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第10章 10話 賞金を賭けられた美女たち 11話 雫と咲奈そしてモブの香澄救出作戦


第10章 賞金を賭けられた美女たち 11話 雫と咲奈そしてモブの香澄救出作戦

モブはマンション玄関のガラス戸の奥へと消えて行く香澄の後姿に見とれていた。

自分とは一回りも年齢の離れている、お堅いところもあるメガネ美人の先輩が背を向けていることをいいことに、遠慮なく香澄の整ったプロポーションに見とれていたのだ。

エレベーターホールのほうへ曲がるとき香澄は一瞬モブの方へ顔を向けて手を振ってきたので、モブはよこしまな視線が気付かれたのかと慌てたが、その心配はなく香澄は笑顔で手を振り終わると、そのまま奥へと消えて行った。

「はぁ・・部長って綺麗っすよね。・・いままで厳しいことも言われたっすけど、今日はすげえ優しかったっす。俺が落ち込んでたからわざと明るく接してくれたんすね・・。部長や支社長とあわよくば、やれたらいいななんて不謹慎なこと思って栗田先生に俺の残念な息子を、マーベラスなマグナムに改造してもらったっすけど・・。普通に可愛いっすよ部長・・。・・俺の新型、部長に使いてえっす・・。きっと気に入ってもらえるはずっす。部長も離婚したって言ってたし、俺も結婚してねえし問題ねえはずっす。・・俺にもチャンスがありゃいけるっす・・。ってでも部長って母ちゃんと同じ歳か・・・。いままで俺が付き合ったのって、大体年下か同い年までっすもんね・・・。最近、俺も周りに年上が増えたせいで、好みが変わってきたのかもしれねえっす。部長も支社長も菩薩モドキも暴力鬼もみんな俺より年上っすけど、みんな若い女にはないそれぞれ違った色気があるっす。そういやみんな独身っすね。てことは一晩共にするのは問題ねえっすよね。頭のよさや能力じゃ敵わねえっすけど、俺ベッドの上じゃみんなに貢献できるかもしれねえっす。あの人たちも男に抱かれて、気持ちよさそうな表情浮かべるんすよね・・。そう想像しただけでもたまんねえっす。って・・でも、母ちゃんと歳が似通った人たちにこんな気持ちになるなんて、なんか複雑っす」

そうぼやきながらも、モブは香澄だけではなく、配慮もできる大人な香澄と、その他、普段周囲にいる美人の才媛たちの容姿だけでなく人柄や生き方などに、徐々に惹かれだしていたのだ。

モブは普通に考えたらこれまでの自分なら話すどころか近づく事すら憚られる高嶺の花に邪な妄想を抱きながら、そろそろ帰ろうとし、マンションの入口にある自動販売機に向かって歩き出した。

小銭を入れ、すでに酔いは醒めているが、水のペットボトルを指すボタンを押したとき、そんなモブの背中に声が掛けられる。

「・・こんなところで何してるのよ?」

突然背後からどこかで聞いたことのある声色を掛けられた声にモブは咄嗟に振りかえる。

部長がまた降りてきてくれたのかと、淡い期待を寄せるも、声色が全く違う。

それに掛けられた声には、些か批判的な棘が含まれていたのだが、振り返った時、モブはその含まれた棘の理由がわかった。

「やめなよ。雫」

「いいから・・きっちり言っておかないとおさまんないわ・・!」

振り返ったモブの前には、二人の若い女性がいた。

雫と呼ばれた黒髪ショートストレートの女性と、その黒髪ショートの雫と呼ばれた女性を、窘めるようにしている亜麻色ロングの女性がいたのだ。

若い女性といっても、モブより年上であり、宮川コーポレーション関西支社所属の雨宮雫と楠木咲奈であった。

「お・・ぅ」

モブはこんな場所で意外な二人組に声を掛けられたことに、上手く返事ができなかった。

それも当然で、つい数か月前まで木島の根城であるオルガノというマンションで、目の前の二人の美女を監禁し、見張りをしていたのがモブだったからだ。

「おぅ、じゃないわよ、おぅじゃ。ちゃんと喋りなさいよ。バカなだけじゃなく言語障害なの?!なんでこんなところにいるのって聞いてるのよ!このくず野郎」

亜麻色ロングの咲奈が心配そうに止めようとするも、黒髪ショートストレートの雫の目は吊り上がっている。

「い・・いや。部長を家まで送っただけっす・・。」

「見てたから知ってるわよ!そんなことじゃなくて、なんでアンタなんかがここにいるのかって言ってるのよ!・・なんで・・アンタみたいなクズが秘書主任なんかに選ばれたのよ・・!私たちにあんなことした奴らの仲間だったくせに!」

モブもこの二人のことは良く覚えている。

非難されるのも仕方ないとモブも理解している。

二人は木島と木島の部下であったアレンに犯されたのだから。

そのとき、モブ自身が二人に手を出してないとはいえ、木島一味の下っ端として咲奈と雫が逃げないよう見張りをしていたのだ。

「すんまんせんっす・・」

モブには大きな体を小さく縮めて頭を下げるぐらいしかできなかった。

「・・・出て行きなさいよ!」

「え・・?」

頭を上げると、目に涙を溜めた雫がモブを睨みつけていた。

出て行けと言われた意味が、モブにも分かったがこれほどまでに嫌われているということと、目の前ではっきりと言われたことに、デカい図体ながらも二十歳になったばかりの青年の心には深く突き刺さったのだ。

モブのしていたことは確かに許されることではない。

以前のモブなら逆切れしていたかもしれない。

しかしモブも、この数か月の出来事と接する人間たちの影響で少しは成長していた。

それに、やっと就職の決まったことを喜んでくれた母親を落胆させるわけにはいかないという思いが込み上げてくる。

そんなモブにできることはもはや限られていた。

「すんませんっす」

その場に膝を付き、モブは二人に再び頭を下げた。

「すんませんじゃないわよ!すんませんで済まないでしょうが?アンタのしたことは・・!・・出て行きなさいよ宮コーから!あんたが主任たちや支社長の周りでちょろちょろ動き回って、バカ顔をしてるのを見るたびにこっちはイライラするのよ!今日だって私たちは呼ばれなかったのに、なんでアンタは呼ばれるのよ・・!・・・アンタが秘書主任だなんて・・・・認めないわ!」

完全に涙目になった雫は悔しそうに言い放つ。

「ほんますんませんでしったっす」

二人の女性の前で土下座しているモブは、重ねてそう言うのがやっとだった。

モブは反省しているなどというセリフは目の前の二人には吐くことなどできなかった。

被害者からすれば加害者に反省してほしいなどと望んでいないのは、低学歴のモブでも理解できる。

被害者が加害者に求めているのは厳格な罰のみだ。

被害者にとって加害者の反省など何の価値もない。

「反省してます」とは加害者の心を慰める為だけの加害者側にとって都合のいい方便なだけだ。

「っ!・・でてけ!出て行きなさいよ!宮コーから・・!」

マンションの入口付近で行われている異様な出来事に、マンションに出入りする人々の視線が3人に、特に土下座しているモブに突き刺さるが、モブは頭を上げない。

上げられなかった。

10分。それ以上たったかもしれない。

「・・雫。もう行こうよ・・」

ようやく咲奈が口を開く。

咲奈も雫を窘めているものの、モブのことを許していないのは、その目に現れていた。

実は咲奈も雫も、あの事件から少し出世し待遇が良くなっていた。

そのため、このマンションの一室を社宅として与えられているようになっており、モブと香澄がマンションへ二人で帰って来たのをちょうど目撃したところだったのだ。

雫も咲奈も、最初モブと香澄が一緒に歩いているのを発見したが、無視して自分たちの部屋に戻ろうとしたのだ。

しかし、雫はどうしてもモブにたいして抑えきれない感情が爆発し、自販機で水を買っていたモブに詰め寄った次第である。

「・・・ふん・・。あんたみたいなチンピラが宮コーの秘書主任だなんて・・!信じられない!」

雫は土下座しているモブにそう吐き捨てると踵を返した。

モブはようやく頭を上げて、去っていく雫と咲奈の背中にもう一度頭を下げた。

その時である。

モブの横目に信じられないモノが一瞬だが映ったのだ。

「冗談だろ?!」

モブの突然上げた声に、雫と咲奈も振り返る。

振り返った雫が、再びキッと目を釣りあげてモブに詰め寄る。

「何が冗談よ!」

「い・・いや、違うっす!いま・・!」

「何が違うのよ!」

モブが頭を下げた時に、マンションの非常口すぐに止まっていた白いワンボックスカーに覆面をした男たちが乗りこみ、一人は確かにぐったりとした香澄らしき人物を肩に担いでスライドドアを開け、車の中に投げ込んだのだのが見えたのだ。

「くっ!まずい!このままじゃ逃げられちまう!」

ばたんっ!とドアを閉めたワンボックスカーはすでにエンジンは付けられていたようで、ギャギャギャッ!とタイヤとアスファルトが摩擦する音を響かせて、マンションの駐車場を勢いよく横切りだす。

「え!?なに?!」

咲奈と雫も突然急発進したワンボックスカーを訝り、雫も詰め寄っていたモブから走り去ろうとしている車へと視線を移してそう言った。

「くそ!部長が・・!」

「なに?どういうこと?!」

駐車場を爆走し、公道に飛び出そうとしかけているワンボックスカーに、モブは慌てた様子で周囲を物色しながら、聞いてくる雫の質問に応える。

「岩堀部長が攫われたっす!いくら強化した俺の足でも車に追いつけねえ!・・どうすりゃ・・!くそ!車なんてもってねえっすよ!」

「部長って岩堀部長?!なんでよ!なんで攫われたのよ!?」

「そんなのわかんねえっすよ!」

雫の更なる疑問にモブも苛立った声で返したとき、咲奈が二人にむかって大声で呼んだ。

「二人とも!追いかけるわよ?!はやく乗って!!」

そう言った咲奈は、がぉん!!!とエンジン音を鳴り響かせたスポーツカーに乗っていたのだ。

咲奈が乗っているディープブルーのオープンカーには大きな三又銛のエンブレムが刻まれている。

「ひゅ~!マセラティかよ!おとなしそうな顔に似合わねえっすけど、良い趣味してるっす。頼むっす!!」

咲奈の大人しそうで上品な顔立ちと、車の好みのギャップに驚きながらも、モブはそのオープンカー飛び込む。

「似合わないってなによ!文句があるなら走ってきなさいよ!」

「もうっ!そいつも乗せて行くの?!」

普段とは違う強い口調で咲奈が乗り込んできたモブに言い放ち、そして雫も不満そうな声をあげながら車に乗り込む。

「しょうがないわ!」

咲奈がそう言ったその瞬間、ギャギャギャギャ!!!と急発進した三又銛のオープンカーは、咲奈、モブ、雫の3人を乗せ、白いワンボックスカー目掛けで爆走しだす。

「しっかり掴まってて!」

ハンドルを握る咲奈の表情には、先ほどまで雫の背に隠れ気味になり、雫を引き留めようとしていた表情はない。

「咲奈!!咲奈っ?!大丈夫よね?!熱くなりすぎないでね!!」

「ええ!!まかせといて!!」

雫のセリフにモブは不安になるも、当の咲奈は意に介した様子もなく、頼れるいい声で返事を返してくる。

モブの不安を他所に、咲奈は華麗なハンドルさばきで、ドリフトを決め公道へと飛び出し、ギアをガコッガコッ!と入れなおしてアクセルペダルを水平まで踏み抜く。

がおおおおおおおおん!

「上手え・・!これなら追いつけるっす!俺も運転にゃ自信あるけどこりゃすげえっす!」

車の性能の差は歴然で、けっこう離されていた距離がみるみる縮まり、追っている白いワンボックスカーの姿が近づいてくる。

「岩堀部長って・・ついこないだ入社した不動産部の部長さんでしょ?!」

「そうっす!」

「なんで狙われてるのか心当たりある?!」

「ぜんぜんわかんねえっす・・!」

風をきり激走するなか雫はモブに再度聞きなおすも、今のところ攫われる理由は本当によくわからないようだ。

以前攫われたことのある雫や咲奈も当人たちが原因で攫われた訳ではないのだ。

このモブや攫われている岩堀部長も身に覚えのないことなのかもしれない。

そう思った雫は、前を走るワンボックスカーを睨んでいるモブの横顔を見てその質問をするのを止める。

「・・とにかく、いまは手伝ってあげるわよ・・」

「・・・恩にきるっす・・」

あんなにモブを非難していた雫のセリフにモブは驚いた。

そしてモブが素直に感謝の言葉をかえし終わったころには、ワンボックスカーのすぐ隣に並走していた。

「止まれ!うちの社員を攫ってくなんていい度胸ね!そんなことさせないわよ!!」

猛スピードのオープンカーから、咲奈は亜麻色の髪を靡かせ、普段のおっとりとした見た目と声とは、全く違う勇ましい様子で、ワンボックスカーを運転している覆面男に怒鳴ったのだ。

咲奈も雫も自分が攫われた経験から、攫われた女性がどんな目にあうかを、身をもって知っているのである。

一刻も早く助け出さなければならない。

できれば、敵のアジトに連れていかれる前にだ。

そうすれば、少なくとも決定的な辱めは受けにくい。

車の中で受ける辱めならまだマシだ。

せいぜい身体中を触りまくられるぐらいで済むかもしれない。

咲奈も雫もそれがよく解っていたし、もう二度とあんな目にもあいたくなかった。

それに、あんな思いを他の女性にしてもらいたくなかった。

それが部署こそ違うとはいえ、誉れ高き宮コーの同僚というならば猶更である。

2人とも、宮コーの社員である事には本当に誇りをもっており、宮コーの社員であるがために、あのような目にあったというのにも関わらず、その誇りだけは今も変わらず否、あの時に自分を信じられない強さで助けてくれた加奈子や直属の上司の麻里、そして立場をわきまえず自ら率先して助けに来てくれた佐恵子など上役の女性たちの温かさ、そしてそんな女性になりたいという気持ちは一層強くなり宮コーの同僚には今や家族のような思いもあった。

その気持ちの変化があったからこそ、本来なら2~3発はぶんなぐって然るべきモブすら、そうせずに今こうして車に同乗させているのである。

そしてモブはともかく、同じ女性社員である岩堀部長がさらわれた。もう二度と自分たちのような思いをする女性社員を出したくない。その思いがあったから、こんな突然の事件にも咄嗟に反応できたのだ。

「止まれっつってんでしょうが!」

ハンドルを握った咲奈の口調が、攫われた女性が辿る運命を想像してしまったようで先ほどより荒くなっている。

並走されだしたことで、覆面男は明らかに動揺した素振りを見せ、慌ててアクセルを踏むも、V8エンジン搭載で最大出力460ps、最大トルク520Nmを誇る咲奈の愛車が、薄汚れた型落ち中古のワンボックスカーに引き離すパワーなどあるはずがない。

「無駄無駄!逃がさないわよ!?」

そう言って咲奈はアクセルを踏みハンドルを操作して、破れかぶれで体当たりしてくるワンボックスカーを華麗なハンドルさばきで躱す。

走行車や対向車の間すり抜け、2台のカーチェイスが続く。

「止まる気ないわね・・・!」

暫く走って咲奈が焦れたように呟く。

咲奈は雫に目を向けるも、雫は首をぶんぶんと激しく横に振る。

咲奈の視線には「運転を代われる?」という意味があったのだが、雫は運転のほうはからっきしなので慌てて首を振って拒絶したのである。

「なんか手があるっすか?運転俺でよかったらかわるっすよ?」

雫と咲奈のやり取りで、咲奈の言わんとしていることを感じ取ったモブが咲奈に提案する。

「・・・キミ・・運転イケる口なの?」

「ああ。まかせとけっす!」

咲奈のワイルドな口調での質問にモブは自信たっぷりに即答する。

モブのセリフと表情をじっと見た咲奈は、ふっと笑うと頷いた。

「いいわ。ただし私の愛車にキズつけたらタダじゃおかないからね?」

「上等っす!」

モブの返答をきいた咲奈は笑顔で頷くと、ハンドルを離し運転席のシートと、運転席側のドアの上に足を乗せ、車の上に立ちあがる。

そしてモブは咲奈が座っていたシートにすかさず滑り込みハンドルを握る。

「OK!すげえ馬力っすけど問題ねえっす!」

咲奈からモブへと運転がかわったが、モブのドライビングテクニックも咲奈に引けを取らない。

「やるわね」

咲奈がモブを見下ろしそう賞賛するも、すぐに視線を目標へと移す。

「ちょっと乱暴だけど仕方ないわ。雫!援護して!?」

「ええ、わかってるわ!安心して!」

咲奈が車の上で立ったまま、助手席に移動した雫に援護を要請し、雫も咲奈がしようとしていることを察して返事を返す。

「遥か先の追い風に乗り、軌跡を留めず吹き抜けろ。全ての雲を巻き、青い旋律となって舞い上がる力と成れ・・・」

「いけないっ!させないわ!」

がぁん!!

「きゃっ!?」

亜麻色髪を靡かせて運転席の上に仁王立ちとなり、胸の前で、印を結ぶようにしていた咲奈が紡ぎ終わり、技能を発動しようとした瞬間、ワンボックスカーの窓が開き拳銃が突き出されて火を噴いたのだ。

咲奈を狙って放たれた銃弾は、雫が咄嗟に発動した水玉に突っ込んだため、軌道が逸らされ咲奈には当たらなかったのだ。

銃声に驚き、技能の発現を中断させられて悲鳴を上げた咲奈は、身を屈めるように運転席の上でしゃがむ。

「うぉう!撃ってきやがったっす!ここ日本っすよ?!二人とも怪我はねえっすか?!」

「咲奈?!大丈夫よね?!当たってないわね?!私が【水玉】で銃弾を防ぐから撃っちゃって!」

モブと雫がそう言ってしゃがみこんだ咲奈を見上げる。

「うぉ!!」

モブは自分の席のシートと運転席側のドアに足をそれぞれ乗っけてしゃがんでいる咲奈のスカートの中を見上げた拍子に見てしまい慌てて顔を前に向ける。

「上見るな!」

がんっ!!

モブの頭に衝撃が走る。

「いてっ!」

「このスケベ!ちゃんと運転してなさい!」

ごりっ!

さらにモブの脇腹を鈍痛が襲う。

「おごっ!?・・は、はいっす!」

頭頂部を咲奈に小突かれ、脇腹を雫の拳に抉られたモブは苦悶の声をあげるも、素直に返事を返す。

(グリーンっす・・ありがとうございますっす)

モブが今日は災難なのか役得日なのかわかんねえっす。と思っている間に咲奈は再度技能発言の為に紡ごうと立ち上がる。

ワンボックスカーから突き出された拳銃から、銃弾が何発も放たれるも、そのすべてが雫の生み出した【水玉】にじゅぼっ!じゅぼっ!と絡めとられ速度を失って軌道を逸らされていく。

「咲奈!今のうちよ!あんな鉄砲なんか当てさせないから!」

「ありがとう雫!・・・遥か先の追い風に乗り、軌跡を留めず吹き抜けろ。全ての雲を巻き、青い旋律となって舞い上がる力と成れ・・・【疾風走波】!!」

ぐわぁ!!

紡ぎ終わった咲奈が両手を突き出し、ワンボックスカー目掛け青い風の塊となったオーラが唸りを上げ、ワンボックスカーに牙を剥く。

タイミングを見計らって放ったその風の塊は、ワンボックスカーに直撃し包み込むと、車体を空中に持ち上げ公道から弾き飛ばした。

「っくっ!?部長も乗ってるんっすよ?!それに歩道には通行人も!!」

ハンドルを切り、ききききっ!と車体を横滑りさせて路肩に停車させたモブも、吹き飛ばされたワンボックスカーが、高々と舞い上がり歩道に落下しだしたことに焦った声をあげる。

「心配いらないわ」

そう言ったのは雫であった。

「はあああ!」

咲奈は両手で風を操り、ワンボックスカーの落下の速度を緩めると車体を植栽の上へとゆっくり下ろし、タイヤが浮いて走行できないような状況にしてしまったのだ。

「マーベラス!ナイスすぎるっす!」

咲奈の技能と機転に、モブは親指を立てて再び上を向き笑顔を向けたところで咲奈に顔面を踏まれる。

がすっ!

「いでっ!」

「上を向かないでって言ったじゃないですか・・」

ハンドルから手を離した咲奈の口調は元に戻っていたものの、踏み付けの威力はかなりあったようでモブは悲鳴を上げて両手で顔面を抑える。

「二人ともまだよ!あいつ等まだ逃げる気だわ!」

雫の声で、ワンボックスカーのを方を見るとモブと咲奈のやり取りの間に、3人の覆面を付けた男たちがぐったりした女性を背負い車から飛び降り、路地裏へと駆けだしているところだった。

「追うっす!・・二人とも車出してくれてサンキュでしたっす!」

モブはオープンカーから飛び降り、二人に振り向きもせず覆面男たちを追って駆け出した。

「私たちも行きます!」

「ここまで来て帰るってわけにいかないでしょ?!」

そんなモブの背にそう言った咲奈と雫も、車から飛び降り駆け出しかけたところで、拡声器を使ったような大きな声が鳴り響く。

「おらあ!お前らなにやっとんじゃあ!止まらんかい!!」

雫が声の方に顔を向けると、そこにはスピード違反と信号無視で、公道を激走してきた自分たちを追ってきた警官たちがパトカーを止め、咲奈の愛車を囲みながら、逃げようしているように見えるモブたちに怒鳴っていたのであった。

「ど・・どうしよう・・」

「説明してる時間なんてないわ!」

咲奈と雫がそう言うも、先を行くモブも無線で先回りしていたのであろう警官たちに行く手を遮られて掴みかかられていた。

「はなせっ!逃げられちまうっすよ!人が攫われたんっす!!はやく追わねえと・・」

「あばれるなって!話はちゃんと聞いてやるから!」

モブも両脇を警官に羽交い絞めにされ、パトカーに乗せられようと連れていかれそうになっている。

「・・・しょうがねえ・・っす。こんなことで部長を見捨てることなんてできねえっす」

宮コーの社員として、警察の世話になり、大事になってしまうのを一瞬でも心配してしまったことにモブは激しく後悔し、両脇を掴んでいた警官の二人に見事な動きで当身を喰らさせ気絶させたのだ。

どさりと二人の警官がほぼ同時に崩れ落ちる。

モブは神妙な顔でやっちまったという表情を一瞬だけ浮かべたが、すぐに迷いのない顔になった。

「・・あんた・・」

モブの公務執行妨害を目の前でみた雫も、驚いた表情でそう言うもすぐに「よくやった」という表情になって頷いた。

「行くっす!」

「ええ!」

「アンタが仕切らないでよ!」

モブの掛け声に咲奈と雫もそれぞれ答えてモブに続く。

一瞬だけ足止めされてしまったが、まだ遠くには行ってないと思いたい3人は気絶した警官二人を飛び越え、背後から制止の警告をする警官たちを振り切り、覆面男たちが逃げていった路地裏へと駆けこんで行ったのであった。

【第10章 賞金を賭けられた美女たち 11話 雫と咲奈そしてモブの香澄救出作戦終わり】12話へ続く

第10章 12話 賞金を賭けられた美女たち 12話 賞金首岩堀香澄

第10章 12話 賞金を賭けられた美女たち 12話 賞金首岩堀香澄

「ずいぶん暴れられちまったけど上手くいったなぁ。まだ値は張らねえが、俺らがこれから育てるつーことで・・にひひ、腕がなるぜい」

覆面をした男の一人、清水光一はそう笑って得物を見下ろした。

ワンボックスカーの後部座席、フラットシートの上には、目を閉じぐったりとしたスーツ姿のアラサー眼鏡美人が仰向けに横たわっているのだ。

この眼鏡美人の思わぬ反撃で、清水の頬には青痣ができてしまっているが、覆面のせいで今は見えない。

清水は青痣になってしまっていることを知らず、香澄に後頭部をぶつけられた頬を痛そうにさすりながらも、捕えた得物の見目麗しさと、いま正にパンスト越しとはいえ、いやらしい手つきで揉むというよりは握るに近い所作で堪能している太腿の肉質に大いに満足していた。

「しっかし、3人がかりであんなに手こずるたぁ思わなかったなぁ。宮コーの能力者は伊達じゃねえってことだな。今後はもっと慎重にいかねえと危ねえかもしれねえ。・・・でも紅蓮クラスはともかく、このぐらいの強化能力者なら罠に嵌めたり、人数集めりゃなんとかなるってことだな。ちょっと手間取ったけどなんとかゲットできたし、今日からたっぷり可愛がって稼いでもらうとするかあ」

「はい!楽しみっすね・・。へへっ、こいつはどんな能力持ってんのかなぁ」

その満足そうな清水に合わせ、大山田も興奮した声で返事を返す。

大山田は紅蓮こと緋村紅音の能力を一欠片だが手に入れているのだ。

そのため大山田は、清水や金山よりも、能力を持つ女を犯す性犯罪に手を染める理由が増えているといえる。

犯せば犯すほど強くなれる【強奪】は、ゲス男大山田本人にとっては天啓かと思える能力だが、能力を持つ女性にとっては悪夢でしかない。

能力開花している女性達にとっての救いは、大山田が能力者としては未だにザコだというところだ。

しかし、それも積み重なればいずれは脅威と成り得る。

「あー、大山田ちゃんの能力なんかずるいよねえ。俺らより得しちゃってんじゃん・・。まあその分、分け前とか順番で差つけっからよろしくー」

「うっ・・は、はいっす」

清水のセリフに、大山田は馬鹿ながらも清水に逆らえば役得を得られなくなることぐらいはわかるようで、不承不承応えた。

できれば汚されてない新品の能力持ちの女を抱きたいが、清水と縁が切れれば能力を持つ女を狩るのは難しくなる。

そのあたりの女をしつこくストーキングして犯すだけなら、大山田だけでも訳もないことだが、大山田は知ってしまったのだ。

能力者女を犯すのは普通の女を犯すより数倍気持ちがいいということを・・。

そのうえ、【強奪】持ちの大山田が犯せば、その女の持つ能力も奪えてしまう。

大山田と犯された女の力の差が大きければ大きい程、強奪する割合が増えるということが、【強奪】を得た大山田には感覚として脳に伝わってきている。

よって大山田が強くなればなるほど、女から強奪できる能力の割合が増す。

大山田がより【強奪】能力を発揮する為には、能力開花している女を犯せばいいのだ。

今はまだ大山田の能力は、一般的な能力者やノラ能力者と比べてもまだまだ未熟である。

しかし、初手からトップクラスの能力者である紅蓮を犯したことで、一般人としてもクソ雑魚だった大山田の力は一気に開花し、そして大きく飛躍しているのだった。

それを身体と脳で実感できてしまっている大山田は、自分が何をしていけば強くなれるのかがよく解っていた。

【強奪】の強奪率は相手の力の1%~99%。

大山田が紅蓮から奪った力は、大山田と紅蓮の圧倒的な能力差のせいでたった1%である。

しかし、紅蓮の能力の大きさは膨大で、大山田は1%しか奪えなかったとはいえ、以前の自分の力とは、明らかに違い過ぎるパワーを自身に感じられるようになっていた。

小柄で華奢な体格の紅蓮こと緋村紅音であっても【肉体強化】を発現すれば、握力だけでも400kgを超える。

何のトレーニングもなく、いきなり握力が4kgも増えれば、いかに鈍感な大山田でも体感できてしまうほど違いは感じられる。

それが握力だけでなく、すべての筋力、そして聴力や視力、動体視力までもの能力値が上昇しているのだ。

その為、大山田は【強奪】を積み上げることで、最強を目指せる可能性すら感じ始めていた。

炎のような扱いが難しい能力は、ライターの火程度が発現できるほどしか奪えていないが、もともと紅蓮の発火能力の上限値をしらない大山田には、自分に発火適正が乏しいということは知る由もなかったのである。

しかし、紅蓮の【肉体強化】能力のほうは、普段から鍛えてもいなかっただらしない大山田のぶよぶよの身体にとって、効果てき面で分かりやすかったのだ。

「異存ないですよ清水さん・・」

バカな大山田でも、いまは清水に従っていたほうがいいというぐらいの計算はできた。

他人の精子で汚された女でも、大山田にとっては二つの意味でご馳走である。

そして清水達の女性能力者狩りのバイブルともなっている、会員制の動画投稿サイトで賞金首とされている女性能力者は一般女性と比べてもすこぶる美人比率が高い。

能力者という概念を最近知った大山田でも能力者女性は美人が多いのだと感じていた。

「わかってるねえ大山田ちゃん。話もまとまったところで得物もバッチリ捕まえたし、長居は無用!金山ちゃん!出しちゃってよ!」

「オーケー!」

大山田の返事に清水は上機嫌で返し、運転席の金山にそう言うと、金山は運転席から振り向かず返事を返してアクセルを踏みこんだ。

ぎゃぎゃぎゃぎゃ!

車が急発進し、マンションの駐車場内だというのに猛スピードで走りだす。。

「さてと」

未だに念のため覆面をしたままの清水はそう言って前菜ついでにパンスト越しに堪能した太ももの感触がまだ残る手を離し、香澄を眺め、今後のプランを整理するように香澄の太ももを揉んでいた手で顎をさする。

清水の考えるプランとは、香澄を凌辱する手順はもちろんのこと、いまだエントリーしたてで、賞金額の低い香澄の金額をいかに釣りあげていくかということも含まれている。

賞金額が1000万とまだ少ない獲物を、せっかくオークション前の賞金首をまんまと捕らえたのだ。

料理の手順を間違わないように注意しなければならない。

清水は、捕えた香澄の痴態を小出しにして、世界の牝能力者陥落動画サイトにいるプロ変態たちを上手く誘導して、あわよくば賞金額を釣りあげる算段なのだ。

「やっぱり・・まずはとりあえず・・、いままでのノラ牝と同じように一発強制絶頂させっか。んで、その動画の反応でサイトの奴等がこの女の人気もわかるしな・・。いい声で鳴いたり、反応が変態受けする牝であることに期待!」

清水は好き勝手な希望を述べ、宮コーの新人能力者であるアラサー眼鏡こと岩堀香澄の料理法を、ある程度清水がパターンにしている凌辱正攻法に決定する。

「大山田ちゃん。SMホテルに着くまでに一発だけこの眼鏡ちゃん露出させながら逝かせっから。抵抗できないように、このインシュロックで縛り上げちまっちゃってよ。で、縛り終わったら無理やり起こしちゃおうか」

4車線の国道を法定速度の40kオーバーで爆走するワンボックスカーの中で、清水は大山田にそう言ってインシュロックの束を大山田に投げ渡した。

「うっす!ひひひっ、楽しみっすね。ホテルに着くまでオレのがたちっぱなしっすよ」

大山田は能力者持ち女を犯すのが目的ではあるが、単純に好色家でもある。

そのため目的である【強奪】発動に至るまでの過程も十分楽しめるのだ。

大山田は、薄気味悪い笑い声を上げそう言いながら、清水に投げ渡された特殊繊維質のインシュロック束を受けとり、香澄の手首を後ろ手に縛り上げ、手早く次々とそれを肘まで幾つも付け縛っていく。

二人がせっせと香澄に取り付けている特殊繊維のインシュロックは、1本で耐荷重100kgもある。

その拘束具が香澄の手首から肘にかけて20本以上。

清水が下半身を担当し、足首から膝までで30本以上巻き付けられる。

すなわち腕には2t、足には3tの荷重に耐える拘束が施されてしまったのだ。

さすがに清水はノラとはいえ能力者の端くれを長くやっている男なのだ。

能力者持ち女を何度も襲って犯したことがある犯罪のプロである。

それゆえに、女の能力者が【肉体強化】して発現できる膂力の上限をある程度経験で知っているのだ。

清水達が手にかけてきた多くの女性ノラ能力者には、スポーツ選手や格闘家も少なからずいたのである。

そんな彼女たちは無意識に【肉体強化】を使っているのだが、瞬間的にその力を発揮できてもせいぜい1t程度の者達がほとんどであるということを清水達は経験としてわかってた。

香澄自身もまだ知りえていないことだが、香澄の【肉体強化】で発揮できる膂力の上限は、清水の目算通り今のところせいぜい1t程度だったので、香澄一人ではもはやどうやっても逃れえない状況にされてしまったのである。

「へへへっ、できたぜっと」

ものの2分も立たない間に、タイトスカートから伸びるしなやかな脚を膝下から足首にかけてギチギチに拘束し終わった清水は、香澄の熟れた太腿をパチンと叩き、満足そうに言った。

「こっちも完了っす。ひひひっ、こいつ自力じゃもう動けねえっすね」

好色な口調でそう言った大山田によって、香澄の手首から肘にかけては、ブラウスの上から同じく特殊繊維のインシュロックが厳しく施されてしまっていた。

拘束しやすいようにうつ伏せにされていた香澄は、大山田に肩を、清水に足を持たれてごろりと仰向けに無理やり返される。

「うぅ・・」

手足をインシュロックでギッチギチに拘束された香澄は、気を失ったまま不自由な格好でうっすら口を開き、艶めかしい声をあげて呻いた。

香澄は気を失いながらも、腕と足が自由に動かせなくなったことからか、微かな呻きを上げただけで目は覚めない。

しかし、大山田は清水の目配せを受けると、茶色の小瓶をポケットから取り出し、いまだ気を失って目を閉じている香澄の鼻先に、ピンセットで摘まんだガーゼを小瓶のなかの液体で湿らせてから押し付けたのだ。

「うっ!?あくっ?!なっ?いやっ!・・な、なに??!なんなの?!うくっ!」

香澄は突然襲った刺激臭に、堪らず強制的に意識を取り戻させられて鼻に押し付けられているモノを払おうと手を動かそうとするも身を捩らせただけである。

高濃度のアンモニアを嗅がされたのだ。

「おはよう。香澄ちゃん」

覆面をしたままの清水にそう言われた香澄は、一瞬どういう状況かわからず狼狽したが、すぐに先ほどの男だと気づき、覆面をした清水から距離をとろうと後ずさる。

しかし、後ずさるどころか全くまともに手足を動かすこともできなかったことに、焦った香澄は、内心の不安を見透かされないように、足元にいる清水と、自分の頭を膝で挟んで座るようにしている大山田を睨んで声を荒げた。

「貴方たち・・!こんなことしてどういうつもりなのよ!!?」

しかし手も足もギッチギチに拘束されたままでは、香澄の怒声も効果は乏しい。

「元気いいねえ。その調子でしばらくは頼むよ?・・よいしょっと・・」

きっ!と清水を睨んでそう言い放った香澄の膝の上に、清水は香澄の怒声など意に介す様子もなくそう言ってお尻を下ろして座り込む。

「ひひひっ」

同じく香澄の腕を抑えていた大山田も、清水の意図を察して、香澄の腕をまっすぐ頭の上に伸ばして、香澄の腕の上にケツを下ろして座り込んだのだ。

香澄は両腕両脚を拘束されたままピーンと伸ばした状態で、仰向けの格好で両腕と両脚の上に座られてしまったのだ。

「な・・なにを?」

香澄は極力平静を装い、顔に恐怖や不安が現れないように顔の装いを固くして、自分の脚の上に座っている清水に問いかけた。

「何をする気って?そりゃ・・アンタみたいなエロい身体した女攫ってやることっつったらさあ・・エロいことにきまってるでしょ?」

そう言って笑った清水は、後ろに隠し持っていた電気マッサージ器を手で持ち上げて香澄からよく見えるように上げて見せた。

「うっ・・!それを私に?・・ああっ!!?っく!」

生真面目な香澄でも、その器具が本来の使用目的以外で使われることぐらいは知っていた。

そしてその威力も・・。

香澄が拒絶の声をあげる前に、清水は振動音響かせ小刻みに震えているヘッド部分を香澄の股間に押し付けてきたのだ。

膝と肘の上に体重を掛けられている香澄は、電マが与えてくる甘美な刺激にビクンと腰を跳ね上げてしまう。

「へっへー、さすが熟れてるだけあっていきなりいい反応じゃない。香澄ちゃんもしかして溜まってた?」

「何をいってるのよ?!あ、貴方たち!いったいどういうつもり?!こ・・こんなことをして・・きゃっ!?あっ!!」


清水は香澄の抗議を聞き流し、閉じられた香澄の脚の付け根に電気マッサージ器のヘッドをグリグリと押し付けてくる。

「うぅっ!」

(な・・なんで・・こんなに・・すぐ、ここ最近忙しくて何もなかったから・・なの?!・・でも、こんなもので・・いいようにやられてたまるものですか!)

スカートの中に突っ込まれたヘッドが、パンストとショーツの上からとはいえ、しばらくそういった行為から遠ざかっていた香澄の陰核に、快感という刺激を即座に与えてくる。

「ひひひっ、そっこーで感じてやがるこの女」

伸ばした腕のヒジを敷くように座った覆面を付けた大山田は、下卑た笑いを上げて香澄の反応を嘲る。

その声に香澄はキッと視線を上に向けると、目の前にはスマホのレンズが向けられていた。

「えっ?・・やっ・・!やめなさい!撮るなんて!!」

「ひひひっ、いい顔してやがる」

香澄は撮られていると気づいて、レンズから顔を背けようとするも、自分の両腕で頭を挟み込むようにさせられている上、両肘は頭の上で大山田に尻に敷かれているのだ。

「っく・・ううぅ!」

股間に絶え間なく与えられる刺激で、表情が崩れそうになるのを必死に我慢しながら香澄は、悔しそうな声をあげる。

「やっ!?・・ちょっ!ああっくっ・・・うぅっ!」

「にひひ、可愛い水色・・。濡れちゃうとよくわかる色だねえ」

顔の間近に向けられているレンズに気を取られていた香澄だったが、電マを突っ込まれているスカートが清水によって捲られたのだ。

パンスト越しとはいえ、香澄の履いている薄い水色のショーツが露わになる。

感じまいと貝殻を閉じるようにして足を閉じ刺激に耐えている香澄は、自分のショーツを男たちに見られてしまったこと、膝の上に座っている清水にもビデオカメラを向けられていることに驚いたのだ。

「そ、そっちも?!だめよ!撮らないで!」

「撮る撮る。撮らないでどうするのさ。そんなに腰引いちゃって可愛いねえ。そうしないと感じ過ぎちゃうのバレバレだよ?」

香澄の拒絶の言葉を無視して、清水が香澄のスカートをたくしあげ、薄いベージュのパンストに包まれた、淡い水色のショーツ目掛け、電マのヘッドを支える部分が曲がるほど押し付けてくる。

ヴヴヴヴヴヴヴヴッ!

「うぁ!や・・やめなさい!こんなことしてなんの・・つもり・っ!?きゃっ!?」

ヴヴッヴヴヴヴウウヴィ!ブブブウブブッ!

「へへっ。お前いい感じだなあ。嫌がりながらも気持ちいいのが我慢できないタイプだな。ほら、もっと楽しめよ?」

感度の良さそうな香澄の反応に気をよくした清水はそう言いながら、香澄の腰を持ち上げて、香澄のヒップの下にクッションを敷き込んでしまう。

香澄は足と手をピーンと伸ばしたまま固定された上、ヒップの下に敷かれたクッションのせいで、腰を引けなくなり清水の方へ突き出すようにさせられてしまったのだ。

「あああっ!だめ!」

香澄はとっさに焦った声をだしてしまう。

ヴヴヴヴヴヴ!

脚をきつく閉じているとはいえ突き出した股間に、電マが再び押し付けられる。

「あああっっく!!」

香澄は脳まで突き抜けてくる甘い振動に目をきつく閉じ、頤をばっ!と上げ大山田が構えるレンズに感じた顔を差し向けてしまう。

「ひひひっ。感じた顔接写だぜ」

「こいついいねえ」

「っっ!っっ!!んんっ!!」

普段のSEXでも感じた顔をパートナーには見せず、枕やシーツで顔を隠していた香澄だったが、いまやそれすら許されず、玩具で感じさせられた顔を隠すこともできずにいた。

せめて声だけでもと、感じ始めた声を漏らさずにしているが、その我慢している努力や表情すら男達のオカズになってしまう。

しかし、インシュロックを何十個も付けられている香澄にそれ以外にできることはない。

大山田は下卑て勝ち誇った嘲笑をあげ、清水も満足そうな感嘆上げた時、香澄を乗せたワンボックスカーが一気に加速し、そしてすぐに急な横揺れをして清水達を慌てさせる。

「おいおいおーい!安全運転でたのむよぉ~?いまいいところなんだぜ?」

遠心力に耐えながら金山に言った清水だったが、金山がスピードを出しハンドルを切った理由はすぐに分かった。

「くそっ。避けやがった・・。おい、そっちはお楽しみみてーだが、追ってきやがるやつらがいる」

金山が焦った声をあげて清水に援護を求めるよな声をあげる。

「ふりきっちゃってよ!だいぶこの車も手加えてるからさ!こっちも手が離せないところさあ!」

「くそっ!あとでおぼえてろ!」

「きっちりふりきっちゃって!」

清水は金山にそう言うも、追ってきているディープブルーのオープンカーはスモーク越しのバックウィンドウからみるみる追いついてくるのがよく見える。

「くそっ!クソ速え!」

「ちょっと手が離せねえんだわ。動画も撮っちゃってるしな。そっちはなんとかしちゃってよ!」

金山が焦るのを通り越した苛立った声をあげるが、清水と大山田は感じ始めた香澄に夢中だ。

香澄は悪漢たちの様子に気付き、首だけ起こして、ワンボックスカーのバックガラスから外を覗き見る。

そこにはスモーク越しで色はよくわからないが、いかにも外車ですという感じの派手なオープンカーがすぐ後ろまで迫ってきており、モブと見慣れない二人の若い女性が乗っていたのだ。

「茂部くん!」

「なにっ?!」

香澄の上げた声に驚いた声をあげたのは、覆面を付けたままの大山田である。

香澄に正体がバレないよう、清水や金山たちもお互いの名前を呼び合わないように注意している。

大山田も当然気を付けているのだが、モブが追いかけてきたことにはつい声をあげてしまったのだ。

清水が大山田に対して、口を滑らすな!と目で言ってくるのが大山田には伝わってきた。

「こっちはつづけちゃうよ?頑張ってふりきちゃって!」

「ああ!・・そのかわりそいつ犯すときゃ1番にやらせてもらうからな!」

清水の指示に金山も条件を付けて返事を返す。

「くぅ!!」

香澄はスモーク越しに見えるモブの姿を認めながら、股間に電マを押し当てられ感じさせられている異常な状況に余計に感じ始めてしまっていた。

(茂部くんが・・助けに来てくれたんだわ・・。でもあんな年下の後輩が近くにきているのに、私こんなモノで甚振られてる感じさせられてる・・!なさけないわ・・!)

ヴィヴィヴィヴィッヴィイヴィ!

「ああっ!・・くぅ」

相変わらず顔も、股間側からもレンズで隙なく撮影されている香澄は、助けが来ているというのにもかかわらず、いや、近くに顔見知りが来てくれたせいで余計に感じてしまい、昇る速度が上がり始め出してしまっていた。

ヴィヴィヴィヴィヴィチッヴィチッ!ヴィヴィチッ!

電マの振動にも水音を跳ね上げさせる音が混じりはじめてしまい、香澄は出来るだけ声を我慢するも羞恥で顔を染め始める。

「おっ!?香澄ちゃん。感じやすそうなのに頑張ったけどこうなったらもう我慢できないねえ?」

バリバリバリバリッ!

そう言った清水は、香澄の下半身を包んでいるベージュのパンストを乱暴に引き裂いたのだ。

「きゃっ!?」

いきなりのことに驚いた香澄は思わず悲鳴を上げてしまう。

破られたパンストを確認しようとしたとき、清水が、引き裂かれたパンストから覗く、露わになった豊かに上質な肉質をアピールするかのように揺れる白い2本の太ももの中心部の股間にレンズを向けているのが目に飛び込んできた。

「へへっ。・・・・香澄ちゃん。濡れちゃってるねえ。パンツに地図書いちゃってるじゃない。はははっ。必死で我慢してる顔してたのにさ。こっちは全然我慢できなかったんだねえ?」

「ひひひっ、無理やり当てられた電マで、顔も知らねえ男に感じてなっさけねえ女!欲求不満なんだろ?ええ?」

「くっ!」

(ほんとに濡らしちゃったの・?!でも・・ああ・・下着を汚すほど濡らしちゃうなんて・・!・・ずっと遠ざかっていたから身体が反応しちゃったんだわ・・!こんな奴等に・・・!!く・・くやしいい!!)

男達のセリフに香澄は悔しそうに顔を背けるも、その僅かな身じろぎすら許されず、大山田に頭を鷲掴みにされ顔の正面にレンズを向けられる。

さて香澄ちゃん。逝きたくなったらちゃんと言うんだよ?おじさん優しいから言えばちゃんと逝かせてあげるからね?」

「ひひひっ!おまえこっからが本番なんだぜ?恥のかき時の始まりってやつだ」

再び香澄の股間に押し当てられた電マヘッドが、下着越しに陰核を虐めだす。

「っ!!?」

再開した刺激に香澄はかろうじてもれそうになる声を我慢できた。

しかし、すでに昇りだした快感は香澄の意思に反して止まる様子はない。

ヴィチッヴィチッヴィチッヴィチッヴィチッヴィチッ!

「ひひひっ、情けねえなあ」

ヒップに敷かれたクッションのせいで腰を引き、快感を弱めることもできない。

ヴィチッヴィチッヴィチッヴィチッヴィチッヴィチッ!

「ぜんっぜん逃げられねえだろ?」

上下の男たちに、腕と足をがっちり抑えられ上下から撮影されている。

ヴィチッヴィチッヴィチッヴィチッヴィチッヴィチッ!

「いい顔だぜ。バレてないつもりなのか?おまえが感じまくってるのはバレバレなんだぜ?ひひひっ」

昇りだし感じている顔を隠すこともできない。

「ふっ・・ぅ!っ・・・!ん!」

(だ・・だめ!このままじゃ・・逝っちゃう!!)

異常な状態に頭が真っ白になりだし、ニヤついた男たちに嘲りと、罵声を浴びせられながらも成す術なく電マで逝かされてしまうと覚悟した香澄は、羞恥の瞬間の顔をせめてできるだけ背けようとしたが無理だったので目をきつく閉じてやり過ごそうと身構える。

その時である。

股間をがっつり捉えていた振動が止んだのだ。

「・・ぇ?」

真っ赤な顔でじっとり汗ばんだ顔を起こし、股間の方をみると再び電マが押し当てられた。

ヴィチッヴィチッヴィチッヴィチッヴィチッヴィチッ!

「あくっ!!?ああん!」

我慢していた声が漏れてしまう。

「へへへっ、簡単には逝かせないよ香澄ちゃん?ホテルに着いたらいっぱつ逝かせてあげるから、それまでは寸止めさ。おじさん寸止めするのプロ級だから絶対逝かせないよ?・・もっとも逝かせてくださいってちゃんとお願いできたら逝かせてあげてもいいんだよ?」

「ひひひっ、地獄だっつったろ?ひひひひひっ」

「こ・・この・・!っっっ!!く!!」

清水と大山田のセリフに香澄は二人を交互に睨んで批判を飛ばそうとするも言葉にならなかった。

すぐに絶頂がそこまで迫っていたからである。

逝く!

そう思った瞬間に股間に与えられていた刺激がパっ無くなり、2秒後に再開される。

「っ!!??ちょ!?・・あくぅ!」

い、逝く!!

そう思った瞬間に股間に与えられていた刺激がパっとなくなり、2秒後に再開される。

「あぐっ!?っくあ!なにを?・・ああ!!」

逝くぅ!!

そう思った瞬間に股間に与えられていた刺激がパっとなくなり、2秒後に再開される。

「嫌ぁ!!こんなの嫌ぁ!」

逝っちゃぅう!!

そう思った瞬間に股間に与えられていた刺激がパっと無くなり、2秒後に再開される。

「ああっ!やっ!やめっ!!やめてぇ!!」

逝っくぅ!!

そう思った瞬間に股間に与えられていた刺激がパっとなくなり、2秒後に再開される。

「だめっ!だめ!」

ダメ逝く!!

そう思った瞬間に股間に与えられていた刺激がパっとなくなり、2秒後に再開される。

「やめて!やめなさいっ!」

逝く!!逝っちゃう!!

そう思った瞬間に股間に与えられていた刺激がパっとなくなり、2秒後に再開される。

「やめて!やめて!もやめて!きゃああああ!」

逝くぅ!!!ダメえ逝くぅ!!

そう思った瞬間に股間に与えられていた刺激がパっとなくなり、2秒後に再開される。

「も・・もう!もうだめ!止めてえ!ダメよ!」

ダメ!逝っちゃう!

そう思った瞬間に股間に与えられていた刺激がパっとなくなり、2秒後に再開される。

「あああああっ!!」

声を我慢していたことも忘れ、香澄が寸止め地獄のループに嵌って絶叫し出す。

「いいねえいいねえ!香澄ちゃん人気出るよ!ツラもいいし声もデカいし感度もいいし、反応も申し分なし!」

「ひーひひひっ!まだまだホテルまで長いぜぇ?!まだ30分は寸止め地獄だあ!顔も真っ赤で部屋で木刀構えてた時の面影なんてありゃしねえ。牝なんて一皮剥きゃアへ顔で喚き散らし出すもんだなあ!」

「あくっ!!あああっ!やめっ!!やめええ!!」

電マ2秒インターバル地獄真っ最中の香澄には、男達のセリフはまともに聞こえていなかった。

清水が自分で言うように、清水の電マさばきは見事で香澄を決して昇らせず、そして決して降ろさせず甚振り始めたのだ。

レンズを向けられ、動きも制限されたまま、汗だくになって股間からも牝の匂いは車中に発し、香澄は逝かされず弄ばれ痴態を録画されていく。

逝けず止まずのゾーンに入った香澄は、2秒インタターバル地獄で、オルガズムに達することなく清水の電マさばきから逃げられなくなって甚振られつづけた。

そして、その寸止め地獄が10分ほど続けられたとき、運転席で一人奮闘していた金山が怒声を上げた。

「やろお!しつこい奴等だぜ!!」

がぁん!!

怒声と銃声が鳴り響くのはほぼ同時だった。

「お、おい!!撃つな!!」

「うるせー!撃ち殺してやる!」

清水らしからぬ険しい声での制止に金山は清水の声を上回る怒声を吐き、車外で並走しているオープンカーに拳銃の照準を合わせ再びトリガーを引いている。

「おいおい!熱くなんなって!」

清水の声は金山には最早届いていないようで、引金を何度も引き続けている。

「だめだ・・こいつ熱くなったら聞きゃしねえ・・」

清水は金山を止めるのは諦め、香澄の膝に座ったままひとまず香澄の寸止め地獄責めを中断し、オープンカーに乗る3人に目を向ける。

オープンカーを運転している男は華麗なハンドルさばきで、金山が寄せる体当たりを躱しぴったりとこちらと並走し、運転席の上に立った髪の長い女は、どうやら何かを発動しようと紡いでいる真っ最中だ。

そして、金山の撃った銃弾を黒髪の女が発現させたであろう大きな水の塊がとらえ、威力を削いでしまっているのだ。

「はぁ?!こいつら全員・・くっそ!洒落にならんじゃん!こいつら全員宮コーの能力者か・・!?・・やべえやべえやべえ・・!!くそっ!!」

追われているのを知りながら、金山一人に対処を任し、香澄を甚振ることに熱中しすぎたことを清水は今更ながら後悔して吐き捨てた。

その時、清水達が乗っているワンボックスカーにどっ!!と衝撃が押し当り、車中にあるもの全てが宙に浮く。

清水達も例外ではない。

頭や身体を車内の天井で強打し、そしていきなり無重力になる。

「ぐおっ・・?!」

「痛てっ!!?」

「おああああっ!!」

「きゃ!!」

車内にいる4人はめいめい悲鳴をあげ、身体をあちこちぶつけ身を丸くする。

車が上空に投げ出されたと分かった清水は落下に備え身構えたが、その心配はなかった。

車がゆっくりと歩道にある植栽の上に降り始めたからだ。

「ちっ!あのまま地面に叩きつけりゃ俺たちをやれたかもしれねえってのに・・!俺らを捕える気か・・!そうはさせねえ・・!」

清水はゆっくり落下する車内の窓から、両手をこちらにむけ車体をコントロールするようにしている女に向かって鋭く舌打ちして吐き捨てた。

「おい!ダッシュでずらかるぞ!その女担げ!ぜったい連れて帰るぞ!?」

清水は清水らしからぬ様子で形振りかまわず叫んで指示したことに、頭を打って起き上がり掛けた大山田はびくっとした表情になったが、慌ててぐったりとした香澄を抱きおこす。

いまの清水には普段のチャラチャラした雰囲気はない。

「心配すんな!その女、手足縛ってたせいで思い切り頭打ってやがった。たぶん気うしなったみたいだからよ。そのほうが都合がいい・・。わかったら、とっとと逃げるぞ?!あんな奴等に捕まったら終わりだ!急げ!!?」

「了解っす!」

「お・・おう!」

清水の慌てた怒声に、大山田は香澄を担ぎ、金山も熱くなりすぎていたのを反省したようすで返事を返す。

そして清水は覆面がきちんとかぶれているか確認すると、勢いよくスライドドアを開け一目散に路地裏へと駆けだす。

弥次馬の通行人たちを突き飛ばしながら、二人も清水へと続き路地裏に駆け込んだのであった。

【第10章 12話 賞金を賭けられた美女たち 12話 賞金首岩堀香澄終わり】13話へ続く


第10章  賞金を賭けられた美女たち 13話 ダメ男の模範とそれを克服した男

第10章  賞金を賭けられた美女たち 13話 ダメ男の模範それを克服した男


「まてー!ごらぁ!逃げても無駄だぞ!」

後ろからクソ生意気な声が聞こえてくるが、常に冷静沈着なオレは振り返って言い返したりはしない。

そんなことをすれば、いくら俊足と名高いこの俺でも追いつかれてしまう恐れがあるからだ。

身の程知らずにも俺様を追ってきている集団の先頭は、よく知る男、後輩のモブこと茂部天牙の野郎だ。

デカい図体を生かした力任せなことしかできない不器用なヤツだと思っていたが、細い路地裏に散乱しているゴミ箱などを華麗に飛び越えて、図体に似合わない俊足を見せ、徐々に距離を詰めてきやがりやがるのは、きっと俺の足の調子が悪いからだろう。

万全の状態なら、俺がモブなんかに後れを取るはずがない。

学生時代にタイマンしてやったときだって、あの日は朝から腹の調子が悪かったせいだ。

大山田種多可は本気でそう思っていた。

大山田は天才なのだ。

自分に都合の悪いことについて言い訳を考えることについてはだが・・。

何をやらせてもオールラウンドにできない人間ほど、言い訳を考える才能は素晴らしいのは、どのダメ人間にも共通する。

そして、ダメ人間だからこそ真実からかけ離れた結果を導き出すのであった。

モブの奴が俺らの店で見せた力・・、俺の能力とそっくりだった。

あんな奴でも能力者だってのか?

俺らの周りで、ほかに力を持ってる奴なんていなかったが、よりによってあんな野郎が・・、腕にガスボンベを仕込んでないとすると、あいつも火を使う能力者か?

ちっ、面白くねえ。

特別なのは俺だけで十分だってのによ。

まあ、モブが多少能力を持ってたって俺に敵うわきゃねえ。

そんなことあっていいわけねえんだ。

・・・あいつ一人だけで追ってきてやがるんなら、ギッタギタの返り討ちにしてやるところだが、卑怯にも3人がかりか・・。

逃げながら、後ろをチラりと振り返ると、モブだけでなくモブの後に続くショートストレートの黒髪と、亜麻色ロングの女もモブの後に続いて追ってきているのだ。

1人相手に3人たぁ男の風上にも置けねえなあ!なんであんな卑怯なクズ野郎が宮コーなんかに就職できてんだ・・?!あの会社の平均年収って1000万超えてんだろ?くそっ!面白くねえ!なんでこの大山田様って天才をスカウトしねえで、モブなんかに目付けてんだ?!どうせスカウトした奴も脳みそ空っぽだろ?!

大山田がそう罵ったとき、モブたちが追いかけっこをしている2kmほど東にある宮川コーポレーション関西支社内では、高嶺弥佳子にざっくりとショートカットに散髪されてしまった宮川佐恵子が鏡の前に座らされていた。

スタイリストたちによって、上場企業の重要なビジネスパーソンでもあり、宮コーの広告塔も兼ねている佐恵子の新たな髪型を提案し、希望や意見を求め、同意を促してきているが、いまだに首まで斬られてしまったかもしれないとショックを受け、呆然としている佐恵子は、大山田の罵りのせいなのか、突然盛大にくしゃみをしてしまっていた。

佐恵子の何の予備動作もないくしゃみのせいで、スタイリストが佐恵子の短くなった髪にあてがっていたハサミの刃が、佐恵子の髪を更に短くカットしてしまっていた。

生まれながらにして、才能に恵まれたお嬢様は唯一運には恵まれていないのだ。

裕福とはいえ家庭の環境、親族の不仲、生まれながらにして背負った境遇、男運など・・あまり恵まれているとは言い難いが、本人にはそれが普通だと思っていたのが救いである。

ふぁさぁ・・と案外大量に床に落ちた佐恵子の髪の毛を見たスタイリストは顔を青くして、頭を下げてくるも、急に動いたのは佐恵子なので強くも責められず、佐恵子は長年かけて腰までとどく見事な黒髪だったのが、いまや耳も隠せないほど短くなって鏡に映る自分の姿に涙目で怨めしそうに睨み、唇を噛んでいた。

そんな様子の佐恵子に加奈子がそわそわと世話を焼き、凪が慰めるように背中を撫で、真理が憂いの表情を顔に張り付けたまま、誰にも分らない程度でプルプルと小刻みに顔を震わせていた。

宮コー関西支社内で幹部たちがそれぞれ心境を揺さぶられているとは知らず、モブたちの路地裏チェイスと大山田の妄想肥大は続いている。

大山田は路地裏を右へ左と曲がり、なんとかモブたちを巻こうと全力で走っていた。

だいたい、みんな俺に対する接し方がなってねえ!親も世間も政治もみーんな俺をもっと賞賛しやがれってんだ!俺にたいする然るべき態度ってのがあんだろーがよ?!いかに俺が温厚で平和主義者だからっても、限度があらぁ!決めたぜ!これからは大山田様を舐めた態度の女は有無言わさず【強奪】してやる。男はみんな炎で消し炭にしてやるぜ!

と、出来もしないことを心の中で言う癖のある大山田は気分よく妄想に浸って追われているという現実逃避をはじめていた。

つい先ほど大の男3人がかりで、女一人に襲い掛かかり、後ろから不意打ちを決めた調本人かつ、無抵抗になった女に、スタンガンを20発以上撃ち込んだことを完全に棚上げして、思考能力微弱者特有の「都合の悪いことは何でもかんでも自分以外の何かのせい症候群」重症患者の大山田は脳内でお花畑満開の妄言を言うことによって、セルフ脳内麻薬を汁ダクに分泌しハイにキマっていた。

しかし、いくら脳内で自分は虎だと粋がってみても、リアルの大山田はひいき目に見てもネコに狩られるネズミである。

だいたい、能力者といっても今の大山田では一般女性一人を素手で犯すのも難しいし、いくら炎が使えると言っても人間一人を消し炭にするほど炎を発現するだけのオーラは、大山田をさかさまにして、雑巾のように絞ってもオーラの量が足りないのだ。

妄想で自分を慰め、幾分気分の良くなった大山田だったが、後ろを再度振り返った時、追いかけてくるモブとの距離が縮まっていることに驚愕した。

「くそっ!韋駄天の大山田様の足についてくるたぁ・・!・・さてはあいつ脚にもなにか仕込んでやがるな・・?!それにしても・・なんで全員俺を追っかけてくるんだ!?」

香澄を肩に背負い、覆面を被ったまま全速力で走っている大山田は、少ない脳みそを総動員しても、なぜ全員自分を追ってきているのかがわからなかった。

「ヒーローだからピンチが似合うのはわかるけどよ・・」

大山田は導き出した斜め下の結論を呟いてみるが、その結論は間違っているし、事態が好転することもない。

いくら紅蓮から【強奪】し、筋力や体力を向上させているとはいえ、気を失った女を一人担いだまま全力疾走するのは大変な重労働である。

そんな状況でもかなりの速度で走っている大山田はたしかに頑張っていると言えるが、そろそろ体力も限界である。

清水には途中でバラけて逃げることを提案され、そのほうが大山田自身も逃げ切りやすいと思って、清水のその提案に大賛成したのだが、全員が自分を追いかけてくるのは想定外だった。

女を担いでいれば、それを取り返そうと追いかけられるのは当然、という結論に達しないところが大山田のスゴいところである。

大山田は香澄を肩に担ぎながらも、能力者として目覚める前の自分とは比べ物にならないぐらい強化されている脚力を使い、全速力で走っているがその差はじりじりと縮まり、すぐ後ろを駆けてきているモブの足音がすぐ後ろで聞こえてきている。

くそっ!モブのくせに!!

もう真後ろまで迫ってきているモブの気配に大山田は大いに焦った。

そして、ついに逃げるのを諦め急ブレーキしそのまま後方に向かって短い脚を振り上げる。

がつんっ!

鈍い音が路地裏に響いた。

覆面をした大山田の顔面にモブの右ストレートが直撃したのだ。

大山田が振り向きざまに放った回し蹴りはモブの左腕で受け止められ、そのまま走ってきた勢いを乗せた右ストレートを顔面に叩き込まれたのだ。

モブは、香澄を担いだまま後ろに倒れようとした大山田の胸ぐらを掴んで支えると、香澄を右手で抱きかかえて、大山田をそのまま左足で蹴り飛ばした。

「ぐえっ!」

相当な勢いで蹴られた大山田は、お尻からアスファルトに路地に尻もちをつき、その勢いを殺しきれず二回転して雑居ビルの壁に後頭部を打ち付け無様な悲鳴を上げてようやく止まることができた。

「部長!部長?!大丈夫っすか?!」

「・・ぅ・・茂・・茂部くん?」

「怪我はないっすか?!部長!」

転げた大山田を無視し、モブは香澄を抱きかかえて無事を確かめるように声を掛ける。

モブに抱きかかえられた香澄は、うっすらと目を開けてモブを確認すると力なく笑顔を向けてくるのがやっとで、明らかにどこか怪我をしている様子である。

「どきなさい!」

ぐったりした香澄の様子に狼狽しているモブの後ろから雫が声をかけ、モブに抱きかかえられている香澄をゆっくりと受け取るように抱きかかえた。

「もう大丈夫ですよ。岩堀部長」

雫は香澄を抱きかかえて声をかけるが、香澄はまたもや意識を失ってしまったのだ。

「雫。どうなの?」

「外傷はほとんどないけどけっこうやられてるわ。・・きっとスタンガンね。こういうゴミ共が好んで使うってことは、スタンガンって使い勝手がいいのかもね・・」

かつて自分たちもスタンガンで襲われたことがある二人は、香澄の衰弱した様子を見て気が付くところがあったのだろう。

咲奈も雫もぎりっ!と歯ぎしりしながら地面にへたり込んでいる大山田を睨むが、香澄の治療が先決と思い至ったようで、香澄を雫の膝枕の上で、二人がかりで治療を施し出した。

「あんたはそいつふん縛っちゃって」

「了解っす。でも縛るもんなんてねえんで、動けなくなるまで殴るっすよ」

気を失った香澄を治療しながらそう言った雫に、モブも腕をぽきぽきと鳴らしながら応え、覆面をしたままの大山田に近づいていく。

「ひぃいい!」

背後はもうビルの壁なのでそれ以上後ずさりできないにもかかわらず、大山田はモブの雰囲気に怖じ気て無様な声をあげる。

そして、大山田はポケットからスマホを取り出し、何やら操作し出したのだ。

「今更無駄っすよ。仲間に連絡何てさせねえ」

ごきっ!

感情を感じさせないモブのセリフと同時に、鈍い音が響く。

大山田がスマホを握っていた左手の付け根あたりにモブの蹴りが刺さったのだ。

そして空中に舞った大山田のスマホをモブがキャッチする。

「ぐうううう!!うう!や・・やめてくれ!俺は下っ端なんだ!頼まれただけなんだ!見逃してくれ!この通りだ!」

モブの蹴りの激痛から、大山田は口から涎を垂らして土下座をし、必死で命乞いを始める。

「・・んん?頼まれりゃなんでもしていいってもんじゃねえっすよ。ってどっかで聞いたことある声っすね・・。まあいっか。連れ帰って支社長に見せりゃなんも隠すことなんてできやしねえからな」

モブがそう言って首を傾げながら、大山田が被っている覆面に手を掛けようと近づく。

「ちょっと!汚いわね!吐かさないでよ!そいつ連れて帰るったって、そんな汚いのを私の車に乗せないわよ?!」

その時、香澄を雫と一緒に治療している咲奈がマスクの口から血と涎を垂らしている大山田を見て不満をあげた。

普段おとなしい楠木咲奈という女性は、こと車のこととなると人格が変わるようであった・・。

「だ、だいじょうぶっすよ。あの高級車にはのせねえっす・・。暴力鬼・・いや、稲垣主任に連絡するんで、社の誰かに車寄越してもらうっす。稲垣主任にさっきの警察のこともお願いしなきゃいけねえっすしね。こんなつまんねえのをあんな車に乗せることねえっす」

モブが香澄を治療している咲奈の方へ向かってそう言った時、聞き慣れない声が聞こえた。

「まったく・・ね。つまらん仕事さ」

「ぼやいても仕方ない」

モブの左右から二つの声がしたのだ。

いったい何時からそこに居たのか、モブから5mほど離れた路地裏の壁に、それぞれ違う男がそこにはいた。

二人とも年のころは30前後だろうか。

見た目の服装や容姿は取り立てて目立つところはないが、二人が纏っている雰囲気は明らかに一般人のそれではない。

「えっ!?」

雫と咲奈もその二人の気配に声を掛けられるまで気づけなかったらしく、二人揃って驚きの声をあげて交互に二人の男に目を向けている。

「何もんだ?あんたら?」

モブも二人の気配に全く気づけなかったのだが、ヤンキーあがりのモブは、こういう時にこそ狼狽えて弱みをみせることが最も悪手であることを身に染みてわかっていた。

そのため、自分よりおそらく格上でしかも能力者であろう雰囲気を放っている二人の男に挟み撃ちされながらも、内心はともかく表情はやる気十分の気迫で言い返せたのだ。

「威勢のいいこって」

「めんどくさい。さっさと済ませよう」

二人の男はモブの問いには答えず、無防備ともいえる様子でモブとの間を詰め始めた。

肩をすくめ、気障に言ったダサい和柄のジャンパーを着た男と、そこまで背が高くないため、高級ブランド品ぽい黒いロングコートが絶望的に似合ってない男がモブを左右から挟み込む。

モブの体格や雰囲気からすれば、モブに凄まれればたいていの者はビビッてしまうだろう。

しかし、突如現れたダサい服装の二人の男たちはそんな様子を微塵も見せない。

(こりゃ・・やべえな)

モブはそう直感しながらも口と表情には出さず、視線だけを咲奈と雫に向けて「逃げろ」と目と表情で合図を送る。

「くくっ、身構えるなって」

そんなモブに気が付いたのか、和柄ジャンバーの方が短く苦笑して言った。

和柄ジャンバーの口元を抑え気障に笑う仕草にイラっとしながらも、モブは全身を伝う冷や汗を悟られないように、近づく二人を警戒し腰を落とす。

モブは、さっき逃げ出した覆面男の仲間が戻ってきたのかと一瞬思ったが、あの二人とは明らかに雰囲気が違うし、現れたダサい服装の二人は覆面すらしていない。

へたり込んでいるもう一人の覆面男、大山田に目を向けるが、その大山田も突如現れた二人の謎の男の様子に完全にきょどっている。

(こいつらの仲間じゃねえ?・・なんでじゃあこんなタイミングでこんな奴らが現れたんだ?今の俺じゃ手に負えねえ・・。今朝手合わせした凪の姐さんとじゃ、この二人はとても比べられねえけど、俺だと1対1でもたぶんこいつらに勝てねえ・・。さて・・どうするか。一人ぐらいは、って無理か。・・やられるにしてもせめて一発づつぐらいはぶん殴ってやらねえとな・・)

モブも苦手な思考を働かせるが、この男たちが現れた理由は皆目わからないので、考えるのをとっととやめ、どうやれば一矢報えるのかとできることに集中し頭を切り替えていた。

そして、横目で雫と咲奈が香澄を抱えてモブに頷き、去ろうとしているのを見てモブは笑顔で二人に頷き返す。

「お兄さんがた、どういう了見か知らねえが、やるなら相手になんぜ?」

格上と思われる能力者二人に対し、モブは平静を装い挑発して見せる。

モブが挑発をしたのは、負傷した香澄たちを無事逃がすため自分に注意を向ける為だ。

「生きてるな?・・よし」

「くっ?!」

しかしモブの心配をよそに二人の男は、へたり込んでいる覆面男の方に興味がある様だった。

黑ロングコート男の声が間近で聞こえたことに、モブは慌てて振り返ると、へたり込んで身を丸くして震えている大山田に向かって黒ロングコート男が声を掛けていたのだ。

「おい!そいつにゃ俺も用があるんだ。勝手なマネはしねえでもらおうか?!」

とモブが、黑ロングコートの肩に手を置いて振り向かせようとするが、モブの手は振り払われ振り向きざまに黒ロングコート男のボディブローがモブの腹部に突き刺さる。

が、モブのガードが寸前で間に合い男の拳の威力をなんとか打ち消せていた。

「へぇ?こいつ・・そこそこつかえるんだな?」

黒ロングコート男が驚いた表情のモブに、意外そうな様子とのんびりした口調でそう言ったのだ。

「ほっときましょう。面倒はごめんです」

モブの背後にいる和柄ジャンバーが自分の前髪を指でぐるぐるいじりながら気障なセリフで黒ロングコートにそう言う。

「・・だな」

黒ロングコートも和柄ジャンバーの意見に同意のようだ。

和柄ジャンバーと黒ロングコートはモブを警戒しつつも、へたり込んだ大山田のところまで近づいてきた。

そして、完全にきょどって自分を挟むようにして立っている男二人を交互に見上げている大山田の肩に二人は手を置き二人揃って呟いた。

「【転移】(ゲート)」

その瞬間モブの目の前で3人を黒い光が包み込み、光が霧散し出す。

「なんだ?!ゲートってなんだよ?!」

ゲートの意味が解らず、攻撃されると思ったモブは両手で光を防ぐようにして身構えてそう叫ぶが、光は徐々に輝きを失っていった。

「いねえ・・。どういうことだ・・?」

その光が消え去った後3人の姿はかき消えていたのだった。

「おい!お前!散々走らせやがって!!」

モブが一人放心していると、大声を上げ背後からモブの背中に体当たりをしてくる男がいた。

「っと!?」

モブが気配に気づき半身に身を捻って、男のタックルを躱すと、もう一人迫ってきた男がモブのスーツの襟首を持ち身体をすでに翻らせていた。

(背負い??速っ!?・・やべっ!)

油断していたとはいえ、モブの強化した身体能力に迫る速度でもう一人の男が背負い投げを仕掛けてきたのだ。

「くっ!」

咄嗟に腰を落とし、モブも中学生時代に少しかじった柔道技である裏投げで、背負いを返そうと男のスーツのズボンを掴む。

「やるな!」

必殺と確信していた会心の背負いを防がれた男は、悔しい表情ながらも何故か嬉しそうな声をあげて組みなおす。

モブと掴み合いながらも正面を向き、背負いを仕掛けてきた男はスーツ姿ながらも丸坊主で、先にタックルいや、たぶん諸手刈りという柔道技を仕掛けてきた男も同じく丸坊主であった。

「卓也気を付けろ!警官を二人一瞬でやったやつだ!」

「わかってる!今ので十分わかったぜ!こいつのヤバさは・・んん?・・君は?」

背負いを防がれたのが余程ショックだったのか、スーツに坊主頭の二人はモブのことを相当警戒しかけていたが、モブの顔を見て気が付いたようだ。

「おい君!さっきの仲間の女も身柄は確保してる!おとなしくしなさい!・・・って・・・あっ!君は宮川さんとこの?たしか・・茂部くんか?」

組み合ったままどうするべきかと迷っているモブに向かって、最初に諸手刈りを仕掛けてきた方の背の高い丸坊主がそう叫んだ。

二人の丸坊主男はモブの顔を見て気が付いたようだが、モブは気が付けない。

「いきなり襲い掛かってきて大人しくしなさい!って素直に言うこと聞けるか・・って!?さっきの仲間の女ってあの二人を?確保した??!それになんで俺の名を??!」

モブは咲奈と雫もこの男たちに捕まってしまったのかと慌てたが、スーツ姿の坊主男は、モブを振り払うと、みだれたジャケットとカッターシャツの襟を整え、内ポケットから黒い手帳を見せてきた。

「忘れたのか?刑事の粉川だ。ついこないだ一緒に食品工場に行っただろう?ほら、美佳帆さんたちと・・」

「同じく杉だ。暴走行為に公務執行妨害、それに傷害も加わるかな。とりあえず事情ぐらいは聞こうか?茂部君・・・。」

「おっさんたち・・・ああ!あの時の!刑事さん達っすか!」

モブもようやく、美佳帆、スノウ、佐恵子たちと寺野麗華の情報を探りに同行してもらった時の刑事たちだと気が付いた。

「ああ・・。さっき警官二人やっちまったの俺っす・・」

モブは大山田達を追う為に、大勢の通行人の前で制服を着た警官二人を当身で気絶させたことを思い出し、手のひらで顔を覆うようにして天を仰いだのである。

「おっさんって言われるほど年は食ってないはずだが・・まあ、そうだ。大人しくついてきなさい」

「・・それにしても宮コーの社員たる君が大変なことをしでかしたな?大事にならんようにしたいが、事によるぞ?」

「・・・しかたねえっす。あとで支社長か主任に連絡させてくださいっす」

杉と粉川に両脇を挟まれ、モブはパトカーまで連行されていったのだった。

【第10章  賞金を賭けられた美女たち 13話 ダメ男の模範とそれを克服した男 終わり】14話へ続く

第10章  賞金を賭けられた美女たち  14話  お嬢様と和尚様の情事

【第10章  賞金を賭けられた美女たち  14話  お嬢様と和尚様の情事】

自室の玄関ドアを開け、ぐったりと疲れた身体を引きずるようにして玄関に入りパンプスを脱ぐ。

普段は脱げば揃えるのだが、今日はそんな元気もない。

玄関のタイルには脱がれたパンプスが片方倒れたままだ。

閉まる玄関ドアの向こうで凪姉さまの姿が見えたが、今日は部屋まで入ってくる気は無いらしい。

凪姉さまが背を向け歩き去りだしたのが一瞬だけ隙間に見えて、扉に遮られ見えなくなる。

扉が閉まってしばらく佐恵子は遠ざかっていく最上凪の気配を探っていたが、凪の気配が十分遠ざかったのを確認すると大きくため息をついた。

「あ“ぁ”~・・・づがれだ・・・。あーー!つかれた!つかれた!凪姉さまもなんだかすごく口うるさくなって・・・!前はもっと優しかったですのに・・。それに、高嶺製薬の・・・!・・なんなのよあいつ!もう!・・なにがサービスしてあげたよ!あーもう!勝手に来て勝手になに勝手なことしてくれちゃってるの!」

一人になった佐恵子は、らしからぬ口調で不平を爆発させ、涙目で短くなった髪の毛を両手で触る。

人目のない自宅だからこそ、佐恵子は遠慮なく不平を大声で口にしているのだ。

スタイリストに整えてもらったが、あまりの短さを再度確認しようと、佐恵子は玄関に置いてある姿鏡の前まで膝立ちでにじり寄り鏡の正面に座る。

「うぅ・・。こんなことって・・」

失った髪を未練がましく思いながら、鏡に映る自分の姿を涙目で確認し、真理や凪に言われたセリフが思い出す。

「佐恵子。髪は残念・・。でも、そもそもあの攻撃には殺気が無かった。斬撃を飛ばすなんて芸当は物理的な刃じゃない。刃そのものがオーラ。オーラである以上強くオーラを纏っているモノにはダメージはとおりにくい。だから高嶺は佐恵子の身体じゃなく、オーラをほとんど纏っていない佐恵子の髪を狙った。私も佐恵子が怪我を負う可能性の高い剣圧による攻撃を防ぐことだけに専念した。アイツは最初から佐恵子を殺すつもりじゃなく、力を見せつけて揶揄っただけ。佐恵子の身体に直接斬撃を浴びせようとしても、私の力を知ってるアイツは私が阻止するのはわかってるだろうし、そんなの私が絶対に許さない。それに、あのサングラスも佐恵子の防御にまわってくれた。・・あの男、私の予想より強い。実はあの場面で余計な動きをされると困るから、あのサングラスを糸で少し拘束してた。それなのに数百本とはいえ、私の糸を破って、佐恵子を護ろうとしてくれた。・・あの糸を破るということはサングラスは相当な強さだし、なにより破った後、佐恵子を護ろうとした。あいつは佐恵子のパートナーとして見込みがある。・・・あのモブという男とは段違い。二人の男を迷ってるのかもしれないけど、選ぶなら断然サングラスにすべき。私はサングラスを推す。・・佐恵子なかなかいいセンス。サングラスで目元は見えないけど、顔立ちもなかなかの好み・・・。なんでもない。・・それより、佐恵子。髪のことはもう仕方ない。そんなことより宮川グループ次期総裁の立場の貴女はもっと堂々とすべき。そんな顔や態度は佐恵子に相応しくない」

「佐恵子。そんな態度じゃ社員たちの望まざる憶測を呼ぶわ。その髪のことは、関西支社長再任の所信表明の覚悟の表れとして発表することにするわね。・・・・・・プッ!」(あやうく笑いそうになっちゃうじゃない・・・。処女を奪われた生娘でもないでしょうに、佐恵子ったら、髪を切られたぐらいでなんて可愛い顔するの。私をキュン死にさせるつもりなの?髪を斬られて呆然自失の表情から、下唇を噛んであんなに悔しそうに涙溜めて・・・、ああ、佐恵子って本当におバカで可愛いわ。【未来予知】で見てたから敢えて止めなかったんだけど、大正解ね・・・。豊島さんも風俗嬢を指名するときにショートカット娘を指定してるぐらい、ショートカット大好きって情報があるし、落ち込んで帰った佐恵子が豊島さんに「ショートカット似合う」とか言われたら、佐恵子単純だから、その泣きそうな表情から、いきなり明るくなってまた私を楽しませてくれるはずよね。・・もう、わかりやすくて可愛いんだから・・!蜘蛛や菊沢部長という強いカードに護られて、私の【未来予知】でも守ってもらってるのを知ってる佐恵子だから、余裕綽々で高嶺を見てた表情からの落差が可愛すぎるわ。・・・公麿も【過去画念写】出来るようにならないかしら・・そしたら描写してもらって私の作ったネット掲示板に張り付けて癒しの一つにするのに・・。そうだわ・・公麿に、明日出社した佐恵子を描くようにお願いしとかなきゃ・・。きっと豊島さんに喜んでもらってホクホク顔で来てる佐恵子のおマヌケな顔をきっちり描いてもらっておかないとね・・・。私は高嶺弥佳子に同行しなくちゃいけなくなったから、ちゃんと公麿に言っておかないと・・・いまから興奮しちゃうわね)

あまりウジウジしていると凪や真理に、手厳しくたしなめられるし、佐恵子は社にいる間は何とか我慢していたうっぷんを吐き出したのであった。

凪は真摯に心配してくれているが、真理のほうは発言の10倍以上心の中で、ヨコシマなことを考えているのは佐恵子には知る由もない。

佐恵子を大事に思っているのは真理の本心ではあるが、佐恵子のことをいじって楽しんでいるのもまた本当なのだ。

もともと魔眼でも真理の心中は読まれにくかったのに、魔眼を常時発動できなくなった佐恵子に真理の心中を把握するのは難しいので、真理の脳内はいまや随分と本能に素直になっているのだった。

「髪ぐらいっていいますけど・・、あれじゃ高嶺に屈して要求を全部飲んだみたいじゃない。・・く・・屈辱ですわ・・あの女・・わたくしにこんなことを・・、ああぁ・・でも、菊沢部長も私の髪の毛のことなんかまったく気にした様子もなく、張慈円と決着をつけたい為にあの女の提案にノリノリでしたし・・・もう少しわたくしのこと心配してくださってもよかったのでは・・?!」

そう言った佐恵子はスリッパも履かず、玄関のところでへたり込んで突っ伏した格好になった。

哲司という恋人がいるというにも関わらず、宏に少しは気に掛けてもらいたいと思っている佐恵子は、宏の鈍感さを恨みがましそうに呟いた。

しかし、「宏恋慕愛好会(仮)」新参者の宮川佐恵子は、その程度の身悶えは宏を遠巻きに恋慕している女性たちにとっては序の口もいいところということを佐恵子はまだ知らない。

それにしても、今の佐恵子の格好は、財閥の令嬢で、巨大会社の一方面の全責任を負っている者とは思えない格好である。

膝を付き、頬を床に付けて手は膝のところまでダランと伸ばして、お尻を持ち上げた姿なのだ。

高い能力や強い精神力を持っていたとしても、佐恵子はまだ30歳にも満たない女である。

誰かに、優しくしてもらいたい時もあるし、甘えたい時もあるし、正直こんな重責を負う立場の家に生まれなければということも考えなかったわけでもない。

普段周囲の者には優しくしてもらっているはずだが、佐恵子のオフィシャルな立場に関する態度や振舞いについては、真理や凪は厳しいのだった。

仕事中は常に周囲の目に気を配り、立ち振る舞いや言動に注意を払っているぶんプライベートな空間に帰ってこれたことで、佐恵子の緊張の糸をだるんだるんに緩めているのだ。

「ううぅ・・、明日も仕事がてんこ盛りですわ・・。明日からは真理もいないし・・どうすれば・・。・・・とにかくシャワー浴びて何か口に入れたら休まないと・・・」

暫く廊下にお尻を突き上げたまま突っ伏していた佐恵子であったが、いつまでもそうしているわけにもいかず、そう言って顔を上げた。

その時部屋の奥の方から佐恵子の方を伺う気配に気が付いた。

「誰?!」

バッと身を起こし自室の奥、リビングの方からこちらを伺う気配に向けて佐恵子は誰何する。

「佐恵子さん・・?やっぱり佐恵子さんやな!なんや物音するからと思たら・・いつもよりだいぶ早いけど、帰ったんやな。おかえり佐恵子さん!」

リビングから覗く顔、そこには唯一合鍵を渡してある人物の顔があった。

「哲司さま!?」

佐恵子は警戒を解き、みだれた服装をいそいそと整え、やや乱れたジャケットの皺をのばし、ずり上がったタイトスカートの裾を直して哲司に向き直る。

「ああ昨日合鍵もろうたし佐恵子さんが仕事から帰ってくるんに合わせてご飯でもつくっとこう思てな・・って、佐恵子さん・・そんなことよりっ!・・俺の為にイメチェンしてくれたんか?!俺ショートがめちゃくちゃ好きって誰かに聞いたん?めっちゃええやん!似合っとるで!俺、佐恵子さんに髪切ったらもっとベッピンになると思うって言いたかったんやけど、佐恵子さんの長い髪もあまりにも綺麗やから言いにくかって遠慮してたんやけど・・・やっぱりショートええやんっ!っていうかこっちのが滅茶苦茶俺好みやって!・・・佐恵子さん今夜もはなさへんでっ!というか一生離さん!」

「え!・・ま・・まあ!」

そう言って抱き着いてくる哲司に佐恵子は驚き戸惑いつつも、大きな体に抱擁されるに任せてその背に手を回し、目を閉じる。

先ほどまで髪を切られて嘆いていたことも忘れ、真理の予想どおり、幸せいっぱいな気分に包まれる単純な佐恵子であった・・。

Sから戻ってきた昨晩、哲司とベッドで睦んだあと佐恵子は部屋の合鍵を渡していたのだ。

「そ・・そんな。ありがとうございます。そんなこと言われると・・、わたくし本気にしますわよ・・」

「もちろん本気にしてくれや。こんなええ女誰が手放すかい・・。もう俺のもんやで」

先ほどまで高嶺弥佳子に斬られて失った髪の毛と自尊心を嘆いていたが、恋人の一声で気分は180度変わってしまったのだから、いくら才媛の令嬢と言われていても、女の脳は子宮にあると言われているだけあって、佐恵子も例外ではなくその部分は単純であった。

「哲・・んっ!・・ん」

再度恋人の名を呼ぼうとするが、その恋人にきつく抱きしめられ、唇を唇で塞がれる。

そしてそのまま哲司が器用に佐恵子の上着のボタンを片手ではずし、ブラウスの上から控えめなバストをやや乱暴に下から持ち上げるように揉みしだく。

「んんっ・!」

「かわいいな。普段あんなに澄ました佐恵子さんでも、こんな女の顔になるんやもんな。・・昨日は明日早い言うとったから、遠慮したけど今日はもう寝かせへんで?腕ふるって作った料理よりさきに、佐恵子さん頂いてもええよな?」

「そんな・・折角のお料理が醒めてしまいますし、・・シャワーも浴びておりませんわ・・それに、明日も仕事がたくさんありまして・・今日のように早朝から出かけますから・・」

とろんと目を潤ませ、濡れた唇を僅かに開いて、軽い抵抗の建前を口にする佐恵子。

言葉の内容とは裏腹に、抵抗の説得力は皆無の表情である。

むしろ簡単に応じる軽い女だと思わせなくない女のメンドクサイ部分を覗かせてしまっているのだが、さすがに哲司は心が広い。

「何時から仕事なん?」

「5時には・・。加奈子にもその時間に来るようには伝えてますし・・」

「5時かぁ・・ほな4時まではベッドでおれるな」

「えっ!4時?!・・哲司さまそれではあまりにも・・!きゃっ!」

哲司は、佐恵子の建前の抵抗の防波堤を難なく突破し、佐恵子をお姫様抱っこにして部屋の奥へと歩き出す。

途中横切るリビングには哲司が調理した料理の数々が並んでいるが、それには目もくれず通り過ぎ、バスルームも過ぎ去って寝室の扉を開け、佐恵子をベッドにどさっと落とした。

「きゃっ・・。哲司さま!わたくしシャワーも浴びておりませんのよ?んっ!」

再び唇が塞がれる。

仰向けに倒された身体の上には、哲司の大きな体が覆いかぶさっている。

哲司はすでに上着を脱いでおり、ムキムキの上半身を佐恵子の身体に押し付けてくる。

「ああっ!シャワーを・・んっ!いけませんわ!わたくし今日は忙しくてたくさん汗を・・あんっ!」

「佐恵子さんの匂いなら金払うてでも嗅ぎたいいう男がぎょうさん居るはずやし問題あらへん。それに佐恵子さんの匂いごっつええ匂いなんやで?こんな匂い振りまきながら仕事しとったんかいな。花が虫を呼び寄せる習性と同じや」

そう言われてしまえば佐恵子も馬鹿正直に信じ、強張らせていた身体の力を解く。

腕を頭の上に持ち上げられ、ブラウス越しとはいえ脇が無防備になるが、哲司は首筋や脇にも顔を埋め、佐恵子の匂いを嗅ぎ、吐息で佐恵子を愛撫しだした。

「ああっ、哲司さま。いやんっ!」

佐恵子はみるみる服をはだけられ、時折口を塞がれながらも、あられもない姿にされてゆく。

「綺麗や。こんなきめ細かい肌やのに、普段やお堅いスーツ姿で、パンストも黒にして極力露出減らしてるん勿体ないわ」

すっかり裸にされてしまった佐恵子は、口数少なく赤らめた顔を俯かせて両手で胸を隠して、ベッドの上に座っている。

「わ・・わたくしだけ全裸ですわ・・」

「佐恵子さん、昨日は明日の朝早いから言うてたから遠慮したけど、やっぱり佐恵子さんみたいな女抱くんそんな配慮できへんわ。・・・今日からはたっぷり抱かせてもらうからな」

そう言うと哲司は、全裸で恥ずかしそうにしている佐恵子の肩に手を置き、再びベッドに倒し込む。

キングサイズのベッドの上で二人の男女がもつれ合う。

佐恵子が下に組み敷かれ、哲司が佐恵子の口、首、脇、胸に唇を這わす。

「あぁ・・うぅ・・部屋‥明るいですわ・・照明を・・消してくださいませ」

「佐恵子さん、どうせ暗うしても同じや。俺らは夜でもよう見える。知ってるやろ?」

左胸を揉まれながら、右の乳首を舌で転がされている佐恵子はそう言ったが、哲司の言い分はもっともだ。

見ようと思えば、暗闇でも大抵の能力者なら暗視できてしまう。

昨晩初めて佐恵子を抱いた哲司は、モゲが約束を果たし佐恵子が夜の営みの誘いを断らないようにしてくれたんのだと安心したが、昨晩の行為そのものは様子見であったのと、明朝早くに社に行かなければならないと言った佐恵子に配慮したのだ。

しかし、今日もそんなことを言われてももう我慢は出来なかった。

哲司は昨晩の佐恵子が満足にオルガズムに達していないことをわかっていた。

せっかく自分好みの極上の女を彼女にすることができたというのに、満足させられなかったということが、哲司のプライドに火をつけたのだ。

それだけに哲司は、いままで風俗嬢相手に培った技を使い、佐恵子を夜は完全に自分好みの女に教育していくと決めていたのである。

ましてや昨夜抱いた佐恵子とは、また別人と思えるほど今日の佐恵子は髪型が変わりより哲司好みにカスタマイズされているのだ。その経緯を知らない哲司には、気の利く才媛が哲司の好みを良く知る菊一の誰かから聞き出し、自分好みの髪型にカットしてきてくれたと思うのも無理はない。

そして元々胸は控えめが好みで、育ちの良さが普段の立ち振る舞いにも出てしまうような気品の女性が超ストライクゾーンであった哲司は髪まで自分好みになった佐恵子をまた初めて抱いた時以上に新鮮な気持ちで抱けると言う気持ちになり哲司史の中でも大げさではなく1番高揚した気持ちで我を忘れるくらい興奮していた。

「あんっ!いや!はずかしいですわ」

哲司の右手が佐恵子の白い太ももを割って入り、すでに潤った秘唇に触れたのだ。

キスと愛撫だけでぬるりと湿らせてしまっているのを知られた佐恵子は、恥ずかしそうに身を捩るが、今日は簡単には逃がしはしない。

佐恵子の右足首を掴み、左太ももを押し付ける。

「いや!哲司さま!あああっ!は・・はずかしすぎます!」

佐恵子は、仰向けに開脚させられ、明るいベッドルームで女の股間のすべてを露わにされたのだ。

手で股間を隠そうとする佐恵子であったが、右脚で佐恵子の左脚を抑えなおした哲司は佐恵子の両手首を掴んで言う。

「綺麗や佐恵子さん。・・・隠したらあかん。ええな?」

そう言われた佐恵子は、真っ赤な顔でおずおずと手をお腹のところまで戻し、股間に注がれる哲司の視線に耐える。

そして、堪らなくなったのか股間を隠すのは禁じられているので、両手で顔を隠すように覆ってしまった。

そんなことをしても、佐恵子の秘唇からわき出す透明の潤いは増すばかりである。

「佐恵子さん。・・・普段澄ましてるのに、こんなに濡らしてエッチやなあ」

哲司はそう言って、秘唇からあふれ出しそうになっている透明の液体を指ですくうと、すぐ上にある包皮を押しのけかけている突起物になすくりつけた。

「ひぁん!」

陰核を覆っている包皮の中を、陰核の外周をぐるりと回す感じで、愛液を擦り付けて陰核を刺激してやる。

「全部出たで?・・・財閥令嬢の勃起クリや。・・ははっ、パンパンになってるなあ」

哲司の指先の刺激によって、佐恵子の陰核は包皮を完全にめくりあげて主張している。

「い・・いゃ・・」

佐恵子は、顔を両手で覆ったまま、蚊の鳴くような声でそう言うのがやっとである。

視界を自ら塞いだ佐恵子の股間に、哲司が顔を近づける。

濡れた陰核と秘唇に、哲司の吐息があたっただけで、陰核はビクンと上下に反応し、陰唇はヒクッと震わせた。

(佐恵子さん・・息が触れるだけでこんな敏感やのに、昨日は一回も深く逝ってなかった様子や・・。性経験が少ない言うてたから、開発されとらんのかもしらん・・。まあそれでもええ。昨日挿入した感じやとめっちゃ料理し甲斐がある身体や・・。時間は今日だけやのうてたっぷりあるんや。佐恵子さん俺以外やとダメな身体にしてやるからな)

哲司は恥ずかしそうに顔を隠し、股間を露わにさせられてプルプルと羞恥に震え、恥ずかしい愛液を沸かせている佐恵子の陰核を唇で包んだ。

「あうっ!」

陰核を口で摘ままれた佐恵子は、背中をのけ反らし、脚を閉じようとするが、脚を閉じるのは哲司の両手が許さない。

股間に埋められた哲司の頭を佐恵子が両手で掴む。

哲司は両手を佐恵子の両足の下から、佐恵子の乳房まで這わし、陰核と両乳首を摘まんで責めてやる。

「ああっ!て・・つじ様ああ!こんなことっ!ああっ!」

佐恵子は太ももを閉じるが、すでに股間に埋められた哲司の頭で、それ以上閉じることはできない。

弱点の陰核は、哲司の口の前にあり、集中砲火から逃げることは最早できない。

そして、ふくらみの控えめなバストの先端で興奮を主張している、佐恵子のそれぞれの乳首を親指と人差し指で優しく摘まみ、こねくり回し、時には弾きもして、硬くさせている乳首を弄り倒す。

「ああっ!シャワーもあびてませ・・・んっ!のに!そんなところ・・舐められたらあっ!ああうう!」

チュパチュパと粘着質な水音をさせられては、更に佐恵子の秘唇から愛液が沸いてくる。

「だ・・だめ・・ですわ!」

ひと際佐恵子の背中が仰け反ると、軽く果ててしまったようだ。

ぜえぜえと息を荒くしている佐恵子を、哲司は佐恵子の足の間から眺めている。

(・・・逝ったは逝ったけど、一回目のクリ逝きやのにそんな深ないな・・。まだ照れがあるんやろか・・・?まあええ。昨日に続いて今日も佐恵子さん堪能させてもらおか。締め付けは極上やねんけど、俺の一物を受け入れるには、まだまだ浅いからな。この槌で俺好みに土木工事してやるからな佐恵子さん。今の佐恵子さんの膣やと、どんな小さい一物の男からでも精子搾り取ってまう名器やろうけどな・・・。俺でしか感じれんようなところまで開発してしまうからな)

一度軽くオルガズムに達した佐恵子の腰を掴むと、哲司は、愛撫はそこそこに切り上げ、開発工事に取り掛かる。

「て・・哲司さま・・。ああ・・来てくださいませ」

身体を開かされ、腰を掴まれた佐恵子は雄々しく反った哲司の一物を見て、潤んだ目で言う。

性経験の少ない佐恵子ではあるが、佐恵子からすれば哲司とのセックスは3度目である。

一度目は哲司のふりをしたモゲであったのだが、哲司やモゲクラスの一物のサイズを標準的なサイズだと佐恵子は思っている。

以前学生時代に、一度だけ関係を持った男性の一物のサイズなどとは比べ物にならない程大きい。

そんな佐恵子の女性器のサイズからすれば、とても受け入れられそうにもない哲司の一物があてがわれる。

たいていの女性ならその大きさに期待と不安が半々ぐらいにはなるのだろうが、佐恵子は良くも悪くも未経験過ぎた。

あてがわれた凶悪なサイズの一物を見て、目を潤ませ哲司に厚い眼差しを送っているのだ。

哲司は佐恵子が経験不足でそういう表情をしているのをわかっているが、あえて無視して腰を沈める。

どっちみち哲司の一物を受け入れてもらうしかないのだから。

ミチミチミチッ!

「あああああ!ああっ!!」

滑った膣口から愛液をこぼしながら、佐恵子にとっては大きすぎる哲司の一物を受け入れようと、潤滑油を更に溢れさせる。

「ああっ!哲司さま!哲司さまが入ってきましたわ!あああっ!」

佐恵子がそう口走るも、哲司の一物はいまようやく鬼頭が入った程度である。

口を大きく開け、好きな男に身体を使われているという満足感から、佐恵子は快楽以外の幸せを文字通り下の口で噛みしめてる。

「佐恵子さん。まだまだやで?」

哲司は慎重に腰を沈める。

「ああっん!かっ・・・っ・・ぅっ!・・」

佐恵子は口をパクパクさせて自身に侵入してきた哲司を堪能する。

未だに哲司はピストンをしていないというのに、佐恵子はモゲに施された浅いアクメしか感じられない呪詛に見舞われ、連続で浅いアクメをしまくっている。

白い肌はピンク色に染まり、普段自信に満ち蠱惑的な笑みで男性諸君を見下すようにしている佐恵子の普段の表情とは程遠い。

目を閉じ顔を紅潮させ、口をOの形にして、声らしい声をだせずパクパクとさせて、浅いアクメの波に翻弄されている。

(まだ半分も入ってないのに、佐恵子さんの奥に当たったな・・。まだ思い切り逝けてないみたいやな。しかしこのカズノコ天井を押しつぶし開発してしまえばこれまで感じた事など無い深い快感を与えてあげれるはずや・・・日にちをかけてやりたいのもやまやまやが今日の俺は興奮しすぎて容赦ないのも事実・・・というか最上の奥逝きを佐恵子さんに知ってもらい佐恵子さんの膣奥に哲マークの刻印を押してやるねん!どれ・・)

哲司は挿入した金剛が佐恵子の腹を内壁から抉るような角度になるように、佐恵子の腰を持ち上げる。

「きゃっ!!うっん!!」

まともにまだピストンもしていないというのに、佐恵子は釣り針に掛かった魚のように、哲司の金剛に膣のお腹側を突き上げられた可愛い悲鳴を上げる

そして、哲司はまだ敢えてピストンをせず、Gスポットと子宮口の両方を押しつぶすように、ゆっくりと鬼頭で、膣壁を擦り上げていく。

「ああああああああっ!あああああああんっ!」

哲司のいきりたった金剛はまだ半分ほどしか入っていないが、佐恵子の膣内はぎっちぎちに満たされて内壁を擦り上げられているのだ。

男性器の大きさなど関係ないよ。

というセリフを雑誌や女性の口からよく聞くが、そんなことは断じてない。そんなものは稚拙な恋愛と稚拙なSEXで淡いパステルカラーの幻想を抱きいざ現実を知ったらすぐに壊れるような薄い幼稚な関係しか築けない精神が未熟なもの同士の言い分である。

事実数をこなせば大きさ、形、硬さ、そしてテクニックはセックスに置いて物凄く重要である。数をこなしていくほどそれは顕著にわかるようになっていくのなのだ。

男女のそれらを総称して相性というのだが、セックスに関しては、動きが受け身にならざるえ得ない場面が多い女性より、男性の方がテクニックを要求されてしまうのは当然のことである。

そして、そのテクニックを使うにも獲物の長さや太さや硬さが重要となるのである。

哲司の得物の性能やテクニックは、SEXに関しては毎日5~8人も相手をしている百戦錬磨の風俗嬢を100%メロメロにしてしまうレベルである。

性経験の浅い佐恵子など、哲司に掛かられてはひとたまりもない。

そして、哲司はSEXに能力を使い、佐恵子は無防備でもある。

極めつけは、佐恵子と哲司の性器の相性は、哲司にとっては良すぎるのだ。

佐恵子の膣のサイズでは、哲司の獲物に太刀打ちは出来ない。

10cm弱の深さしかない膣では、20cm近い一物の前に蹂躙されるしかないのだ。

結果、哲司の一物は十分な余力を残し、佐恵子の最奥を抉りつくす。

「ああっ!て・・・哲司さまあ!わたくし・!何度ももう!果ててます・・わ!!ああんっ!」

浅いアクメで何度も身体を震わせている佐恵子はそう言うが、哲司は当然満足していない。

締め付けこそきついが、哲司の一物は半分程度しか佐恵子に刺さっていないのだ。

そのため、佐恵子が何度達しようが、哲司が達するのはまだまだ先だ。

逆に佐恵子は何度も昇天させられることになるが、哲司は佐恵子のオルガズムの浅さが不満だった。

(よっしゃ・・。佐恵子さんにほんまの女のオルガズムって言うんを教え込んだろ。まあ普段から自分を会社を厳しく律するような性格の佐恵子さんやさかい、それが普段から当たり前になり逝っても全開放というわけにはいきにくい感じに出来上がってしもてんやろうなぁ。でももう佐恵子さんももうすぐ三十路や、そろそろほんまもんの女の喜びを知ってもらわんとな。そしたらもっとSEXに応じてくれるようになるやろうし、なにより俺の一物が根本まで入るぐらいまでは最低開発せんとな)

「ああっ!ああああん!」

そんな哲司の思惑は知る由もなく、佐恵子は送り込まれてくる快感に、ベッドに行けば案外大きいその声を奏でっぱなしである。

哲司とのSEXに避妊具はつけていない。

それだけでも佐恵子の感度は相当に上がっている。

(わたくしと・・ああぅ!避妊具なしで・・こういうことを・・・!わたくしを孕ませても宮川に婿になるお覚悟がおありなのですね‥哲司さま・・・。私の通る茨の道を共に来てくださいますのね?!・ああっ・・!愛しておりますわ!)

生挿入という行為を男の覚悟の表れだと、超前向きにとらえている佐恵子は恥ずかしさから口には出せずにいたが、心中で吹っ切れた。

そんな考えでは、ゲス男にころりと騙されかねない世間知らずと言われても仕方ないのだが、ラッキーなことに佐恵子を抱いている哲司はゲス男ではなかった。

哲司はピストンすらせず、佐恵子の膣を反り返った金剛でおなか側に突き上げるようにしているだけで、佐恵子を昇天させた。

「ああっ!な・・なんですの?!こ、こんなにっ!?あああああああああっ!逝くっ!逝くぅう!!」

哲司の大きな背中に両手を回し、全力で受け入れようと脚も哲司の腰に絡みつかせ、佐恵子はいわゆる大好きホールドという形になると、モゲの呪詛を吹き飛ばす深いオルガズムに達することができたのであった。

そして余談ではあるが、ここ最近特に菊沢宏へ真っ当に、もしくは横恋慕的に心を浮つかせる女性が急増中(実は学生時代からそうなのだが)であり佐恵子も例に漏れずその1人であったが、佐恵子が幸せなのは宏とジャンルこそ違え同等の人格、能力を持つ男にその横恋慕をかき消してもらえる相手が恋人であるという事を本人もまだ気づいていなかった。

そんな宏菌に侵されかけていた世の多くの女性たちが宏を想い指や大人の玩具で慰めなければいけない夜を過ごすことに比べ、佐恵子は幸せにも恋人とのSEXで真なる深い性感の深淵を知り、裏では魔眼と恐れられるその眼球は絶頂を極める一般女性と同様白目を剥き掛け快感にたえ、荒れ狂うオルガズムの大波をなんとかやり過ごしたが、ポテンシャルのを半分しか発揮していない哲司の性行為における荒業は、再び佐恵子のモゲの呪詛から解放され性感の頂きを極めた膣をピストン無しでえぐり始めさらなる佐恵子暦における性感の頂きの新記録樹立に挑戦中し続けるのであった。


【第10章  賞金を賭けられた美女たち  14話  お嬢様と和尚様の情事終わり】

第10章  賞金を賭けられた美女たち 15話 クイーンホーネット&パウダースノウ

第10章  賞金を賭けられた美女たち 15話 クイーンホーネット&パウダースノウ

宮川佐恵子が髙峰弥佳子にショートカットにイメチェンをされた夜、佐恵子が哲司に心身ともに大きな慰めを施されていたころ、菊沢美佳帆はまだ宏と部屋を共にはできておらず、斉藤雪の部屋で過ごしていた。

本日は2人とも出勤していないので美佳帆は、宮コーの調査部部長代理に就く前の服装、カットソーの白のサマーニットにデニム地のホットパンツという美佳帆のもうトレードマークと言うべきかユニフォームのようになりつつある【らしい】服装でパソコンのモニターの前で座っていて、同じく今日は休暇であったこの部屋の主であるスノウこと斎藤雪も【らしい】薄幸の佳人のようなイメージの純白のオフショルダーのワンピースタイプの部屋着で過ごしていてこれまた美佳帆同様向かい合うもう1台のパソコンの前で座っていた。

美佳帆が本来戻るべき部屋の部屋主の菊沢宏はと言えば、自身の副官的存在の髙峰六刃仙筆頭千原奈津紀を接戦の末、経緯はどうあれ打ち倒した事に興味を持たれ、彼女に同行する流れとなりまだ部屋には戻っていなかった。

その連絡も電話ではなく、LINEで受けた美佳帆は同じくLINEで【了解。気を付けて行って来てね。】と返しただけで連絡はあるが本来電話ができない時に緊急連絡が必要な時にしかLINEをしなかった宏から、急な出張の連絡がLINEで来ることに美佳帆自身も少なからず宏との溝を感じていた。

そんな美佳帆が少し浮かない表情でパソコンのモニターを眺めながら、同じくパソコンの前に座っているスノウを眺め、

『こうして2人してパソコンを前にしているとあの頃を思い出すわね。』

と、普段の美佳帆の表情に戻り、ホットパンツから惜しみなく覗かせるこれまで幾人もの男性を魅了してきた脚を組み替えながらつぶやいた。

『あの頃って…あぁ…大学時代の‥‥』

と、スノウも顔を上げ正面にモニター越しに座る美佳帆に視線を合わせぼそりと呟いた。

『そうそう…あの頃はまさか私と同等の力を持つ天才ハッカー【パウダースノウ】が、自分と同じ大学に通う1回生の子だとは思わなかったわよ~』

と美香帆が懐かしそうにスノウから視線を外し遠くを見るように言うと、

『私もですよ。まさかあの尊敬する【クイーンホーネット】さんが大学の先輩だったなんて…』

2人が言う、パウダースノウにクイーンホーネットとは、今でもハッカーとして活動している斎藤雪に菊沢美佳帆のハッカーネームである。

斎藤雪と菊沢美佳帆は、ともに世界的に有名なハッカーであり斉藤雪は初めて菊沢宏と出会うきっかけとなった、北王子公麿を助けてもらうためにゲームセンターに宏と哲司に声をかけにいったあの中学1年生の時には既に高度なハッキング技術を有していた。

しかしその技術は小学5年生の中学受験生であった雪が、勉強の合間にネット上で当時、国内最強のハッカーと有名であったクイーンホーネットからチャットを通じて習った技術だったのだ。

そしてお互いがお互いを知らないまま、雪は大学入学時には本格的にパウダースノウと名乗りハッカーとしての活動を開始する。

そして雪が最初にした主な活動が、あの師匠でもあるクイーンホーネットが雪が入学した京都の国立大学の研究機密情報をハッキングしようとしている行為を阻止するという物だった。

クイーンホーネットこと美佳帆はこれまでも国内海外問わず、自分が興味を持ち見たい情報は、どんな機密情報であっても自由に閲覧してきたので、このパウダースノウというハッカーが自分が突破したファイアウォールを次々と上書きして防御することに最初はいら立ちを感じていたが、オリジナルのファイアウォールまで展開させてきたことに正直驚き尊敬の念すら抱き始めていた。

そしてそのサイバーバトルは、ハッカー界では今でも語り継がれている名勝負で、美佳帆はこのパウダースノウが展開するファイアウォールを突破するのは難しいと感じ、突破するふりを繰り返しながら同時に、このパウダースノウと名乗るハッカーがどこの誰だか知りたくなりパウダースノウの居場所を特定することを同時進行させたのだ。

そして、結果クイーンホーネットはパウダースノウの展開する防御を突破することが出来なかったのだが、パウダースノウの居場所は突き止めることに成功する。

そしてパウダースノウの居場所を突き止めたクイーンホーネットこと菊沢美佳帆は、

『えっ?これって…ここ?』

当時、遊び半分で大学の近くの京都市右京区にあるネットカフェからハッキングをかけていた美佳帆は、パウダースノウのIPアドレスを暴き出すと自分と同じネットカフェからであることに声をあげてしまったのだ。

そしてパウダースノウが座っている個室の席まで暴き出した美佳帆は、斎藤雪が座っていた個室の扉を開け、

『初めまして。パウダースノウさん。クイーンホーネットです。』

と笑顔で声をかける。

これが菊沢美佳帆と斎藤雪の出会いであった。

『あの時は心臓が停まると思いましたよ~。あの尊敬するクイーンホーネットのハッキングを邪魔してやったと喜んでいたらまさか私の居場所を特定され、しかもそこにクイーンホーネットが現れるし…』

スノウも当時の事を思い出しながら美佳帆にそう言った。

『でもここにクイーンホーネットとパウダースノウが存在するのだから…麗華の居場所や麗華の情報も掴めると思うの私たち2人なら。』

『そうですよね。私ももう少し視野を広げて色々と探ってみます。』

そして今日1日かけて美佳帆と雪は麗華に繋がると思われる情報を表から裏から洗いなおしていて今に至るのだが、再度作業を再開した美佳帆と雪はある怪しいサイトを見つける。

『ねえねえっ!スノウ!ちょっとこれ見て!何!?何なのこれ!?』

『えっ?何ですか?』

そう言いスノウは自分の座っていた端末の前の椅子から組んでいた細い脚を戻して立ち上がり美佳帆の隣に寄ってくる。

『こっこれは・・・!?』

『運営元は公開されていないも、おそらくは香港三合会の1つだと思われるわ。こんなAV女優でもない一般の能力者の女性の痴態がこのような高額で求められているって気分が悪くなっちゃったわよ。』

スノウは美佳帆が見るように即した女性の痴態の動画や画像がさらされているサイトにくぎ付けとなり、美佳帆の脇からマウスを取り画面をスクロールさせていく。

『あっ…美佳帆さんこれ‥私や美佳帆さんや…千尋ちゃんにアリサちゃんまで…あっ!麗華ちゃんも…宮川支社長や稲垣さんや神田川さんとか…みんな賞金がかけられていますね…しかも凄い金額…』

『えっ?あっホントだねっ…私たち思わぬところで有名人になっていたってことね…香澄さんまで…それにさとちゃん(菊沢美里)も…凄い金額…この10億の賞金が賭けられている高峰弥佳子って高峰の総帥かしら?高峰らしき剣士の女性も軒並み凄い金額ね。やっぱりこのサイトと麗華が行方不明になり、記憶を失っている事と何か関係があるのかも?スノウもこのサイトの利用者や運営元や関係者らしき怪しい人たちをとりあえず当たってくれる。私ももうしばらくこのサイトに結び付きそうな所を当たってみるわ。』

『わかりました…しかしこのサイト…私たちが能力者と知っている人からの情報提供が無ければ賞金もかからないわけですよね。情報元はどこなのでしょう?それも気になるので調べてみます。』

『そうね…そうしましょう…それとこのサイトに関してはもう少し詳しくわかるまで2人だけの秘密という事にしていてね。他のみんなも今はそれどころではないし、確かな裏が取れるまでは当面は私たち2人でウェブ上のみで調べていきましょう。』

美佳帆がそう言ったのは、あの時焼けて無くなったはずだが、もしかしたらスタジオ野口で橋元にされた一連の行為が、どこかで残っていてまさかこのサイトに既にさらされていないかという不安から出た言葉でもあり、美佳帆の手は既にカチカチとまずは自分の動画が出ていないか調べ始めていた。

美佳帆から、このサイトを当面は2人だけの秘密と提案されたスノウも、

『はい。わかりました。』

と答えたのもやはり、スノウも張慈円に監禁されていた時にされた行為の動画が、まさかとは思うが既にアップされているんじゃないかという一抹の不安があり、自分の動画が出ていないかを美佳帆と同じ気持ちでチェックし始めていたからであった。

2人は、無言で能力者の女性の性行為や凌辱動画が高額の賞金を賭けられアップされている入会規定が物凄く厳しい裏サイトに、既に賞金こそ賭けられているが自分たちの痴態は晒されていないことに一様にホッとして、このサイトに関わる情報を調べ始めていったのであった。

【第10章  賞金を賭けられた美女たち 15話 クイーンホーネット&パウダースノウ 終わり】16話へ続く
筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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