングのティーバックである。

なぜなら今日は密かに恋慕している上司が出張に行く日であったので、幾日か会えなくなる寂しさを抑え、仕事を急いで片付け、見送りの数時間前に部屋まで戻り、シャワーを浴びてこの下着に着替え、ミニフレアとノースリーブブラウスで見送ったのだった。

これは幾日か会えなくなる時にスノウが行っている秘密の儀式で、特に効果も意味もない。

ただ、密かに恋心を寄せている男を、見送るときの誰にも知られてない習慣としていることだった。

とは言っても上司とはそういう男女の関係ではなく、スノウの一方的な片思いなのであるが、慕う相手のことを想うとせめて下着を意識することで、この叶わぬ思いを少しだけ慰めることができたのである。

その習慣は20年近く続いているが、実際空しいし、知られれば痛い女としてドン引きされてしまうだろうと悩んでもいる。

そんな異常だが、どこか一途でいじらしい習慣をした日に、スノウが今さっきまで見ていた夢には、上司とはまるで違う人物が現れ、自身の身体に刻まれたトラウマを抉りまくる内容だったのだ。

(・・たまに夢で見ちゃう・・。嫌なのに・・こんなに感じてしまって・・私ったら・・)

自己嫌悪になりかけるがぶんぶんと頭を振り、ばっとベッドから跳び起きた。

「だめ・・切り替えなきゃ・・!」

(あの時、スタジオ野口で私達を髙嶺の白スーツの変態剣士とゴスロリ二刀女から守ってくれた炎術使い・・。宮コー最大戦力の一人に数えられるあの紅蓮が今度は敵なのよ・・。・・髙嶺の剣士等をほとんど一人で追い払った紅蓮を私達なんかが・・いったいどうすれば・・。所長や和尚とも全然違うタイプの強さだわ・・。あれほど術者でありながら、熟練の近距離能力者以上だとも言われてる・・。・・白スーツの変態剣士に放ったあの火柱でも、私達じゃ当たったら即アウトだわ・・考えるのよ。・・こっちにできる最善手・・あいての嫌がることを徹底的にやるのよ・・!)

スノウたちでは歯が立たなかった髙嶺の剣士たちを、文字通り凄まじい火力で追い払った紅蓮が、今度は自分たちに牙を剥いてくるのだ。

スノウはベッドの上に立ってパチンと頬を叩くと、今まで数多くの迷宮入り事件を解決してきた菊沢探偵事務所の秘書たる立場で培った頭脳をフル回転させながら、汚した下着の上に動きやすい服を身につけだした。

美佳帆たちが紅蓮の動きを気取り、準備を万全にし始めていた頃、ホテルのフロントには紅蓮こと緋村紅音と、サイドテールのイケメン巨漢女こと中原はなが少しばかり口論になっていた。

「紅音ちゃん・・ほんまにやるん?・・あの人らさすがに可哀そうや・・。佐恵ちゃんが頼み込んで半分無理やりウチに就職させられたんやで・・?そのうえ・・言うとおりならんからって・・」

彫りの深い頬に割れた顎、しかしながらやや明るい色素の髪の毛をサイドテールで揺らしている。

はなのその美しく力強い目には長い睫毛が、意思の強そうな唇には濃い赤のルージュが引かれ、そのゴツイ手の爪には可愛いライトピンクのマニキュアが施されていた。

宮川コー十指の名物であり良心の一人、中原はなである。

「だ~か~ら!・・何回も言ってるでしょ?!あいつらはもう敵なの!敵は始末しないとね!?」

そう決めつけて言う紅音の口調と態度に、はなはその大きな体を小さく縮めている。

しかし、はなは小柄な紅音を見下ろしながらであるが上目遣いで更に続ける。

「敵って言うほどやないと思うんやけど・・。現にちゃんと彼らも紅音ちゃんの命令聞いて作戦に行ってくれたやん・・。それに真理ちゃんや加奈ちゃんまで・・・・。・・いくら佐恵ちゃんの力が貧弱になったから言うても、佐恵ちゃんが会長に泣きついたら、さすがに紅音ちゃんでもヤバないん?まあ、佐恵ちゃんの性格やったらそれはせえへんとは思うけど・・。さすがにいろいろヤバいって・・。菊一の人らも今からでも遅うない・・殺すことあらへんやん?通信回復して救援送り込んだりいな・・敵地のなかに放り込んで梯子外した酷い作戦やんか・・」

「うるさい!でっかい図体して情けないわね・・!怖気づいたの?!はな?!」

大島優子似の可愛らしい童顔、赤い巻き毛を揺らして手で薙ぎ払うように言う紅音の仕草は、堂に入っており、そう言った横暴な態度や発言が良く似合ってしまう。

宮コーの大抵のものは紅音に恐れをなし、勘気に触れないようにしている。

それは、はなも他の者同様であったが、今日は違った。

このようなことは、紅音自身の為にもならないとはなは思っているのだ。

「そや、正直怖いわ・・。紅音ちゃん・・。佐恵ちゃんと仲良うやったらええやん・・。いまは怒っとると思うけど、まだ佐恵ちゃんもまだ話しできると思うで?・・菊一を宮コーに取り込んで仕切っとたんは佐恵ちゃんやったやろ?真理ちゃんや加奈ちゃんも襲って、菊一の人らまで手出したら、佐恵ちゃんもホンマに紅音ちゃんに対して引けんようになる」

普段は聞き分けよく、よい返事をしてくれるのはなが、ここまで言い返してくるのを珍しく思った紅音は、声のトーンを少し落として確認するように聞き返す。

「・・引かなくっていいじゃない。私がアイツに負けると思ってるの?こないだオーラぶつけ合って白黒きっちりつけたの見たでしょ?私の圧勝。はなも居たでしょうが」

「せやな・・戦ったらまず間違いなく紅音ちゃんが勝つやろ・・。紅音ちゃん強いもんな。おまけに仕事も優秀やし、私と違うて華奢に見えて女らしいやん・・マジで羨ましいわ」

「・・・ふ、ふふん、でしょ?当然よ。わかってるじゃないのよ。はな。わかってるなら良いのよ。ふふふん、やっぱりさすがはなね。ちゃんとわかってるわね。・・ことが成った暁には、はなのことは良くしてあげるから安心して?」

てっきり否定されると思っていた紅音は、はなの素直なセリフに少し戸惑ったが、生来の単純な自尊心から胸を張り、腕を組んで顎を逸らし、目を閉じ微笑を浮かべた表情でそう言った。

しかし、はなは言いにくそうに続けた。

「でも紅音ちゃんに勝たれへんにしても、佐恵ちゃんは引かへんと思う・・」

紅音は、腕を組み、胸を張った状態で微笑から驚いた表情になり、はなにかえす。

「なんでよ?そんなことないんじゃない?あの七光りも命は惜しいでしょ?だから、私に恐れをなして、私の命令どおり子会社にすごすご引っ込んだじゃない?あんなに自信たっぷりで啖呵きったのに、情けないったらないわ。あの時の七光りの顔、悔しそうな半泣きで傑作だったわね・・。・・・失敗ね・・私も慌ててたわ・・撮影でもしとけば何度も楽しめたのに・・」

はなのセリフを怪訝そうに一蹴した紅音であったが、あの時の佐恵子の様子を思い出したのか満足気に頷いていたかと思うと、今度は惜しいことをしたといった様子で悔しがっている。

「やめたりぃなそんな悪趣味な・・。・・・でも、紅音ちゃんにはそう見えるんやな・・。ウチには、佐恵ちゃんは、泥水啜ってでもやりかけてた仕事を、何とか恰好がつくところまではやり切ろうとしてるだけに見えるんやけどな・・。宮川の意地なんか、佐恵ちゃん自身の矜持なんやろか・・」

はながそこまで言うと、紅音ははなから視線を逸らし一瞬考えるようにそのかたちの良い顎を手で触るが、すぐに苛立った表情ではなに向き直る。

「あの七光りがそんな殊勝なわけないでしょ?はなは七光りのことを買い被りすぎよ!・・まったくどいつもこいつもあの女がなんだっていうのよ!私の方がずっと優れてるでしょう?!まったく・・みんな血筋や権威に弱すぎるんじゃない?!」

感情の起伏が激しいお天気な紅音は、はなのセリフに晴れから一気に大雨まで変化させて声を荒げた。

そんな様子の紅音にはなは、疲れたような顔を上げと言っても、小柄な紅音を見下ろして言う。

「・・紅音ちゃんって、ウチ等より遥かに佐恵ちゃんとの付き合い長いやろ?」

「そうね!それがどうかしたの?!」

はなのセリフに、更にイライラを募らせた様子の紅音が早口で聞き返す。

「紅音ちゃんが凄いんはウチも知っとる。でも、たぶん佐恵ちゃんもウチ以上に紅音ちゃんの凄さって知ってると思うんよ。・・紅音ちゃん・・・佐恵ちゃんに勉強や運動の成績やとたいてい勝ってた言うてたな?」

「そうよ?あの七光りもなかなかだったけど、ずっと次点。まあ私がいるから一位は取れないわよね。宮コーのプライマリーカリキュラムのときから数値じゃほとんど負けてないわ。語学や数学、運動能力、オーラ量もね」

再び晴れになった紅音が鼻をならし、得意そうに反り返って言うが、はなは「せやな」とだけ言い、いままで何回も聞いた紅音のセリフに頷いていた。

「せやけど紅音ちゃん・・なんて言うたらええんやろ・・。そういうこと以外で佐恵ちゃんに勝った。って思ったことあるん・・?・・インターナショナルスクールのとき、佐恵ちゃんに生徒会選挙で勝ったこと一度でもあるん?佐恵ちゃん、あんな風に見えても案外社員からの人望あるで?・・・紅音ちゃんは能力者以外の社員の名前とかぜんぜん知らへんやろ?・・実は佐恵ちゃんって興味ないこと全然おぼへてくれんのよ。ウチがいくら相撲のこと言うても、全然覚えてくれへんし、サッカーや野球のルールは最低限知ってるみたいやけど、誰がどこの球団でどんな選手がおるかなんて、めっちゃ有名な選手やないと全く知りもせん。流行ってるドラマや、ハリーポッターやスターウォーズみたいな世界的なベストセラーもタイトルは知ってても、ちょっと見て興味なかったら全く興味示さん。でも、佐恵ちゃんは宮コーの社員、身の回りの人間のことはよう知ってるで?・・社員の家族構成まで把握してる・・旦那さんや奥さんがどこに勤めてるか、子供さんが何人いて何歳かとか・・大体知ってるんやで?・・・組織のリーダーとしてこれってすごない?」

「・・・なにが言いたいのよ。それはただあの七光りが利用できそうなものを、より姑息に使いこなそうと、小細工するために神経すり減らしてるだけでしょう」

はなの思い切った力説に対し、紅音は目をすぅっと細めると、たちまち曇り空になり、反論を許さぬ様子で静かな声で言った。

紅音の曇り空にもかまわずはなは続ける。

「ううん、ちゃうと思う。身の回りの人達を大切に思ってるってことやない?・・・まあ敵や不正汚職する身内にも酷い時があるんも確かやけど・・。佐恵ちゃんの【感情感知】・・あれのおかげで自分の感情も、発言や態度や仕草次第で、相手に伝わってるのがよくわかるって佐恵ちゃんが言うてた時があるんや・・。せやから佐恵ちゃんって無意識にそのあたりが身についてるんやないかな思うんよね・・」

「じゃあ私は人の気持ちがわかってないって言いたいの?!私が部下を虐げてるって言うの?!そんなわけないじゃない。七光りとやり方は違うけど、私にだって当然できてるわよ!宮コーの能力者だってほとんど私の方に靡いてるでしょ?!私のことをあの七光りより好いているってことの証明じゃない!」

脅しを含めたセリフをはなに否定された紅音は、再度活火し大声をあげる。

「せやけどそれは・・。やっぱりあの子カリスマあるんよ・・。一見すると態度は不遜で誤解されやすいけど、全体的に佐恵ちゃんがやってたことって大概がうまく行ってきたし、・・最初はまたとんでもないこと言いだしたって思うことあっても、後になって振り返ってみたら、佐恵ちゃんがやってきたことってほとんど真っ当なことばっかりやん・・。紅音ちゃんは・」

どかんっ!!!

はなのセリフを遮り、紅音は赤毛を翻し身体を回転させて脚を振り回すと、200kgぐらいはありそうなホテルのカウンターが壁から剥がれ、はなのすぐ隣をかすめて勢いよくエントランスまでぶっ飛んでいった。

がしゃーん・・!

「はな!それ以上言うならいくらはなでも、もう許さないわよ?!・・ふ、ふん!・・よくわかったわ!あとで覚えておきなさい!・・・はなはここにいて!付いてこなくていいわ!ここを封鎖してなさい!いいわね?!」

ごおおおおおおおお!

紅音はそう怒鳴り終わると、吹き飛とんで転がっているカウンターにこぶし大ほどの火球を、腹立ち紛れな表情で投げつけ発火させると、はなに背を向け、振り返りもせず、怒りに任せた歩調でずかずかと行ってしまった。

「・・わかった。もう言わへんよ」

エントランスでバチバチと音を上げ、燃えているカウンターのすぐそばにあるソファに座ったはなは、怒りで肩をいからせ階段を上っていく紅音の小さな背中に向けて、疲れた声で小さく呟いたのだった。

【第9章 歪と失脚からの脱出 29話 最悪な目覚めと来客終わり】30話へ続く
筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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